キリスト教/コンスタンティノープルの三人の司祭が、コンスタンティノープルを離脱して在外ロシア正教会【ROCOR】に移ったとの情報(2019年7月)

 ロシア系の正教会メディア ORTHODOX CHRISTIANITY (OrthoChristian.Com) によりますと、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル系の司祭三人が、コンスタンティノープルを離脱して、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的に活動する在外ロシア正教会【ROCOR】に移ったという情報が出ているそうです。

 

 (英語)3 Greek priests leave Constantinople for ROCOR / OrthoChristian.Com

 

 三人のそれぞれの所属(前の所属)は、コンスタンティノープル系の「アメリカ大主教区」「ティアテイラ・グレートブリテン大主教区」、それに(クレタからアメリカに移ったというので)おそらく「クレタ正教会」ではないかと思います。

 このうち一人は、具体的にどこに落ち着くのかの情報が錯綜しているようです。
 また、クレタの人物は、英語が話せないとのことで、旅行ならともかくあっさりと永住できるのかという疑問も浮かびます。

 

 三人のうち一人の行動については、もともとからコンスタンティノープルのエキュメニズムと世俗化(平たく言えば西側諸国とローマへの屈服)に反発していたことがあるようです。西側諸国に反発していてもアメリカで宗教活動をしなければならないという現実がなんともいえないところではありますが。

 また、三人が移った先が、ロシア正教会モスクワ総主教庁ではなく、ロシア正教会の管轄権下で自治的に活動している在外ロシア正教会【ROCOR】というのは、おそらく ROCOR が現在教会法上合法な教会に含まれる教会の中でもっとも保守的(というかなんと表現すればいいかよくわかりませんが)で、かつ反コンスタンティノープルが明確であるからではないかと思います。

 

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)による、エルサレム総主教庁ボスラ府主教ティモセオス座下へのインタビュー映像(2019年6月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会では、2019年6月25日にウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)や東方正教会の各独立正教会の代表らによる礼拝がおこなわれましたが、おそらくその時のエルサレム総主教庁/ボスラ府主教ティモセオス座下(The Most Reverend【His Emienence】 Metropolitan Timotheos of Bostra : キプロスにおける首座代理 : Exarch of Cyprus)へのインタビュー映像(ロシア語)です。

 

 (英語:ウクライナ正教会渉外局公式サイト)We respect Metropolitan Onufriy for his spiritual feats and confession of the Orthodox faith – Exarch of the Jerusalem Church (+video) — Department for External Church Relations of the UOC

 

† Свято-Успенская Почаевская Лавра:
Эксклюзивное интервью митр. Тимофея, иерарха Иерусалимской Церкви – YouTube

 

キリスト教/ベラルーシ正教会のパーヴェル府主教座下が「コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は教会法上合法な教会から離脱した」(2019年7月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会からある程度自治的な権限を与えられているベラルーシ正教会【全ベラルーシにおける総主教代理区】の首座/ミンスク・ザスラーヴリ府主教パーヴェル座下(His Eminence Metropolitan PaulPavel】of Minsk and Zaslavl, the Patriarchal Exarch of All Belarus)は、「コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は『教会法上合法な教会から離脱したものたち』と礼拝をともにしたことにより、彼自身も離脱した」とインタビューで答えているようです。

 なお、コンスタンティノープルがもはや schismatic であるとする見解は、在外ロシア正教会【ROCOR】よりかなり前に出されています。

 

 (英語)Exarch of Belarus: Serving with sectarians, Bartholomew became one of them – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 英語の記事中からひろえる主張で目新しいものは特にありませんが、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の司祭と称する連中は司祭の服を着てるだけの一般人、ロシア正教会は小教区を新しく増やしておりトルコでも教会法上合法な司祭(ロシア正教会の司祭)が礼拝をおこなっている、といったものがあります。

 

キリスト教/コンスタンティノープルが、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】に約34億円の“トモス税”を要求との報道(2019年7月) OCU 側が払うかどうかは不明

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルが、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】に、日本円にして総計約34億円の“トモス税”の支払いを要求しているようです。

 

 (英語)Metropolitan Anthony (Pakanich): Constantinople obliged OCU that each parish should pay from 4 to 20 thousand euro – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)His Beatitude Onuphry: OCU has the Tomos of slavery rather than autocephaly – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系公式サイト)Кожна парафія «ПЦУ» повинна платити Фанару від 4000 €, — митрополит Антоній (відео) – Українська Православна Церква

 

NEWSONE:
Томос раздора и православный буллинг в школах – “Радар” 09.07.19 – YouTube

 

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)が述べているところによると、ポロシェンコ(前)大統領がコンスタンティノープルに約束したウクライナ国内の教会資産のコンスタンティノープルへの受け渡しがゼレンスキー大統領によって拒否されたため、コンスタンティノープルのフランス府主教エマニュエル座下は OCU の首座“エピファニー府主教”に各小教区から“トモス税”を支払うように要求したとのこと。
 その総計は約34億円とのことです。
 OCU が払うのか払わないのか知りませんが……。
 払わなくてコンスタンティノープルがトモスを撤回したらまたもコント
 払おうとして信徒が離脱したらそれもまたコント
 コントは続くよどこまでも。

 なお、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)は、コンスタンティノープルが OCU に渡したトモスは独立正教会として認めるトモスではなくウクライナ人を奴隷化するためのトモスとコメントしているようです。

Українська Православна Церква(ウクライナ正教会公式チャンネル):
Митрополит Онуфрій: Томос для «ПЦУ» — це томос рабства, а не автокефалії – YouTube

 

動画:キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)首座/キエフ府主教オヌフリー座下を支持する各独立正教会の主教らと、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会の“内紛”などの話(2019年7月)

 2019年6月25日におこなわれた、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)らの礼拝と、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】と“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“内紛”などの映像です。 

 

UOJ I Union of Orthodox Journalists:
Triumph of UOC and disgrace of schismatics: whose prayers are heard by God – YouTube

 

 ぶっちゃけていいますと、モスクワ寄りの映像です。

 冒頭などに登場する、モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会およびオヌフリー府主教座下を支持するコメントをしている各独立正教会の主教ら(登場順)は、
 セルビア正教会 …… モラヴィツァ主教アントニイェ座下(His Grace vicar Bishop AnthonyAntonije】 of Moravica : ビデオ内表記【Bishop Anthony of Moravia】)、
 ブルガリア正教会 …… ロヴェチ府主教ガヴリール座下(His Eminence Metropolitan GabrielGavriil】 of Lovech : ビデオ内表記【Metropolitan Gabriel of Lovech】)、
 キプロス正教会 …… タマソス・オレイニ府主教イサイアス座下(His Eminence Metropolitan Isaias of Tamassos and Oreini : ビデオ内表記【Metropolitan Isaiah of Tamassos】)、
 ポーランド正教会 …… ハイノフカ主教パーヴェル座下(His Grace Bishop Paweł of Hajnówka : ビデオ内表記【Bishop Paul of Hainowka】)、
 エルサレム総主教庁 …… ボスラ府主教ティモセオス座下(The Most Reverend【His Emienence】 Metropolitan Timotheos of Bostra)、
 アレクサンドリア総主教庁 …… カルタゴ府主教メレティオス座下(His Eminence Metropolitan Meletios of Carthage)。

 

 “内紛”の話題ですが、すでに今まで取り上げたことが含まれます。
 “フィラレート総主教”の主張、彼自身への破門(Anathema)はもともと成立していないというものも出ています(これは今後一番問題になってくるポイントでしょう)。コンスタンティノープルによる破門の撤回がそもそも不要であったということです。
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、コンスタンティノープルが、ウクライナの教会法上合法でない主教らを“合法化”してくるという予想をしていました。しかし現時点において、そしておそらく今後も、おこなわれていません。これは、コンスタンティノープルが独立正教会として認めたウクライナ正教会【OCU】には、(フィラレート総主教を除いて)教会法上合法な聖職者が存在しないことを示しています(ただしフィラレート総主教への破門がそもそも成立していないとすれば教会法上合法です)。
 コンスタンティノープルを支持する聖職者・論者の中には、「そもそも独立正教会というのは、コンスタンティノープルから独立しているというわけではない」などという今となってはどーでもいーことをだらだらと述べている方もいますが、教会法上合法な聖職者や使徒継承性について語ってほしいところです。「教会法も使徒継承性もどうでもいい。すべてコンスタンティノープルのその時の気分で決まる。それが東方正教会の教え、古代より伝わる正しい教え、キリスト教だ」とそういうことなんでしょうか? いや、そうなんでしょう。それは過去において東方正教会が主張してきたこととはちと違うと思うので、今年の OCU へのトモス授与に伴い、東方正教会は崩壊し、今は組織を継承していると称する変な集団がいるだけだ、とそう結論付けるしかないのです。
 もちろん、コンスタンティノープルがどうなろうが、他にも教会集団は存在しますし、彼らは OCU を承認していないので、東方正教会が崩壊したなどというのは大袈裟だということは言えるかもしれませんが、その各教会はコンスタンティノープルと縁を切ろうとする気がないどころか(ロシア正教会ですら今より進む気はないでしょう)、「コンスタンティノープルを失ったら我々はプロテスタントと同レベルになってしまう!」と絶叫している有様。

 ウクライナ国内の、教会無法地帯、キリスト教の墓場ぶりは失笑モノであることは確かですが、これは東方正教会の姿そのもの、伝統的なキリスト教の姿そのものであり、キリスト教どころか、キリスト教の聖堂をパクった妙な建物で聖職者なのかなんなのかわからない白人男性(宗教的理由もないのにインド人のおばちゃんとかではいけないというなら、人種差別・性差別の疑いのある行為)に結婚式を執り行ってもらって感動している日本人もまたこの茶番劇から逃げられない状況にあります。キリスト教的伝統を適当に消化して作られている漫画・アニメ・ゲームの類もまた同じですが……。

 結論は特にありませんが、現在の世界は、伝統的なキリスト教の崩壊に伴う巨大な茶番がずっと続いているのではないか、という気がしてきました。
 我々が生きている間にこの茶番は終わらないでしょう。もしや世界はウクライナ化していくのか……。

 

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