“モンテネグロ正教会”の公式ウェブサイトで、「トモスを手に入れる唯一の条件」は「教会が国家の支持を受けること」(2023年10月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない(さらに対立で分裂も起きている)、モンテネグロ正教会(MOC)の、“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)側の公式ウェブサイトで、「トモスを手に入れる唯一の条件」は「教会が国家の支持を受けること」というような文章を含む記事が出ています。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会【ミハイロ府主教側】 公式ウェブサイト)Odgovor Branku Kaluđeroviću | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

 これは要するに、ミハイロ府主教は、元はファナル(コンスタンティノープル)から破門された司祭にすぎないのですが、モンテネグロという国家が認めれば、ファナルから独立正教会として認めるトモスが手に入るだろう、という見解です。
 (対立しているボリス府主教派の立場は、ファナルから破門された人物がトップにいるとトモスが手に入らないだろうという見解)

 これを一笑に付すのは簡単ですが、ラトビアで政府主導で“独立正教会”が成立した(というか宣言した)ということを考えると……(ラトビア正教会の独立は、どこもまだ認めてないようですが)。

 どちらにせよ、外部と関係なく分裂に陥っているモンテネグロ正教会の未来は明るいものでもないでしょう。

“モンテネグロ正教会”の新たな首座を称している“ボリス府主教”が礼拝でモスクワ総主教やセルビア総主教の名前を挙げたと、“ミハイロ府主教”側が非難(2023年10月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない、モンテネグロ正教会(MOC)で、新たな首座を称している“ボリス府主教”が礼拝でロシア正教会の首座/モスクワ総主教キリル聖下やセルビア総主教ポルフィリイェ聖下の名前を挙げたと、“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)側が非難をしています。

 その礼拝では、ウクライナ人の司祭の“叙聖”もおこなわれたそうですが……。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会【ミハイロ府主教側】 公式ウェブサイト)Raščinjeni vikarni episkop se moli za srpskog i ruskog patrijarha | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

ミハイロ府主教側がアップロードしている動画(転載?)/
Crnogorska Pravoslavna Crkva(モンテネグロ正教会 公式チャンネル):
Bojan Bojović se moli za srpskog i ruskog patrijarha – YouTube

 

 ミハイロ府主教側の非難の根拠は、まあ予想通りなのですが……。

 ただ、ボリス府主教が、モスクワ総主教やセルビア総主教の名を礼拝で挙げたのは、東方正教会の独立正教会の首座は礼拝において自分たちが独立正教会と認めている教会の首座の名前を挙げるので、それに沿ったものでしょう。
 本気でコンスタンティノープルから独立正教会として認めるトモスを手に入れられると思っているのか、という疑問も浮かびますが、体裁を整えているつもりではあるようです。

 ミハイロ府主教は、もともとコンスタンティノープルに破門された司祭なので、近年、首座が変われば(ウクライナの OCU のように)コンスタンティノープルから独立正教会として認めるトモスがもらえるという発想があるようです。
 もともと、ミハイロ府主教は、コンスタンティノープルが自分にトモスを渡すと自信を見せていたのですが、最近では、自分たちの教会組織はそれほど大きくないことを理由にコンスタンティノープルがトモスを渡すはずがないという見解を掲載していたりします。

 

関連:
 “モンテネグロ正教会”で新たな首座が選出されたとの報道。これまでの首座“ミハイロ府主教”はこの動きを否定(2023年9月)

“モンテネグロ正教会”の首座“ミハイロ府主教”ら三人の主教が、新たな首座に選出されたと主張する“ボリス主教”の聖職者としての地位を剥奪と発表(2023年9月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない、モンテネグロ正教会(MOC)の、首座である“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)ら三人の主教は、同教会の新たな首座に選出されたと一方的に発表した“ボリス主教”の聖職者としての地位を、2023年9月13日に剥奪した旨を発表しています。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会 公式サイト)Donešen Sinodalni akt | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 (英語)CPC: Synodal act passed, Bishop Boris deposed

 

関連:
 “モンテネグロ正教会”で新たな首座が選出されたとの報道。これまでの首座“ミハイロ府主教”はこの動きを否定(2023年9月)
 “モンテネグロ正教会”で新たな首座に選出されたと主張する“ボリス府主教”らが扉を破壊して聖堂に侵入したとして、“ミハイロ府主教”側が告訴をおこなったと発表。またそれに対する反論が“ボリス府主教”よりおこなわれた模様(2023年9月)

“モンテネグロ正教会”で新たな首座に選出されたと主張する“ボリス府主教”らが扉を破壊して聖堂に侵入したとして、“ミハイロ府主教”側が告訴をおこなったと発表。またそれに対する反論が“ボリス府主教”よりおこなわれた模様(2023年9月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない、モンテネグロ正教会(MOC)でボリス府主教”なる人物が新たな首座に選出されたという主張をしていることをお伝えしましたが、モンテネグロ正教会 公式サイトでは、この人物(補佐の主教であるとまだ記述しています)と他の人物が、扉を破壊して聖堂に侵入したと発表。また“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)が彼らを告訴した旨も記されています。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会 公式サイト)Obijena crkva CPC na Cetinju | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

 この件と、“ボリス府主教”側の反論の記事を英語で出しているサイトがありましたのでリンクしておきます。

 (英語)Mihailo: The church in Lovćenska street was painted at the urging of Boris and Stefan
 (英語)Boris: It is incorrect that the church in Cetinje was destroyed, Mihailo to influence his friend to return the old lock

 

続報:
 “モンテネグロ正教会”の首座“ミハイロ府主教”ら三人の主教が、新たな首座に選出されたと主張する“ボリス主教”の聖職者としての地位を剥奪と発表(2023年9月)

“モンテネグロ正教会”で新たな首座が選出されたとの報道。これまでの首座“ミハイロ府主教”はこの動きを否定(2023年9月)

 2023年9月3日に、キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない、モンテネグロ正教会(MOC)の協議会が開かれ、新たな首座が選出されたと報道されました。

 

Portal Aktuelno:
Opštecrnogorski Zbor, himna – YouTube

 

 (モンテネグロ語)Opštecrnogorski zbor: Episkop Boris je novi mitropolit CPC

 

 この記事によれば、ボリス主教が新たな首座である府主教に選出され、これまで教会を率いていた“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)は「引退」とされています。

 

 しかし、 MOC の公式サイトはこの動きを完全に否定。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会 公式サイト)Propali politički miting | Crnogorska Pravoslavna Crkva
 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会 公式サイト)Privremena zabrana činodjejstvovanja | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

 また、同教会の“シメオン大主教”という人物もこの動きを批判している記事が出、自身と同教区は賛同していないとしています。

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会 公式サイト)Obraćanje Arhiepiskopa Simeona povodom skupa 03. 09. 2023. godine | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

 詳細は不明ですが、 MOC は2018年にも一部メンバーが離脱して新組織を結成しており、今回の件もそのようなもの(として落ち着く)かもしれません。

 

追記:
 モンテネグロを管轄する、主流の教会から教会法上合法な教会と見なされているのは、セルビア正教会です。
 上記の、新たにモンテネグロ正教会の府主教に選出されたと主張するボリス主教は、セルビア正教会の、ブエノスアイレス・中南米主教キリロ座下(His Grace Bishop Kirilo of Buenos Aires and South-Central America)の いとこ だそうです。

 

追記2:
 英語の記事を出しているところがあったのでリンクしておきます。

 At the gathering in Cetinje, Boris was elected as the metropolitan; Mihailo: A political group that has no legitimacy

 

続報:
 “モンテネグロ正教会”で新たな首座に選出されたと主張する“ボリス府主教”らが扉を破壊して聖堂に侵入したとして、“ミハイロ府主教”側が告訴をおこなったと発表。またそれに対する反論が“ボリス府主教”よりおこなわれた模様(2023年9月)
 “モンテネグロ正教会”の首座“ミハイロ府主教”ら三人の主教が、新たな首座に選出されたと主張する“ボリス主教”の聖職者としての地位を剥奪と発表(2023年9月)
 “モンテネグロ正教会”の新たな首座を称している“ボリス府主教”が礼拝でモスクワ総主教やセルビア総主教の名前を挙げたと、“ミハイロ府主教”側が非難(2023年10月)