特にコメントしませんが、記事だけリンクしておきます。
特にコメントしませんが、記事だけリンクしておきます。
2019年6月23日、キリスト教/東方正教会/アメリカ正教会【OCA】の首座/ワシントン大主教、全アメリカ・カナダ府主教ティーホン座下(His Beatitude Metropolitan Tikhon of All America and Canada, Archbishop of Washington)は、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世 : 世界総主教バルトロマイ1世 : ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)を訪問し、共同で礼拝をおこなった模様です。コンスタンティノープルのレロス・カリムノス・アスティパレア府主教パイシオス座下(His Eminence Metropolitan Paisios of Leros Kalymnos and Astypalaia)も共同で礼拝。
(英語:アメリカ正教会【OCA】公式サイト)Metropolitan Tikhon guest of Ecumenical Patriarchate at annual pilgrimage to Cappadocia – Orthodox Church in America
Metropolitan Tikhon guest of Ecumenical Patriarchate at annual pilgrimage to Cappadocia https://t.co/EmEkl6vh3u pic.twitter.com/SOBACQfDkz
— Orthodox Church OCA (@ocaorg) June 24, 2019
コンスタンティノープルはアメリカ正教会を独立正教会として認めていませんが、アメリカ合衆国教会法上合法主教会議への参加を容認しており、また、どこかの独立正教会に属している集団としているわけではありません(つまりどう位置づけているか不明)。
もっとも、コンスタンティノープルは、東方正教会に属している集団はすべて自分のところの手下だと認識していることが明らかになった現在、こんなことはどうでもいいことです。
コンスタンティノープルとモスクワが完全に縁を切った場合、アメリカ正教会はコンスタンティノープルにつくとみられています。
追記:
ロシアの正教会系メディア「OrthoChristian.Com」は、バルソロメオス聖下とティーホン座下の間に(ウクライナに関する)「裏取引」がおこなわれたという噂を否定しています。
噂自体を知らないのでなんとも言えませんが……。
ただ、コンスタンティノープルのアメリカ大主教の着座式がおこなわれている時期にぶつけたかのように、 OCA の首座をコンスタンティノープルが招待した(アメリカを離れさせた)というのは、理由がよくわからないところではあります。
また、ギリシャの正教会系メディアでは(あまりチェックしていませんが)今回の訪問自体を報じていないようにみえます。
もしかしたら彼らは OCA の存在自体を知らないのかもしれませんが……。
キリスト教/コンスタンティノープル系のウクライナ正教会【OCU】に合流していた“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、独自に招集した会合で OCU 成立時の会合やコンスタンティノープルのトモスを拒否し UOC-KP の再興(?)を宣言した件で、 OCU は会合を開き、“フィラレート名誉総主教”の OCU での役割を剥奪することを決めたようです。
一方、これまでの功績があるということで、引き続き OCU の主教ではあるとしています。
フィラレート総主教の発言もころころ変わり矛盾だらけですが、教会を否定し離脱し、しかもつぶそうとしてきている人間を、「これまでの功績があるからこれからもうちでも主教です」というのは、教会無法地帯ウクライナらしいできごとです。
2019年6月20日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルが独立正教会として認めた“ウクライナ正教会【OCU】”に合流し“名誉総主教”と(ウクライナ国内では)称されていた“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”は独自に会合を招集、 OCU 成立のために催された昨年【2018年】12月の会合及び今年【2019年】1月にコンスタンティノープルから授与された独立正教会として認めるトモスを否定し、 UOC-KP の再興(?)を宣言した模様です。
会合に集まった主教以上の聖職者は、(今のところの報道を見る限りでは)ウクライナ国外(ロシアとモルドバの教区)の計三人のみであり、実質的な影響がどの程度あるかはわかりませんが(そもそもコンスタンティノープルは OCU に対しウクライナ国外の管轄権を認めていないので、この三人が現在どこの何に属していることになっている聖職者なのかすらさっぱりわかりません)、声明では教会の財産(預金・聖堂・修道院など)について触れられており、 UOC-KP 側がこれらを確保している、または確保していなくても取り戻せるのであれば、影響が出ないわけにもいかないでしょう。
ただ、 OCU の支持者が、モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会の聖堂などを強制的に接収している現状では、ただの無法行為が増えるだけかもしれません。
また、建物があっても聖職者はどうするのかという問題については、大量に叙聖すれば済む話ですので、たいしたことではないでしょう。
あと、フィラレート総主教が、ポロシェンコ(前)大統領について「彼は選挙目当てだった」と批判したという情報もあります。
ТСН Live:
Брифінг Філарета за підсумками «собору» – YouTube
追記:
会合の決定内容に関する下記記事(ロシアの正教会系メディア)によれば、新しく二人の主教を選出した模様。
追記2:
同じくロシア系の正教会系メディアですが、今のところ英語でツッコミを含めて記事を出しているのがほかに見当たらないのでリンクしておきます。
注目は、フィラレート総主教の「ウクライナには今、三つの正教会がある。モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会、そして“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”」というコメント。
(英語)Filaret at “Local Council of UOC KP”: We will ordain a lot of new hierarchs – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
(英語)Filaret: At the “Local Council” we revoked our renunciation of UOC KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
(英語)Filaret: There are now three Churches in Ukraine: UOC, OCU and UOC KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
(英語)Resolution of the "Local Council" of UOC KP published on the Net – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
追記3:
ギリシャの正教会系メディア Romfea.gr の記事。
もはやギリシャ系の正教会は、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】が崩れれば権威失墜なので、運命共同体と化しています。 OCU が教会法を無視して“モンテネグロ正教会”の“司祭”をコンスタンティノープルのエマニュエル府主教とともに礼拝させたことを注意すらしない状況なのは唖然とするばかりで、どちらが主なのか……。
この有様では、東方正教会は今年崩壊するだろうと思いますが、崩壊したらどうなるかというと、別にたいして変わらない状況があるだけ(今までよりやる気の数段階ない教会と称する集団が政治的・経済的利権を維持するだけ)になるのが見えているので、がんばって維持する必要も感じないのだろうなあと、意地悪にいえばそうなります。
(ギリシャ語)Το ''Πατριαρχείο'' του Κιέβου κατήργησε τον Τόμο και δεν αναγνωρίζει τον Επιφάνιο
(英語)The “Patriarchate” of Kiev has annulled the Tomos and does not recognize Epiphanius – Romfea News
"The Tomos granted by #Constantinople to the Autonomous #Church of #Ukraine does not comply with the Statute of other Autocephalous Churches and makes the Church of Ukraine dependent on the #Patriarchate of Constantinople"#romfeanewshttps://t.co/CEVMG4krXV
— Orthodox Times (@orthodox_times) June 20, 2019
追記4:
フィラレート総主教が、エピファニー府主教は UOC-KP の主教(故人?)の“隠し子”と発言するなど、個人攻撃(というかヤケクソの八つ当たりというか、それ以下というか)を強めています(なお、フィラレート総主教にも子供と孫がいるという疑惑というか事実というかがあるみたいですが、興味ないです)。
こういうことになると思ってましたよ。フィラレート総主教がどういう人間か知っている人たちは、ムチャクチャになると予測済みですよ。
関連:
キリスト教/コンスタンティノープル系のウクライナ正教会【OCU】首座“エピファニー府主教”が、 OCU を否定した“フィラレート総主教”の OCU での役割を剥奪するも「これまでの功績があるからこれからも主教」(2019年6月)
キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ロシア系メディアのインタビューに答える(2019年7月)
キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の公式サイトが復旧(?)した模様(2019年7月)
※注記:
状況がよくわかっていないまま書いた記事ですので、機会があれば整理します。
昔の話からいきますと、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会では、1924年に暦の切り替えをおこない、これに反対する人々を弾圧するということがありました(古い暦を支持する聖職者を守って警官に殺された女性がいるとか)。古い暦を支持する人々を(英語で)オールド・カレンダリスト(old calendarist)などと呼んだりします。
1935年に古い暦を支持する人々はギリシャ正教会を離脱し、 GOC (Church of the Genuine Orthodox Christians of Greece : ギリシャ真正教会)という組織を結成するのですが、この他にもギリシャ正教会から離脱したり GOC から離脱したり、いろいろな組織が存在しています。わかりやすくするためかなんなのかよくわかりませんが、その時々の首座の名前を取って~・シノドなどと呼ばれたりもします(首座がカリニコスだと「カリニコス・シノド」)。またこれらの組織とコミュニオンの関係にあったり、前にそうであったりする集団を総称してトゥルー・オーソドキシー(True Orthodoxy)という呼び名があったりします。
今回の GOC はその中の一つで、その首座の“カリニコス大主教”が、2014年のギリシャの法に基づいた「宗教団体」として登録する道を選んだというそういう話です(手続きや承認が終わっているのかは不明)。ちなみに今まではなんだったのかというと、非営利の団体に分類されるようなものだったようです。
この2014年の法は、ギリシャ正教会を正しいものとするような前提になっているらしく(原文未確認)、それに従うのは(ギリシャ正教会を間違っていると判断して離脱した集団としては)おかしいという反対意見が生じているようです(ただ、そもそもギリシャ憲法では、コンスタンティノープルと関係が明確にあるギリシャ正教会を特別扱いしているわけですが……)。
また、登録の狙いとして、 GOC 及び関連する名称を独占的に使用する(他の集団などに使用させないようにする)ことがあるともいわれています(そんなことが可能なのかもわかりませんが……)。
状況もはっきりしませんが、東方正教会は、主流の集団以外もよくわからない状況に突入していくことになるのかもしれません。