キリスト教/在外ロシア正教会【ROCOR】の首位/米国東部・ニューヨーク府主教イラリオン座下が失踪したとの情報が出ている模様。モスクワ総主教庁は否定するも、直接の連絡手段のいくつかは失われているようです(2019年9月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自主的に行動している在外ロシア正教会【ROCOR】の首位、米国東部・ニューヨーク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Eastern America & New York)が失踪しているという情報が出ているそうです。
 この情報に対してモスクワ総主教庁は、イラリオン座下はマンハッタンにおり、前日(9月15日)礼拝をおこなっているとしながらも、Eメールがブロックされ、携帯電話での連絡が出来なくなっているとしています。

 

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: РПЦ опровергла слухи об исчезновении главы Русской зарубежной церкви

追記:
 英語版の記事が出たので追加しておきます。

 (英語)Interfax-Religion: Russian Orthodox Church denies rumors that head of Russian Church Abroad is missing

 

キリスト教/エチオピア正教会の聖堂が襲撃される、また総主教庁の文書を装う偽文書を公開する記者会見がおこなわれる、など(2019年9月)

 2019年9月2日に、キリスト教/オリエント正教会/エチオピア正教会の常任聖シノドの緊急会合がおこなわれたようです。

 

 (英語)Ethiopian Orthodox Patriarchate Slams Relentless Attack on Churches and the Faithful | News | Orthodoxy Cognate PAGE

 

 エチオピア連邦民主共和国内の人種対立の影響がベースにあるようですが……。
 人種対立によりエチオピア正教会の聖堂が襲撃されたり、元エチオピア正教会の司祭でオロモ人の政治活動家がオロモ人の教会分離を認めるかのようなエチオピア正教会総主教庁の偽文書を記者会見で公開したり、ということがあったようです。

 それなりの人口を擁しながら政治的立場が低く扱われてきたオロモ人ですが、おそらくですが、エチオピア正教会でも立場が低いものなのだと思います。
 エチオピア正教会は、アメリカ合衆国の亡命シノドとの統合がおこなわれて一年と少しが経過しましたが、政治状況にあわせて問題がまた浮上してきたようです。
 政治家も非常にあやふやな態度を取っているようで、エチオピア正教会は面倒な時期を迎えたかもしれません。

 

キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下が入院中とのこと(2019年8月~9月)

 2019年8月29日からキリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が軍の医学アカデミーに入院中とのことです。

89歳になった翌日からです。

 医師らは早期の回復を見込んでいるようです。

 

 (セルビア語:軍の医学アカデミー公式サイト)Саопштење
 (セルビア語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)ВМА: Саопштење за јавност о здравственом стању Његове Светости Патријарха српског г. Иринеја | Српскa Православнa Црквa [Званични сајт]

 (セルビア語ラテン文字)Oglasili se lekari sa VMA-a o zdravstvenom stanju patrijarha Irineja | Telegraf – Najnovije vesti

 

 (英語)Patriarch Irinej of Serbia in stable condition after being urgently admitted to the hospital / OrthoChristian.Com

 上記の英語記事はロシアの正教会系メディア ORTHODOX CHRISTIANITY(OrthoChristian.Com) のものですが、入院の話のほか、イリネイ聖下がコンスタンティノープルのペルガモン府主教イオアニス座下(His Eminence Metropolitan John【Ioannis】【Joannis】 of Pergamon【Pergamum】 : ジョン・ジジウラス John Zizioulas)との会見を拒否したという話や(イオアニス座下は有名な神学者で、今回は当然のことながらコンスタンティノープルの立場を擁護しています)、アメリカ合衆国ロサンゼルスで催されたセルビア正教会の独立正教会承認800周年の祝賀への臨席を拒否したという話題が出ています。ロサンゼルスの方には、アメリカ大主教エルピドフォロス座下(コンスタンティノープルを並ぶもの無き第一人者とするコンスタンティノープル原理主義者の筆頭格で、次期総主教の最有力候補)を含むコンスタンティノープルの主教らが参列する予定だったということですが……コンスタンティノープルの圧力のせいで入院することになったと主張したいのか、単にこの際イリネイ聖下がコンスタンティノープル側との接触を拒否している話題を加えておきたかっただけなのかは不明です。

 

追記:

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Communique on health conditions of His Holiness Serbian Patriarch Irinej | Serbian Orthodox Church [Official web site]

His Holiness Serbian Patriarch Irinej has been in the Military Medical Academy since the 27th August 2019.

 セルビア正教会総主教庁公式サイトは、英語版だけ入院日付が記されており、報道されている8月29日とは異なる8月27日となっています。

 

続報:
 キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下が退院(2019年9月)

 

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下とシリア東方典礼カトリック教会首座/アンティオキア総大司教イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下が、アメリカ合衆国大統領首席補佐官代行ミック・マルヴェイニー閣下と会見(2019年8月)

 2019年8月23日、ポルトガル共和国ファティマを訪問中のキリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)及びキリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/シリア東方典礼カトリック教会首座/アンティオキア・東方全土総大司教“モラン”・“モル”・イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下(His Beatitude Patriarch Moran Mor Ignatius Youssef III Younan, the Patriarch of Antioch and All the East for Syriac Catholic Church)は、アメリカ合衆国大統領首席補佐官代行ミック・マルヴェイニー閣下(マルバニー首席補佐官代行Mick Mulvaney)と会談しました。
 シリア・イラクをはじめとする中東情勢について意見交換がなされたようです。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with Acting Chief of Staff of the White House Mr. Mick Mulvaney | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك يلتقي رئيس موظّفي… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 (アラビア語:シリア東方典礼カトリック教会アンティオキア総大司教庁公式サイト)Syriac Catholic Patriarchate Official Website | غبطة أبينا البطريرك يلتقي رئيس الديوان وكبير الموظَّفين في البيت الأبيض بالوكالة السيّد مايك مالفيني

 

キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下が、“北キプロス・ロシア正教会”を批判(2019年8月)在外ロシア正教会と、在外ロシア正教会から分離した(通称)“アガファンゲル・シノド”の区別がついていないのでは……

 キリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)が、“北キプロス・ロシア正教会【Russian Orthodox Church of Northern Cyprus】”を批判し、9月5日の聖シノドで議題とする考えのようです。

 これは要するに、分断されているキプロス島の、トルコ側勢力が支配する北キプロス・トルコ共和国において、ロシア人系の勢力“北キプロス・ロシア正教会”がキプロス正教会の所有する聖堂などを占有しており、ロシア政府(プーチン大統領にエルドアン大統領への仲介など、またラヴロフ外相や外務省への要請など)及びロシア正教会モスクワ総主教庁に対応を要請したもののまったくやる気が感じられないということのようです。

 しかし、キプロス正教会公式サイト(公式サイトへの転載?)の記事に依ると、(ロシア側にやる気があまりないのはそうだろうとは思いますが)、キプロス正教会側がそもそもロシア正教会について認識が適当なのではと思われる箇所があります。
 たとえば、クリソストモス2世座下は、“北キプロス・ロシア正教会”を率いているらしい司祭について、モスクワ総主教庁渉外局、つまりキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))に問い合わせて、その司祭はロシア正教会とはまったく関係がないという回答を得ているのですが、それに関して、その司祭を叙聖したアガファンゲル府主教という人物について述べていないので不十分であるかのように指摘しています。
 これはそうかもしれないのですが、そのアガファンゲル府主教を在外ロシア正教会【ROCOR】の米国東部・ニューヨーク府主教及びタヴリダ・オデッサ大主教としているのには相当驚かされました。御存じの通り(といっていいかどうかわかりませんが)、在外ロシア正教会【ROCOR】の米国東部・ニューヨーク府主教は、同教会首位の米国東部・ニューヨーク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Eastern America & New York)であって、アガファンゲル府主教ではありません。ここで指摘されている“アガファンゲル府主教”は、在外ロシア正教会がロシア正教会の管轄権下に戻ることを不服として離脱し、通称“アガファンゲル・シノド”(自称は同じく在外ロシア正教会)を結成した人物です(タヴリダ・オデッサ大主教としていることから明らか)。キプロス大主教が教会法上合法な在外ロシア正教会の首位の名前すら知らないという衝撃の事実ですが、これでは(渉外局長のほうの)イラリオン座下がやる気のない回答をしたのかまさかそんなことも知らないとは思わなかったのか判断に困ります。というか知らないとは思わないでしょう
 東方正教会のギリシャ人は本当に自分たち以外に興味ないですね……。

 また、さらに驚きなことに、キプロス大主教らはこの府主教に対して名前(姓)を訪ねるメールを送ったそうです。なんでも、モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会にオデッサ・イズマイル府主教アガファンゲル座下がいるので、別人であることを確認するためのようですが……いやあの……なんで素性の知れないほうの人物に尋ねるのですか? 確実に誰だかわかっているウクライナ正教会の人物に尋ねればいいではありませんか。
 返事はないとのことですが、メールを送られた“アガファンゲル府主教”もあきれ返っているのではないでしょうか。

 ともあれ、自覚はまったくないようですが、キプロス正教会はロシア正教会(特に在外ロシア正教会)にムダな喧嘩を売ったようなものです。「容認できない!」とか言われても……。
 しかし、ロシア正教会側もこんなアホウな人違いをされているとは思っていなかったでしょうし、この後の対応はさらにやる気を無くすでしょう。

 

 あと、“北キプロス・ロシア正教会”ですが、おそらくは“アガファンゲル・シノド”の一部ではないかと思います。
関連:
 キリスト教/“在外ロシア正教会アガファンゲル・シノド【ROCOR (A)】”の“ロマン主教”が、北キプロスで礼拝(2019年7月)

 

 (ギリシャ語:キプロス正教会公式サイト)Aρχιεπίσκοπος Κύπρου: Στην Ιερά Σύνοδο το θέμα των Ρώσων – Εκκλησία της Κύπρου

Γραφείο Ενημερώσεως και Επικοινωνίας της… – Γραφείο Ενημερώσεως και Επικοινωνίας της Εκκλησίας της Κύπρου | Facebook

 

 (英語)Archbishop of Cyprus on Russian Church in Occupied Cyprus: They are scammers, the Holy Synod will consider this issue – Romfea News

Romfea.newsさんはTwitterを使っています: 「#Archbishop #Chrysostomos: The self-styled “Russian Orthodox Church of Northern Cyprus” is unacceptable and does not belong to the official #Russian #Church #romfeanews #churchofcyprus https://t.co/y8WI03AWDT」 / Twitter

Romfea.news – Archbishop Chrysostomos: The self-styled… | Facebook