キリスト教/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)の新たな首座・首位大司教にラファエル・タッティル司教座下が選出・承認・着座(2024年1月)

 2023年12月のキリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座/エルナクラム=アンガマリー首位大司教ジョージ・アレンチェリー枢機卿座下(His Beatitude Mar George Cardinal Alencherry, Major Archbishop of Ernakulam-Angamaly)辞任に伴う新たな首座の選出・承認・着座がおこなわれました。

 2024年1月9日、シリア・マラバル東方典礼カトリック教会の聖シノドスは、シャムシャバード司教ラファエル・タッティル座下(Bishop Raphael Thattil, Bishop of Shamshabad)を新たな首座・エルナクラム=アンガマリー首位大司教に選出しました。
 座下の選出は予想されていなかったことであり、現地では意外に受け止められています。

 翌2024年1月10日、ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、同教会による座下の選出を承認。
 これにより、ラファエル・タッティル座下は、シリア・マラバル東方典礼カトリック教会の首座・エルナクラム=アンガマリー首位大司教となると同時に、エルナクラム=アンガマリー大司教区の教区長となります(His Beatitude Archbishop Mar Raphael Thattil, Major Archbishop of Ernakulam-Angamaly)。
 同大司教区の教区付きのセバスティアン・ヴァニヤプラッカル司教座下(Bishop Mar Sebastian Vaniyapurackal, Archiepiscopal Administrator of Ernakulam-Angamaly, Administrator of Syro-Malabar Church, Titular Bishop of Troyna)は、首位大司教の代行として、同教会の首座代行となっていましたが、この役割は終了となったとみてよいと思われます。
 しかしローマ教皇聖座の発表によれば、使徒座管理であるボスコ・プサー司教(Bishop Mar Bosco Puthur, Apostolic Administrator of Ernakulam-Angamaly)は、使徒座管理として職に留まります。これの理由は不明ですが、同教会内部での伝統を巡る争いなどが終結していないことが一因なのか……?

※いまいちよくわからないと思いますが、首座の職と首座が就くべき教区長の職をわけて考えるとよいのかもしれません。本来このふたつは同一の人物が兼ねるものですが、前者と後者をそれぞれ別の人物が代行しており、前者に関しては正式な人物の就任により代行は終了しましたが、後者に関しては就任があってもなお代行が終了していないということになります。

 2024年1月11日、ラファエル・タッティル座下の着座式がおこなわれました。
 式がおこなわれた場所が、前三代と違うということで、一部信徒に不満があるという話も出ています。
 同教会はしばらく話題が出るかもしれません。

 

MediaoneTV Live:
സിറോ മലബാർ സഭയുടെ പുതിയ മേജർ ആർച്ച് ബിഷപ്പായി റാഫേൽ തട്ടിൽ സ്ഥാനമേറ്റു | Raphael Thattil | – YouTube

 

Divine Retreat Centre Goodness TV:
Bishop Raphael Thattil New Head of Syro-Malabar Church | Church News | 11 Jan 2024 – YouTube

 

 (英語:エルナクラム=アンガマリー大司教区 公式ウェブサイト)PRAYERFUL GREETINGS TO MAR RAPHAEL THATTIL, NEWLY ELECTED MAJOR ARCHBISHOP OF ERNAKULAM-ANGAMALY | Ernakulam-Angamaly Archdiocese

 (英語:ローマ教皇聖座 公式ウェブサイト)From the Eastern Churches, 10.01.2024

Bishop Bosco Puthur, emeritus of Saint Thomas the Apostle of Melbourne of the Syro-Malabars, Australia, will continue as apostolic administrator ad nutum Sanctae Sedis of the archeparchy of Ernakulam-Angamaly of the Syro-Malabars donec aliter provideatur.

 (英語:ローマ教皇聖座 公式ウェブサイト)Letter of Confirmation of the Election of the Major Archbishop of Ernakulam-Angamaly of the Syro-Malabars, 10.01.2024

 (英語)Mar Raphael Thattil, New Major Archbishop of Syro Malabar Church – CCBI

 (英語)Pope Francis confirms new head of Syro-Malabar Catholic Church | Catholic News Agency

 (英語)ബിഷപ് മാർ റാഫേൽ തട്ടിൽ സീറോമലബാർസഭയുടെ വലിയ ഇടയൻ – A news portal approved by the Syro-Malabar Synod

XユーザーのSyro-Malabar Media Commissionさん: 「ബിഷപ് മാർ റാഫേൽ തട്ടിൽ സീറോമലബാർസഭയുടെ വലിയ ഇടയൻ https://t.co/LSgvR4Z4Wl」 / X

キリスト教/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座のジョージ・アレンチェリー枢機卿座下が、エルナクラム=アンガマリー首位大司教を辞任(2023年12月)

 2023年12月7日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、インドの、シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座のジョージ・アレンチェリー枢機卿座下(His Beatitude Mar George Cardinal Alencherry, Major Archbishop of Ernakulam-Angamaly)がエルナクラム=アンガマリー首位大司教を辞任することを許可しました。

※なお、同教会の状況をよく把握していないので、下記文には間違いがあるかもしれません。

 エルナクラム=アンガマリー大司教区では、首位大司教の他に、使徒座管理を兼職していた別教区のアンドルーズ・タザット大司教座下(トリチュール大司教 : Archbishop Mar Andrews Thazhath, Archbishop of Trichur)がいましたが任を解かれ、ボスコ・プサー司教(Bishop Mar Bosco Puthur, Apostolic Administrator of Ernakulam-Angamaly)が新たな使徒座管理に叙任されています。
 また、シリア・マラバル東方典礼カトリック教会の首座代行/エルナクラム=アンガマリー大司教座管理には、教会法に基づき、同大司教区の教区付きのセバスティアン・ヴァニヤプラッカル司教座下(Bishop Mar Sebastian Vaniyapurackal, Archiepiscopal Administrator of Ernakulam-Angamaly, Administrator of Syro-Malabar Church, Titular Bishop of Troyna)が任にあたるようです。
 次の首位大司教の選出は、2024年1月とされています。

 

 (英語:ローマ教皇聖座 公式ウェブサイト)Letter of the Holy Father to His Beatitude Mar George Cardinal Alencherry, 07.12.2023

I have decided to accept your resignation

 (英語:バチカン・ニュース)Pope accepts resignation of Cardinal Alencherry – Vatican News

 

 (英語:バチカン・ニュース)Video Message of the Holy Father to the Archeparchy of Ernakulam-Angamaly of the Syro-Malabar Church, 07.12.2023
 教皇、シリア・マラバル典礼のエルナクラム教区に「一致」呼びかける – バチカン・ニュース

Vatican News(バチカン・ニュース公式チャンネル):
Video message of Pope Francis to the Archeparchy of Ernakulam-Angamaly (India) – YouTube

 

続報:
 キリスト教/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)の新たな首座・首位大司教にラファエル・タッティル司教座下が選出・承認・着座(2024年1月)

キリスト教/スロバキア東方典礼カトリック教会のプレショフ大司教にヨゼフ・ヨナシュ・マキシム司祭が叙任される(2023年10月)

 2023年10月26日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、キリスト教/東方典礼カトリック教会/スロバキア東方典礼カトリック教会のプレショフ大司教にヨゼフ・ヨナシュ・マキシム司祭(Reverend Father Jozef Jonáš Maxim)を叙任しました(叙階日不明)。

 同・東方典礼カトリック教会のフレショフ大司教区は管区大司教区であり、スロバキア共和国内の他二教区を管轄します。
 また、スロバキア東方典礼カトリック教会の、カナダの教区は、ルテニア東方典礼カトリック教会に管轄が移っています。

 プレショフ大司教区の使徒座管理であるブラチスラバ司教ペテル・ルスナーク座下(Bishop Peter Rusnák, Bishop of Bratislava)は、新大司教が正式な活動に入るまで使徒座管理として留まります。

 

 (スロバキア語:プレショフ大司教区 公式ウェブサイト)Pápež vymenoval za nového prešovského arcibiskupa Jonáša J. Maxima | www.grkatpo.sk – Grďż˝ckokatolďż˝cke arcibiskupstvo Preďż˝ov – Správy

 (英語:ローマ教皇聖座 公式ウェブサイト)Resignations and Appointments, 26.10.2023

 (英語)Jonas J. Maxim Becomes New Archbishop of Presov | Tlačová agentúra Slovenskej republiky – TASR.sk

 

PÁPEŽ VYMENOVAL ZA NOVÉHO… – Prešovská archieparchia | Facebook

訃報(2023年10月16日):キリスト教/ギリシャ東方典礼カトリック教会のギリシャ東方典礼使徒座名誉代理ディミトリオス・サラチャス司教座下が帰天(1939~2023)

 2023年10月16日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/ギリシャ東方典礼カトリック教会のギリシャ東方典礼使徒座名誉代理ディミトリオス・サラチャス座下(Bishop Dimitrios Salachas, Apostolic Exarch Emeritus of Greece, Titular Bishop of Gratianopolis : グラティアノポリス名義司教)が帰天したようです。
 1939年6月7日生まれの84歳。

 2016年に使徒座代理を退任しています。

 

 (英語:ローマ教皇庁 キリスト教一致推進評議会 公式ウェブサイト)2023 10 16 In memoriam Dimitrios Salachas

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下の、ロシアの若者へのメッセージにウクライナ政府などが反発。バチカンはウクライナ政府側の見解を拒否(2023年8月)

 2023年8月25日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、ロシア青年の日に、サンクトペテルブルクに集まった若者たちへメッセージを送りました。

 このメッセージの末尾、

 (ロシア語:)«Вы собрались, чтобы быть единой Церковью». Телемост российской молодёжи с Папой Франциском – Римско-католическая Архиепархия Божией Матери в Москве

Перед благословением Святейший Отец завершил встречу следующими словами: «Никогда не забывайте о наследии. Вы наследники великой России: великой России святых, правителей, большой России Петра I, Екатерины II, той империи – великой, просвещенной, [страны] большой культуры и большой человечности. Никогда не отказывайтесь от этого наследства, вы наследники великой Матушки России, идите вперёд с этим. И спасибо вам. Спасибо за ваш способ быть, за ваш способ быть россиянами».

(Google翻訳に一部手入れ)
「あなたたちは偉大なロシアの相続人です。聖人・統治者たちの偉大なロシア、ピョートル1世・エカチェリーナ2世の偉大なロシア、偉大で啓蒙された、偉大な文化と偉大な人間性を備えた帝国の子孫です。 この遺産を決して手放さないでください。あなた方は偉大で母なるロシアの相続人です。これを進めてください。そしてありがとう。あなたの生き方、ロシア人のあり方に感謝します」

 

 この部分にウクライナ政府などが激怒。

 ローマ教皇、ロシア皇帝に好意的言及 ウクライナが批判|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 ウクライナ、ローマ教皇の演説に反発 「帝国主義的プロパガンダ」 – CNN.co.jp

 しかし、ローマ教皇聖座側はこのような見解を拒絶しました。

 (英語:バチカンニュース)Holy See Press Office: Pope did not exalt imperialist logic in remarks about Russia – Vatican News

 

 今回のメッセージは、お偉方にありがちな、さしたる理由も意味もないリップサービスかもしれません。

 しかし、現今の世界状況の中(そうでなければ別に流しても良いようなものですが)で、ローマ教皇によって、ロシア正教会ではなく(あるいはのみならず)ロシアのキリスト教文化そのものとそれを牽引した皇帝たちが称揚されたことは注目すべきことでしょう。

 東西教会(カトリック教会と東方正教会)の融和というのは、名目上(ローマとコンスタンティノープル)と実質上(ローマとモスクワ)の二つがわかれているのがこれまで度々問題となってきましたが、1453年以降の状況を考えれば、コンスタンティノープルなどオスマン帝国下で見苦しい行動をしていたにすぎないというのが大半の状況であり、それにくらべて、「正教の中心はモスクワに移った」と言われたのがロシア
 今回のフランシスコ教皇の発言、そのロシアの実質は「決して東方正教会というくくり」におさまるものではないというのが含意されている発言である、と理解してもよさそうです。
 つまり、ウクライナどうこうの反応は教皇にとってもウクライナ政府自身にとっても直接はどうでもよく、これはコンスタンティノープルにとって(長い目で見れば)衝撃となるものでしょう。もう500年以上、あなたたちコンスタンティノープルに実質の価値はないんですよ。

 

 さて、ウクライナ政府はカトリックの活動を国内で禁止するでしょうか? するべきだと思いますね。トップがロシアを支持したのですから。でも、すると西側諸国の支援は削られますね。できませんね。国内で「ロシアにつながりがある」とウクライナ正教会(UOCのほう)に色々やってきましたが、西側諸国に見捨てられるのは怖いでしょう。だからカトリックには何もしないでしょう。なんて信教の自由がある平等で民主的な国家なんでしょう。

 あと、コンスタンティノープルが認めた方のウクライナ正教会(OCU)に異論が多数存在しているという事実を言っただけで、他人をモスクワの手先扱いする方々がネットには満ちていますが、そういう方々には「ローマ教皇はモスクワの手先だ! ウクライナでカトリックを禁止しろ!!」とぜひ言っていただきたいものです。言う人が増えるほどウクライナ政府が困るだけですけどね。