キリスト教/アルメニア使徒教会カトリコスのガレギン2世聖下が、ジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下と会見(2019年3月)

 2019年3月14日、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/全アルメニア人のカトリコス・最高総主教ガレギン2世聖下(His Holiness Karekin IIGaregin II】, Supreme Patriarch and Catholicos of All Armenians)は聖エチミアジン母座にて、アルメニア共和国を公式訪問中のジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下(ズラビシュヴィリ大統領 : Her Excellency Ms Salome Zourabichvili)と会見しました。

 アルメニア使徒教会より、
 聖エチミアジン母座/渉外儀典局長ナタン・ホヴァニシャン大主教座下(His Eminence Archbishop Nathan Hovhannisyan, Director of the External Relations and Protocol Department of the Mother See)、
 ジョージア教区首座ヴァスケン・ミルザハニャン主教座下(His Grace Bishop Vasken Mirzakhanyan, Armenian Primate of the Diocese of Georgia)、
 及び特命全権大使らが同席した模様。

 会談中、ガレギン2世聖下から大統領に対して、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】の首座/全ジョージアのカトリコス=総主教イリア2世聖下(イリヤ2世 : His Holiness Catholicos-Patriarch Ilia II of All Georgia)への挨拶がされたようです。
追記:
 ロシア系メディアの Interfax によりますと、
 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Президент Грузии призвала Армянскую церковь изменить решение о подчинении приходов в Абхазии
Interfax-Religion: Georgian president calls on Armenian Church to change its mind regarding subordination of Abkhazian parishes
 アルメニア使徒教会が、アブハジアの管轄について、ロシア南部教区に編入するとしたことを受けて、大統領側からこれに対する懸念が表明されたようです。ジョージア教区に含まれるか、さもなければガレギン2世聖下の直轄とするべきとのこと。
 これに答えて、ガレギン2世聖下は、アルメニア使徒教会ではアブハジアはジョージア教区の管轄権下に含まれ、ロシア南部教区への編入は一時的なものと回答したということです。
 結局なんだったのかという話ですが……。もしやロシア側の、とりあえず編入を発表して反応を見てほしいという意向でも受けていたのか……?
 なお、東方正教会のほうでは、もちろんアブハジアはジョージア正教会の管轄権下に含まれますが、事実上独立した教会であるアブハジア正教会はロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に正式に入ることを希望しています。コンスタンティノープルとモスクワのシスマを生んだコンスタンティノープル側が設立した「ウクライナ正教会」をジョージア正教会が承認するかどうかですが、承認した場合、モスクワ側はフル・コミュニオンを解除し、アブハジア正教会を迎え入れ、そしてこのことによりもはや両教会の関係回復はなくなり、ロシア・ジョージア間の政治・外交レベルでの関係も悪化するでしょう。

 

Armenian Church(アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式チャンネル):
Catholicos of All Armenians Received President of Georgia – YouTube

 

 (英語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式サイト)The Armenian Church – Mother See of Holy Etchmiadzin | Catholicos of All Armenians Received President of Georgia
 (アルメニア語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式サイト)The Armenian Church – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին | Ամենայն Հայոց Կաթողիկոսն ընդունեց Վրաստանի նախագահին

 

Catholicos of All Armenians Received… – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին/ Mother See of Holy Etchmiadzin | Facebook

 

Salome Zourabichviliさんのツイート: "What an honor to meet with His Holiness Karekin II, Catholicos of All Armenians, at the #Etchmiadzin Cathedral.… "

 

გადაწყვეტილება, აფხაზეთში მდებარე… – სალომე ზურაბიშვილი / Salome Zourabichvili | Facebook

 

Salome Zourabichviliさん(@salome_zourabichvili) • Instagram写真と動画

 

キリスト教/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教シェウチューク大司教座下が同国首相に聖ソフィア大聖堂の年三回礼拝使用を要請(2019年3月)コンスタンティノープル側の「ウクライナ正教会」はすでに拒否

 ギリシャの東方正教会系メディア「Romfea」によりますと、キリスト教/ローマ・カトリック教会/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下(His Beatitude Archbishop Sviatoslav Shevchuk, Major Archbishop of Kiev-Galicia : キエフ大司教 : Archbishop of Kiev)は、ウクライナ首相ヴォロディミル・フロイスマン閣下(His Excellency Mr Volodymyr Groysman)に対し、聖ソフィア大聖堂を礼拝のために年三回使わせてくれと要請した模様です。

 

 (英語)Uniate Archbishop asks to perform a Divine Liturgy in St. Sophia in Kiev three times a year – Romfea News

 

 この件については、

 キリスト教/コンスタンティノープルから認められたほうの「ウクライナ正教会」が、ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下から要請された、聖ソフィア大聖堂の礼拝使用を断ることを決定した模様(2019年3月)

 で、コンスタンティノープルから認められたほうの「ウクライナ正教会」(AOCU : OCU)が断ることを決定したことをお伝えしていますが、ならばということで政治家にお願いするという手段に出てきたようです。
 この聖ソフィア大聖堂は、はっきり書かれているものを見つけられていないのですが、国有の施設の一部のようにも思えますので、そうだとすると行政府に訴えるのはおかしな話というわけではありませんが……。

 

キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドの会合が終了しましたが、大したことは決まらず、2019年3月19日~21日に(おそらく全主教出席の)会合を開くことが決定されたようです。

 

 (英語)The decisions will be taken by the meeting of the Hierarchs on March 19 – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "The meeting of the #Hierarchs will have the last word on March 19 #romfeanews #ChurhOfGreece https://t.co/GDmrLxAZ8K"

 

 現在、ギリシャ正教会は発狂寸前ではないかという状態です。

 コンスタンティノープルとモスクワの対立をもう引き返せないところまでにしてしまったウクライナの件に加え、SYRIZAを率いるギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)による国家と教会の分離(平たく言えば教会排除の方針)。また首相・SYRIZAによってマケドニア問題に関して国名を「北マケドニア共和国」で認めることや、トルコ共和国とのなんだかよくわからない関係の構築(ギリシャ正教会の府主教からは首相をトルコ系ユダヤ人とする発言も出ています。首相自身がトルコ紙に語ったことがベースになっているようですが)、そして、アフガニスタン・パキスタンなどからのイスラム教徒【ムスリム】への選挙権付与により票の上積みをはかっているなど。トルコ系ユダヤ人の無神論者がイスラム教徒から支持を受けるということでどこまで本当かわかりませんが、ツィプラス政権でギリシャと教会は滅ぶと恐怖しているようにみえます。
 なお、いろいろありましが、ギリシャの世論調査を信じるならば、今年【2019年】中におこなわれる(首相はかつて10月と発言)ギリシャ議会選挙で SYRIZA に投票すると答えた人は微増している状況です。この調査結果は、選挙までの残り半年以上で首相がさらになにかをやらかす可能性を上昇させています。

 また、欧州全体の景気後退が始まったのではないかという観測に加えて、仮にロシア正教会からフル・コミュニオンを解除されると、ロシア人巡礼観光客はさらに減少し(某府主教はロシア正教会を批判する一方で「365日ロシア人をもてなす」とかのんきなことをいってましたが)、ギリシャ経済は悪化、首相によって教会に責任が押しつけられるという展開もありえます。
 これはギリシャだけでなく、モスクワとの関係は、キプロスやエルサレムもそれぞれの国の経済・政治・外交に直結する問題なので、正直どこも頭が痛いでしょう。

 

キリスト教/ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下が、会合がおこなわれている聖シノドについてコメント。国家と教会の関係、ウクライナの件(2019年3月)

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)が、現在会合がおこなわれている同教会の聖シノドに関して、国家と教会の分離を推進するツィプラス政権に対する決定や、ウクライナに関する件などについて結論を目指していることなどをコメントしています。

 

 (英語)Archbishop Ieronymos: Τhe State, the Church, and the priests, will make the final decision – Romfea News

 

 国家と教会の分離については、ギリシャ共和国の国内問題である部分も多いので、結局は政治家や選挙結果とのかかわりで進むと思いますが、ウクライナの件についてはギリシャ系の独立正教会はコンスタンティノープルに逆らうことはないだろうと思います。
 タイミングはともかくコンスタンティノープルが認めたほうの「ウクライナ正教会(AOCU : OCU)」を承認し、そしてロシア正教会側からフル・コミュニオンが解除され、東方正教会の教会分裂が確定的になっていくのではないでしょうか。

 まあ……もうしょうがないでしょうね。

 

 聖シノドは、2019年3月7日(木)が最終日ですが、どちらの問題も持ち越すかもしれません。

 

関連:
 キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 

キリスト教/コンスタンティノープル下のアメリカの小教区から、在外ロシア正教会に移動した信徒がいる模様(2019年3月)

 ロシア側の発表なのと、規模がいまいちはっきりしませんが、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル/アメリカ東方正教会のテキサスの小教区から離脱して、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会下で自治的な権限を保有する在外ロシア正教会【ROCOR】に移動した信徒たちがいるようです。

 

 (英語)ROCOR opens mission in Texas to minister to families that left Greek Constantinople parish / OrthoChristian.Com

 

 在外ロシア正教会は今回の一連の事態に対し、なぜかモスクワ総主教庁よりも憤っているようなところがありますが、それがなにに起因するのか、部外者にはよくわからないところです。