キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局副局長のレオニード大主教座下が、アレクサンドリア総主教庁の100人を超える神品(聖職者)がロシア正教会の管轄下に移ることを望んでいると発言(2020年11月)

 ロシアの正教会系メディア「Orthodox Christianity」が、インタビュー動画の内容として報じているところによりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局副局長のウラジカフカス・アラン大主教レオニード座下(His Eminence Archbishop Leonid of Vladikavkaz and Alan, Deputy Chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))が、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の100人を超える神品(聖職者)が、ロシア正教会の管轄下に移ることを望んでいると発言したようです。

 ロシア正教会は、アレクサンドリア総主教とはコミュニオンを解除していますが、それはそれとしてアフリカ全土をアレクサンドリア総主教庁の管轄権下にあると過去に認めてしまっているため、これを実行に移すには理屈と実現能力が必要になるでしょう。

 

 (英語)Hundreds of clergy of Patriarchate of Alexandria want to join Russian Church due to Ukraine crisis, says DECR rep / OrthoChristian.Com
 (英語)ROC DECR: Hundreds of clergymen of Alexandrian Church want to be in the ROC – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 経緯全体の説明は割愛してアレクサンドリア総主教個人の問題に移りますが、モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会を支持すると言っていたのをいきなり翻したあげく、キプロスでは現地の府主教に対して祈祷でコンスタンティノープル系ウクライナ正教会の首座の名前をあげないと約束していたのにあげたり(つまり平然と特定個人の面前でその人に対して嘘をついたり)、もうどうでもいい人の一人です。

 また、この問題とは関係ありませんが、「アフリカのどこへいっても人々が自分のことをホワイト・ファーザー(White father)と歓迎してくれる」と発言するなど、このご時世に思考が大丈夫なのかと思われる部分すら出てきています(あるいはアフリカ人たちからはカトリックの伝道師集団の一員と思われているのかもしれません)。

※冷淡に言ってしまいますと、ロシアとの関係が長いはずなのにロシア語は挨拶が少しできる程度という点からみて、大昔の、植民地に赴任したけど植民地の人々とまともに触れ合わず、勝手な思い込みだけで終わっていた本国人のような人ではないかという気がします。

 

 なお、ロシア正教会のレオニード大主教ですが、アルゼンチン・南米主教として外国に飛ばされたり、ウラジカフカス・アラン主教・大主教として北オセチア・南オセチアのあたりで難しい活動に携わったり、オリエントの教会への使者の一員として折衝にあたったり、アレクサンドリア総主教庁への代表として赴任したりしていたようです。
 英語・ギリシャ語およびエジプト方言のアラビア語を話せるそうで、普通仕事するならこうだよなあと思わされます。

 

ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年11月)

 2020年11月3日付の文書で、キリスト教/ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下(His Eminence Kurt Cardinal Koch, President of the Pontifical Council for Promoting Christian Unity)が、2020年10月30日に永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)への弔意を表明しました。

※宛先はキリスト教/東方正教会/セルビア正教会は、セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)。

 

 (英語:ローマ教皇庁 キリスト教一致推進評議会 公式サイト)2020 11 04 Amphilohije | In memoriam Metropolitan Amfilohije of Montenegro
※PDFファイルがページ内からリンクされていますが、11月3日付。

 (セルビア語:セルビア正教会 モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイト)Папски савјет: Митрополит је био срдачни и дубоко духовни човјек, прави пастир који је знао да распозна знаке Божије у људској историји | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 余談。
 コンスタンティノープルがアンフィロヒイェ府主教の追悼式をおこなったのは、コッホ枢機卿が弔意の表明をした/するのを知ったからではないかと思えてきます。式の日にちが枢機卿の出した文書の日付と同じです。
 ウクライナの件を巡って、生前にコンスタンティノープルを強く批判していた府主教を追悼する理由はコンスタンティノープルにはまったくなく、カトリック側が府主教への弔意を表明したので、東方正教会の盟主を自認する立場のため慌てておこなったのではないでしょうか。

関連:
 キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 

東京でキリスト教/ルーマニア正教会の聖堂が成聖される(2020年11月)同教会の西欧・南欧大主教ヨシフ座下【イオシフ府主教】、日本正教会首座/全日本府主教ダニイル(主代郁夫)座下が臨席

 2020年11月3日、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会日本支部の聖堂の成聖式がおこなわれたようです。
 同教会の西欧・南欧府主教ヨシフ座下(イオシフ府主教 : His Eminence Metropolitan Iosif of Western and Southern Europe)が来日、
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会下で自治的な権限を持つ日本正教会【日本ハリストス正教会】の首座/東京大主教・全日本府主教ダニイル座下(His Eminence Daniel【Daniil】, Archbishop of Tokyo, Metropolitan of All Japan : 主代郁夫ぬしろ いくおIkuo Nushiro)が臨席したようです。

 

 News&Topics | ルーマニア正教会 聖堂成聖式日本正教会|ハリストス正教会 The Orthodox Church in Japanより)

 (英語:ルーマニア正教会通信)Consecration of the Romanian Orthodox Church in Tokyo – Basilica.ro

 

Basilica.ro (EN)さんはTwitterを使っています 「Consecration of the Romanian Orthodox Church in Tokyo https://t.co/rozs249VqP #Orthodox #Romanian #Diaspora #Japan https://t.co/TREaalg4aG」 / Twitter

 

The service was officiated by Romanian… – Basilica News Agency | Facebook

 

 やや枠外の話ですが、興味深いのは、ギリシャの正教会系メディア OrthodoxTimes ( Romfea.gr の英語版)が 11月7日 付でこの件をルーマニア正教会通信の情報を引用する形で報じていたのですが、その後記事が削除されたことです。
 コンスタンティノープルによる、日本に対するロシア正教会の管轄権を認めず、またルーマニア正教会がそれを認めることも認めないという意思を受けてのものとも推察できます。
 もちろん、単純に別の理由かもしれませんが、東方正教会全体からみれば世界の片隅の日本の聖堂の成聖式でコンスタンティノープルとモスクワのシスマがすぐ連想されるというのはなんともいえないものです。

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 2020年11月3日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)は、2020年10月30日に永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)の追悼式をおこないました。

 

Радио Светигора:
Помен Васељенског патријарха Митрополиту Амфилохију у Цариграду – YouTube

 

 (セルビア語:セルビア正教会 モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイト)Патријарх Вартоломеј служио помен Митрополиту Амфилохију у Цариграду | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 これまで、セルビア正教会のモンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトには、コンスタンティノープルからの弔意の表明を受けた記載はなく(ギリシャ正教会、キプロス正教会、アレクサンドリア総主教庁、エルサレム総主教庁、も記載なし)、また葬儀においては、ロシア正教会モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会から共同司式でボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)が臨席したことにより、コンスタンティノープルおよび上記の教会のうちエルサレム総主教庁以外は主教が共同司式をおこなうことができない状態になっていました(コンスタンティノープルはモスクワ総主教庁側からコミュニオンを解除されており、他の教会は首座がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認したためほぼ同様)。
 この状況下で、コンスタンティノープルが追悼式をおこなったことと、モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトがそれを報じた(動画を引用して)ことは、両者とも縁を切るつもりはないということを示しています。
 しかし、北マケドニア共和国(セルビア正教会の管轄権下)の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”の承認をめぐって、いずれ決裂する可能性は高いと思われます。
 今回の追悼式が、両者のこの手の付き合いの最後になるかもしれません。

 

関連:
 ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年11月)

 

動画:キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ウクライナ・ラジオのインタビューにこたえる映像(2020年10月)

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)が、ウクライナ・ラジオのインタビューに答えています。

 

UA: Українське радіо:
Спеціальне інтерв‘ю у рамках програми «Сьогодні.Ввечері». Гість – Патріарх Філарет. – YouTube

 

 (ウクライナ語:キエフ総主教庁 公式サイト)Патріарх Філарет про Томос ПЦУ, аборти, одностатеві шлюби та коронавірус в ефірі Українського радіо – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 

 内容はいつもの正教会の混乱に関するものや、人工妊娠中絶、同性結婚にまでいたりますが、だいたいその辺りは聞かなくても回答はわかりきっているので割愛(ローマ教皇フランシスコ聖下のコメントについても答えていますが、それもまあ聞かなくてもわかりきっている回答です)。
 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの生還については、医師たちに感謝を述べています(この生還は、我々が思うより強い影響を持ってくるかもしれません)。

 フィラレート総主教は、コンスタンティノープルに「フィラレートの主張を認めないと、対モスクワで不利になってしまう」と思わせれば、コンスタンティノープルによって総主教と認められ、国外のウクライナ人の管轄も承認される可能性はあります。ありますというか、それを狙っているのでしょう。
 そうなるかどうかはわかりませんが、もはやどうなっても不思議ではない東方正教会です。