キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁の「西欧における総主教代理区」でシノドの会合が開催される(2020年12月)

 2020年12月10日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会/西欧における総主教代理/コールスニ・西欧府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony【Antoniy】 of Korsun and Western Europe, Patriarchal Exarch of Western Europe)の臨席のもと、同総主教代理区シノドの会合が、オンラインで開催されたようです。

 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】のパンデミック、管轄が重なる在外ロシア正教会【ROCOR】や西欧ロシア正教会大主教区【AROCWE】との協力などの議題が出たようです。

 

 (英語::ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Synod of Patriarchal Exarchate in Western Europe holds online session / News / Patriarchate.ru

 (ロシア語:ロシア正教会 コールスニ教区 公式サイト)Состоялось заседание Синода Западноевропейского Экзархата
 (フランス語:ロシア正教会 コールスニ教区 公式サイト)Réunion du Synode de l’Exarchat patriarcal d’Europe occidentale

 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Состоялось заседание Синода Патриаршего экзархата Западной Европы / Новости / Патриархия.ru

 

 同総主教代理区のシノドは、総主教代理区のアントニー座下のほか、

  • ブリュッセル・ベルギー大主教シモン座下(His Eminence Archbishop Simon of Brussels and Belgium)
  • ハーグ・オランダ大主教エリセイ座下(His Eminence Archbishop EliseyYelisey】 of The Hague and Netherlands)
  • マドリード・リスボン大主教ネストル座下(His Eminence Archbishop Nestor of Madrid and Lisbon)
  • スールジ主教マトフェイ座下(His Grace Bishop MatthewMatfey】 of Sourozh)

 が出席したようです。

 

シスマ2018:インタビュー記事(BBCロシア語):キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁/テルメッソス大主教ヨブ座下(ウクライナ系の人物)(2018年11月)ロシアの正教会系サイトは座下の発言について「全地総主教庁は独立を認めるのみならず、独立を剥奪することもできる」

 BBCロシア語が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル全地総主教庁のテルメッソス大主教ヨブ座下(Archbishop Job of Telmessos)へのインタビューの記事を掲載しています。

 

 (ロシア語)"Надеемся, Москва обратится к разуму". Константинопольский епископ об украинской автокефалии – BBC News Русская служба

 

 ざーっと見てみましたが、とにかく長いうえに、大半がこちらには判定できない内容なので、詳細は読まないとは思います。

 この記事について、ロシアの正教会系サイト「OrthoChristian.Com」は、

 (英語)Not only can we give, but we can also take away autocephaly—Abp. Job (Getcha) / OrthoChristian.Com
 (英語)“The Moscow Patriarchate no longer exists in Ukraine today”—Abp. Job (Getcha) / OrthoChristian.Com

 「我々は独立を与えるだけでなく、剥奪することをもできる」と見出しにつけて紹介しています。
 当方はざーっと読んだだけなので、BBCロシア語の記事において、直接この部分にあたる箇所を見つけていません。
 とはいえ、全地総主教庁がそう考えているのはほぼ間違いないでしょう。
 近代において、彼らは、ギリシャ正教会の独立を認めた後に剥奪しています。
 そうなると、独立正教会というのは、「そもそも独立しているのか」というのが疑問になってきます。Autocephaly な 教会を「独立正教会」または「独立教会」としたのは、誤訳の類で、実際は「いつでも権限を剥奪される可能性のある自治的な教会」のことでしょう(全地総主教庁の見解が正しいとすれば)。もちろんこれでは Autonomous な教会との差がわかりませんが、「いつでも権限を剥奪される可能性のある第一級自治正教会」と「いつでも権限を剥奪される可能性のある第二級自治正教会」とでもすればよろしい。
 それにしても独立正教会が実は「独立していない正教会」のことだったとは……。

 また、座下は、1054年の東西教会分裂(教会大シスマ)のときと今では状況が違うことを述べています(1054年についてはめんどくさい話にもなりますので、とりあえず象徴的な年だとして先へ話を進めましょう)。
 要するに、東西教会分裂は神学上の違いなどがあったのに対し、今回はそんなものはない、シスマなどといっている連中は人々を脅しているのだ、ということです(当方のサイトもシスマといっているので、大主教からお叱りを受けてしまったことになるのでしょう!)。
 しかし、座下の発言全体をざっくり要約すれば、「我々が正しい。ロシアは従わないなら教会法違反。異論は認めない」といっているだけ
 ウクライナ系の人物が話し合いをする気がない意思をロシアに対して示しているのは、なるほどシスマではなく、ただの世俗的ケンカにすぎないともいえるでしょう。
 ですが、2016年の聖大シノド(The Great and Holy Synod)の件をみても明らかなように、教えに関しても分裂の兆しははっきりとあります。
 あるいは教会法についてまともな統一的見解も出てきていない状況を見れば、「一つの教えを奉じている」などというのが大嘘か大間違いで、「一つの教えを奉じている詐欺」か、「一つの教えを奉じているつもりだったがそんなことはなかったぜ!」というオチすら見えてきています(これについては本気で疑っており、検証すべきことだと考えています)。
 いずれにせよ、座下の定義するシスマにあてはまるかそうでないかはともかく、東方正教会は分裂するので(話し合うつもりがないんですから)、これからもシスマと書きます。

 そのほか、(ロシアのみならずオランダ系の機関による)世論調査で全地総主教庁の見解(ウクライナの人々が望んでいる)とは明らかに反する結果が出たのを意識したのか、「議会の多数の賛成があれば多数の人々が望んでいるということなのだ」という理屈をおっしゃっています。
 ジャン=ジャック・ルソー以降、思想家は、民意(民意に相当する言葉)をベースに、民主主義と現在いわれているよくわからない考えの集積について頭をひねってきましたが、結局のところ、民意というものがとらえどころがない=なんとでもいえるという現実を克服することはできず、「でも豊かで平和だしこれからも世の中はよくなるだろう」というにまどろんで仕事をサボっているうちに、アメリカや西欧は(他の地域も)とんでもない状況を迎えています。
 そんな時期に、「議会の多数の賛成があれば多数の人々が望んでいるということなのだ」。……こんなものは今どき意見のうちにも入りません
 世俗化(=聖職者はバカなので宗教に金や時間をつぎこむのはムダ)が進むわけだと納得してしまいました。いやまあ……もとから知ってました……けど。

 

 ともあれ今回のインタビュー、読みこむ気がまるでしませんが、キリスト教、東方正教会のダメっぷりをあらわす記念碑的なものになっているのではないか、と強引に歴史的評価をして感想を終わりたいと思います。

 新約聖書/マタイによる福音書/10章/34節 より:

わたしが地上に平和をもたらすために来たと考えるな。平和ではなく剣をもたらすために来たのだ。

 

 【シスマ2018 – The Schism of 2018】<東方正教会大分裂>: ウクライナへの独立正教会設置から始まったコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など<東方正教会内戦、大分裂、そして崩壊?>

 

信頼性は?ですが、欧州で10万人中のキリスト教の司祭(Priest)数はギリシャが一番多いとのこと(2018年10月)最下位はブルガリア……え?

 欧州で10万人中のキリスト教の司祭数はギリシャが一番多い約88人だということです。

※抜けている国もあります。

 

 (英語)Number of priests per 100,000 people • Jo Di

Jo Di 🏳️‍🌈さんのツイート: "Παράγουμε περισσότερους παπάδες από όσους μπορούμε να καταναλώσουμε! https://t.co/4qOOKlUTNI"

 

 参照データが、Catholic-Hierarchy、Wikipedia(ウィキペディア)、OrthodoxWiki、スウェーデン国教会の公式サイト、となっているので、これらのサイトのデータをつぎはぎしたものだと思われます(ざっと見た限り、結構こういうせこいことをやっているニュース?サイトのようです)。

 

※なお、プロテスタントには司祭は存在しないという話を読んだ方も多いかと思いますが、欧州のルター派の多くの教会には司祭(Priest)が存在します(この Priest は司祭なのかという疑問がわいた方は、泥沼にはまってしまうので他のことを考えましょう)。

 

 それにしても、欧州で一番「無宗教」が多いとされるチェコ(18.9人)よりも、国民の四分の三がブルガリア正教会を含む東方正教会の信徒とされるブルガリア(12人)のほうが司祭が少ないというのは、そんなバカな……。これで教会が運営できるなら、ギリシャは司祭を七分の一に削減可能だということになりますが……。

 

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下のスウェーデン訪問3日目(2018年9月)スウェーデン国教会首座/ウプサラ大監督アンチェ・ヤケレン座下の礼拝に臨席

 2018年9月30日、スウェーデン王国訪問中のキリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)は、ウプサラ大聖堂にておこなわれたスウェーデン国教会首座/ウプサラ大監督アンチェ・ヤケレン座下(The Most Reverend Antje Jackelén, Archbishop of Uppsala, Primate of Sweden)の礼拝に臨席し、説教と、スウェーデン国教会総シノドの成功を祈りました。

 シリア正教会の、
 スウェーデン・スカンジナビア府主教“モル”・ユリウス・アブデラハド・シャボ座下(His Eminence Mor Julius Abdelahad Shabo, Metropolitan of Sweden and Scandinavia)、
 スウェーデンにおける総主教代理“モル”・ディオスコロス・ベンジャミン・アタス座下(His Eminence Mor Dioscorus Benjamin Atas, Patriarchal Vicar in Sweden)、
 ドイツにおける総主教代理“モル”・フィロクセノス・マティアス・ナイイス座下(His Eminence Mor Philoxenus Mattias Nayis, Patriarchal Vicar in Germany)、
 オランダにおける総主教代理“モル”・ポリュカルポス・アウギン・アイディン座下(His Eminence Mor Polycarpus Augin Aydin, Patriarchal Vicar in Holland)、
 総主教管轄ダマスカス大主教区総主教代理“モル”・ティモセオス・マッタ・アル・クーリー座下(His Eminence Mor Timotheos Matta Al-Khoury, Patriarchal Vicar of the Patriarchal Archdiocese of Damascus)、
 も同席。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Holy Qurobo and Sermon at Uppsala Cathedral | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch
 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Sermon of His Holiness from Uppsala Cathedral – 30/9/2018 | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك في عظة الأحد من… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 また、スウェーデン国教会の、ヴェステロース監督ミカエル・モーグレン座下(The Right Reverend Mikael Mogren, Bishop of Västerås)による歓迎会へ。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Reception at the Bishop’s House in Vasteras | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

حفل استقبال رسمي على شرف قداسته لدى أسقف… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 大昔のヴェステロース監督であるヨハネス・ルドベッキウスJohannes Rudbeckius)の墓地を参拝。
 ヴェステロース大聖堂の展示会開会式やコンサートに臨席。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Opening of an Exhibition on Bishop Rudbeckius – Vasteras | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

صلاة وافتتاح معرض وحفل موسيقي في مدينة… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 シリア正教会の聖堂を訪問。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Visit to Mor Kyriakos Church in Vasteras | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

استقبال في كنيسة مار قرياقس في فيستروس… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下のスウェーデン訪問2日目(2018年9月)スウェーデン国教会首座/ウプサラ大監督アンチェ・ヤケレン座下と会談、など

 2018年9月29日、スウェーデン王国訪問中のキリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)は、同教会の主教らとの会談や、スウェーデン国教会への訪問をおこないました。

 

 シリア正教会の神学校関係者との会談では、
 オランダにおける総主教代理“モル”・ポリュカルポス・アウギン・アイディン座下(His Eminence Mor Polycarpus Augin Aydin, Patriarchal Vicar in Holland)、
 が同席。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with STSS Committee in Sweden | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

إجتماع لجنة دعم الإكليريكية اللاهوتية في… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 ウプサラ大聖堂の首席司祭との会談では、
 シリア正教会の、
 スウェーデン・スカンジナビア府主教“モル”・ユリウス・アブデラハド・シャボ座下(His Eminence Mor Julius Abdelahad Shabo, Metropolitan of Sweden and Scandinavia)、
 スウェーデンにおける総主教代理“モル”・ディオスコロス・ベンジャミン・アタス座下(His Eminence Mor Dioscorus Benjamin Atas, Patriarchal Vicar in Sweden)、
 ドイツにおける総主教代理“モル”・フィロクセノス・マティアス・ナイイス座下(His Eminence Mor Philoxenus Mattias Nayis, Patriarchal Vicar in Germany)、
 オランダにおける総主教代理“モル”・ポリュカルポス・アウギン・アイディン座下(His Eminence Mor Polycarpus Augin Aydin, Patriarchal Vicar in Holland)、
 総主教管轄ダマスカス大主教区総主教代理“モル”・ティモセオス・マッタ・アル・クーリー座下(His Eminence Mor Timotheos Matta Al-Khoury, Patriarchal Vicar of the Patriarchal Archdiocese of Damascus)、
 及び、
 スウェーデン国教会の、
 ヴェステロース監督ミカエル・モーグレン座下(The Right Reverend Mikael Mogren, Bishop of Västerås)、
 が同席。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with Dean of Uppsala Cathedral | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك يلتقي بالمسؤولة عن… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

ܩܕܝܫܘܬܗ ܕܡܪܢ ܦܛܪܝܪܟܐ ܡܢܗܪ ܩܪܝܘܢܐ ܘܡܨܠܐ… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 スウェーデン国教会首座/ウプサラ大監督アンチェ・ヤケレン座下(The Most Reverend Antje Jackelén, Archbishop of Uppsala, Primate of Sweden)との私的会談もおこなわれた模様。
 前述のシリア正教会の府主教らが同席。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Private Meeting with Primate of the Church of Sweden | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

Her Eminence Archbishop Antje Jackelén, Archbishop of Uppsala in Sweden and Primate of the Church of Sweden

 なお、上記のシリア正教会公式サイトでは、アンチェ・ヤケレン座下には敬称として「Her Eminence」が使用されています。

قداسة سيدنا البطريرك يلتقي برئيسة أساقفة… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 ウプサラ大聖堂にて、イグナティウス・アフレム2世聖下とアンチェ・ヤケレン座下の公開会談がおこなわれました。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Open Conversation at Uppsala Cthedral | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك ورئيسة أساقفة… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

Svenska kyrkanさんのツイート: "Patriark Ignatius Aphrem II samtalade med @BiskopAntje i Uppsala domkyrka i dag. Patriarken betonade vikten av öppenhet. – Vi kristna är sända för att göra världen till en bättre, mer helig plats. Vi har inget annat val än att älska människor för vad de är, oavsett tro.… https://t.co/3MWAx1J1gn"

 

 晩祷(vespers)がおこなわれたようです。

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Vespers at Uppsala Cathedral | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

صلاة المساء في كاتدرائية أوبسلا بالسويد… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

Antje Jackelénさんのツイート: "Snart högmässa i Uppsala domkyrka tillsammans med H H Patriarken Ignatius Aphrem II på den Helige Mikaels dag #gudstjänstglädje… https://t.co/J6KFpP8exp"

 

Antje Jackelénさんのツイート: "Patriark Ignatius Aphrem II, ledaren för världens syrisk-ortodoxa kristna, har tilldelats S:t Eriks plakett. #svenskakyrkan https://t.co/LW0O52IAbH"