ウクライナ文化省がキリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”が清算されている(コンスタンティノープル派ウクライナ正教会【OCU】に合流している)と宣言。“フィラレート総主教”は訴訟を起こすとの話も(2019年7月~8月)

 ウクライナ文化省が、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”は、2018年12月の統合会議によってコンスタンティノープル派ウクライナ正教会【OCU】に合流し清算されていると声明を出したようです。

 

※なお、これはウクライナという国に登録されている団体のことであって、当たり前ですが、教会法上の組織の分類に国が介入できるものではない、というのが教会の建前になります。ウクライナの現状は、国の法も神の法もないような有様ですので、どうでもいいっちゃどうでもいいですけど。

 

 この間、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、ゼレンスキー大統領に UOC-KP を守るよう誓願を出したり、 UOC の“エピファニー府主教”が「別の教会に介入しようとしている」と非難したり、いろいろしていたようですが、これで UOC-KP は聖堂や財産を失う(というかもう存在しないということになるので失うというのもおかしいですが)ことになるのではないでしょうか(ただ、フィラレート総主教による告訴が受理されれば長引くかもしれませんが)。

 フィラレート総主教もこれで年貢の納め時となりそうな気配です。
 聖職者(神品)は大量生産(多人数を叙聖)すれば済みますが、お金と建物がなければなにもできないでしょう。
  OCU を支持する暴徒 が UOC-KP の聖堂などを占拠し続けている現状、暴徒や国と内戦を起こしてまでフィラレート総主教についていく人々もいないでしょう。
 これで終わりと仮定して彼の敗因について述べれば、コンスタンティノープルという外部の、それも自分を 100 % 支持しているわけではないどころか取り除こうとしている権威に頼ったこと、そしていざ自分が排除される方向にあると悟ったときにバクチ(破門の乱発とか)に出なかったことでしょう。

 

 (ウクライナ語:ウクライナ文化省公式サイト)Міністерство культури України :: Заява Міністерства культури України щодо особливостей державної реєстрації низки православних релігійних організацій після проведення Помісного Об'єднавчого Собору 15 грудня 2018 року

 (英語)Kiev Patriarchate now officially liquidated following OCU Synod decision, says Ukrainian Ministry of Culture / OrthoChristian.Com

 (英語)Filaret accuses Epiphany of interfering in the affairs of another "Church" – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Filaret accuses Culture Ministry of illegal liquidation of UOC KP Statute – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Ministry of Culture sets its seal on liquidation of Kiev Patriarchate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Filaret sues the Ministry of Culture of Ukraine – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Filaret asks Vladimir Zelensky to protect UOC-KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

フィラレート総主教の記者会見(文化省の決定によりチャンネル・動画などの所有者に変動が出る可能性があります)/
Українська Церква:
Прес-конференція Святійшого Патріарха Філарета щодо останніх подій в Українському Православ'ї – YouTube

 

文化省の決定によりドメイン・サイトの所有者に変動が出る可能性があります
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Звернення Святійшого Патріарха Філарета до української православної пастви – Українська Православна Церква Київський Патріархат
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Звернення Святійшого Патріарха Філарета до Блаженнійшого митрополита Епіфанія – Українська Православна Церква Київський Патріархат
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет просить ОБСЄ захистити права віруючих Української Православної Церкви Київського Патріархату – Українська Православна Церква Київський Патріархат
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет звернувся до Президента України з проханням захистити Київський Патріархат від рейдерства ПЦУ – Українська Православна Церква Київський Патріархат
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет просить Міністерство юстиції продовжити існуючу реєстрацію УПЦ Київського Патріархату – Українська Православна Церква Київський Патріархат
 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Відбулася прес-конференція Патріарха Київського і всієї Руси-України Філарета щодо останніх подій в Українському Православ’ї – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 

Київський Патріархат(キエフ総主教庁公式チャンネル):
Патріарх Філарет звернувся до вірян: "Захистіть Церкву і Патріарха" – YouTube

 

インタビュー記事(英語):RIA NOVOSTIによるキリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下へのインタビュー記事英訳版(2019年7月)

 RIA NOVOSTI【リアノーボスチ】によるキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))へのインタビュー記事英訳版が、モスクワ総主教庁渉外局公式サイトに掲載されています。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Metropolitan Hilarion: Recognition of the OCU by any Church will only deepen the division | The Russian Orthodox Church

 

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)の渉外局副局長が、「コンスタンティノープルは教会に“政治ウィルス”を持ち込んだ」「彼はすでに滅んだ帝国(ビザンツ帝国)の総主教」(2019年7月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を保有するウクライナ正教会の渉外局副局長ミコライ・ダニレヴィチ長司祭(Mykolay Danylevychニコライ・ダニレヴィチNikolay Danilevich)が、インタビューに答えています。

 

Перший Козацький:
Абсурд патр. Варфоломея на 1+1: ложь от отчаяния? Быстрое Погружение с Катей Жарких – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_23Dismb0XM

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Протоієрей Миколай Данилевич: У Тіло Церкви прагнуть внести політичний вірус, та Церква бореться (відео) – Українська Православна Церква

 (英語)UOC Spokesman: Head of Constantinople is a patriarch of non-existent empire – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 「コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は教会に“政治ウィルス”を持ち込んだ」
 「コンスタンティノープルの総主教は、すでに存在しない帝国【ビザンツ帝国or東ローマ帝国】の総主教。全地総主教の“全地”はビザンツ帝国内の全地のこと世界全体ではない。ギリシャ人が“全地”といった場合、彼ら以外のバルバロイ【野蛮人】の住む土地は含まない」
 「コンスタンティノープルは、海外の教区がなければ、トルコ内の小集団」
 「ローマ教皇は、コンスタンティノープルの総主教に書を送るとき、宛先を“コンスタンティノープル=新ローマ大主教”として送る」
 といったようなコメントをしているようです。
 率直に指摘しますと、最後の項目は間違いだと思います。確かにローマ教皇は宛先をコンスタンティノープル=新ローマ大主教としますが、続けて全地総主教と書いた文書がローマ教皇聖座の公式サイトに掲載されています(少なくとも現在のローマ教皇フランシスコ聖下はそうだということです)。

 その前の項目について、“ikumeni”の解釈については、判断する知識がありませんが、なによりもいっておかねばならないことが一つあります。
 それは、コンスタンティノープルには東方正教会全体への権威はないとするならば、そこが愚かで政治的で教会法や使徒継承性をまるで無視した行為をおこなったことに対し、とっとと破門(Anathema)を宣言しない理由はなぜなのか、ということです。

 もちろん、ウクライナ正教会には昨年当時そういう意見がありましたが、ロシア正教会モスクワ総主教庁にはそのような意見がないことは明白です。
 結局のところ、コンスタンティノープルと縁を切ることを決断できないのであれば、それはコンスタンティノープルを“並ぶもののない第一人者”として認めているわけであり、「なんとかコンスタンティノープル様に考えをあらためていただきとうございます」と言っているだけのこと。

 

 コンスタンティノープルが、同教会系ウクライナ正教会【OCU】を独立正教会として承認してから半年以上が経ちました。
 コンスタンティノープルは、 OCU の首座“エピファニー府主教”が教会法上合法な聖職者であるとすら述べていない状況で、しかし首座として独立正教会として承認するトモスを渡しました。
 “フィラレート総主教”に関しては、破門(Anathema)を撤回する理由も説明されず(政治的パフォーマンスであることは明らかなので)、しかもその後フィラレート総主教が OCU と対立を始めると、遺憾の意を表明して終わり。そもそもその後の展開を見れば、フィラレート総主教の破門を撤回する理由がまったくなかったという現実もあります(モスクワへの嫌がらせと、他の独立正教会の警戒心を高めただけ)。ウクライナのシスマを終わらせるとほたえていたのは大ボラもいいところで、遺憾の意を表明して「わしゃ知らんよ」で終わり無能かつ無責任なバルソロメオス総主教
 フィラレート総主教は、そもそも自分への破門はもとから有効ではなかったと主張しています。そうでないと OCU には教会法上合法な聖職者【神品】が存在しないことになるからです。これに対し、コンスタンティノープルは沈黙するのみで、話題を誤魔化してひたすら「独立正教会はウクライナの人々が望んだこと」と繰り返すばかり。もちろん(彼の想定する)ウクライナ人はイエスより偉いと彼が信じているなら何も矛盾はありませんが、それはウクライナ真理教でありキリスト教ではありません。

 

キリスト教/コンスタンティノープルが、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】に約34億円の“トモス税”を要求との報道(2019年7月) OCU 側が払うかどうかは不明

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルが、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】に、日本円にして総計約34億円の“トモス税”の支払いを要求しているようです。

 

 (英語)Metropolitan Anthony (Pakanich): Constantinople obliged OCU that each parish should pay from 4 to 20 thousand euro – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)His Beatitude Onuphry: OCU has the Tomos of slavery rather than autocephaly – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系公式サイト)Кожна парафія «ПЦУ» повинна платити Фанару від 4000 €, — митрополит Антоній (відео) – Українська Православна Церква

 

NEWSONE:
Томос раздора и православный буллинг в школах – “Радар” 09.07.19 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MWqeIs1CMvI

 

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)が述べているところによると、ポロシェンコ(前)大統領がコンスタンティノープルに約束したウクライナ国内の教会資産のコンスタンティノープルへの受け渡しがゼレンスキー大統領によって拒否されたため、コンスタンティノープルのフランス府主教エマニュエル座下は OCU の首座“エピファニー府主教”に各小教区から“トモス税”を支払うように要求したとのこと。
 その総計は約34億円とのことです。
 OCU が払うのか払わないのか知りませんが……。
 払わなくてコンスタンティノープルがトモスを撤回したらまたもコント
 払おうとして信徒が離脱したらそれもまたコント
 コントは続くよどこまでも。

 なお、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)は、コンスタンティノープルが OCU に渡したトモスは独立正教会として認めるトモスではなくウクライナ人を奴隷化するためのトモスとコメントしているようです。

Українська Православна Церква(ウクライナ正教会公式チャンネル):
Митрополит Онуфрій: Томос для «ПЦУ» — це томос рабства, а не автокефалії – YouTube

 

動画:キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)首座/キエフ府主教オヌフリー座下を支持する各独立正教会の主教らと、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会の“内紛”などの話(2019年7月)

 2019年6月25日におこなわれた、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)らの礼拝と、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】と“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“内紛”などの映像です。 

 

UOJ I Union of Orthodox Journalists:
Triumph of UOC and disgrace of schismatics: whose prayers are heard by God – YouTube

 

 ぶっちゃけていいますと、モスクワ寄りの映像です。

 冒頭などに登場する、モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会およびオヌフリー府主教座下を支持するコメントをしている各独立正教会の主教ら(登場順)は、
 セルビア正教会 …… モラヴィツァ主教アントニイェ座下(His Grace vicar Bishop AnthonyAntonije】 of Moravica : ビデオ内表記【Bishop Anthony of Moravia】)、
 ブルガリア正教会 …… ロヴェチ府主教ガヴリール座下(His Eminence Metropolitan GabrielGavriil】 of Lovech : ビデオ内表記【Metropolitan Gabriel of Lovech】)、
 キプロス正教会 …… タマソス・オレイニ府主教イサイアス座下(His Eminence Metropolitan Isaias of Tamassos and Oreini : ビデオ内表記【Metropolitan Isaiah of Tamassos】)、
 ポーランド正教会 …… ハイノフカ主教パーヴェル座下(His Grace Bishop Paweł of Hajnówka : ビデオ内表記【Bishop Paul of Hainowka】)、
 エルサレム総主教庁 …… ボスラ府主教ティモセオス座下(The Most Reverend【His Emienence】 Metropolitan Timotheos of Bostra)、
 アレクサンドリア総主教庁 …… カルタゴ府主教メレティオス座下(His Eminence Metropolitan Meletios of Carthage)。

 

 “内紛”の話題ですが、すでに今まで取り上げたことが含まれます。
 “フィラレート総主教”の主張、彼自身への破門(Anathema)はもともと成立していないというものも出ています(これは今後一番問題になってくるポイントでしょう)。コンスタンティノープルによる破門の撤回がそもそも不要であったということです。
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、コンスタンティノープルが、ウクライナの教会法上合法でない主教らを“合法化”してくるという予想をしていました。しかし現時点において、そしておそらく今後も、おこなわれていません。これは、コンスタンティノープルが独立正教会として認めたウクライナ正教会【OCU】には、(フィラレート総主教を除いて)教会法上合法な聖職者が存在しないことを示しています(ただしフィラレート総主教への破門がそもそも成立していないとすれば教会法上合法です)。
 コンスタンティノープルを支持する聖職者・論者の中には、「そもそも独立正教会というのは、コンスタンティノープルから独立しているというわけではない」などという今となってはどーでもいーことをだらだらと述べている方もいますが、教会法上合法な聖職者や使徒継承性について語ってほしいところです。「教会法も使徒継承性もどうでもいい。すべてコンスタンティノープルのその時の気分で決まる。それが東方正教会の教え、古代より伝わる正しい教え、キリスト教だ」とそういうことなんでしょうか? いや、そうなんでしょう。それは過去において東方正教会が主張してきたこととはちと違うと思うので、今年の OCU へのトモス授与に伴い、東方正教会は崩壊し、今は組織を継承していると称する変な集団がいるだけだ、とそう結論付けるしかないのです。
 もちろん、コンスタンティノープルがどうなろうが、他にも教会集団は存在しますし、彼らは OCU を承認していないので、東方正教会が崩壊したなどというのは大袈裟だということは言えるかもしれませんが、その各教会はコンスタンティノープルと縁を切ろうとする気がないどころか(ロシア正教会ですら今より進む気はないでしょう)、「コンスタンティノープルを失ったら我々はプロテスタントと同レベルになってしまう!」と絶叫している有様。

 ウクライナ国内の、教会無法地帯、キリスト教の墓場ぶりは失笑モノであることは確かですが、これは東方正教会の姿そのもの、伝統的なキリスト教の姿そのものであり、キリスト教どころか、キリスト教の聖堂をパクった妙な建物で聖職者なのかなんなのかわからない白人男性(宗教的理由もないのにインド人のおばちゃんとかではいけないというなら、人種差別・性差別の疑いのある行為)に結婚式を執り行ってもらって感動している日本人もまたこの茶番劇から逃げられない状況にあります。キリスト教的伝統を適当に消化して作られている漫画・アニメ・ゲームの類もまた同じですが……。

 結論は特にありませんが、現在の世界は、伝統的なキリスト教の崩壊に伴う巨大な茶番がずっと続いているのではないか、という気がしてきました。
 我々が生きている間にこの茶番は終わらないでしょう。もしや世界はウクライナ化していくのか……。

 

関連:
 キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)による、エルサレム総主教庁ボスラ府主教ティモセオス座下へのインタビュー映像(2019年6月)