キリスト教/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教シェウチューク大司教座下が同国首相に聖ソフィア大聖堂の年三回礼拝使用を要請(2019年3月)コンスタンティノープル側の「ウクライナ正教会」はすでに拒否

 ギリシャの東方正教会系メディア「Romfea」によりますと、キリスト教/ローマ・カトリック教会/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下(His Beatitude Archbishop Sviatoslav Shevchuk, Major Archbishop of Kiev-Galicia : キエフ大司教 : Archbishop of Kiev)は、ウクライナ首相ヴォロディミル・フロイスマン閣下(His Excellency Mr Volodymyr Groysman)に対し、聖ソフィア大聖堂を礼拝のために年三回使わせてくれと要請した模様です。

 

 (英語)Uniate Archbishop asks to perform a Divine Liturgy in St. Sophia in Kiev three times a year – Romfea News

 

 この件については、

 キリスト教/コンスタンティノープルから認められたほうの「ウクライナ正教会」が、ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下から要請された、聖ソフィア大聖堂の礼拝使用を断ることを決定した模様(2019年3月)

 で、コンスタンティノープルから認められたほうの「ウクライナ正教会」(AOCU : OCU)が断ることを決定したことをお伝えしていますが、ならばということで政治家にお願いするという手段に出てきたようです。
 この聖ソフィア大聖堂は、はっきり書かれているものを見つけられていないのですが、国有の施設の一部のようにも思えますので、そうだとすると行政府に訴えるのはおかしな話というわけではありませんが……。

 

キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドの会合が終了しましたが、大したことは決まらず、2019年3月19日~21日に(おそらく全主教出席の)会合を開くことが決定されたようです。

 

 (英語)The decisions will be taken by the meeting of the Hierarchs on March 19 – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "The meeting of the #Hierarchs will have the last word on March 19 #romfeanews #ChurhOfGreece https://t.co/GDmrLxAZ8K"

 

 現在、ギリシャ正教会は発狂寸前ではないかという状態です。

 コンスタンティノープルとモスクワの対立をもう引き返せないところまでにしてしまったウクライナの件に加え、SYRIZAを率いるギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)による国家と教会の分離(平たく言えば教会排除の方針)。また首相・SYRIZAによってマケドニア問題に関して国名を「北マケドニア共和国」で認めることや、トルコ共和国とのなんだかよくわからない関係の構築(ギリシャ正教会の府主教からは首相をトルコ系ユダヤ人とする発言も出ています。首相自身がトルコ紙に語ったことがベースになっているようですが)、そして、アフガニスタン・パキスタンなどからのイスラム教徒【ムスリム】への選挙権付与により票の上積みをはかっているなど。トルコ系ユダヤ人の無神論者がイスラム教徒から支持を受けるということでどこまで本当かわかりませんが、ツィプラス政権でギリシャと教会は滅ぶと恐怖しているようにみえます。
 なお、いろいろありましが、ギリシャの世論調査を信じるならば、今年【2019年】中におこなわれる(首相はかつて10月と発言)ギリシャ議会選挙で SYRIZA に投票すると答えた人は微増している状況です。この調査結果は、選挙までの残り半年以上で首相がさらになにかをやらかす可能性を上昇させています。

 また、欧州全体の景気後退が始まったのではないかという観測に加えて、仮にロシア正教会からフル・コミュニオンを解除されると、ロシア人巡礼観光客はさらに減少し(某府主教はロシア正教会を批判する一方で「365日ロシア人をもてなす」とかのんきなことをいってましたが)、ギリシャ経済は悪化、首相によって教会に責任が押しつけられるという展開もありえます。
 これはギリシャだけでなく、モスクワとの関係は、キプロスやエルサレムもそれぞれの国の経済・政治・外交に直結する問題なので、正直どこも頭が痛いでしょう。

 

キリスト教/ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下が、会合がおこなわれている聖シノドについてコメント。国家と教会の関係、ウクライナの件(2019年3月)

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)が、現在会合がおこなわれている同教会の聖シノドに関して、国家と教会の分離を推進するツィプラス政権に対する決定や、ウクライナに関する件などについて結論を目指していることなどをコメントしています。

 

 (英語)Archbishop Ieronymos: Τhe State, the Church, and the priests, will make the final decision – Romfea News

 

 国家と教会の分離については、ギリシャ共和国の国内問題である部分も多いので、結局は政治家や選挙結果とのかかわりで進むと思いますが、ウクライナの件についてはギリシャ系の独立正教会はコンスタンティノープルに逆らうことはないだろうと思います。
 タイミングはともかくコンスタンティノープルが認めたほうの「ウクライナ正教会(AOCU : OCU)」を承認し、そしてロシア正教会側からフル・コミュニオンが解除され、東方正教会の教会分裂が確定的になっていくのではないでしょうか。

 まあ……もうしょうがないでしょうね。

 

 聖シノドは、2019年3月7日(木)が最終日ですが、どちらの問題も持ち越すかもしれません。

 

関連:
 キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 

キリスト教/コンスタンティノープル下のアメリカの小教区から、在外ロシア正教会に移動した信徒がいる模様(2019年3月)

 ロシア側の発表なのと、規模がいまいちはっきりしませんが、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル/アメリカ東方正教会のテキサスの小教区から離脱して、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会下で自治的な権限を保有する在外ロシア正教会【ROCOR】に移動した信徒たちがいるようです。

 

 (英語)ROCOR opens mission in Texas to minister to families that left Greek Constantinople parish / OrthoChristian.Com

 

 在外ロシア正教会は今回の一連の事態に対し、なぜかモスクワ総主教庁よりも憤っているようなところがありますが、それがなにに起因するのか、部外者にはよくわからないところです。

 

キリスト教/ウクライナ東方典礼カトリック教会の聖堂がひとつ、コンスタンティノープルによって承認されたほうの「ウクライナ正教会」に移った模様(2019年3月)追記:「ウクライナ正教会」の広報担当者は「受け入れられない」

 ウクライナのリヴィウにある、ウクライナ東方典礼カトリック教会の聖堂と小教区の信徒が、コンスタンティノープルに承認されたほうの「ウクライナ正教会(AOCU : OCU)」に移ったようです。

 

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Ликвидированный приход УГКЦ во Львове присоединился к ПЦУ

 

 なんだかよくわかりませんが、小教区の信徒たちの間で争いごと(?)があって、ウクライナ東方典礼カトリック教会が司祭を引上げさせ、小教区を廃止した後、信徒たちによる投票で決まったようです。

 前々からの確執でもあったのか、それとも興奮状態が続くウクライナでのさして気にする必要も理由も原因もない小さな争いごとの一つなのか。

 

追記:
 (英語)Ukrainian schismatics say they won’t accept Catholic communities that want to transfer / OrthoChristian.Com

 そのコンスタンティノープル側の「ウクライナ正教会(AOCU : OCU)」の広報担当者によると、「このカトリックの小教区は受け入れられない」そうです。首座の“エピファニー府主教”も一連の動きを承認していないとのこと。

 ただ、上記の記事からは、誰だかわかりませんが、主教と司祭がその小教区に現れてなにかをおこなったらしいので、意思の疎通に問題があったのか、組織としていまだしっかりしていないのか。