キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下で一方的に総主教代理区の地位を廃止(2018年11月)された西欧ロシア正教会大主教区の聖職者らが会合(2019年5月)ジャン大主教「選択肢はないができるだけ早く教会法上合法な解決法を見つけたい」9月7日(!)に臨時総会の予定

 2019年5月11日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下にあったものの2018年11月にコンスタンティノープルから一方的に総主教代理区としては廃止され、大主教区としても解体されそうな、西欧ロシア正教会大主教区の聖職者らが会合をおこなったようです。

 2時間の会合の末、同大主教区の首位大主教ジャン座下(イオアン大主教 : ハリオポリス大主教)は、「選択肢はないが、できるだけ早く教会法上合法な解決法を見つけたい」としたようです。
 宣言からは、コンスタンティノープル下に残った場合に自治的な権限を保有することが不可能な(というか教会法上合法でない)ことが確認されていることがうかがわれます。
 また、ここまでもめているということは、ロシア正教会に“移動”ということでは内部の合意が極めて難しいのか、あるいは彼らの望むレベルの“自治”をロシア正教会が認める可能性が薄い(というか無い)のか、どちらかであることも確かなのでしょう。

 次の重要な会合として、本年【2019年】9月7日(!)に臨時総会が予定されたとのことですが、「事実上崩壊が始まっている」と自ら認めている大主教区をどうするかの決定をさらに四か月先(場合によってはさらに先)に延ばすとは……。
※そもそも6月に総会がおこなわれる予定という話だったはずですが、こちらはどうなったのか……。

 ここもまたウクライナ問題が落ち着かないため、貧乏くじをひかないために先延ばしをせずにいられない状況になっているように思えます。

 

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Bureau de l’Administration Diocésaine du 13 mai 2019
※ほかの言語版(英語とか)のページもそのうち掲載されると思います。

 

関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄下で一方的に総主教代理区としては廃止された西欧ロシア正教会大主教区の臨時総会が開催、集団としての解体を認めないと決定(2019年2月)

 

キリスト教/コンスタンティノープルが、新たなアメリカ大主教にブルサ府主教エルピドフォロス座下を選出(2019年5月)次の全地総主教の有力候補

 2019年5月11日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁は、新たなアメリカ大主教にブルサ府主教エルピドフォロス座下(His Eminence Metropolitan Elpidophoros of Bursa)を選出した模様です。

 

 (英語:アメリカ大主教区公式サイト)Metropolitan Elpidophoros of Bursa Elected Unanimously Archbishop of America – 2019 – Greek Orthodox Archdiocese of America

 

 前任のデメトリオス座下は、大主教区内の問題などにより全地総主教庁より退任を迫られ、今回新たな選出にいたりました。
 が、大主教区側が求めていた手続きを全地総主教庁側が無視するなど、またもコンスタンティノープルは一方的な行動を取っています。

 全地総主教庁が選出したエルピドフォロス座下は、コンスタンティノープルの全地総主教を「並ぶもののない第一人者(First without equals)」とする考えの人物(もはや全地総主教庁は全員そうなんだろうと思いますが)。
 また座下はトルコ生まれであり、トルコ当局が全地総主教の就任条件をトルコ生まれとしているため、次の全地総主教庁の有力候補と見られています。

 今回の一方的な選出は、次の全地総主教となるエルピドフォロス座下に“箔”をつけるためにコンスタンティノープルがゴリ押ししたようにも思えますが……。
 現在の、コンスタンティノープルのアメリカ大主教区は、内部のお金に関する問題や、コンスタンティノープルの今後の方針によっては保守派が離脱するという観測があるなど、よくわからないものとなっています。
 お金の件は結構多額のようですが、しかし、こんな程度の問題でギリシャ系住民がコンスタンティノープルと縁を切るとは思えないのが、昨年以来の状況を見てきた一人としての感想です。ぶっちゃけコンスタンティノープルと縁を切る可能性より棄教する可能性のほうが高いと思います。

 

 いずれにせよ、今回の選出は、コンスタンティノープルが今後も方針や行動を変えることは一切ないと宣言したようなものであり、ロシア正教会との関係改善の可能性は一世代先までゼロということになるのでしょう。

 ギリシャ系以外の東方正教会もそろそろ考えを決める(コンスタンティノープルに服従するか、フル・コミュニオンを解除するか)時期かとも思いますが……。

 ただ、肝心のウクライナでは、実力者の“フィラレート名誉総主教”が、かつての自分の片腕で、コンスタンティノープル主導で「独立正教会」の首座に擁立された“エピファニー府主教”と対立し、これを排除しようとしているという報道が出るなど(“エピファニー府主教”がモスクワ総主教庁系のオヌフリー府主教座下に接近しようとしているという観測も出てきており、またぞろフェイクニュース合戦になるのではないでしょうか)、UOC-KP 及び UAOC と その他に再分裂の可能性もあります(そもそも統一できていないという点はともかく)。

 

キリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、元ドイツ大統領クリスティアン・ヴルフ氏と会見(2019年4月)ロシア駐箚ドイツ大使リューディガー・フライヘル・フォン・フリッチュ=ゼーハウゼン閣下が同席

 2019年4月9日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、元ドイツ大統領クリスティアン・ヴルフ氏(Christian Wulff)と会見しました。
 ロシア連邦駐箚ドイツ連邦共和国特命全権大使リューディガー・フライヘル・フォン・フリッチュ=ゼーハウゼン閣下(Rüdiger Freiherr von Fritsch-Seerhausen)が同席。

 会談では、イラリオン座下より、ドイツにおけるロシア正教会の発展、同教会とカトリック・プロテスタントの対話、コンスタンティノープルの行動によりモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会が同国政府などに弾圧を受けていることなどの話題に出たようです。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)DECR chairman meets with Germany’s ex-president | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)DECR chairman meets with Germany’s ex-president / News / Patriarchate.ru

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Председатель ОВЦС встретился с экс-президентом Германии / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Председатель ОВЦС встретился с экс-президентом Германии | Русская Православная Церковь

 (英語)Metropolitan Hilarion meets with Germany’s ex-president – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "Metropolitan #Hilarion warmly welcomed the #German ex-president at the #DECR #romfeanews #Wulff https://t.co/pFD44i6Mjr"

 

Romfea.news – Metropolitan Hilarion warmly welcomed the… | Facebook

 

キリスト教/ロシア正教会の聖シノドが、東南アジアにおける総主教代理区の朝鮮主教にクズル・トゥヴァ大主教フェオファン座下(朝鮮人系)を選出した模様(2019年4月)

 2019年4月4日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の聖シノドは、同教会の「東南アジアにおける総主教代理区」に属する朝鮮主教にクズル・トゥヴァ大主教フェオファン座下(His Eminence Archbishop TheophanFeofan】 of Kyzyl and Tuva)を選出したようです。
 フェオファン座下は朝鮮人系の人物の模様。また、下記 OrthoChristian.Com によれば、東方正教会全体で初の朝鮮人系主教だそうです(これに関しては他の情報源は確認していません)。

 

 (他の件を含む聖シノドの決議全体の記事:ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)ЖУРНАЛЫ заседания Священного Синода от 4 апреля 2019 года / Официальные документы / Патриархия.ru

 (英語)Ethnic Korean bishop appointed for Russian Church’s Korean Diocese / OrthoChristian.Com

 

 昨年モスクワがコンスタンティノープルとのフル・コミュニオンを解除する前まで、大韓民国はコンスタンティノープルの管轄権下にあると一般に見なされていました(韓国正教会 or 韓国府主教庁)。
 しかしそのフル・コミュニオン解除後、コンスタンティノープル総主教バルソロメオス聖下の大韓民国訪問時に、韓国正教会は北朝鮮にあるロシア正教会の聖堂を自身の管轄下にあるかのように記載した記念カレンダーを発行し、平壌に駐在するロシア大使が激怒するという一件がありました。また、これは韓国正教会と呼ばれる集団及びコンスタンティノープルが自身の管轄区域が北朝鮮にも及んでいると宣言したようなものであり、であれば「韓国正教会」という名称自体が妥当なものかどうか(韓国だけじゃないなら「朝鮮正教会」のほうが良いんじゃないの?)という疑問も浮かびます。個人的には「正教朝鮮府主教庁」とするあたりが良いように思えますが、そんなに触れる集団でもないので、この話はこれまでにして。いざとなったらコリア正教会とでも。
 一方、ロシア正教会は、コンスタンティノープルに遠慮する必要がなくなったので、「東南アジアにおける総主教代理区」を設置し、さらにその中に四つの教区を設置ししました。その一つである朝鮮教区の長に今回、クズル・トゥヴァ大主教フェオファン座下が叙任されました。大主教なので、朝鮮大主教となりますが、もしかしたら府主教への昇叙があるかもしれません。管轄区域は朝鮮半島ほぼ全域(というか韓国と北朝鮮)になりますが、ソウルに座すのではないかと思います。また、クズル・トゥヴァ教区も当面のところ引き続き管理するようです。

 フェオファン座下を主教に叙聖したのは、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)をはじめとするロシア正教会の主教のほか、コンスタンティノープルの韓国正教会首座/韓国府主教アンヴロシオス座下(His Eminence Metropolitan Ambrose of Korea)だったようです。
 今回、フェオファン座下とアンヴロシオス座下は管轄区域において対立することになりました。

 

キリスト教/ブルガリア正教会のスタラ・ザゴラ府主教キプリアン座下が、「エルサレムの聖火」受け取り時に、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”の主教を同行させる予定の模様(2019年4月)

 ギリシャの正教会系メディア Romfea によりますと、キリスト教/東方正教会/ブルガリア正教会のスタラ・ザゴラ府主教キプリアン座下(His Eminence Metropolitan Cyprian of Stara Zagora)とブルガリア共和国首相ボイコ・メトディエフ・ボリソフ閣下(His Excellency Mr Boyko Metodiev Borisov)の会談において、今年の「エルサレムの聖火」の受け取り時に教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”の主教を同行させる方針が決まったようです。
 ブルガリア正教会は、教会法上合法でない MOC-OA との協調姿勢を崩しておらず、 MOC-OA の主教は、ギリシャ共和国と北マケドニア共和国間の国名問題解決に伴い、いずれコンスタンティノープルは MOC-OA を独立正教会として認めるだろうというコメントをしています。

 「エルサレムの聖火」は、東方正教会のエルサレム総主教が「復活教会【聖墳墓教会】」で使用したものを持ち帰って各教会が礼拝に使用するものですが、教会法上合法でない MOC-OA に直接エルサレム総主教側から聖火が渡せるものなのか。直接渡した場合、セルビア正教会がエルサレム総主教庁とのフル・コミュニオンを解除する可能性もあります。

 

 (英語)A “schismatic” bishop of the “Macedonian” Church will attend the ceremony of the Holy Fire – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "Along with the Bulgarian delegation, a Bishop of the so-called “Macedonian” Church will also go to #Jerusalem for the Holy Fire #romfeanews #BulgarianChurch #HolyFire https://t.co/Q0pA7nWZVF"

 

Romfea.news – Along with the Bulgarian delegation, a… | Facebook