ウクライナ法務省当局のサイトに、キリスト教/コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】が、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の後継団体として登録されていない模様(2020年1月)登録されていなかったらどうなのかは不明

 ウクライナ法務省当局のウェブサイトに、キリスト教/コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】が、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の後継団体として登録されていない模様です。
  OCU の“エピファニー府主教”の問い合わせに同省が「そういう内容を掲載してほしければ、しかるべき人が後継団体として示す書類を持ってきて手続きしてね」というような回答をしているみたいです。

 登録されていなかったらどうなのかは不明ですが、そこまでの騒ぎになっていないところをみると、この件だけでなにかが起こるというわけではないように思いますが……。
 しかし後継団体として登録されていないことが、後継団体として認められていないということにつながると、 UOC-KP 自体が消滅していなければ教会財産を返還しなければならなくなるかもしれませんし、 UOC-KP が消滅しているとすると教会財産は場合によってはすべて国家のものになるのではないかという気がしますが……。

 

 (英語)Ministry of Justice: OCU is still not registered as a successor of UOC-KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

Ministry of Justice: OCU is still not… – Union of Orthodox Journalists – UOJ | Facebook

 

追加リンク:
 “キエフ総主教庁”も記事を出しています。

 (ウクライナ語:キエフ総主教庁【UOC-KP】公式ウェブサイト)Православна Церква України не є правонаступником Української Православної Церкви Київського Патріархату – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 (英語)UOC-KP: OCU has no right to use property of the Kiev Patriarchate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、「キエフ総主教庁の再生」と題した記者会見(2020年1月)ほぼコンスタンティノープル批判一色

 2020年1月20日、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、「キエフ総主教庁の再生」と題した記者会見をおこないました。
 主張はだいたい今まで通りで、ほぼコンスタンティノープル批判一色という、この人は少し前までどこと闘争していたのかと疑問がわくほどです。

 また、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】が、ウクライナ東方典礼カトリック教会【UGCC】とユーカリスティック・コミュニオンに入ることを望んでいる発言をしていることについては、「それは単にローマ教皇に従う東方典礼カトリック教会の一員になるだけ」とシンプルに否定(まあ、そうなんですが)。

 

Інтерфакс-Україна(Interfax-Ukraine):
Відродження Київського Патріархату – YouTube

 

Київський Патріархат(キエフ総主教庁【UOC-KP】公式チャンネル):
Прес-конференція Патріарха Філарета щодо ситуації в Українському Православ'ї – YouTube

 

 (ウクライナ語:キエフ総主教庁【UOC-KP】公式ウェブサイト)Відбулася прес-конференція Патріарха Філарета щодо ситуації в Українському Православ’ї – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 (英語)Interfax-Religion: Filaret demands that Constantinople return original of decree issued by UOC-KP assembly on its dissolution

 (英語)Filaret: Patriarch Bartholomew seeks to destroy Kiev Patriarchate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Head of UOC-KP: OCU has no right to enter into Eucharistic unity with UGCC – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Head of UOC-KP: Tomos from Phanar divided Kiev Patriarchate into two parts – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Phanar’s advance, UOC-KP’s future greatness & other revelations of Filaret – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

キリスト教/コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】首座“エピファニー府主教”「フィラレート名誉総主教は OCU の主教の一人」(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座“エピファニー府主教”は、OCU から離脱し、独自に主教に選出・叙聖をおこなった“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)について、「“フィラレート名誉総主教”は OCU の主教の一人」「単に孤立しているだけ」「 UOC-KP はすでに存在していないので、それについて話す必要はない」と述べたようです。

 

 (ウクライナ語)Почесний патріарх Філарет перебуває в самоізоляції – митрополит ПЦУ Епіфаній

 (英語)Epiphany is still convinced that Filaret is OCU member – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 無効で反教会法といっていたはずが、「存在しないものについて話す必要はない」に変わりました。でも、 UOC-KP がさらに何かやらかせばまた違うことを言い始めるでしょう。

  UOJ の記事(上記の英語記事)は、少し前に、コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教が、ロシア正教会をけなすためにフィラレート総主教を持ち上げた件(そんなに褒めるなら最初からフィラレート総主教をトップに認めてあげればウクライナ内部はもう少し落ち着いたんじゃないの?)の記事へリンクし、それゆえにコンスタンティノープルの下部組織の長でしかないエピファニー府主教はフィラレート総主教を攻撃できなくなっていると示唆しているかのようです。

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”公式サイトに“フィラレート総主教”へのインタビューが掲載(2019年9月)コンスタンティノープルを批判

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の公式サイトに、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)へのインタビュー記事が掲載されています。
 記事によれば、ジャーナリストによるインタビューのようです。

 

 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет: «В Українській державі повинна бути дійсно незалежна автокефальна Церква» – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 (英語)Filaret: Pat. Bartholomew asked President to speed up liquidation of UOC-KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Filaret: Patriarch Bartholomew seeks absolute power in Orthodoxy – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Philaret effectively admits to election tampering, claims Epiphany became primate thanks to him / OrthoChristian.Com

 

 内容は、これまでに比べれば整理されており、この一年いうことがコロコロ変わったり、これまでの行動のまずいところがうまく(?)スルーされているような気がするようなところ、そしてそもそも教会にナショナリズムは必要なの?という根本的なことを除けば、ある程度の説得力はあるのではないかと思います。

 フィラレート総主教によれば、まず彼はロシア正教会モスクワ総主教庁に独立正教会としてくれるように請願したが、これははねつけられたということです。
 そのためコンスタンティノープルを頼ったが、彼らはずーっとグズグズしたあげく、事実上独立を認めていない内容のトモスを渡してきた。それはコンスタンティノープルを絶対的な権力として確立させるためだ、としています。数年前の東方正教会全体の会合で、ロシア正教会、アンティオキア総主教庁、ブルガリア正教会、ジョージア正教会【グルジア正教会】、が欠席しましたが、これはコンスタンティノープルが自らの権力を絶対にしようとしたためであるとし、欠席したロシア正教会などの立場を支持しています(!)。
 また、なぜ「総主教」にこだわるかといえば、ポーランド正教会のように府主教を首座とする独立正教会というのは可能だが、府主教は必ずしも独立正教会の首座というわけではない。「総主教」ならば必ずそうだ、ということです(なぜ総主教にこだわるかについてもこれまで発言が変わったりしているので話半分に聞いていけばいいのですが、確かに総主教と認めた相手にあの内容のトモスを渡すのはムチャ度が増すとは思います)。
 ポロシェンコ(元)大統領については、選挙目当てだったとまたも批判、というか事実を指摘
 その他、欧州を批判したりしていますが、結論としては、ウクライナには、モスクワからもコンスタンティノープルからも真に独立(independent)した「独立正教会(autocephalous church)」が必要だということです。

 

 理屈の展開はわからないでもありませんが、そもそも国単位で独立教会を作らねばならないというのは東方正教会全体では合意されていないというのはどうでもいいとしても、モスクワとコンスタンティノープルを共に敵に回していったいどこに独立正教会として認定してもらおうというのか。もらったとしてなんなんだというのがさっぱりわからないところです。