ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年11月)

 2020年11月3日付の文書で、キリスト教/ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下(His Eminence Kurt Cardinal Koch, President of the Pontifical Council for Promoting Christian Unity)が、2020年10月30日に永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)への弔意を表明しました。

※宛先はキリスト教/東方正教会/セルビア正教会は、セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)。

 

 (英語:ローマ教皇庁 キリスト教一致推進評議会 公式サイト)2020 11 04 Amphilohije | In memoriam Metropolitan Amfilohije of Montenegro
※PDFファイルがページ内からリンクされていますが、11月3日付。

 (セルビア語:セルビア正教会 モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイト)Папски савјет: Митрополит је био срдачни и дубоко духовни човјек, прави пастир који је знао да распозна знаке Божије у људској историји | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 余談。
 コンスタンティノープルがアンフィロヒイェ府主教の追悼式をおこなったのは、コッホ枢機卿が弔意の表明をした/するのを知ったからではないかと思えてきます。式の日にちが枢機卿の出した文書の日付と同じです。
 ウクライナの件を巡って、生前にコンスタンティノープルを強く批判していた府主教を追悼する理由はコンスタンティノープルにはまったくなく、カトリック側が府主教への弔意を表明したので、東方正教会の盟主を自認する立場のため慌てておこなったのではないでしょうか。

関連:
 キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 2020年11月3日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)は、2020年10月30日に永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)の追悼式をおこないました。

 

Радио Светигора:
Помен Васељенског патријарха Митрополиту Амфилохију у Цариграду – YouTube

 

 (セルビア語:セルビア正教会 モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイト)Патријарх Вартоломеј служио помен Митрополиту Амфилохију у Цариграду | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 これまで、セルビア正教会のモンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトには、コンスタンティノープルからの弔意の表明を受けた記載はなく(ギリシャ正教会、キプロス正教会、アレクサンドリア総主教庁、エルサレム総主教庁、も記載なし)、また葬儀においては、ロシア正教会モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会から共同司式でボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)が臨席したことにより、コンスタンティノープルおよび上記の教会のうちエルサレム総主教庁以外は主教が共同司式をおこなうことができない状態になっていました(コンスタンティノープルはモスクワ総主教庁側からコミュニオンを解除されており、他の教会は首座がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認したためほぼ同様)。
 この状況下で、コンスタンティノープルが追悼式をおこなったことと、モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトがそれを報じた(動画を引用して)ことは、両者とも縁を切るつもりはないということを示しています。
 しかし、北マケドニア共和国(セルビア正教会の管轄権下)の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”の承認をめぐって、いずれ決裂する可能性は高いと思われます。
 今回の追悼式が、両者のこの手の付き合いの最後になるかもしれません。

 

関連:
 ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年11月)

 

訃報(2020年10月30日):キリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下が永眠(1938~2020)新型コロナウイルス感染症【COVID-19】の治療で入院との既報

 2020年10月30日、キリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)が永眠したと発表されました。
 1938年1月7日生まれの82歳。

 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】の検査で陽性となり入院していました。
 容態は安定しているとされていたものの、ほぼ毎日、モンテネグロ府主教庁が状況を発表するなど、深刻さがうかがえる状態ではありました。
※現在、モンテネグロ府主教庁 公式サイトはアクセスが難しい状況です。

 座下はセルビア正教会の重鎮で、総主教候補となったり、また空位期の首座代行を務めたりもしました。
 東方正教会の神学者としても著名で、コンスタンティノープルとモスクワの教会分裂においてはコンスタンティノープルを批判していました。

 モンテネグロ国内においては、モンテネグロの野党指導者から「モンテネグロの象徴」と称えられた人物で、今回の永眠は、東方正教会全体からモンテネグロ国内の政治情勢にまで影響を与える可能性があります。

 

Телевизија Храм:
Блаженопочивши Митрополит црногорско – приморски Г. Амфилохије(1938-2020) – YouTube

 

 (英語:セルビア正教会 総主教庁 公式サイト)Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral reposed in the Lord | Serbian Orthodox Church [Official web site]
 (英語:セルビア正教会 総主教庁 公式サイト)Biography of Metropolitan Amfilohije (Radovic) | Serbian Orthodox Church [Official web site]
 (英語:セルビア正教会 総主教庁 公式サイト)Memorial prayer rite for Metropolitan Amfilohije in the Cetinje Monastery | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (マケドニア語:正教オフリド大主教庁 公式サイト)Православна Охридска Архиепископија » Вести | Се упокои во Господа Митрополитот црногорско-приморски Амфилохиј

 (セルビア語:セルビア正教会 ザグレブ・リュブリャナ府主教庁 公式サイト)Упокојио се у Господу Митрополит црногорско-приморски Амфилохије – Митрополија загребачко-љубљанска

УПОКОЈИО СЕ У ГОСПОДУ МИТРОПОЛИТ… – Mitropolija zagrebačko-ljubljanska | Facebook

 

 (ポーランド語:ポーランド正教会 公式サイト)ORTHODOX | Nie żyje metropolita Amfilochiusz

 (ギリシャ語:アルバニア正教会 公式サイト)'Eπί τῇ ἐκδημίᾳ τοῦ Σεβασμιωτάτου Μητροπολίτου Μαυροβουνίου καί Παραθαλασσίας κυροῦ Ἀμφιλοχίου – Ορθόδοξος Αυτοκέφαλος Εκκλησία της Αλβανίας

 (ロシア語:ベラルーシ正教会 公式サイト)Отошел ко Господу митрополит Черногорский и Приморский Амфилохий (Радович) | Православие в мире | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

 

 (英語)Metropolitan Amfilohije of Montenegro reposes in the Lord / OrthoChristian.Com
 (英語)Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral reposes in the Lord – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral reposed in the Lord – Orthodox Times

 (英語)Montenegro's top Orthodox Christian cleric dies from COVID-19 infection | Reuters

 

関連:
 東方正教会の聖職者らから、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下を追悼するメッセージ(2020年10月)
 数千人が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の遺体到着を出迎える(2020年10月)ポドゴリツァのハリストス復活大聖堂
 葬儀:キリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の葬儀がおこなわれる(2020年11月)

 現在セルビア王室を称するユーゴスラビア皇太子アレクサンダル2世殿下夫妻が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下を追悼(2020年10月)新型コロナウイルス感染症【COVID-19】

 セルビア大統領アレクサンダル・ブチッチ閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年10月)
 モンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年10月)
 ボスニア・ヘルツェゴビナ大統領評議会セルビア人代表ミロラド・ドディク閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下に関するインタビューを受ける(2020年11月)
 モンテネグロ次期首相に指名されているズドラヴコ・クリヴォカピッチ氏が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下に関するインタビューを受ける(2020年11月) – キリスト教 高位聖職者のニュース
 モンテネグロ首相(退任予定)ドゥシュコ・マルコビッチ閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年10月)
 モンテネグロ議会議長アレクサ・ベーチッチ閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下に関するインタビューを受ける(2020年11月)
 ボスニア・ヘルツェゴビナ/スルプスカ共和国【セルビア人共和国】大統領ジェリカ・ツヴィヤノヴィッチ閣下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年10月)

 キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 

東方正教会シスマ2020:北マケドニア大統領ペンダロフスキ閣下が、キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下に対し、同国の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”を独立正教会として認めるよう要請したと報道(2020年9月)

 北マケドニア共和国大統領ステヴォ・ペンダロフスキ閣下(Stevo Pendarovski)が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に対し、同国の教会法上合法でない集団“マケドニア正教会-オフリド大主教庁(Macedonian Orthodox Church – Ohrid Archdiocese : MOC-OA)”を独立正教会として認めるよう要請したという報道が出ています。

 

 (英語)Media: North Macedonia requests autocephaly for their "church" from Phanar – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)North Macedonia asks Constantinople for autocephaly for its schismatic church / OrthoChristian.Com
 (英語)North Macedonia asks for recognition of its Church from the Ecumenical Patriarch – Orthodox Times

 

 北マケドニア共和国(の領域)は、セルビア正教会の管轄権下であるとコンスタンティノープルは何度も何度も繰り返していますが、(彼らにとっては)彼らの気分次第でそんなものはいつどうにでも変えていいものだということが明らかになっているため、承認する可能性はあるでしょう(今回なくても常にありえます)。

 もし承認すれば、セルビア正教会側との衝突、というか教会分裂は避けられないものと思われますが……。
 しかし、もはや引くことができないのはどのプレイヤーも同じなので承認するかもしれません。

 ロシアとの友好関係を維持しつつ、欧州連合との接近やコソボとの関係改善をはかっているセルビア政府ですが、セルビア正教会ははっきりいってこの動き(コソボに関して)に反対しています。
 セルビア政府とセルビア正教会の足並みが乱れる可能性もあります。

 セルビア政府が教会と歩調を合わせる場合、ギリシャ政府とセルビア政府の間も緊張し、最近ギリシャへの配慮(?)を見せているロシア連邦の姿勢も再転換というか本音というかに戻るかもしれません。
 トルコ政府との対立のために味方を多く確保したいギリシャ政府ですが、北マケドニアやそれを支援するブルガリアなどとっくの昔からギリシャの経済的植民地であり、たいして役に立ちません(ブルガリアは親ロシア派を抱えていますし)。

 

東方正教会シスマ2020:モンテネグロ議会選挙でジュカノヴィッチ大統領与党敗北(2020年8月)野党連合の代表の一人は、キリスト教/セルビア正教会の重鎮モンテネグロ府主教アンフィロヒイェ座下に報告

 モンテネグロ議会選挙は野党連合の勝利に終わりましたが、ジュカノヴィッチ大統領はまだまだゴネており余談を許さない状況ではあります。
 ここでは、東方正教会の方面から事態を見ていきます。

 

 もともとモンテネグロは、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の管轄権下にあります。
 一方、同国には、教会法上合法でない勢力が結成したモンテネグロ正教会が存在します。
 ジュカノヴィッチ大統領はこの集団を利用し、コンスタンティノープルから独立正教会として認めるトモスを得て政治に役立てようとしましたが(いわゆるウクライナモデル)、この集団の首座“ミハイロ府主教”がコンスタンティノープルの不興を買っている人物であったこともあり、こちらの計画は進んでいませんでした(ミハイロ府主教は承認に自信を見せたりしていましたが……)。

 一方、ジュカノヴィッチ大統領は、同国のセルビア正教会モンテネグロ府主教庁【モンテネグロおよび沿海の府主教庁】の教会財産を強制接収する法案を通しました。
 これに対する抗議行動は、他の多数の抗議行動と結ぶ付き、今回の選挙結果につながっています。

 選挙後、野党連合の代表の一人ズドラヴコ・クリヴォカピッチ氏(Zdravko Krivokapić)は、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)を選挙後訪問、祝福を求めたようです。

 

Susret Amfilohija i Krivokapića posle izbornog trijumfa opozicije – YouTube

 

 同府主教庁の公式サイトでは、「キリスト復活! モンテネグロ復活!【ハリストス復活! ツルナ・ゴーラ復活!】」などの文字が踊り、ジュカノヴィッチ政権の弾圧終了に向けた選挙結果を祝っていました。
 ただし、組閣は10月予定であり、ジュカノヴィッチ大統領がおとなしくしているとも思われていません。
 まだまだ予断を許さない状況の中、(あとで記事にしますが)北マケドニア共和国の大統領がコンスタンティノープルに対し自国の教会法上合法でない集団を独立正教会として認めるよう要請したというニュースが出てきました。
 どちらもセルビア正教会の管轄権下にある領域である以上、片方の状況がもう片方に強く影響することは言うまでもありません。
 「シスマはシスマは呼ぶ」とは有名な言葉ですが、モンテネグロが落ち着くかどうかはまったく見通せません。

 

関連:
 東方正教会シスマ2020:北マケドニア大統領ペンダロフスキ閣下が、キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下に対し、同国の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”を独立正教会として認めるよう要請したと報道(2020年9月)

 訃報(2020年10月30日):キリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下が永眠(1938~2020)新型コロナウイルス感染症【COVID-19】の治療で入院との既報