キリスト教/キプロス大主教ゲオルギオス座下が、モンテネグロ大統領ヤコフ・ミラトヴィッチ閣下と会見(2024年6月)本音か、報道の誤りか、大主教への批判も

 2024年6月7日、キリスト教/東方正教会/キプロス大主教ゲオルギオス座下(His Beatitude Archbishop GeorgeGeorgios】 of Cyprus)は、同地を訪問したモンテネグロ大統領ヤコフ・ミラトヴィッチ閣下(His Excellency Jakov Milatović)と会見しました。

 

XユーザーのJakov Milatovic 🇲🇪🇪🇺さん: 「Tokom zvanične posjete Kipru, razgovarao sam sa poglavarom Kiparske pravoslavne crkve Njegovim visokopreosveštenstvom Arhiepiskopom Georgijem. U izazovnim geopolitičkim trenucima sa kojima se svijet danas susrijeće, jačanje dijaloga i bolje razumijevanje među narodima ključni su https://t.co/SQocR2uWa7」 / X
https://x.com/JakovMilatovic/status/1798990675133804946

 

Jakov Milatović – Tokom zvanične posjete Kipru, razgovarao… | Facebook

 

 初期の一部報道が、ゲオルギオス大主教が、大統領に対し、モンテネグロに独立正教会を設置するように求めるようなものとして広まりました。

 (英語)President of Montenegro visits Holy Archdiocese of Cyprus | Orthodox Times (en)

When asked about the potential for further cooperation between the Churches of Cyprus and Montenegro, the Archbishop noted their shared faith. “The Church of Montenegro is not yet autocephalous. I believe that the bond that exists among all Orthodox Churches applies to us as well. When, with God’s help, they achieve autocephaly, our relations will develop further. In any case, we share a
common faith,” he concluded.

 

 これに対し、ゲオルギオス大主教は、発言を事実上否定しました。

 (英語)Archbishop of Cyprus: There is no question of the autocephaly of the Church in Montenegro | Orthodox Times (en)

I explicitly stated that our relations are with the autocephalous Churches, emphasizing that the Church in Montenegro is not autocephalous. With this statement, I did not imply, nor do I imply, that we expect or support an Autocephalous Church in Montenegro.

 

 キリスト教/東方正教会/セルビア正教会のモンテネグロ・沿海府主教ヨアニキイェ座下(His Eminence Metropolitan Joanikije of Montenegro and the Littoral)は、批判をしつつも、さらなるコメントを避ける旨を述べたようです。

 (セルビア語:モンテネグロ・沿海府主教庁 公式ウェブサイト)Митрополит Јоаникије о изјави Архиепископа Кипарске Православне Цркве | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 (英語)Metropolitan of Montenegro: Inappropriate statement made by Archbishop of Cyprus | Orthodox Times (en)

 

 (英語)Archbishop of Cyprus Clarifies Remarks on Orthodox Church in Montenegro – Orthodoxy Cognate PAGE

 

 今回の大主教の発言は、存在しなかったものなのか、なんらかの観測球なのか。
 今のところは、否定を信じるしかないというところですが、セルビア正教会からは揺さぶりをかけてきていると思われれているでしょう。

 

関連:
 “モンテネグロ正教会”の ボリス府主教派 の首座“ボリス府主教”が、コンスタンティノープルと連絡を取っていると主張し、独立正教会への承認に自信を見せている模様(2024年5月)

“モンテネグロ正教会”の ボリス府主教派 の首座“ボリス府主教”が、コンスタンティノープルと連絡を取っていると主張し、独立正教会への承認に自信を見せている模様(2024年5月)

 内紛が続き、もともとの首座である“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)と“ボリス府主教”の二人の首座が争っているモンテネグロ正教会ですが、ウクライナのメディアが(なぜか)ボリス府主教のほうにインタビューをした模様。

※ミハイロ府主教の方はコンスタンティノープルから破門されているからでしょうか?

 ボリス府主教は、コンスタンティノープルと連絡を取っていると主張し、独立正教会への承認に自信を見せている模様です。

 

 (英語)Montenegrin schismatics also claim the Tomos from the Patriarch of Constantinople – Raskolam.net

Raskolam.net – Чорногорські схизматики також претендують… | Facebook

 

関連:
 キリスト教/キプロス大主教ゲオルギオス座下が、モンテネグロ大統領ヤコフ・ミラトヴィッチ閣下と会見(2024年6月)本音か、報道の誤りか、大主教への批判も

キリスト教/セルビア総主教ポルフィリイェ聖下が、モンテネグロ大統領ヤコフ・ミラトヴィッチ閣下を訪問(2023年10月)

 2023年10月14日、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教ポルフィリイェ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Porfirije, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)は、モンテネグロを訪問、モンテネグロ大統領ヤコフ・ミラトヴィッチ閣下(His Excellency Jakov Milatović)と会見しました。

 同教会の、モンテネグロ・沿海府主教ヨアニキイェ座下(His Eminence Metropolitan Joanikije of Montenegro and the Littoral)らが同行。

 

Predsjednik Crne Gore(モンテネグロ大統領府 公式チャンネル):
Predsjednik Milatović upriličio sastanak i ručak u čast patrijarha srpskog gospodina Porfirija – YouTube

 

 (セルビア語:セルビア正教会 公式ウェブサイト)Патријарх српски Порфирије разговарао са председником Црне Горе Јаковом Милатовићем – Српска Православна Црква
 (モンテネグロ語:モンテネグロ大統領府 公式ウェブサイト)Predsjednik Milatović upriličio sastanak i ručak u čast patrijarha srpskog gospodina Porfirija

 (英語)President of Montenegro Received Serbian Patriarch Porfirije – Orthodoxy Cognate PAGE

 

XユーザーのJakov Milatovic 🇲🇪🇪🇺さん: 「Velika je čast da danas imam priliku da ugostim patrijarha srpskog gospodina Porfirija, koji boravi u 🇲🇪 povodom obilježavanja desetogodišnjice od osvećenja hrama Hristovog Vaskrsenja u Podgorici. 1/2 https://t.co/2SFiIV9Og4」 / X

 

“モンテネグロ正教会”の公式ウェブサイトで、「トモスを手に入れる唯一の条件」は「教会が国家の支持を受けること」(2023年10月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない(さらに対立で分裂も起きている)、モンテネグロ正教会(MOC)の、“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)側の公式ウェブサイトで、「トモスを手に入れる唯一の条件」は「教会が国家の支持を受けること」というような文章を含む記事が出ています。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会【ミハイロ府主教側】 公式ウェブサイト)Odgovor Branku Kaluđeroviću | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

 これは要するに、ミハイロ府主教は、元はファナル(コンスタンティノープル)から破門された司祭にすぎないのですが、モンテネグロという国家が認めれば、ファナルから独立正教会として認めるトモスが手に入るだろう、という見解です。
 (対立しているボリス府主教派の立場は、ファナルから破門された人物がトップにいるとトモスが手に入らないだろうという見解)

 これを一笑に付すのは簡単ですが、ラトビアで政府主導で“独立正教会”が成立した(というか宣言した)ということを考えると……(ラトビア正教会の独立は、どこもまだ認めてないようですが)。

 どちらにせよ、外部と関係なく分裂に陥っているモンテネグロ正教会の未来は明るいものでもないでしょう。

“モンテネグロ正教会”の新たな首座を称している“ボリス府主教”が礼拝でモスクワ総主教やセルビア総主教の名前を挙げたと、“ミハイロ府主教”側が非難(2023年10月)

 キリスト教/東方正教会系統の、主流の教会からはどこからも教会法上合法と認められていない、モンテネグロ正教会(MOC)で、新たな首座を称している“ボリス府主教”が礼拝でロシア正教会の首座/モスクワ総主教キリル聖下やセルビア総主教ポルフィリイェ聖下の名前を挙げたと、“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)側が非難をしています。

 その礼拝では、ウクライナ人の司祭の“叙聖”もおこなわれたそうですが……。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ正教会【ミハイロ府主教側】 公式ウェブサイト)Raščinjeni vikarni episkop se moli za srpskog i ruskog patrijarha | Crnogorska Pravoslavna Crkva

 

ミハイロ府主教側がアップロードしている動画(転載?)/
Crnogorska Pravoslavna Crkva(モンテネグロ正教会 公式チャンネル):
Bojan Bojović se moli za srpskog i ruskog patrijarha – YouTube

 

 ミハイロ府主教側の非難の根拠は、まあ予想通りなのですが……。

 ただ、ボリス府主教が、モスクワ総主教やセルビア総主教の名を礼拝で挙げたのは、東方正教会の独立正教会の首座は礼拝において自分たちが独立正教会と認めている教会の首座の名前を挙げるので、それに沿ったものでしょう。
 本気でコンスタンティノープルから独立正教会として認めるトモスを手に入れられると思っているのか、という疑問も浮かびますが、体裁を整えているつもりではあるようです。

 ミハイロ府主教は、もともとコンスタンティノープルに破門された司祭なので、近年、首座が変われば(ウクライナの OCU のように)コンスタンティノープルから独立正教会として認めるトモスがもらえるという発想があるようです。
 もともと、ミハイロ府主教は、コンスタンティノープルが自分にトモスを渡すと自信を見せていたのですが、最近では、自分たちの教会組織はそれほど大きくないことを理由にコンスタンティノープルがトモスを渡すはずがないという見解を掲載していたりします。

 

関連:
 “モンテネグロ正教会”で新たな首座が選出されたとの報道。これまでの首座“ミハイロ府主教”はこの動きを否定(2023年9月)