キリスト教/アルメニア使徒教会の第85代コンスタンティノープル総主教にサハク・マシャリャン主教座下が選出された模様(2019年12月)

 キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会の第85代コンスタンティノープル総主教にサハク・マシャリャン主教座下(His Beatitude Bishop Sahak Mashalian)が選出された模様です。

※同総主教座は、アルメニア使徒教会のうち、アルメニア共和国本国を本拠地とする聖エチミアジン母座の管轄権に属し(要するに同総主教がアルメニア使徒教会のトップというわけではありません)、「イスタンブール総主教」あるいは「トルコ総主教」とする表記もあります。

 第84代コンスタンティノープル総主教メスロブ2世ムタヒャン大主教座下(His Beatitude Archbishop Mesrob II Mutafyan, Armenian Patriarch of Constantinople : メスロプ2世ムタフィアン総主教)の永眠に伴い長らく空位となっていましたが、今回、ようやく選出が終わりました。
 同主教座下とアラム・アテシャン大主教座下(His Eminence Archbishop Aram Ateşyan)の二人が候補者となっていたようですが、119票中102票(または103票)という圧倒的票差により、前者が総主教に選出されたようです。

 

Armenian Church(アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式チャンネル):
Bishop Sahak Mashalian Elected Elected as the Armenian Patriarch of Constantinople – YouTube

 全アルメニア人のカトリコス・最高総主教ガレギン2世聖下(His Holiness Karekin IIGaregin II】, Supreme Patriarch and Catholicos of All Armenians)より祝福/
 (英語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式サイト)The Armenian Church – Mother See of Holy Etchmiadzin | Catholicos of All Armenians Congratulated Newly Appointed Armenian Patriarch of Constantinople

 キリキア・カトリコスのアラム1世聖下(His Holiness Aram I, Catholicos of the Great House of Cilicia【Catholicos of the Holy See of Cilicia】)より祝福/
 (英語:アルメニア使徒教会 キリキア・カトリコス庁 公式サイト)HIS HOLINESS ARAM I CONGRATULATES THE NEWLY ELECTED ARMENIAN PATRIARCH OF CONSTANTINOPLE | Armenian Church Catholicosate of Cilicia

 

Ազատություն:
Սահակ եպիսկոպոս Մաշալյանը, ստանալով 103 քվե, ընտրվեց Պոլսո Հայոց 85-րդ պատրիարք – YouTube

 

 (英語)Bishop Sahak Mashalian Elected 85th Armenian Patriarch of Constantinople • MassisPost

Massis PostさんはTwitterを使っています: 「Bishop Sahak Mashalian Elected 85th Armenian Patriarch of Constantinople – https://t.co/wRFxGOdPGl #armenia #armenian https://t.co/roTiOGtCTD」 / Twitter

 

 (英語)Bishop Sahak Mashalian Elected New Armenian Patriarch of Constantinople | News | Orthodoxy Cognate PAGE

OCP® TweetsさんはTwitterを使っています: 「https://t.co/jCMMDaMBgt」 / Twitter

 

 (英語)Armenian FM sends congratulatory message to His Beatitude Bishop Sahak Mashalian – Public Radio of Armenia

 

続報:
 着座式(2020年1月11日):キリスト教/アルメニア使徒教会の第85代コンスタンティノープル総主教サハク・マシャリャン座下の着座式がおこなわれる

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。

 

キリスト教/西欧ロシア正教会大主教区の公式サイトで、反ジャン大主教派(コンスタンティノープル派)とジャン大主教座下が反目する声明を発表し合う不可思議な展開続く(2019年9月)

 キリスト教/東方正教会の愚かしさを世界に知らしめている西欧ロシア正教会大主教区の騒動はまだまだ続きそうです。

 元々はロシア正教会に起源をもち、名称は「西欧ロシア正教会大主教区」というものの、ごちゃ混ぜの集団となっていた同大主教区。
 昨年(2018年)11月ににコンスタンティノープルから一方的に総主教代理区としては廃止され、またその後、大主教区という集団としても存在を否定されました。
 9月14日にジャン大主教座下はコンスタンティノープルを見限りロシア正教会モスクワ総主教庁へ移動することを発表、これに対し反ジャン大主教派というかコンスタンティノープル原理主義者たちが「大主教区のルールによりジャン大主教は首座の資格を失ったのでコンスタンティノープルに首座代行の指名を求めた」という内容を含む声明を公式サイトに掲載(削除済み)、ジャン大主教座下がこれに反論する声明を出す、という展開となっていました。
 今日【9月28日】、同大主教区では会合が予定されており、これで残る人々と離れる人々がだいたい決まって事態は終息に向かうかと思われましたが、なんと反ジャン大主教派がまたも公式サイトに声明を発表、しかもその声明(今回は今のところ削除されないまま。ただしトップページからのリンクははずされている状況)に対しジャン大主教座下が反論する声明を公式サイトでまたも出す、という公式サイトを共有したまま反目を続けるという不可思議な事態が続いています(このサイトの主旨からは外れますが、セキュリティリスクや公共の団体として登録していることも含め極めてよろしくない状況です。またこんな有様では大主教区の財産に関する裁判が将来始まる可能性も高いでしょう)。
 その反ジャン大主教派の声明ですが、コンスタンティノープルは首座代行にフランス府主教エマニュエル座下を指名したので、9月30日に会合を開催するという内容のものです。コンスタンティノープル側は大主教区は「解体された」「存在しない」などと発言してきましたが、(これが反ジャン大主教派のフェイクニュースでないならば存在しないと宣言したものに首座代行を設置してきたということで失笑ものです。さすが、「彼らの脳内にしかない永遠のビザンチウムに暮らしている」と皮肉を言われる集団ですが、なに、東方正教会の他の主流の教会もその脳内ビザンツ帝国で暮らす連中と結局は縁が切れない人々で、コンスタンティノープルを批判する資格などあるのかどうか。
 ジャン大主教座下側の声明は、上で書いたような内容(コンスタンティノープル側の立場のいい加減さ)や、反ジャン大主教派の理屈のおかしい部分を指摘していますが、この不毛なやり取りだけでも伝統的なキリスト教とやらに価値があるのかどうか疑問に思えます(本当のところは誰も何も信じてないんでしょうかね)。ジャン大主教座下は以前の発言(インタビュー記事(ロシア語):キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下からの事実上の離脱を決めた西欧ロシア正教会大主教区のジャン【イオアン】大主教座下「理想的な教会は無い。ローマ・カトリック教会の現状を見るがいい」(2019年2月))で理想的な教会は存在しないと主張していましたが、シスマ2018から将来の東方正教会の滅亡まで続くげんなりする展開への言い訳を先にしていたと評価されるのではないかという気がしてきました。

 

※反ジャン大主教派の声明。削除される可能性があるので画面キャプチャもしておきます。追記:削除されました
掲載時URL:http://www.archeveche.eu/spip.php?article2422

En réponse à cette demande, le Secrétariat général du Saint-Synode du Patriarcat œcuménique de Constantinople a notifié au Métropolite Emmanuel de France sa désignation comme Locum Tenens.

En cette qualité, le Métropolite Emmanuel réunira le Conseil de l’Archevêché, le lundi 30 septembre à 17 heures, à la date qui avait été arrêtée par le Conseil lors de sa dernière réunion du 30 août 2019.

Tous les membres élus du Conseil, les six membres clercs et les six laïcs, sont invités à cette importante réunion.

Pour le Conseil :

Prêtre Christophe D’Aloisio

Archiprêtre Alexandre Fostiropoulos

Alexis Obolensky

Elisabeth von Schlippe

Archiprêtre Serge Sollogoub

Alexandre Victoroff

Didier Vilanova

 

※ジャン大主教座下による反論の声明
 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Annonce

 

キリスト教/アルメニア使徒教会のコンスタンティノープル総主教選出にトルコ当局が条件。「トルコ出身かつトルコで活動している聖職者(?)でないとダメ」(2019年9月)

※2019年10月26日16時過ぎに全体に修正を加えています。

 

 予想されていたことではありますが、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会の新たなコンスタンティノープル総主教に選出に、トルコ共和国当局(内務省)が条件を付け加えてきました。
 1863年の規定によると、トルコ生まれのアルメニア人聖職者であればどこの国で活動していても候補者となれたものが、今回の決定で、トルコ以外で活動していると立候補できない(つまりアルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教庁内の所属であることが必要)とされた、ということになります。

 高位聖職者でこの条件を満たすのは二名(三名?)のみということです。
 二名となると、アルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教代行のサハク・マシャリャン主教座下(Bishop Sahak Mashalian)と前総主教代理(または代行)のアラム・アテシャン大主教座下(His Eminence Archbishop Aram Ateşyan)ですが、三名となるとあと一人いる、ということになります。

 またモメそうではありますが、必ずしもトルコ共和国当局の意見が通るわけでもないので、情勢を見守っていきます。

※なお(これからずっと追記すると思いますが)公式サイトや報道などで「トルコ総主教(庁)」として言及されていることが多くなってきていますが(イスタンブール総主教(庁)も)、とりあえず伝統を考慮して「コンスタンティノープル総主教(庁)」という表記を文中ではメインにしていきます。

 

 (トルコ語:アルメニア・トルコ総主教庁公式サイト)DUYURU | Türkiye Ermenileri Patrikliği |

 

 (英語)Turkey meddles in Armenian Patriarch election, changes conditions – PanARMENIAN.Net
 (英語)New Obligations for Patriarch Candidates 'Attempt to Usurp Right to be Elected' – Pınar Tarcan – english
 (英語)Turkey interior ministry sends regulations for election of new Armenian Patriarch of Constantinople

 

キリスト教/コンスタンティノープルよりロシア正教会に移動した西欧ロシア正教会大主教区の会合が9月28日に予定とのこと(2019年9月)どれだけが大主教区に留まるかが焦点

 ロシアの正教会メディア ORTHODOX CHRISTIANITY (OrthoChristian.Com)によりますと、9月28日に、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルからロシア正教会に移動した西欧ロシア正教会大主教区の会合が予定されているようです。

 

 (英語)Archdiocese of Western Europe to hold Pastoral Assembly to confirm attachment to Moscow Patriarchate / OrthoChristian.Com

 

 すでに、フランス共和国レンヌの小教区が大主教区を離脱してコンスタンティノープルの管轄権下に留まることを決定しているほか、ベルギー王国ブリュッセルの小教区がルーマニア正教会に移動する模様です。
 離脱者が出るのは当然視されていたことですので、どれだけの割合が大主教区に残るのを選ぶかが焦点となりそうです。

 なお、レンヌは「ブルターニュ司祭長区(Deanery of Brittany)」に含まれ、ブリュッセルは「ベネルクス司祭長区(Deanery of Benelux)」に含まれます。
 離脱者の割合によっては、司祭長区の再編がおこなわれる可能性もないわけではありません。