キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下が、ペーチ総主教修道院(コソボ)を訪問(2019年4月)

 2019年4月12日、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)は、コソボにあるペーチ総主教修道院訪問を開始しました。

 

Телевизија Храм:
Патријарх Иринеј стигао у Пећку Патријаршију. Наредних дана са Србима на КиМ. – YouTube

 

キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下がセルビア大統領・首相・外相の三人と会見、コソボ情勢に関して説明を受ける(2019年3月)三者との同時会見は異例か

 2019年3月10日、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)は、セルビア共和国ベオグラードの総主教庁にて、
 セルビア共和国大統領アレクサンダル・ブチッチ閣下(ヴチッチ大統領 : His Excellency Mr Aleksandar Vučić)、
 セルビア共和国首相アナ・ブルナビッチ閣下(Her Excellency Ms Ana Brnabić)、
 セルビア共和国外務大臣イビツァ・ダチッチ閣下(イヴィツァ・ダチッチ外相・元首相 : Ivica Dačić)、
 と会見、コソボ共和国【コソボ・メトヒヤ】に関する情勢についてセルビア側の立場に関する説明(コソボ政府は2013年のブリュッセル合意に違反している、など)を受けたようです(細かいことを確認していませんが、コソボにいるセルビア人への犯罪について、コソボ政府側が正しい対応をしていない、とされる事件があったとのセルビア側の報道をちらりと見た気がします)。
 また、イリネイ聖下は、国と宗教がこの問題について見解を共有することは重要だと述べたようです。

 大統領や首相・大臣らが単独で総主教を訪問したりするのはたまにあることですし、礼拝などに集合することもありますが、政治的・外交的な問題について三者が同時に訪問して会談するのは異例かと思います。

 

 (英語:セルビア正教会公式サイト)Serbian State leadership received in audience by the Serbian Patriarch | Serbian Orthodox Church [Official web site]
 (英語:セルビア政府公式サイト)Unity of state, church about Kosovo-Metohija important
 (英語)Meeting between Patriarch Irenej of Serbia with president Vucic on Kosovo – Romfea News

 (セルビア語:セルビア正教会公式サイト)Државно руководство код Патријарха српског | Српскa Православнa Црквa [Званични сајт]
 (セルビア語:モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Државно руководство Србије код Патријарха Иринеја | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 (セルビア語:セルビア大統領府公式サイト)Састанак са Његовом светости патријархом српским г. Иринејом и члановима Светог архијеријског Синода Српске православне цркве | Председник Републике Србије
 (セルビア語:セルビア政府公式サイト)Важно јединство државе и цркве о Косову и Метохији

 

Александар Вучићさんのツイート: "Захавалан сам патријарху и члановима Синода СПЦ, који су имали воље да нас саслушају. Ми смо донели патријарху и осталима текст палтформе коју су косовски Албанци усвојили за потребе прекида дијалога са Београдом и рекли колико је тешка ситуација у којој се Србија налази.… https://t.co/UyRTPWnWny"

 

追記:
 セルビア正教会側から、
 ザグレブ=リュブリャナ府主教ポルフィリエ座下(His Eminence Metropolitan Porfirije of Zagreb-Ljubljana)、
 バチュカ主教イリネイ座下(His Grace Bishop Irinej of Bačka)、
 シュマディヤ主教ヨヴァン座下(His Grace Bishop Jovan of Šumadija)、
 ヴァリェヴォ主教ミルティン座下(His Grace Bishop Milutin of Valjevo)、
 が同席の模様。

 

キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下とセルビア総主教イリネイ聖下が、セルビア正教会のラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区を訪問(2018年10月)ペーチ総主教修道院やデチャニ修道院で出迎えを受ける

 2018年10月17日、セルビア共和国を訪問中のキリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)は、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)とともに、コソボにあるセルビア正教会のラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区(Serbian Orthodox Diocese of Raška-Prizren and Kosovo-Metohija)を訪問したようです。
 ペーチ総主教修道院やデチャニ修道院で出迎えを受け、セルビア正教会のラシュカ・プリズレン主教テオドシイェ座下(His Grace Bishop Teodosije of Raška and Prizren)らと会見。

追記:
 そのほか、グラチャニツァ修道院を訪問。

 

Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and all the East(東方正教会アンティオキア・東方全土総主教庁公式チャンネル):
البطريرك يوحنا العاشر يتفقّد المقر البطريركيّ التاريخيّ للكنيسة الصربيّة الأرثوذكسيّة في كوسوفو – YouTube

 

Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and all the East(東方正教会アンティオキア・東方全土総主教庁公式チャンネル):
البطريرك يوحنا يزور دير غرتشانيتسا في كوسوفو – YouTube

 

Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and all the East(東方正教会アンティオキア・東方全土総主教庁公式チャンネル):
البطريرك يوحنا العاشر يقيم صلاة الشكر في دير فيسوكي ديتشاني التاريخيّ_ كوسوفو – YouTube

 

Епархија рашко-призренска и косовско-метохијска(ラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区公式チャンネル):
Беседа Владике Теодосија на дочеку Српског и Антиохијског Патријарха у Високим Дечанима – YouTube

 

Епархија рашко-призренска и косовско-метохијска(ラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区公式チャンネル):
Дочек Српског и Антиохијског Патријарха у Манастиру Високи Дечани (17. октобар 2018) – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарх српски г. Иринеј и Патријарх антиохијски г. Јован Х у Пећкој Патријаршији – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарх Јован X и Патријарх Иринеј свечано дочекани у Високим Дечанима – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патриjарх Иринеј са Косова о Косову – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарси Јован и Иринеј посетили Грачаницу – YouTube

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Patriarchs John of Antioch and Irinej of Serbia on Kosovo and Metochia | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Патријарси Јован и Иринеј на Косову и Метохији | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

СРПСКИ И АНТИОХИЈСКИ #ПАТРИЈАРХ СТИГЛИ У… – Епархија Рашко-призренска | Facebook

 

キリスト教/アトス山ヒランダル修道院長メトディイェ掌院が、セルビア正教会のラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区を訪問(2018年10月)

 キリスト教/東方正教会/聖地アトス山のヒランダル修道院の修道院長メトディイェ掌院(Archimandrite Metodije, abbot of the Chilandar Monastery)が、セルビア正教会のラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区(Serbian Orthodox Diocese of Raška-Prizren and Kosovo-Metohija)を訪問したようです。
 キリスト教/東方正教会/セルビア正教会のラシュカ・プリズレン主教テオドシイェ座下(His Grace Bishop Teodosije of Raška and Prizren)らと会見。

 

Епархија рашко-призренска и косовско-метохијска(ラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区公式チャンネル):
Хиландарски Игуман посетио Призренску Богословију (15. октобар 2018) – YouTube

 

Епархија рашко-призренска и косовско-метохијска(ラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区公式チャンネル):
СЛАВНИ ГРАДЕ: Владика Теодосије, Хиландарски Игуман и ученици призренске Богословије – YouTube

 

Епархија рашко-призренска и косовско-метохијска(ラシュカ=プリズレン・コソボ=メトヒヤ教区公式チャンネル):
Честице моштију Светих Кирила и Методија у Призренској Богословији – YouTube

 

Телевизија Храм:
Хиландарски Игуман посетио Призренску Богословију – YouTube

 

Телевизија Храм:
Посета архимандрита Методија манастиру Високи Дечани 14 10 2018 – YouTube

 

Епархија Рашко-призренска – У Косовску Митровицу стигла копија чувене Иконе Богородице Вратарница са Свете Горе | Facebook

 

Епархија Рашко-призренска – Хиландарски Игуман посетио Призренску Богословију (15. октобар 2018) | Facebook

 

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Владика Теодосије, хиландарски игуман и призренски богословци: Славни граде (видео) | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

キリスト教/セルビア正教会の重鎮モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下へのインタビュー記事(2018年9月)

 キリスト教/セルビア正教会/モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイトに、セルビア共和国の「Политика(Politika)」によるモンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)へのインタビュー記事が掲載されています。

※同ニュースの公式サイトに記事が見当たらないので、元記事は今のところ紙媒体なのかと思います。教会の公式サイトに転載したら意味ない気もしますが……。

 

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Политика: Интервју Митрополита црногорско-приморског г. Амфилохија | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 内容ですが、モンテネグロ政府との地所の返還かなにかに関する問題について、カトリックや、イスラム教、ユダヤ教も絡んで解決していない、という問題が最初に出ていますが、以降はモンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下(His Excellency Mr Milo ĐukanovićМило Ђукановић)への批判、大統領への批判、そして大統領への批判、と最後に少しだけシスマの話という内容でした。
 シスマの内容メインかなと思ったんですが……まだまだ他人事のようです。

 大統領への批判の内容ですが、大統領がセルビア正教会のモンテネグロ・プリモルスカ府主教庁を「大セルビア主義」「ロシアの手先」などとしていることについて、大統領を「チトー系のマルクス主義者」「教会についてなにもわかっていない」と応酬しているようです。
 また、「私にとってはモンテネグロはペトロヴィッチ=ニェゴシュ王朝のニコラ1世王まで続く東方正教会の国だが、ジュカノヴィッチ大統領にとってはチトーによる反宗教・反東方正教会の国だ」というようなことも述べていると思います(モンテネグロ王国もチトーのユーゴスラビアも滅んでいるじゃないかということはさておき)。
 (ちなみに「大統領は私の友で、私の兄弟で、セルビア人の兄弟だ」とも述べています)

 セルビア共和国から“独立”したコソボについては極めて批判的かつ否定的(詳細がよくわかりませんが【読解力不足】、モンテネグロ人に関連する聖堂がいくつか破壊されたのだと思います)。

 

 さて、“シスマ”に関するコメントですが、

関連:
 【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 末尾に少しだけあるだけです。
 記者がウクライナでの問題のモンテネグロへの影響を尋ねたのに対し、そもそも“キエフ総主教庁”が、モンテネグロにおける教会法上合法でない教会「モンテネグロ正教会(Montenegrin Orthodox Church : MOC : CPC)」とフル・コミュニオンの状態に、ずっと前になっていることを指摘しています。
 また、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下は、ウクライナに独立正教会を設置しようとしているものの、仮にキエフ総主教庁が独立を認められても、それとフル・コミュニオンにある上記の「モンテネグロ正教会」の首座ミハイロ府主教との関係回復はありえないという見通しを述べています。
※ミハイロ府主教は、コンスタンティノープルの全地総主教庁から、 excommunication と anathema を受けており(要は完全に破門されており)、これの撤回はありえない、ということです。

 もっとも、これらの内容は、興味のある人ならだいたい知ってることであり、新しい情報はなに一つありません。
※あえていえば、“キエフ総主教庁”と「モンテネグロ正教会」のフル・コミュニオンが現時点でも継続しているであろうことが確認できたくらい。

 また、全地総主教とミハイロ府主教との関係回復はないとしていますが、個人的な意見としては、今の全地総主教庁ならなにをやっても不思議ではない気がします。

※もともとミハイロ府主教を主教に叙聖したのはブルガリア正教会から分離した「ブルガリア正教会代替シノド(Bulgarian Orthodox Church – Alternative Synod)」の主教だったと思いますが、このシノドがブルガリア正教会との関係正常化を図っていたはずで(どうなったのかいまいちわからないのですが)、仮に叙聖した主教がブルガリア正教会に戻っているとするとミハイロ府主教の主教叙聖が有効化される可能性があるかもしれません。