キリスト教/ロシア正教会の今年最後の聖シノド会合はじまる(2019年12月)アレクサンドリア総主教庁とのコミュニオン解除があるかどうかが注目

 2019年最後となる、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の聖シノド会合が始まりました。
 アレクサンドリア総主教庁とのコミュニオン解除があるかどうかが注目です。

関連記事:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 

russianchurch(ロシア正教会モスクワ総主教庁公式チャンネル):
Началось последнее в 2019 году заседание Священного Синода Русской Православной Церкви – YouTube

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Святейший Патриарх Кирилл возглавил последнее в 2019 году заседание Священного Синода Русской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru

 

 ロシア正教会聖シノドのメンバーは、

  • ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)
  • ウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)
  • クルチツィ・コロムナ府主教ユヴェナリー座下(His Eminence Metropolitan Juvenaly of Krutitsy and Kolomna)
  • モルドバ正教会の首座/キシナウ・全モルドバ府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)
  • アスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander of Astana and Kazakhstan)
  • タシケント・ウズベキスタン府主教ヴィケンティー座下(His Eminence Metropolitan Vikentiy of Tashkent and Uzbekistan)
  • サンクトペテルブルク・ラドガ府主教ヴァルソノフィー座下(His Eminence Metropolitan Varsonofy of St. Petersburg and Ladoga)
  • ベラルーシにおける総主教代理【ベラルーシ正教会首座】/ミンスク・ザスラーヴリ府主教パーヴェル座下(His Eminence Metropolitan PaulPavel】of Minsk and Zaslavl, The Patriarchal Exarch of All Belarus)
  • モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))
  • ヴォスクレセンスク府主教ディオニシー座下(His Eminence Metropolitan Dionisiy of Voskresensk)

 上記が固定メンバーで、さらに五名が半年間の任期で参加します。

 

追記:
 会合前の話ですが、イラリオン府主教座下は、アフリカへの小教区設置の可能性についてコメントしたようです。

 (英語)Interfax-Religion: Russian Orthodox Church could open parishes in Africa if Patriarchate of Alexandria sides with Ukrainian schism – Metropolitan Hilarion (updated)

 

続報:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、記者会見にてあらためて UOC-KP を守る意向を表明(2019年12月)国連へ訴えるとの話も

 2019年12月13日、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の首座、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会(OCU)による UOC-KP 及びウクライナ独立正教会【UAOC】の消滅の宣言の後も、引き続き信教の自由などに基づき UOC-KP を守っていく考えを記者会見で表明しました。
 報道では、ウクライナ政府以外にも、国連や OSCE に訴える意向ともあり、ウクライナ国内外が(西側諸国からみれば)人権侵害だらけの現状では、これはまたなにか面倒ごとを引き起こすかもしれません。

 正直、ここまでくれば、フィラレート総主教が元の影響力を取り戻すことはありえないと思いますが、彼を蹴落とした人々を道連れにする可能性はまだなくなっていない(コンスタンティノープルや東方正教会全体を含む)と思えます。

 2019年12月20日には、また支持者を集めたフォーラムを開くそうですが……。

 

Укрінформ:
На захист Київського Патріархату – YouTube

 

 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Відбулася прес-конференція Патріарха Філарета щодо останніх подій в Українському Православ’ї – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Филарет анонсировал форум в защиту "Киевского патриархата"
 (英語)Filaret announces a UOC-KP protection forum and aims to turn to UN and OSCE – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”公式サイトに“フィラレート総主教”へのインタビューが掲載(2019年9月)コンスタンティノープルを批判

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の公式サイトに、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)へのインタビュー記事が掲載されています。
 記事によれば、ジャーナリストによるインタビューのようです。

 

 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет: «В Українській державі повинна бути дійсно незалежна автокефальна Церква» – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 (英語)Filaret: Pat. Bartholomew asked President to speed up liquidation of UOC-KP – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Filaret: Patriarch Bartholomew seeks absolute power in Orthodoxy – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Philaret effectively admits to election tampering, claims Epiphany became primate thanks to him / OrthoChristian.Com

 

 内容は、これまでに比べれば整理されており、この一年いうことがコロコロ変わったり、これまでの行動のまずいところがうまく(?)スルーされているような気がするようなところ、そしてそもそも教会にナショナリズムは必要なの?という根本的なことを除けば、ある程度の説得力はあるのではないかと思います。

 フィラレート総主教によれば、まず彼はロシア正教会モスクワ総主教庁に独立正教会としてくれるように請願したが、これははねつけられたということです。
 そのためコンスタンティノープルを頼ったが、彼らはずーっとグズグズしたあげく、事実上独立を認めていない内容のトモスを渡してきた。それはコンスタンティノープルを絶対的な権力として確立させるためだ、としています。数年前の東方正教会全体の会合で、ロシア正教会、アンティオキア総主教庁、ブルガリア正教会、ジョージア正教会【グルジア正教会】、が欠席しましたが、これはコンスタンティノープルが自らの権力を絶対にしようとしたためであるとし、欠席したロシア正教会などの立場を支持しています(!)。
 また、なぜ「総主教」にこだわるかといえば、ポーランド正教会のように府主教を首座とする独立正教会というのは可能だが、府主教は必ずしも独立正教会の首座というわけではない。「総主教」ならば必ずそうだ、ということです(なぜ総主教にこだわるかについてもこれまで発言が変わったりしているので話半分に聞いていけばいいのですが、確かに総主教と認めた相手にあの内容のトモスを渡すのはムチャ度が増すとは思います)。
 ポロシェンコ(元)大統領については、選挙目当てだったとまたも批判、というか事実を指摘
 その他、欧州を批判したりしていますが、結論としては、ウクライナには、モスクワからもコンスタンティノープルからも真に独立(independent)した「独立正教会(autocephalous church)」が必要だということです。

 

 理屈の展開はわからないでもありませんが、そもそも国単位で独立教会を作らねばならないというのは東方正教会全体では合意されていないというのはどうでもいいとしても、モスクワとコンスタンティノープルを共に敵に回していったいどこに独立正教会として認定してもらおうというのか。もらったとしてなんなんだというのがさっぱりわからないところです。

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ウクライナ駐箚スロバキア大使館の催しに臨席(2019年9月)

 2019年9月12日、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の公式サイトによりますと、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、ウクライナ駐箚スロバキア共和国特命全権大使マレク・シャフィン閣下(Marek Šafin)の招待により、スロバキア大使館での催しに臨席したようです。

 

 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Святійший Патріарх Філарет взяв участь у прийнятті посольства Словаччини – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 

Святійший Патріарх Філарет взяв участь у… – Київський Патріархат УПЦ | Facebook