東京でキリスト教/ルーマニア正教会の聖堂が成聖される(2020年11月)同教会の西欧・南欧大主教ヨシフ座下【イオシフ府主教】、日本正教会首座/全日本府主教ダニイル(主代郁夫)座下が臨席

 2020年11月3日、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会日本支部の聖堂の成聖式がおこなわれたようです。
 同教会の西欧・南欧府主教ヨシフ座下(イオシフ府主教 : His Eminence Metropolitan Iosif of Western and Southern Europe)が来日、
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会下で自治的な権限を持つ日本正教会【日本ハリストス正教会】の首座/東京大主教・全日本府主教ダニイル座下(His Eminence Daniel【Daniil】, Archbishop of Tokyo, Metropolitan of All Japan : 主代郁夫ぬしろ いくおIkuo Nushiro)が臨席したようです。

 

 News&Topics | ルーマニア正教会 聖堂成聖式日本正教会|ハリストス正教会 The Orthodox Church in Japanより)

 (英語:ルーマニア正教会通信)Consecration of the Romanian Orthodox Church in Tokyo – Basilica.ro

 

Basilica.ro (EN)さんはTwitterを使っています 「Consecration of the Romanian Orthodox Church in Tokyo https://t.co/rozs249VqP #Orthodox #Romanian #Diaspora #Japan https://t.co/TREaalg4aG」 / Twitter

 

The service was officiated by Romanian… – Basilica News Agency | Facebook

 

 やや枠外の話ですが、興味深いのは、ギリシャの正教会系メディア OrthodoxTimes ( Romfea.gr の英語版)が 11月7日 付でこの件をルーマニア正教会通信の情報を引用する形で報じていたのですが、その後記事が削除されたことです。
 コンスタンティノープルによる、日本に対するロシア正教会の管轄権を認めず、またルーマニア正教会がそれを認めることも認めないという意思を受けてのものとも推察できます。
 もちろん、単純に別の理由かもしれませんが、東方正教会全体からみれば世界の片隅の日本の聖堂の成聖式でコンスタンティノープルとモスクワのシスマがすぐ連想されるというのはなんともいえないものです。

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下の追悼式(2020年11月)

 2020年11月3日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)は、2020年10月30日に永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮、モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)の追悼式をおこないました。

 

Радио Светигора:
Помен Васељенског патријарха Митрополиту Амфилохију у Цариграду – YouTube

 

 (セルビア語:セルビア正教会 モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイト)Патријарх Вартоломеј служио помен Митрополиту Амфилохију у Цариграду | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 これまで、セルビア正教会のモンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトには、コンスタンティノープルからの弔意の表明を受けた記載はなく(ギリシャ正教会、キプロス正教会、アレクサンドリア総主教庁、エルサレム総主教庁、も記載なし)、また葬儀においては、ロシア正教会モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会から共同司式でボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)が臨席したことにより、コンスタンティノープルおよび上記の教会のうちエルサレム総主教庁以外は主教が共同司式をおこなうことができない状態になっていました(コンスタンティノープルはモスクワ総主教庁側からコミュニオンを解除されており、他の教会は首座がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認したためほぼ同様)。
 この状況下で、コンスタンティノープルが追悼式をおこなったことと、モンテネグロ・沿海府主教庁 公式サイトがそれを報じた(動画を引用して)ことは、両者とも縁を切るつもりはないということを示しています。
 しかし、北マケドニア共和国(セルビア正教会の管轄権下)の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”の承認をめぐって、いずれ決裂する可能性は高いと思われます。
 今回の追悼式が、両者のこの手の付き合いの最後になるかもしれません。

 

関連:
 ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下が、永眠したキリスト教/セルビア正教会の重鎮/モンテネグロおよび沿海の府主教アンフィロヒイェ座下への弔意を表明(2020年11月)

 

動画:キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ウクライナ・ラジオのインタビューにこたえる映像(2020年10月)

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)が、ウクライナ・ラジオのインタビューに答えています。

 

UA: Українське радіо:
Спеціальне інтерв‘ю у рамках програми «Сьогодні.Ввечері». Гість – Патріарх Філарет. – YouTube

 

 (ウクライナ語:キエフ総主教庁 公式サイト)Патріарх Філарет про Томос ПЦУ, аборти, одностатеві шлюби та коронавірус в ефірі Українського радіо – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 

 内容はいつもの正教会の混乱に関するものや、人工妊娠中絶、同性結婚にまでいたりますが、だいたいその辺りは聞かなくても回答はわかりきっているので割愛(ローマ教皇フランシスコ聖下のコメントについても答えていますが、それもまあ聞かなくてもわかりきっている回答です)。
 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの生還については、医師たちに感謝を述べています(この生還は、我々が思うより強い影響を持ってくるかもしれません)。

 フィラレート総主教は、コンスタンティノープルに「フィラレートの主張を認めないと、対モスクワで不利になってしまう」と思わせれば、コンスタンティノープルによって総主教と認められ、国外のウクライナ人の管轄も承認される可能性はあります。ありますというか、それを狙っているのでしょう。
 そうなるかどうかはわかりませんが、もはやどうなっても不思議ではない東方正教会です。

 

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、ロシア連邦駐箚ドイツ連邦共和国特命全権大使ゲーザ・アンドレアス・フォン・ガイヤー閣下と会見(2020年10月)

 2020年10月13日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、ロシア連邦駐箚ドイツ連邦共和国特命全権大使ゲーザ・アンドレアス・フォン・ガイヤー博士閣下(His Excellency Dr Géza Andreas von Geyr)と会見しました。

 会談では東西ドイツ統合30周年、ドイツでのロシア正教会の活動、モスクワ総主教庁とドイツのキリスト教教会の関係、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】、 中東のキリスト者の現状、ウクライナの正教会の状態、ロシア人とドイツ人の関係強化などが話題に挙がったようです。

 

 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Митрополит Волоколамский Иларион провел встречу с послом Германии в России / Новости / Патриархия.ru

 

ПосольствоГерманииРФさんはTwitterを使っています 「Посол #фонГайр встретился с Митрополитом Иларионом в Отделе внешних церковных связей Московского Патриархата, обсуждались вопросы 🇩🇪-🇷🇺 межобщественных отношений и межрелигиозного диалога. (1/2) https://t.co/JG2J3QegOE」 / Twitter

ПосольствоГерманииРФさんはTwitterを使っています 「Кстати: Православная церковь в Германии объединяет около 2 миллионов верующих и является таким образом 3-й по величине христианской конфессией в стране. Всего в 🇩🇪 насчитывается свыше 70 русских православных общин. (2/2) https://t.co/odEarBqvvH」 / Twitter

 

Посол фон Гайр встретился с Митрополитом… – Посольство Германии в Москве – Deutsche Botschaft Moskau | Facebook

 

Посольство Германии в Москве(@german_embassy_msk) • Instagram写真と動画

 

キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)

関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 上記ニュースに関して、キプロス正教会の、

 レメソス府主教アサナシオス座下(His Eminence Metropolitans Athanasios of Limassol)、
 キッコス・ティリリア府主教ニキフォロス座下(His Eminence Metropolitans Nikiforos of Kykkos)、
 タマソス・オレイニ府主教イサイアス座下(His Eminence Metropolitan Isaias of Tamassos and Oreini)、
 アマサス主教ニコラオス座下(His Grace Bishop Nikolaos of Amathous)、

 の四人が、クリソストモス2世およびコンスタンティノープル(とバルソロメオス総主教)を非難する声明を出しているようです。

 四人のうち、アサナシオス府主教は、クリソストモス2世が礼拝の祈祷中に“エピファニー府主教”の名を挙げたので退出したようです。

 とはいうものの、人数で言えば、四人というのはキプロス正教会の主教以上では(キプロス大主教を含めると)三分の一に満たないので、これ以上の賛同者が集まらなければ押し切られて終わり、以前は違うことを言っていた大主教も含めてこれまでの発言もすべてなかったことになるでしょう。

 

 (英語)Metropolitans’ “attack” on Ecumenical Patriarch, Archbishop of Cyprus for recognition of Ukrainian autocephaly – Orthodox Times

 (英語)Cypriot Metropolitan Athanasios of Limassol left Liturgy in protest over commemoration of Ukrainian schismatic / OrthoChristian.Com
 (英語)“Ignoring and Despising His Own Holy Synod” / OrthoChristian.Com

 (英語)Media: Cyprus bishops oppose the "papal decision" of their Primate on OCU – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

追記:
 他のギリシャ人系教会の主教らより四人の主教の反発は強いようで、「キプロス正教会の教会分裂につながる可能性」や、(はっきりいってはいませんが)キプロス大主教は教会法上合法な主教ではなくなったとまで踏み込んでいます(Romfea.grの英語版である Orthodox Times はここまでの反発を予想していなかったようです)。

 (英語)Reactions over Ukrainian autocephaly in Cyprus: Holy Synod is not to ratify primate’s arbitrariness – Orthodox Times

 そして、記事を読む限り、キプロス大統領ニコス・アナスタシアディス閣下が OCU を承認することに反対していたようにも取れ、そうだとすると、キプロス大主教は聖シノドのみならず大統領の顔にも泥を塗ったことにもなりますが……。
 しかし同大統領は、( OCU を承認した)アレクサンドリア総主教のこの前のキプロス訪問時に会談しています。正直、この動きは OCU 承認に賛同しているとも取れます。
 事情がわかりませんが、クリソストモス2世の健康状態もあり、ここからの動きは注目でしょう。