キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下がアトス山を訪問(2018年10月)

 2018年10月1日、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)は、ギリシャ共和国内の東方正教会の聖地、アトス山を訪問しました。
 ヒランダル修道院の修道院長メトディイェ掌院(Archimandrite Metodije, abbot of the Chilandar Monastery)らと会見したようです。

 

Телевизија Храм:
ПАТРИЈАРХ ИРИНЕЈ НА СВЕТОЈ ГОРИ: Посетио Кареју а потом и Манастир Хиландар – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Патријарха Иринеја на трпези љубави у манастиру Хиландар – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарх Иринеј богослужио у Хиландару – YouTube

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)The Serbian Patriarch in Mount Athos | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (英語:ルーマニア正教会通信)Serbian Patriarch Irinej visits Holy Mount Athos – Basilica.ro

 

シスマ2018:キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁クリストポリス主教マカリオス座下が、現在“キエフ総主教”を称するフィラレート聖下が1990年にロシア正教会の首座になれなかったのは「ウクライナ人だったから」と発言していた模様(2018年9月)ロシア正教会系メディアは選出されたアレクシー2世聖下はドイツ人とスウェーデン人の血を引くエストニア人であると(微妙な)反論

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

 先月、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁のクリストポリス主教マカリオス座下(His Grace Bishop Makarios of Christoupolis)が、1990年のロシア正教会の首座選出において、現在“キエフ総主教”を称しているフィラレート聖下が選出されなかったのは「ウクライナ人だから」と発言していたようです。

 ロシア正教会系メディアは、選出されたモスクワ総主教アレクシー2世聖下もまたドイツ人とスウェーデン人の血を引くエストニア人であり、ロシア人ではないとしています(もっともこれは、ウクライナ人だから排除されたという主張への反論にするには微妙でもありますが)。

 

 (英語)Constantinople hierarch fuels nationalistic enmity, claims Philaret was not chosen as Russian patriarch because of Ukrainian origin / OrthoChristian.Com

 

 いずれにせよ、全地総主教庁はソ連崩壊後にロシア正教会の社会的地位を大幅に躍進させた故アレクシー2世の選出まで否定的に扱い始めました。
 なんといいますか……そろそろ分裂するのも仕方ないねという状況が完全に整いつつあるような気がします。

 

追記:
 なお、マカリオス座下は後に(ウクライナのメディアのサイトに掲載された)この発言記事は自分の承認を経たものでもないとしています(1週間もたってからギリシャ系正教会メディアで情報が出る有様ですが)。

 (ギリシャ語)Ο Χριστουπόλεως Μακάριος απαντά στον Βολοκολάμσκ Ιλαρίωνα

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下と、セルビア総主教イリネイ聖下が共同礼拝(2018年9月)

 すでに会談の件だけお伝えしましたが、2018年9月28日~9月30日の日程で、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が、ギリシャ共和国マケドニア地方のテッサロニキを訪問しています。
 同教会のザグレブ=リュブリャナ府主教ポルフィリイェ座下(His Eminence Metropolitan Porfirije of Zagreb-Ljubljana)が同行。
 ネアポリス・スタウロポリス府主教バルナバス座下(His Eminence Metropolitan Barnabas of Neapolis and Stavroupolis)が出迎え。

 キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)と各地を訪問したほか、会談、第一次世界大戦戦死者の慰霊、共同礼拝などがおこなわれました。

 

Телевизија Храм:
Патријарх Иринеј: "Врло је важно да сачувамо јединство нас православних народа" – YouTube

 

Телевизија Храм:
Активности Патријарха Иринеја и Патријарха Вартоломеја у Солуну – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарх Вартоломеј и Патријарх Иринеј на Зејтинлику посадили дрво маслине као симбол мира – YouTube

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)A Centenary Anniversary of the End of the First World War Marked | Serbian Orthodox Church [Official web site]
 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Patriarchal Liturgy in honor of the hundredth anniversary of the breakthrough of the Thessalonica front | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Патријарх Иринеј и Патријарх Вартоломеј у Солуну служили Свету архијерејску литургију | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 (英語:ルーマニア正教会通信)Ecumenical Patriarch Bartholomew, Serbian Patriarch Irinej plant olive tree in Thessaloniki to send message of peace – Basilica.ro

 

シスマ2018:ウクライナのNGOがポロシェンコ政権がウクライナ憲法の政教分離を無視して宗教に介入しているとしてキエフの地区裁判所(?)に提訴した模様(2018年10月)

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

 ウクライナのNGO「法の支配」が、ペトロ・ポロシェンコ政権の政治家たちなどがコンスタンティノープルの全地総主教庁にウクライナへの独立正教会設置を求めたのは、ウクライナ憲法の政教分離を無視しての宗教への介入にあたるとしてキエフの地区裁判所(?)に提訴した模様です(9月末)。
 2018年10月1日、裁判所はこれを受理し、11月13日に審査かなにかがおこなわれるようです。

※いろいろ間にあわないのでは……?

 

 (ウクライナ語:キエフ地区裁判所?公式サイト)До суду звернулись щодо компетенції органів влади втручатися у діяльність церкви шляхом підписання та направлення звернення до Вселенського Патріарха Варфоломія про надання Томосу | Окружний адміністративний суд міста Києва

 (ロシア語)За что против Порошенко подали иск в суд и на каких основаниях | ВЕСТИ

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Київський суд розгляне позов про втручання Президента у церковні справи (оновлено) – Українська Православна Церква
 (ロシア語:ウクライナ正教会公式サイト)Киевский суд рассмотрит иск о вмешательстве Президента в церковные дела – Українська Православна Церква

 

 このNGOの立ち位置がわかりませんが、ポロシェンコ政権の政治家らからは「ロシアの手先」といわれるのは間違いないでしょう。スパイ疑惑で逮捕されるかもしれません。

 

シスマ2018:キリスト教/ジョージア正教会【グルジア正教会】が声明を発表(2018年9月)

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

 2018年9月30日付で、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】総主教庁が、コンスタンティノープルの全地総主教庁がウクライナに一方的に独立正教会を設置しようとしていることについて声明を発表しています。

 

 (ジョージア語【グルジア語】:ジョージア正教会【グルジア正教会】総主教庁公式サイト)საქართველოს საპატრიარქოს განცხადება (30.09.2018)

 

 内容ですが、東方正教会全体と多数の信徒が関わる問題なので、コンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁でよく話しあってくれ、というようなものです。

話し合いにいってダメだったからこうなったのでは……」と思ってしまいますが……。

 なお、ジョージア正教会の聖職者は以前に「ジョージア正教会はこの問題にかかわらない」というような発言を出していましたが、今回の声明は軌道修正を試みたものなのか、「引き続きかかわらないのでそちらでよろしく」という意味なのか。発信の意図がいまいち見出せません。

 

 国家としてのジョージアのうち事実上分離している地域がありますが、そのうちアブハジアにはアブハジア正教会がジョージア正教会からの分離を宣言しています。
 最大級のシスマが起こりつつあることで、各地のシスマもまた注目されつつあります。「教会法上合法な教会」という概念は生き延びることができるでしょうか。