キリスト教/ブルガリア正教会のスタラ・ザゴラ府主教キプリアン座下が、「エルサレムの聖火」受け取り時に、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”の主教を同行させる予定の模様(2019年4月)

 ギリシャの正教会系メディア Romfea によりますと、キリスト教/東方正教会/ブルガリア正教会のスタラ・ザゴラ府主教キプリアン座下(His Eminence Metropolitan Cyprian of Stara Zagora)とブルガリア共和国首相ボイコ・メトディエフ・ボリソフ閣下(His Excellency Mr Boyko Metodiev Borisov)の会談において、今年の「エルサレムの聖火」の受け取り時に教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”の主教を同行させる方針が決まったようです。
 ブルガリア正教会は、教会法上合法でない MOC-OA との協調姿勢を崩しておらず、 MOC-OA の主教は、ギリシャ共和国と北マケドニア共和国間の国名問題解決に伴い、いずれコンスタンティノープルは MOC-OA を独立正教会として認めるだろうというコメントをしています。

 「エルサレムの聖火」は、東方正教会のエルサレム総主教が「復活教会【聖墳墓教会】」で使用したものを持ち帰って各教会が礼拝に使用するものですが、教会法上合法でない MOC-OA に直接エルサレム総主教側から聖火が渡せるものなのか。直接渡した場合、セルビア正教会がエルサレム総主教庁とのフル・コミュニオンを解除する可能性もあります。

 

 (英語)A “schismatic” bishop of the “Macedonian” Church will attend the ceremony of the Holy Fire – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "Along with the Bulgarian delegation, a Bishop of the so-called “Macedonian” Church will also go to #Jerusalem for the Holy Fire #romfeanews #BulgarianChurch #HolyFire https://t.co/Q0pA7nWZVF"

 

Romfea.news – Along with the Bulgarian delegation, a… | Facebook

 

キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教セオフィロス3世聖下が、ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のバリシフカ主教ヴィクトル座下と会見(2019年3月)

 2019年3月4日、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会(モスクワ総主教庁)の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会のバリシフカ主教ヴィクトル座下(His Grace Bishop Victor【Viktor】 of Baryshevka)と会見しました。
 エルサレム総主教庁より、ヨルダン大主教セオフィラクトス座下(Archbishop Theophylactos of Jordan)が同席。

 セオフィロス3世聖下は、(モスクワ総主教庁系の)キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry【Onufriy】 of Kiev and All Ukraine)への支持を重ねて表明しているようです(ロシア側の表記であり、ギリシャ系メディアの Romfea 英語版ではその部分はありません)。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Bishop Victor of Baryshevka meets with Patriarch Theophilos III of Jerusalem / News / Patriarchate.ru
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Bishop Victor of Baryshevka meets with Patriarch Theophilos III of Jerusalem | The Russian Orthodox Church

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Єпископ Баришівський Віктор зустрівся з Єрусалимським Патріархом Феофілом ІІІ – Українська Православна Церква

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Блаженнейший Патриарх Иерусалимский Феофил III встретился с представителем Украинской Православной Церкви при международных европейских организациях / Новости / Патриархия.ru

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Иерусалимский патриарх выразил поддержку Украинской православной церкви

 

 (英語)Patriarch Theophilos of Jerusalem welcomed Bishop Victor of Baryshevka – Romfea News
Romfea.newsさんのツイート: "Bishop Victor informed the #Patriarch_of_Jerusalem about the situation in Ukraine #romfeanews https://t.co/OPYjg0oWdc"

 

キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教セオフィロス3世聖下がカタールを訪問とのこと(2019年2月)

 公式サイトのアナウンスメントによりますと、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)は、2月21日~2月24日にカタール国を訪問、聖堂の成聖などをおこなうということです。

 

 (英語:東方正教会エルサレム総主教庁公式サイト)ANNOUNCEMENT OF THE PATRIARCHATE OF JERUSALEM (21/02/2019)

 

 東方正教会では、カタール国はアンティオキア総主教庁の管轄権下にあるというのが多数の教会の見方ですが、エルサレム大主教庁はアンティオキア総主教庁ことわりなくカタール大主教区を設置。
 アンティオキア総主教庁はこの件を理由に、エルサレム総主教庁とのフル・コミュニオンを解除して数年が経過しています。

 

映像(アラビア語・英語字幕):キリスト教/コプト正教会の修道士がイスラエル警察に“暴力”を受けた件でアレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下がそもそもの問題を説明する動画(2018年10月)イスラエル政府とエチオピア正教会を批判

 エルサレムのスルタン修道院問題で、イスラエル警察の対応に抗議していたコプト正教会の修道士が手錠をかけられ地べたに押しつけられひきずられた件で、キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)による状況を説明する動画がアップロードされています。

 

アラビア語・英語字幕(なお、ざっと聞いただけですが、字幕の字句は多少単語が削られている気がします)/
Christian Youth Channel:
H H Pope Tawadros II Word regarding the Incident of attacking the Coptic Monks in Al Sultan Monaste – YouTube

 

 タワドロス2世教皇聖下によりますと、そもそもの問題は、1970年にエチオピア正教会側がスルタン修道院を“占拠”したことにあるとのこと。

 その後、イスラエル最高裁判所が、コプト正教会の所有であると判決を出したものの、イスラエル政府がそれを実行せず、という状況が延々と続いてきた模様。

 そして、(なぜかはよくわかりませんが)キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)が話し合いをお膳立てして、すべてはまるくおさまったと思っていた(教皇・談)が、2016年にコプト正教会側が修道院の修復作業をおこなおうとしたところ、イスラエル当局が拒否。
(注意:2016年において、どちらが修道院を占有していたのかいまいちわからないところですが……)

 そして、その後、キリスト教/オリエント正教会/エチオピア正教会の首座/エチオピア総主教・カトリコス“アブネ”・マティアス1世聖下(His Holiness Abune Mathias I, Patriarch and Catholicos of Ethiopia)との対話もおこなわれたようです。

 が、今年【2018年】10月に修道院の修復作業はイスラエル政府がおこなうとの通知が来て、23日にイスラエル警察が修道院に入るようになり、そして修道士は(平和的に抗議活動をしていたにもかかわらず)警察に過剰な制圧を受けた……というのがコプト正教会側の主張のようです。

 

制圧の様子:
CopticMediaUKさんのツイート: "Video footage emerging online/on twitter re excessive violence by Israeli police against #Coptic monks in #Jerusalem latest tweet @BishopAngaelos for related news @SkyNews @CNN @Reuters @BBCNews @FrankRGardner @Telegraph @camanpour @ChristianToday @theipaper @PremierNewsDesk… https://t.co/IMuX1xxI39"

 

Christian Youth Channel:
CYC Breaking News 26 Oct 2018 – YouTube

 

 このスルタン修道院の経緯については、いまいちはっきりしないこともあるのですが、上記に加えていくつかのことは指摘できると思います。

 エチオピア正教会はその活動については、きわめて古くからのものとされますが、いっぽうで管轄権としては、コプト正教会の一部であり、1959年にいたるまで独立した教会ではありません。
 このスルタン修道院は、エチオピア系聖職者が関わってきたという情報もありますが、正直このことについては正否はこちらではわかりません。
 しかし、上記のアレクサンドリア教皇によるスルタン修道院がコプト正教会のものだとする根拠として、「イスラエル最高裁判所の判断」などを挙げているのみで、「そもそもエチオピア人は関係ないじゃないか」などとは発言していないところから、少なくともかなりの程度エチオピア人が関わってきたのではないか、と思えます。

 また、イスラエル政府が裁判所の判断を無視してまでなぜエチオピア正教会に肩入れするかですが、一つの可能性として、コプト正教会はエジプトでは少数派にすぎず、彼らのためにエジプト政府が本気でイスラエルと争う可能性はあまりないのに対して、エチオピアではエチオピア正教会は多数派であり(オリエント正教会で最大の信徒数の教会)、エチオピア政府はそのためにイスラエルと争う可能性は十分にあるからではないか、ということが考えられます。

 

 なお、コプト正教会の英国での代表者であるキリスト教/オリエント正教会/コプト正教会/ロンドン大主教【ロンドン大司教】アンゲロス座下(His Eminence Archbishop Angaelos of London)も声明を出しています。

 (英語)The Coptic Orthodox Church UK | Statement from His Eminence Archbishop Angaelos, Coptic Orthodox Archbishop of London on alarming images and videos emerging from Jerusalem of the treatment of Coptic clergy
 (英語)Statement from Archbishop Angaelos on alarming images and videos emerging from Jerusalem of the treatment of Coptic clergy | Bishop Angaelos.org

 

関連:
 キリスト教/コプト正教会の修道士がイスラエル警察に手錠をかけられるなどした件について、エチオピア正教会の聖シノドはコプト正教会を全面的に批判する声明を発表した模様(2018年10月)

 

 以下、余談です。

 東方正教会のエルサレム総主教が調停をおこなったということですが、なぜそれをおこなったおのか、なぜそれを受けたのか、というところがよくわからないところです。もちろんエルサレムのキリスト教関係者で有力、ということはありますが。
 エルサレム総主教自体が、ルーマニア正教会とフル・コミュニオンを解除し(修復済み)、アンティオキア総主教庁からフル・コミュニオンを解除されています(現在も継続)。そして現在のシスマに突入。よその世話をしている暇などなかったのでは……。
 また、東方正教会のシスマに関連していえば、この件もそれと近い構図があるように思えます。伝統的立場は強いものの信徒数では負けており国家の支援も少ないコプト正教会やコンスタンティノープルの全地総主教庁に対し、信徒数と国家の強力な支援を受けているエチオピア正教会やロシア正教会。ただ、東方正教会の因習(ギリシャ系人種が偉い)はまだかなり強いのに対し、コプト正教会の信者については何人と呼べばよいのかもよくわかりません

 

キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教セオフィロス3世聖下が、ロシア正教会のアスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下を訪問(2018年10月)

 2018年10月11日、第6回世界・伝統的宗教指導者会議(6th Congress of Leaders of World and Traditional Religions)にカザフスタン共和国大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ閣下(His Excellency Mr Nursultan Nazarbayev)から招待され同国に滞在中のキリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)は、アスタナ生神女就寝大聖堂を訪問、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会のアスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander of Astana and Kazakhstan)と会談しました。
 ロシア正教会より、カスケレン主教ゲンナジー座下(His Grace Bishop GennadiyGennady】 of Kaskelen)が同席。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)His Beatitude Patriarch Theophilos of Jerusalem visits Cathedral of the Dormition in Astana | The Russian Orthodox Church

 (ロシア語:ロシア正教会カザフスタン府主教庁公式サイト)Успенский собор Астаны посетил Блаженнейший Патриарх Иерусалимский и всей Палестины Феофил

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Блаженнейший Патриарх Иерусалимский Феофил посетил Успенский собор Астаны / Новости / Патриархия.ru

 

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