キリスト教/オリエント正教会系のメディア OCP が、オリエン正教会の各教会と東方正教会/ロシア正教会の関係は悪化しているわけではないとわざわざ記事を出す(2019年12月)

 キリスト教/オリエント正教会系のメディア OCP(Orthodoxy Cognate PAGE) が、オリエン正教会の各教会とキリスト教/東方正教会/ロシア正教会の関係は悪化しているわけではないとわざわざ記事を出しています。

 

 (英語)Russian Orthodox Church – Oriental Orthodox Relations – OCP Statement | News | Orthodoxy Cognate PAGE

OCP® TweetsさんはTwitterを使っています: 「https://t.co/cb0OcgRHYr」 / Twitter

 

※オリエント正教会の主流のコミュニオンに属するのは、コプト正教会(アレクサンドリア総主教庁)、アルメニア使徒教会【アルメニア教会】、シリア正教会(アンティオキア総主教庁)、エチオピア正教会(エチオピア正教合性論教会)、エリトリア正教会(エリトリア正教合性論教会)、マランカラ正教シリア教会【インド正教会】の六つ。
 このうち、シリア正教会とインドのマランカラ正教シリア教会はコミュニオンが成立しておらず、エリトリアでは政府が教会を主導していることにより他の教会とは正常な関係にありません。また、エチオピアでは人種対立の教会分裂への影響が取り沙汰されています。

 

 ウクライナから発した、ロシア正教会とコンスタンティノープル・ギリシャ正教会・アレクサンドリア総主教庁との関係悪化という、宗教の枠内で見れば東方正教会内部の問題は、オリエント正教会の各教会に強い影響を与えているわけではない状況です(そういう状況だと思います)。
 もともと、正教会(Orthodox Church)という称を、オリエント正教会・東方正教会の両者とも多用するため混同が起きやすいわけですが。

 オリエント正教会ではアレクサンドリアといえばコプト正教会であるため、ロシア正教会が(東方正教会の)アレクサンドリア総主教とのコミュニオンを解除したことによる誤解(?)のようなものも一部に発生しているのかもしれません。

 

 それにしても、 OCP のような、東方正教会とオリエント正教会の間のコミュニオン回復とそれによるカトリックへの対抗を目指す立場というのは、今回の東方正教会大分裂とコンスタンティノープル原理主義の満開で望みは潰えていると思えるのですが、まだ頑張るのでしょうか。

 

関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)
 キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下が、“ウクライナのシリア化”を懸念する書簡をロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下に(2019年2月)

 

キリスト教/エチオピア正教会の聖堂が襲撃される、また総主教庁の文書を装う偽文書を公開する記者会見がおこなわれる、など(2019年9月)

 2019年9月2日に、キリスト教/オリエント正教会/エチオピア正教会の常任聖シノドの緊急会合がおこなわれたようです。

 

 (英語)Ethiopian Orthodox Patriarchate Slams Relentless Attack on Churches and the Faithful | News | Orthodoxy Cognate PAGE

 

 エチオピア連邦民主共和国内の人種対立の影響がベースにあるようですが……。
 人種対立によりエチオピア正教会の聖堂が襲撃されたり、元エチオピア正教会の司祭でオロモ人の政治活動家がオロモ人の教会分離を認めるかのようなエチオピア正教会総主教庁の偽文書を記者会見で公開したり、ということがあったようです。

 それなりの人口を擁しながら政治的立場が低く扱われてきたオロモ人ですが、おそらくですが、エチオピア正教会でも立場が低いものなのだと思います。
 エチオピア正教会は、アメリカ合衆国の亡命シノドとの統合がおこなわれて一年と少しが経過しましたが、政治状況にあわせて問題がまた浮上してきたようです。
 政治家も非常にあやふやな態度を取っているようで、エチオピア正教会は面倒な時期を迎えたかもしれません。

 

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下が、ロシア外務省での復活大祭の式典に臨席(2019年5月)各教会の聖職者やロシア外相セルゲイ・ラヴロフ閣下が参列

 2019年5月20日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)は、ロシア連邦外務省でおこなわれた復活大祭の式典に臨席しました。

 ロシア正教会より、
 モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))、
 総主教補佐筆頭イストラ府主教アルセニー座下(His Eminence Metropolitan Arseniy of Istra, first vicar of the Patriarch of Moscow and All Russia)、
 東南アジアにおける総主教代理/シンガポール・東南アジア府主教セルギイ座下(His Eminence Metropolitan Sergiy of Singapore and South-East Asia, Patriarchal Exarch in South-East Asia)、
 クリン主教ステファン座下(His Grace Bishop Stefan of Klin)、
 ヴォスクレセンスク主教ディオニシー座下(His Grace Bishop Dionisiy of Voskresensk)、
 ゼレノグラード主教サッヴァ座下(His Grace Bishop Savva of Zelenograd : ※下記記事でズヴェニゴロド主教表記になってます)、

 アレクサンドリア総主教庁よりキュレネ府主教アサナシオス座下(His Eminence Athanasios, Metropolitan of Kyrini【Cyrene】)、
 アンティオキア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】ニフォン府主教座下(His Eminence, the Most Reverend Niphon, Metropolitan of Philippople?【Chehba?】)、
 セルビア正教会よりモラヴィツァ主教アントニイェ座下(His Grace vicar Bishop AnthonyAntonije】 of Moravica)、
 
 そのほか、エルサレム総主教庁、ブルガリア正教会、チェコ・スロバキア正教会、アメリカ正教会【OCA】、ジョージア正教会【グルジア正教会】より聖職者、ローマ・カトリック教会及びオリエント正教会の各教会の聖職者、イスラム教法学者、ロシア連邦外務大臣セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・ラヴロフ閣下(ラブロフ外相:His Excellency Mr Sergey Viktorovich Lavrov)らも参列。

 

russianchurch(ロシア正教会モスクワ総主教庁公式チャンネル):
Святейший Патриарх Кирилл принял участие в Пасхальном приеме в Министерстве иностранных дел – YouTube

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Primate of the Russian Orthodox Church attends Paschal reception at the Ministry of Foreign Affairs | The Russian Orthodox Church

 (英語:ロシア連邦外務省公式サイト)Foreign Minister Sergey Lavrov’s speech at a gala reception for Orthodox Easter, Moscow, May 20, 2019 – News – The Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation

 

MFA Russia 🇷🇺さんのツイート: "FM Sergey #Lavrov: 💬#Russia will continue promoting an international agenda that takes into account the identity of nations and builds trust between representatives of different religions, civilisations and cultures ⬇️⬇️⬇️ https://t.co/iZtum8Z4Ti… https://t.co/tjMZFcYY1u"

 

МИД России / Russia's MFAさん(@mid.rus) • Instagram写真と動画

 

キリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、ロシア駐箚のエチオピア大使と会見(2019年3月)

 2019年3月5日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、新たにロシア連邦を駐箚するエチオピア連邦民主共和国特命全権大使アレマイユ・テゲヌ・アールガウ閣下(His Excellency Alemayehu Tegenu Aargauアレマイエフ・テゲヌ)と会見しました。

※新大使は潅水・エネルギー大臣を務めていた方かもしれません。

 会談では、昨年【2018年】5月のキリスト教/エチオピア総主教“アブネ”・マティアス1世聖下のロシア公式訪問についてや、2011年のイラリオン府主教座下によるエチオピア訪問時の(2012年に永眠した)エチオピア総主教“アブネ”・パウロス聖下との会談などについて触れられたようです。

 東方正教会の教会分裂を受けて、オリエント正教会の中で最大の信徒数を誇るエチオピア正教会との関係は今までより重要になっていくでしょう。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)DECR chairman meets with new Ethiopian ambassador to Russia | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)DECR chairman meets with new Ethiopian ambassador to Russia / News / Patriarchate.ru

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Председатель ОВЦС встретился с новоназначенным послом Эфиопии в России / Новости / Патриархия.ru

 (英語)Metropolitan Hilarion of Volokolamsk meets with new Ethiopian ambassador to Russia – Romfea News

Romfea.newsさんのツイート: "Ethiopian ambassador to #Russia : The activation of relations between the Russian Orthodox Church and the Ethiopian Church helps revive the historical closeness of the two nations #romfeanews #Ethiopia #Hilarion #Aargau https://t.co/5FhAZPZMDW"

 

キリスト教/コプト正教会の修道士がイスラエル警察に手錠をかけられるなどした件について、エチオピア正教会の聖シノドはコプト正教会を全面的に批判する声明を発表した模様(2018年10月)

 Orthodoxy Cognate PAGE によりますと、キリスト教/オリエント正教会/エチオピア正教会の聖シノドは、キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の修道士がイスラエル警察に手錠をかけられるなどした件について、声明を発表。

 エルサレムのスルタン修道院の所有問題についてですが、今回、エチオピア正教会の聖シノドは、イスラエル政府に対しコプト正教会の蛮行を無視して修道院の改修を始めるようにという要望の提出と、コプト正教会のアレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)らの声明には偽りがある(エチオピア正教会の立場が正しい)という内容などの対抗的な声明を発表したようです。

 

 (英語)Statement by the Ethiopian Orthodox Tewahedo Church’s Holy Synod Concerning Deir El-Sultan – News | Orthodoxy Cognate PAGE

 

OCP® Tweetsさんのツイート: "https://t.co/nZRoxgMtqR"

 

関連:
 キリスト教/エルサレムのスルタン修道院問題で、イスラエル警察の対応に抗議していたコプト正教会の修道士が手錠をかけられ地べたに押しつけられひきずられる(2018年10月)
 映像(アラビア語・英語字幕):キリスト教/コプト正教会の修道士がイスラエル警察に“暴力”を受けた件でアレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下がそもそもの問題を説明する動画(2018年10月)イスラエル政府とエチオピア正教会を批判