インタビュー記事(セルビア語):キリスト教/セルビア正教会のバチュカ主教イリネイ座下へのインタビュー(2019年8月)

 キリスト教/東方正教会/セルビア正教会のバチュカ主教イリネイ座下(His Grace Bishop Irinej of Bačka)へのインタビュー記事の、同教会総主教庁公式サイトへの転載のようです。

 

 (セルビア語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Епископ бачки др Иринеј: Интервју за дневни лист „Данас“ | Српскa Православнa Црквa [Званични сајт]

 

 内容ですが、ウクライナ問題に関して、コンスタンティノープルより、フランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)とペルガモン府主教イオアニス座下(His Eminence Metropolitan John【Ioannis】【Joannis】 of Pergamon【Pergamum】 : ジョン・ジジウラス John Zizioulas)が訪問し、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】に承認に関する要求や教会法上非合法な“マケドニア正教会”に関わる話をするのではないかというのが一つ。イリネイ座下側は(訪問があるかどうかを含めて)何も決まっていないと回答。

※なお、このペルガモン府主教イオアニス座下ですが、東方正教会以外でもジョン・ジジウラス(John Zizioulas)という名などで高名な神学者として認知されていますが、彼に限らずコンスタンティノープル系の神学者は、コンスタンティノープル支持ではない東方正教会の方面では評判がガタ落ちです。御用学者と化しましたので……。

 また、セルビア正教会内部でコンスタンティノープル原理主義的発言をしたマクシム主教やベオグラード大学の神学の助教授らが一部停職(?)処分を受けたとする件の話題。

 コソボ問題や、それを含むた政治に関する言及などもあります。

 が、いろいろと長い上に、これまでの立場を堅持しているというだけのようです。

 

ウクライナ法務省が、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”【UOC-KP】が団体として“存続”しているとメディアに回答(2019年5月)キリスト教/コンスタンティノープルが承認した“ウクライナ正教会”【OCU】は UOC-KP は“消滅”したと説明していたもの

 “フィラレート名誉総主教”が、「キエフ総主教庁は存続し続けており、自分は今も昔もキエフ総主教」と語ったことについて、メディアがウクライナ法務省に問い合わせたようです。
 その回答によりますと、、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”【UOC-KP】は登録団体として存続してるようです。
 これは、そもそも法務省のホームページ上で確認できていたという話もあるので、意外な結果ではありませんが……。

 UOC-KP は、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルが独立正教会として承認した“ウクライナ正教会”【OCU】に統合されたため“消滅”したと(OCUによって)説明されていたものです。
 なお、もちろんのことですが、教会法上の集団と、国などの承認を受けている法人はまた別のものですが、とりあえずのところ、ウクライナの法律上は存続しているということです。

 

 (ウクライナ語)В Минюсте сообщили, что решение о роспуске УПЦ КП может принять только Поместный собор Киевского патриархата или суд / ГОРДОН

 

 “エピファニー府主教”と“フィラレート総主教”の対立が深まっている OCU 、というか、もうなんと総称すればいいのかわからない状態になっている集団ですが、 UOC-KP が団体として存続しているとして、所有している財産がどうなのかというところが問題になるかと思います。
 UOC-KP の公式サイトはそのまま更新されているらしいですが(未確認)、ウェブサイトのドメイン所有権やレンタルサーバ(?)との契約を保持し続けているとすると、 UOC-KP が所有し続けているものはありそうです。
 また、“フィラレート総主教”は、ポロシェンコ大統領と“エピファニー府主教”に「騙された」と語っており、仮に騙して財産を移転したということになると、詐欺で(前)大統領と“府主教”を告訴することも可能ではないかと思います。

 “フィラレート総主教”は、彼に逆らう主教らを、「モスクワの手下からコンスタンティノープルの手下に変わっただけの連中」としており、“エピファニー府主教”が彼に従えば問題は解決する、というなんともすさまじく自分中心の解決策を提示しています(「解決策」とはいわないかもしれませんが)。
 一方の、“エピファニー府主教”がなにを考えているのかはわかりませんし、現時点でなにを考えていても重要ではないと思います。“エピファニー府主教”は、コンスタンティノープルとフル・コミュニオン状態にある教会の首座の中で圧倒的に若く、もし予想外の健康問題を抱えなければ、他の教会の首座が全員世を去った後も、それどころか他の教会の首座が二世代~三世代も世を去った後も君臨している可能性があります。ロシア正教会を除けば、 OCU が信徒数最大となるという数値もあり、“フィラレート総主教”排除に成功し、国内地盤を固めることができれば、東方正教会(ロシア正教会を除く)最大の実力者となっていくかもしれません。全体の信徒数は半分以下になっているでしょうけど。

 

 ウクライナに関しては、コンスタンティノープルにとっては、半分期待外れ、半分期待以上というところではないでしょうか(そもそも彼らはもうウクライナにあまり興味がないというか)。
 期待外れというのは、コンスタンティノープルに追随して、 OCU を承認しようとする独立正教会が出ないことです。
 期待以上というのは、にも関わらず、コンスタンティノープルと完全に縁を切る可能性が取り沙汰されないという状況です。
 これはさらなるバクチを打つのに十分であり、東方正教会全体を自分たちの下部組織に作り変えるための動きを進めることになるでしょう。
 コンスタンティノープルは、マケドニア(北マケドニア共和国)への独立正教会設置へ動くとみられており、セルビア正教会は教会法上非合法な“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”への態度を緩和して話し合いを示唆するコメントを出しています(まだこのサイトでは記事にしてませんが)。しかし、いずれにせよ、コンスタンティノープルの仕事はセルビア人やマケドニア人(スラヴ系のマケドニア人)を満足させることではなく、自分たちとギリシャ人を満足させることであり、マケドニアへの独立正教会設置は(時期がいつになるかはわかりませんが)コンスタンティノープルの権威を示すためにおこなわれるでしょう。ほかに理由は必要ありません。セルビア正教会がそれに対して(ロシア正教会と同じく)コミュニオンの解除を宣言するしかできないとすると、完全に縁を切ることはできないと宣言しているようなものです。そして完全に縁を切ることはできないでしょう。この状況を見ればロシア正教会は興奮しているうちに勢いでコンスタンティノープルへの破門(Anathemaのほう)を宣言し、バクチの打ち合いに入ったほうが良かったのかもしれません。主導権を握る機会がまったく見えてきません。この半年間、彼らは実効性のある策をなにひとつ打てず、愚痴ってただけのようにみえます。
 ともあれ、ウクライナはある程度は終わった話題(東方正教会のこれまでの教会法と共に)であり、マケドニアへの独立正教会設置の行方に注目でしょう。

 

キリスト教/カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー座下が、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下を訪問(2018年10月)

 2018年10月19日、キリスト教/アングリカン・コミュニオン/英国国教会/カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー座下(全イングランド首座 : The Most Reverend and Right Honourable Justin Welby : His Grace The Lord Archbishop of Canterbury : Primate of All England)は、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)を訪問しました。

 

 (英語:カンタベリー大主教公式サイト)Archbishop of Canterbury visits Ecumenical Patriarch in Istanbul | The Archbishop Of Canterbury

 

Lambeth Palace نさんのツイート: "Archbishop @JustinWelby visited the Ecumenical Patriarch in Istanbul today. Find out more: https://t.co/hA2rYgMOAV… "

 

 会談中、バルソロメオス聖下は、ジャスティン・ウェルビー座下に、ウクライナ及びマケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 : FYROM)における全地総主教庁の立場を伝えた模様。
※ジャスティン・ウェルビー座下は、昨年【2017年】11月にロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下よりロシア正教会側の立場を説明されている模様。

 上記リンクのカンタベリー大主教公式サイトの記事末尾には、ジャスティン・ウェルビー座下のコメントとして「ウクライナで持ち上がっている(東方正教会の)教会法上の問題は東方正教会が対処する問題」という主旨から始まる、外部の教会の人がコメントしそうな短いコメントが末尾に掲載されています。

 

関連:
 【シスマ2018 – The Schism of 2018】<東方正教会大分裂>: ウクライナへの独立正教会設置から始まったコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など<大分裂、または崩壊?>

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”に対し、「あなたのところはセルビア正教会の管轄権下なので独立は承認できません」(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

※フェイクニュースの可能性があります。

 

 ギリシャの正教会系メディア「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」によりますと、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”(以下、MOC-OA)が、マケドニアの名を冠さない教会名で全地総主教庁に承認を求めたところ、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に、「あなたのところは1922年にセルビア正教会に管轄権が移っているのでダメです」とにべもない回答が来たとのこと。

 

 (ギリシャ語)Αλλαγή στάσης από το Οικουμενικό Πατριαρχείο για την σχισματική Εκκλησία της πΓΔΜ

 

 これまでこの問題は行ったり来たりというか情報が錯綜しており、少し前には彼らは「国名も教会名もマケドニアを維持すべき」と主張しているという情報が出ました。このニュースはフェイクニュースだったのか、それとも意見をコロリと変えたのか。

 いずれにせよ、今回のニュースがフェイクニュースでない場合、また加えて以前にバルソロメオス聖下が「名前を変えればいいよ」と発言したとのニュースがフェイクニュースでなかった場合、聖下もまたコロリと意見を変えたわけですが、これはおそらくロシア正教会とセルビア正教会の二正面作戦は勝ち目がないという現実的な判断をしただけで、だとするとまたいつコロリと変わるかわかったものではありません。

 MOC-OAのプレスパ=ペラゴニア府主教ペタル座下(His Eminence Metropolitan Petar of Prespa-Pelagonia)は、無念さを隠していませんが、同教会はこれまで通り運営されるし、国名問題が解決すれば独立正教会として承認されるだろうと見込んでいるようです。

 

 そして、この問題を通じて、内部の見解の分裂が露呈し、マケドニアとの政治的連携を目的とする政治家や政治活動家による教会への介入を招いただけのブルガリア正教会はずいぶんとまた貧乏くじを引いてしまったものだと思います。

 

 それにしても、今回の話も全部フェイクニュースかもしれません(頭が痛い……)。

 

キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下とセルビア総主教イリネイ聖下らの共同礼拝(2018年10月)

 2018年10月14日、セルビア共和国を訪問中のキリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)は、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)らと聖サワ大聖堂【聖サヴァ大聖堂】にて共同礼拝をおこないました。

 イリネイ聖下からヨウハンナ10世聖下に、セルビア正教会の最高位勲章「聖サワ勲章第一等」が贈られた模様。

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Conciliar Patriarchal Liturgy in Saint Sava Cathedral | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 

Телевизија Храм:
Саборна света Литургија служена у крипти Храма Светог Саве – YouTube

 

Телевизија Храм:
Служена саборна света Литургија и упућена молитва за Косово и Метохију – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Патријарха Иринеја поводом посете Патријарха антиохијског Јована Х – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Патријарха антиохијског Јована Х – YouTube

 

共同司式:
 正教オフリド大主教庁の首座/オフリド大主教ヨヴァン6世座下(スコピエ府主教 : His Beatitude Archbishop Jovan VI of Ohrid, Metropolitan of Skopje)、
 ザグレブ=リュブリャナ府主教ポルフィリエ座下(His Eminence Metropolitan Porfirije of Zagreb-Ljubljana)、
 アンティオキア総主教庁のアッカール府主教バシリオス座下(His Eminence, the Most Reverend Metropolitan Basilios of Akkar)、
 アンティオキア総主教庁下の北米アンティオキア正教キリスト者大主教庁首座/ニューヨーク・全北米大主教ジョセフ座下(His Eminence the Most Reverend Metropolitan Joseph of New York and All North America)、
 シュマディヤ主教ヨヴァン座下(His Grace Bishop Jovan of Šumadija)、

参列:
 バチュカ主教イリネイ座下(His Grace Bishop Irinej of Bačka)、
 ヴラニェ主教パホミイェ座下(His Grace Bishop Pahomije of Vranje)、
 ヴァリェヴォ主教ミルティン座下(His Grace Bishop Milutin of Valjevo)、
 正教オフリド大主教庁のストビ主教ダヴィッド座下(His Grace Bishop David of Stobi)、
 モハチ主教イシヒイェ座下(His Grace Bishop Isihije of Mohač, vicar of the diocese of Bačka)、
 セルビア総主教補佐/レメジヤナ主教ステファン座下(His Grace Bishop Stefan of Remesiana, Vicar Bishop of the Serbian Patriarch)、