キリスト教/コンスタンティノープルよりロシア正教会に移動(帰還)した西欧ロシア正教会大主教区のジャン大主教座下が、“反ジャン大主教派”に関して声明(2019年9月)

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルからキリスト教/東方正教会/ロシア正教会に移動(帰還)した西欧ロシア正教会大主教区。

 前回の記事の最後のほうで少し触れましたが、騒動のさなか、“反ジャン大主教”なのかなんなのかよくわからない勢力が公式サイトに記事を掲載し、コンスタンティノープルに首座代行の叙任を求めるなどなにいってんだこいつらというような声明を出していました。
 同声明は現在公式サイトより削除されており、ジャン大主教側が少なくとも公式サイトに関しては制圧(?)したのは間違いないようです。
 今回、ドゥブナ大主教ジャン座下(イオアン大主教 : His Eminence Archbishop JohnJean】【Ioan】【Ioann】 of Dubna)は、この声明の掲載についての説明と内容の批判などについての声明を出しています。
 まあ、部外者は読む必要はあまりないです。

 

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Bureau de l’Archevêque du 17 septembre 2019

 

 なお、公式サイトの上部画像より、「全地総主教庁」を意味する単語が消えました。

9月15日時点:

現時点:

 

キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下で一方的に総主教代理区の地位を廃止(2018年11月)された西欧ロシア正教会大主教区のジャン大主教座下がロシア正教会モスクワ総主教庁への移動を決定(2019年9月)

 2019年9月14日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下にあったものの2018年11月にコンスタンティノープルから一方的に総主教代理区としては廃止され、大主教区という集団としても解体をされそうな西欧ロシア正教会大主教区の首座ハリオポリス大主教ジャン座下(イオアン大主教 : His Eminence Archbishop JohnJean】【Ioan】【Ioann】 of Chariopoulis)は声明を発表しました。

 内容は、自身及び大主教区の教会法上の管轄をロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に移すことと、明日(9月15日)より、自身が属する教会の首座の名前としてキリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)の名を挙げて礼拝をおこなうとしています。

 ロシア正教会モスクワ総主教庁の聖シノドは、ジャン大主教からの要請を受け入れ、ジャン大主教および大主教と共に来る人々を歓迎するとともに、ジャン大主教にドゥブナ大主教(Archbishop of Dubna)の称号を用意したようです(ハリオポリス大主教はコンスタンティノープルの称号のため)。

 同大主教区は9月7日の臨時総会で必要な三分の二の賛成が得られず(賛成は六割弱)、今後どうするかというところでしたが、ジャン大主教は自分についてくるものだけでモスクワ総主教庁に移動することを決定したようです。以降、モスクワ総主教庁の管轄権下で自治的な権限を持つ大主教区となります。

 

 (英語)Abp. John moves Archdiocese of Russian Churches in Western Europe into Moscow Patriarchate / OrthoChristian.Com
 (英語)Interfax-Religion: Head of “Russian exarchate” of Constantinople joins Russian Orthodox Church
 (英語)Interfax-Religion: The Russian Church about return of “Russian exarchate” parishes under its jurisdiction: a long way is almost accomplished
 (英語)Former Head Of European Orthodox Archdiocese Joins Russian Orthodox Church – UrduPoint

 (英語)Archbishop John (Renneto) and parishes following him admitted to ROC – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Archbishop John (Renneto) addresses his flock – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Patriarch Kirill and Archbishop John have a telephone talk – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 (英語)Orthodox schism: Priests in Western Europe reject Constantinople, side with Moscow — RT World News

 (フランス語ほか:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Bureau de l’Archevêque du 14 septembre 2019
 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Bureau de l’Archevêque du 14 septembre 2019
※まだサイト上表記はコンスタンティノープル管轄権下を示すものが残っています。

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)The Russian Orthodox Church Holy Synod integrates the head of the Archdiocese of the Western European Parishes of Russian tradition as well as clergy and parishes who wish to follow him | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Holy Synod session minutes of September 14, 2019 | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Patriarch Kirill had a phone talk with Archbishop Ioann of Dubna | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)The Russian Orthodox Church Holy Synod integrates the head of the Archdiocese of the Western European Parishes of Russian Tradition as well as clergy and parishes who wish to follow him / News / Patriarchate.ru
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Patriarch Kirill had a phone talk with Archbishop Ioann of Dubna / News / Patriarchate.ru

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)ЖУРНАЛ Священного Синода от 14 сентября 2019 года / Официальные документы / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Священный Синод принял в состав Русской Православной Церкви главу Архиепископии западноевропейских приходов русской традиции, а также клириков и приходы, которые желают последовать за ним / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Состоялся телефонный разговор Святейшего Патриарха Кирилла и архиепископа Дубнинского Иоанна / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Священный Синод принял в состав Русской Православной Церкви главу Архиепископии западноевропейских приходов русской традиции, а также клириков и приходы, которые желают последовать за ним | Русская Православная Церковь
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Состоялся телефонный разговор Святейшего Патриарха Кирилла и архиепископа Дубнинского Иоанна | Русская Православная Церковь

 (ロシア語:ベラルーシ正教会公式サイト)Журнал Священного Синода от 14 сентября 2019 года | Православие в мире | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

 

 これまでジャン大主教派、大主教区の総会などの組織やルール、それに世俗的な法と教会法は別として来ましたが(それは理屈上はそうです)、今回の決定については教会法上のものであるとして、引き続き大主教区の総会などのルールは有効であるとしています。
 仮にモスクワ総主教庁の管轄権下に入らなくても、引き続き大主教区のルールでは共に行動することが可能と強弁できなくもないですが、さすがに……。
 グレートブリテン・アイルランド司祭長区(Deanery of Great Britain and Ireland)をはじめ、モスクワ総主教庁への移動に反対の票を投じた 41 %の人々(を代表とする人々)が大主教区より離脱を表明する可能性は極めて高いでしょう。ただ、彼らが「ではどうするか」というと、コンスタンティノープルの管轄権下でバラバラになるのを選ぶのか、ある程度のまとまりを作って教会法上合法な教会から離脱するのか、それはわかりません。

 

追記:
 ギリシャの正教会メディア Romfea もニュース記事を出しています。
 コンスタンティノープルを見限る者が出て、それをロシア正教会が受け入れるということが、ギリシャ人にとってどれだけの衝撃があるのかはまだ判断できませんが……。

 (ギリシャ語)ΕΚΤΑΚΤΟ: Δεκτός από το Πατριαρχείο Μόσχας ο Χαριουπόλεως Ιωάννης

Romfea.grさんはTwitterを使っています: 「ΕΚΤΑΚΤΟ: Δεκτός από το Πατριαρχείο Μόσχας ο Χαριουπόλεως Ιωάννης https://t.co/So8BV67FKR」 / Twitter

Praktoreio Ekklisiastikon… – Praktoreio Ekklisiastikon Eidiseon | Facebook

 

追記2:
 反ジャン大主教派なのかなんなのかよくわかりませんが(公式サイトを共有しているので)、大主教区のルールを守ろうとする人々が声明を出しています。
追記2の追記:
 下記のページは閲覧できなくなりました
 内部の争いがあることがはっきりしましたが、閲覧できなくなったということは、ジャン大主教側が勝利を収めたということになるのか、もう少し情勢を見守りたいと思います。
 ただ、もしかしたらイタズラの類だった可能性もあります。
追記2の追記2:
 キリスト教/コンスタンティノープルよりロシア正教会に移動(帰還)した西欧ロシア正教会大主教区のジャン大主教座下が、“反ジャン大主教派”に関して声明(2019年9月)

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – COMMUNIQUÉ D’UNE PARTIE DES MEMBRES DU CONSEIL DE L’ARCHEVÊCHÉ DU 14 SEPTEMBRE 2019

 この人々がなんなのか(どういう権限があるのか)いまいちよくわかりませんが、公式サイトで声明を出せるからには、管理的な権限はしっかり握っているのでしょう(反ジャン大主教ならばなぜジャン大主教の声明を掲載させたのかは疑問ですが……)。

 声明のポイントは二つで、一つは(フランス国内のメンバーに)ジャン大主教についていくか、コンスタンティノープルのエマニュエル府主教の教区内に吸収されるのを選ぶか、ルーマニア正教会の府主教の教区内に吸収されるのを選ぶか選択してその移動先と大主教区にそれぞれ連絡してねということです。ここでジャン大主教の gmail のアドレスがわざわざ掲載されていることから、この人々は以降ジャン大主教を大主教区から排除というかもう関係ない人として扱うつもりなのかもしれません。

 二つ目は、大主教区の首座はコンスタンティノープルからでないとダメだというようなルールが大主教区にあったらしく(はじめて知りました)、モスクワ総主教庁に移ったジャン大主教はもはやその任務にあたれないとしています(よって彼らの見解によればもう首座ではありません)。
 そのため、コンスタンティノープルに首座代行の指名を求めたそうです。
 唖然……。
 コンスタンティノープルは大主教区は(もう)存在しないといっているのに、存在しないものの首座代行の指名を求めてどうするのか……。
 もちろんシスマ2018からのコンスタンティノープルの行動はルールもクソもないので、存在しない団体の首座代行を指名するくらい平気でするかもしれないですが(モスクワへの嫌がらせのためだけに!)、この状況にいたってまでコンスタンティノープルにすがりつくしかないこの人たちはなんなんでしょうね。そんなにコンスタンティノープルに従いたいなら、コンスタンティノープルは大主教区を解散して分割して吸収するといったんだからそれに従えばいいでしょうコンスタンティノープルのいっていることを真面目に聴いているのですか?
 ごちゃ混ぜのデタラメな教会の末路はこんなものか……。
 ですが東方正教会全体の未来がこれよりマシだという保証はまったくありません。というか規模が大きくなる分、もっとアホらしいものを我々は見ることになるでしょう。

 

 シスマ2018以降、コンスタンティノープルとギリシャ人のいい加減ぶりさはひどいものがありますが(所詮バルバロイはどうでもいいのでしょう)、この大主教区のコンスタンティノープルにしがみつく人々もひどさでは引けを取りません。コンスタンティノープルのいうことを無視しつつコンスタンティノープルは絶対だというような行動を取るのは理解に苦しむところです。あいまいな供述をしつつコンスタンティノープルにまとわりついているので、ストーカー防止法のような法律でコンスタンティノープルから訴訟を起こされるのではないでしょうか。

 

 なお、そんなことはどうでもよくて、重要なのは聖堂や修道院や預金などの教会財産を誰が抑えているかということになるかと思います。
 主流の教会から離脱した人々が嘲笑交じりに指摘するように、争いが起きると最後は金を争うのが東方正教会の教会法上合法な教会です。

 

追記3:
 ロシアの Interfax によりますと、9月15日に、パリのアレクサンドル・ネフスキー大聖堂で、モスクワ総主教庁の管轄権下に移ってから初めての礼拝がおこなわれたようです。
 
 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Прихожане "русского экзархата" в Париже с восторгом встретили весть о присоединении к РПЦ
 (英語)Interfax-Religion: Parishioners of the “Russian exarchate” in Paris enthusiastic about joining the Russian Orthodox Church
 (英語)Faithful fill church for Abp. John’s first Liturgy as hierarch of the Russian Church / OrthoChristian.Com

 

追記4:
 公式サイトで礼拝がおこなわれたという記事が出ました。

  (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Dimanche historique et festif à la Cathédrale Saint Alexandre Nevsky

 

映像(キャプションは英語):キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】とロシア正教会の90年間の関係についての映像(2019年9月)

 先頃、キリスト教/オリエント正教会/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコス・マランカラ府主教“モラン”・“マル”・バセリオス・マルトマ・パウロス2世聖下(シロ・マランカル典礼カトリコスモラン・バゼリオス・マルトマ・パウロス2世 : His Holiness Moran Mar Baselios Marthoma【Mar Thoma】 Paulose II, the Catholicos of the East and Malankara Metropolitan, the Supreme Head of the Malankara Orthodox Syrian Church of India)によるキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁訪問がおこなわれましたが、両教会の90年の関係についての映像がアップロードされていたのでリンクしておきます。

 

※キャプションは英語。やや音声が大きいかもしれません。歌が流れる部分があります。

Orthodox Vishvaasa Samrakshakan:
90 Years of Indo – Russian Orthodox Church Relations – YouTube

 

 オリエント正教会では使徒座が重要視されます。
 マランカラ正教シリア教会は、自身の首座を使徒/聖トマストマ)の継承者とし、モスクワ総主教は使徒/聖アンデレアンドレイ)の継承者とみなしているようです(ある意味モスクワとコンスタンティノープルは同格といっているようなものですが)。

 

関連:
 キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコスのバセリオス・マルトマ・パウロス2世聖下のロシア訪問始まる(2019年8月)
 キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコスのバセリオス・マルトマ・パウロス2世聖下が、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下の礼拝に臨席・会談(2019年9月)
 キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下が、マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコスのバセリオス・マルトマ・パウロス2世聖下と会見(2019年9月)
 動画(ロシア語):キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】に関する10の事実(2019年9月)
 キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコスのバセリオス・マルトマ・パウロス2世聖下らが、モスクワ総主教ピメン1世聖下の墓へ(2019年9月)

 

キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下で一方的に総主教代理区の地位を廃止(2018年11月)された西欧ロシア正教会大主教区の総会が開催。過半数がロシア正教会モスクワ総主教庁へ移ることに賛成も、三分の二に達していないため不成立(2019年9月)

 2019年9月7日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下にあったものの2018年11月にコンスタンティノープルから一方的に総主教代理区としては廃止され、大主教区という集団としても解体をされそうな西欧ロシア正教会大主教区で、同大主教区の首座ハリオポリス大主教ジャン座下(イオアン大主教 : His Eminence Archbishop John of Chariopoulis)臨席のもと総会が開催されました。

 議題は、同大主教区がロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に移るかどうかです。
 地位としては、ただの教区ではなく、在外ロシア正教会【ROCOR】のように(同じではありませんが)特別な自治権を得てのものになる予定ですが……。
 結果は、報道によりますと、 58 %程度が賛成したものの、四割以上が反対票を投じ、結果、賛成が三分の二に達しなかったため不成立となりました。
 さらに協議が続く模様です。

 

 (英語)Small majority votes to join Moscow Patriarchate at Archdiocese of Western Europe General Assembly / OrthoChristian.Com

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: РПЦ продолжит консультации с "русским экзархатом" по поводу его присоединения к ней

 

 今回成立しなかったということは、モスクワ総主教庁の管轄権下へ全体で移ることは不可能でしょう。

 表向きをどう表現するかはわかりませんが、同大主教区内でそれぞれの選択を尊重して合意する方法に関して協議を始めねばならない時期のような気がします。

 

続報:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下で一方的に総主教代理区の地位を廃止(2018年11月)された西欧ロシア正教会大主教区のジャン大主教座下がロシア正教会モスクワ総主教庁への移動を決定(2019年9月)

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”がフジコ・ヘミングの演奏会に臨席。ウクライナ駐箚の日本国大使の招待によるもの(2019年9月)

 2019年9月5日、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の公式サイトによりますと、“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、フジコ・ヘミングゲオルギー=ヘミング・イングリッド・フジコGeorgii-Hemming Ingrid Fuzjko)の演奏会に臨席したようです。
 同庁の公式サイトによりますと、ウクライナ駐箚の日本国特命全権大使倉井高志閣下(くらい たかし : His Excellency Mr Takashi Kurai)の招待によります。

 このサイトをご覧の方はご存知でしょうが、フィラレート総主教はロシア正教会を破門(anathema)されてから現在に至るまでロシア正教会モスクワ総主教庁と激しく対立しています。
 またその破門をロシア正教会を無視して撤回したコンスタンティノープル主導で結成された OCU をも離脱。この出来事においてはポロシェンコ(前)大統領や現在 OCU の首座を務めるかつての自分の右腕“エピファニー府主教”らが自分に嘘(エピファニー府主教は対外的に代表を務めるだけであり、国内ではフィラレート総主教がトップであるとする密約)をついて騙したと主張しています。そして、 OCU 側が UOC-KP を清算して全財産を取得しようとしている動きに対し、訴訟を起こすなどの動きを見せています。また、コンスタンティノープルが OCU に与えたトモスの内容についても「モスクワと共謀しウクライナに真の独立を与えなかった」というような内容の批判を加えています。

 大使は5月に上記の( OCU 首座の)エピファニー府主教と会見しており、また駐ウクライナ大使館でおこなわれた天皇陛下(徳仁なるひと : Emperor Naruhito : His Majesty【His Imperial Majesty】 The Emperor)の即位記念の催しにそのエピファニー府主教が(コンスタンティノープルの聖職者とともに)臨席しています。

 今回、フィラレート総主教を演奏会に招待したことは、教派に対するバランス外交……ということになるのかなあと首をひねっております。 UOC-KP の宣伝に使われ、反感を招くだけでは……。しかし、ウクライナのような面倒な場所で、現地の大使が信頼できないとなると政府に出来ることはなにもないので、この招待が日本の国益につながることを期待しましょう。

 

 (ウクライナ語: UOC-KP 公式サイト)Патріарх Філарет відвідав концерт відомої японської піаністки Інгрід Фудзіко Хемінг – Українська Православна Церква Київський Патріархат

 

На запрошення Посла Японії в Україні… – Київський Патріархат УПЦ | Facebook

 

Святійший Патріарх Філаретさん(@patriarch_philaret) • Instagram写真と動画