モンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下が、キリスト教/第46代セルビア総主教に選出されたポルフィリイェ聖下に祝意(2021年2月)

 モンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下(His Excellency Mr Milo ĐukanovićМило Ђукановић)が、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教に選出されたポルフィリイェ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Porfirije, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)に祝意を表明しているようです。

 

 (モンテネグロ語:モンテネグロ大統領府 公式サイト)Novosti | Predsjednik Đukanović uputio čestitku novoizabranom srpskom patrijarhu Porfiriju

 

 反セルビア正教会の立場から教会に厳しい弾圧をおこない、これに加え選挙で野党勢力への弾圧をおこなうなどという愚行が、もともとうさんくさいモンテネグロの政情のさらなる評判低下を招きました。
 またセルビア共和国と西欧の接近によりこれ以上下手な手を打つのが危険になっているということもあります。
 そして、コンスタンティノープルがモンテネグロの教会法上合法でない“モンテネグロ正教会”を認めるつもりがまったくないという立場が動かないことなど、そろそろ完全に失敗というオチも見えますが……。

 ジュカノヴィッチ大統領としては、とりあえずこれまでの態度は堅持しつつも、これ以上のルール破りや無礼な態度を減らしながら、相手方の失策を待つということになるでしょう。

キリスト教/セルビア総主教ポルフィリイェ聖下への祝意を表明したコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】首座“エピファニー府主教”の名前がセルビア正教会公式サイトのリストに無い模様(2021年2月)ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)首座/キエフ・ウクライナ全土府主教オヌフリー座下の名前は掲載

 新たにセルビア総主教となった(選出着座)キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教ポルフィリイェ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Porfirije, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)ですが、セルビア正教会の公式サイトがポルフィリイェ総主教に対して祝意を表明した人々を列記しています。

 

 (英語:セルビア正教会 総主教庁 公式サイト)The Orthodox and the entire Christian world and people of good will congratulated Patriarch Porfirije on his election | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 

 その中には、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座“エピファニー府主教”の名前はなく、ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・ウクライナ全土府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan OnufriyOnufry】 of Kiev and All Ukraine)の名前が他の自治的権限を持つ教会の首座らとともに並んでいます。

 当たり前ですね、というところですが……。

 これに関して、ウクライナの正教会系メディア UOJ と、ギリシャの正教会系メディア Orthodox Times (Romfea.grの英語版)が記事を出しています。

 (英語)UOC Primate named among Heads of Churches who congratulated Pat. Porfirije – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)The newly elected Patriarch of Serbia reveals his stance on the Ukrainian issue – Orthodox Times

 後者は、ポルフィリイェ総主教がウクライナ問題に関して“中立的でない”態度を表明したという主旨であり、また反コンスタンティノープルのバチュカ主教イリネイ座下(His Grace Bishop Irinej of Bačka)やロシア正教会の影響を抜け出せなければ総主教はこのままの態度だろうというものです。
 率直な話、ポルフィリイェ総主教の個人的意見がどんなものかはわかりませんが、コンスタンティノープルを支持することはセルビア正教会にマイナスが大きすぎる以上、ポルフィリイェ総主教がわざわざ己の率いる教会をつぶそうとする必要などまったくありません。
 当たり前ですが、セルビア正教会は、 OCU を独立正教会と認めたことはなく、またそもそもエピファニー府主教を神品(聖職者)と認めたことすらありません。
 最近になって、コンスタンティノープルの府主教が、“ウクライナ独立正教会【UAOC】”から合流した“マカリー府主教”に使徒継承性があるのではないかとか言い出しましたが、これはロシア正教会による“フィラレート総主教”と“マカリー府主教”への破門(アナテマ)を2018年にコンスタンティノープルが一方的に撤回したこと件と関係があるのでしょう。一言でいえば、コンスタンティノープルは、自分たちが破門を撤回した人物が主教である資格があるのかどうかすら事前に調べていなかったということです。そして今になって、使徒継承性が無いという結論になっている人物に対して、何も新しい情報を提示せずに「あるのではないか」と言い出しているわけです。
 もっともマカリー府主教についてはどうでもよく、それよりも首座であるエピファニー府主教が聖職者としての条件を満たしていない状況をなんとかしないといけないのではないかという見解は広まっているようで、エピファニー府主教が引きずりおろされる可能性の記事も散見されます。情報戦も含むでしょうが、真面目に言えばとっとと引きずりおろして使徒継承性のある人物を首座にすえるしかないでしょう。

 

キリスト教/コンスタンティノープルの聖シノドがカルケドン府主教アサナシオス座下を罷免(2021年2月)フランス府主教エマニュエル座下が新たにカルケドン府主教となる

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの聖シノドは、同教会のカルケドン府主教アサナシオス座下(His Eminence Metropolitan Athanasios of Chalcedon)を罷免し、フランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)を新たにカルケドン府主教とすることを決定したようです。

 アサナシオス府主教罷免の理由は、バルソロメオス総主教と聖シノドに従わなかったことが理由のようですが、どうもなにがあったのかよくわかりません。
 また、エマニュエル府主教がフランスから移るようですが、これに伴い、府主教の補佐をしていたリジオ主教イリネオス座下(His Grace Bishop Irinaios of Rigio)がフランス府主教庁の臨時の責任者となるようです。

 アサナシオス府主教近辺の理由も気になりますが、エマニュエル府主教がフランスから移るのが恒久的なものなのかもはっきりしないところです。
 エマニュエル府主教は、コンスタンティノープルとモスクワのシスマにおいてコンスタンティノープル側を代表する行動をしており、もしこのままカルケドンに移るのであれば、コンスタンティノープルの対外的な役割が再編成されるかもしれません。

 

 (英語)Metropolitan of France was elected Elder of Chalcedon and Bishop of Abydos Metropolitan of Krini (upd) – Orthodox Times
 (英語)Constantinople’s Metropolitan Emmanuel of France transferred to Chalcedon / OrthoChristian.Com

 

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)の今年最後の聖シノド会合がおこなわれる(2020年12月)

 2020年12月9日、キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治権を行使するウクライナ正教会は、今年最後の聖シノド会合をおこないました。

 ヴァルナヴ掌院(Archimandrite Varnavu)がミコライフ教区(ムィコラーイウ教区)の補佐としてノヴォブズキー主教に任命されるようです。

 内容はいろいろありますが、コンスタンティノープル批判が一番重要なものでしょうか。
 コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は、ウクライナ正教会の主教らについて「私は彼らが一時的にウクライナにいるのを許してやっている」などと発言するなど、とにかくまあこれはもういろいろとダメだろうと思う次第です。

 

ボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下のコメントなど/
Українська Православна Церква(ウクライナ正教会 公式チャンネル):
КОМЕНТАР: Засідання Священного Синоду УПЦ – YouTube

 

#ВІДЕО Підсумки засідання Священного… – Українська Православна Церква | Facebook

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Розпочалось останнє у 2020 році засідання Священного Синоду Української Православної Церкви – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Підсумки Священного Синоду УПЦ від 9 грудня 2020 року (+відео) – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)УПЦ передала Антіохійській Церкві понад 2 мільйони гривень, – Священний Синод – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)УПЦ передала медичним закладам і нужденним 2,5 мільйона гривень і понад 450 тонн гуманітарної допомоги – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Звіт Керуючого справами Української Православної Церкви за 2020 рік – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Священний Синод благословив місцеве шанування 5-ох подвижників, які подвизались у Сумській і Олександрійській єпархіях – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)УПЦ у 2020 році – зросла кількість парафій, священнослужителів і студентів духовних навчальних закладів – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Священний Синод обрав нового єпископа — вікарія Миколаївської єпархії – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Священний Синод висловив позицію щодо заяви Патріарха Варфоломія відносно статусу УПЦ – Українська Православна Церква

 

Розпочалось останнє у 2020 році… – Українська Православна Церква | Facebook

 

9 грудня 2020 року під час останнього в… – Українська Православна Церква | Facebook

 

 ウクライナ正教会の聖シノドは、ウクライナ正教会の首座/キエフ・ウクライナ全土府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan OnufriyOnufry】 of Kiev and All Ukraine)の臨席の元に開催され、固定メンバーは、

  • オデッサ・イズマイル府主教アガファンゲル座下(アハファンヘル府主教 : His Eminence Agafangel, Metropolitan of Odessa and Izmail)
  • シンフェロポリ・クリミア府主教ラザル座下(His Eminence Metropolitan Lazar of Simferopol and Crimea)
  • フスト・ヴィノグラドフ府主教【フースト・ヴィノフラーディフ府主教】マルク座下(His Eminence Metropolitan Mark of Khust and Vinogradov【Vynohradiv】)
  • ドネツク・マリウポリ府主教イラリオン座下(His Eminence Hilarion【Ilarion】, Metropolitan of Donetsk and Mariupol)
  • カメネツ=ポドリスク・ゴロドク府主教【カムヤネツィ=ポヂリスキー・ホロドク府主教】フョードル座下(His Eminence Metropolitan Theodore of Kamyanets-Podilskyi and Horodok)
  • ヴィシゴロド・チェルノブイリ府主教パーヴェル座下(His Eminence Metropolitan Pavel of Vyshgorod and Chornobyl)
  • ルガンスク・アルチェフスク府主教【ルハンスク・アルチェウスク府主教】ミトロファン座下(His Eminence Metropolitan MitrofanMytrofan】 of Lugansk【Luhansk】 and Alchevsk)
  • ボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)

 

 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Блаженнейший митрополит Онуфрий возглавил последнее в 2020 году заседание Синода Украинской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Состоялось очередное заседание Священного Синода Украинской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru

 (英語)Ukrainian Synod: Constantinople has no canonical grounds to talk about status of Ukrainian Church / OrthoChristian.Com
 (英語)2020 report: Ukrainian Church grows in number of monasteries, parishes, bishops, clergy / OrthoChristian.Com

 (英語)Synod: Phanar's rhetoric on UOC status threatens religious peace in Ukraine – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Synod of UOC: Phanar's decisions on His Beatitude have no canonical grounds – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

本日【2020年11月23日】キリスト教/キプロス正教会が聖シノドの会合をおこなう模様。おそらくコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認し、その後ロシア正教会側からフル・コミュニオンを解除されるということになるのでは(2020年11月)

 本日【2020年11月23日】、キリスト教/キプロス正教会が聖シノドの会合をおこなう模様。
 おそらくコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認することになると思われます。

 

ここまでの事態:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)
 キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がキプロス大主教の行動についてコメント(2020年10月)
 キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノドがキプロス大主教クリソストモス2世座下とのユーカリスティック・コミュニオンを解除(2020年11月)

 

 レメソス府主教ら四主教がクリソストモス2世を批判していますが、それ以外の批判者が続かないところをみると、聖シノドの会合はクリソストモス2世を支持するものが多数、 OCU を独立正教会として承認して終了するでしょう。

 その後は、ロシア正教会の聖シノドが臨時会合を開き、今まではキプロス大主教とのみフル・コミュニオンを解除していましたが、キプロス正教会全体とフル・コミュニオンを解除することを決定するということになります。
 東方正教会大分裂がまた一段階進みます。
 これは単なる大分裂ではなく、原則がムチャクチャになっているので、東方正教会崩壊というほうが正しいかもしれません。

 

 さて、そんな全体のことはともかく。
 このキプロスの一件で注目なのは、レメソス府主教らが、あくまで聖シノドの決定に従わず、分離シノドを形成する可能性です。
 彼ら自身も所詮はギリシャ人なので、最終的には折れてコンスタンティノープルに従うのではないかと思っていますが……。
 しかしコンスタンティノープルを批判する声明を出した四人があっさりとまた短期間で言葉を翻すようでは、東方正教会のギリシャ人の神品(聖職者)は嘘つきばかりと大宣伝しているようなもの。
 彼らは(コンスタンティノープルやそれに続く連中と共に)、キリスト教と東方正教会とギリシャ人という人種の評判を大幅に下落させることになります。
 まあでも、そうするんじゃないでしょうか(達観)。

 

 あとは北キプロス・トルコ共和国への影響です。
 分離シノドが形成されるようなことがなければ、ロシア正教会は北キプロスにある聖堂・修道院などの接収を(ロシア政府を通じて)トルコ共和国政府および北キプロス政府に求めるでしょう(なにしろもはや正当な所有者がいないため)。
 政治・外交への影響は避けられないように思えます。