キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、4月に無罪判決が出たジョージ・ペル枢機卿座下と会見(2020年10月)

 2020年10月12日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、4月にオーストラリアの最高裁判所で無罪判決の出た、ローマ教皇庁 名誉財務長官ジョージ・ペル枢機卿座下(His Eminence George Cardinal Pell, Prefect Emeritus of the Secretariat for the Economy)と会見しました。

 

 教皇、ペル枢機卿とお会いに – バチカン・ニュース
 (英語:バチカン・ニュース)Pope Francis receives Cardinal George Pell – Vatican News

 

Vatican News – Italiano:
2020.10.12 Il Papa incontra il cardinale George Pell – YouTube

 

 (英語)Pope Francis to Cardinal Pell: Thank you for your witness | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Pope Francis to Cardinal Pell: Thank you for your witness – YouTube

 

インタビュー記事(ロシア語):キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下からの事実上の離脱を決めた西欧ロシア正教会大主教区のジャン【イオアン】大主教座下「理想的な教会は無い。ローマ・カトリック教会の現状を見るがいい」(2019年2月)

 2019年2月23日に臨時総会【EGA】がおこなわれ、事実上、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルからの離脱を決定した西欧ロシア正教会大主教区。

 この大主教区は、もともとロシア帝国崩壊後のソ連での弾圧から逃れた人々らにより結成され、その後ロシア正教会モスクワ総主教庁を完全に離れてコンスタンティノープルの管轄権下に入っていたものです(ものすごく簡単にいいましたが)。
 1999年には、コンスタンティノープルより総主教代理区として認めるトモスを与えられましたが、2018年11月27日にコンスタンティノープルより突如として一方的に廃止を宣告されました。また、これは大主教区自体の廃止を要求するものでした。
 一方、大主教区側は、これに対し、総主教代理区として認めるかどうかはコンスタンティノープルが決めるものだが、大主教区の将来を決めるのは大主教区自体の総会【GA : General Assembly】であるとし、2019年2月23日、臨時総会【EGA : Extraordinary General Assembly】を開催、コンスタンティノープルからの要求を拒否することを投票で決定しています。
関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄下で一方的に総主教代理区としては廃止された西欧ロシア正教会大主教区の臨時総会が開催、集団としての解体を認めないと決定(2019年2月)

 また、これから大主教区が、コンスタンティノープルではないどこの教会法上合法な教会に属するかですが、ロシア正教会モスクワ総主教庁、(ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を保有する)在外ロシア正教会、ルーマニア正教会、アメリカ正教会【OCA】の名前が挙がっていました。

  Orthodoxie.com によりますと、投票でコンスタンティノープルの要求の拒否が決まった後、同大主教区のジャン大主教座下(イオアン大主教 : ハリオポリス大主教)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会のウィーン・ブダペスト大主教アントニー座下(His Eminence Archbishop Anthony【Antoniy】 of Vienna and Budapest)からの書簡を読み上げ、すでにロシア正教会モスクワ総主教庁との間の対話が進んでいることをあきらかにしています。
関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄下で一方的に総主教代理区としては廃止され、事実上の離脱を決定した西欧ロシア正教会大主教区は、すでにロシア正教会モスクワ総主教庁との話を進めている模様(2019年2月)

 今回、さらに別のメディアがジャン座下へのインタビューをおこなっています。

 (ロシア語)Парижский архиепископ о перспективе перехода к РПЦ: «Идеальных церквей нет» – РОССИЯ – RFI

 今までの状況の確認ですが、興味深いものになっています。

 新しく属する教会として連絡を取った先として(ロシア正教会以外)、在外ロシア正教会とルーマニア正教会へも連絡を取ったことがあきらかにされていますが、在外ロシア正教会では大主教区側の要求が通りにくそうなこと、ルーマニア正教会ははっきりしないようです。アメリカ正教会【OCA】については言及がありません。
※なお、ルーマニア正教会が前向きに検討しているとする報道もありますが……。

 また、現在の政治情勢のもとで、ロシア正教会の管轄権下に入ることについては、「政治とは距離を置くこと」という状況によっては厳しいもののよくある聖職者的なコメントに加え、ロシアの聖堂や修道院が復興していることに心動かされている様子がうかがわれます。
 加えて、離脱者が出る可能性についても認めています。西欧は自由な国々なので立ち去るのも自由ということですが……これは東方正教会の聖職者として果たして良いのかとも思われます。
 しかし、次のようなコメントも面白いところです。
「スキャンダルなどの問題はすべて教会にある。ローマ・カトリック教会の現状を見よ(このインタビューより時間としては後ですが、本日、オーストラリアの枢機卿が複数の児童への性的虐待で有罪宣告)」
「私はいつも楽園はここにはないと言っている。修道院も楽園ではない。地上には天国はない」
「もし我々がもっとも理想的な教会を求めてもそんなものはない。無人島で一人で過ごすしかない」

 インタビューの中で質問されていながらはっきりと答えられていないように思うのは、大主教区が教会法上合法な教会の中にあるべきなのか(つまり「完全に独立した宗教組織になってはいけないの?」)ということと、現在の状況で東方正教会の教会法上合法な教会とはなにか(モスクワがコンスタンティノープルとのフル・コミュニオンを解除している現状で、コンスタンティノープルがモスクワとのフル・コミュニオンを解除する可能性はあるわけですが、そうなってもモスクワは教会法上合法な教会なのか)というあたりでしょうか。