キリスト教/ルーマニア正教会/セヴェリン・ストレハイア主教ニコディム座下が、ルーマニア駐箚のベラルーシ大使と会見(2019年3月)

 2019年3月27日、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会/セヴェリン・ストレハイア主教ニコディム座下(His Grace Bishop Nicodim of Severin and Strehaia)は、同地を訪問したルーマニア駐箚ベラルーシ共和国特命全権大使アンドレイ・グリンケヴィチ閣下(His Excellency Andrei Grinkevich)と会見しました。

 下記記事によれば、会談内容に、ルーマニア正教会とベラルーシ正教会【ロシア正教会のベラルーシにおける総主教代理区】の相互の巡礼が議題に挙がっていたようです。
 東方正教会の各教会が存在する国々では、巡礼観光と呼んでいいのかなんと呼べばいいのかわかりませんが、教会と政治が協力して信徒を巡礼させることによって経済効果が生じているという状態になっています。
 これはまた、教会間の仲が悪くなると、信徒たちが相手の教会に属する歴史的な聖堂や修道院などを巡礼=観光しにくくなり、観光収入減少により経済が悪化するということでもあります。昨年のロシア正教会モスクワ総主教庁によるコンスタンティノープルとのフル・コミュニオン解除により、(コンスタンティノープルの管轄権下にある領域が存在する)ギリシャ共和国ではロシア人観光客が減少しました(ギリシャ側はノンキにも「365日ロシア人をもてなす」と述べていた直後に減少の報道がされました)。事実上の経済制裁みたいなものですが、ギリシャではツィプラス政権による教会予算減額のほうが大きな話題になっていったため、どれくらいマイナスなのかはよくわかりません。
 ルーマニアの主教とベラルーシ大使がそのような状況を認識していないとも考えにくいため、少なくとも二人の間では、ロシア正教会とルーマニア正教会のフル・コミュニオン解除(ルーマニア正教会が、コンスタンティノープルが設置した独立正教会の「ウクライナ正教会」(OCU)を承認すれば、モスクワはルーマニアとのフル・コミュニオンを解除するでしょう)の可能性はまったく考えられていないのでしょう。

 

 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)Episcopul Severinului şi Strehaiei s-a întâlnit cu Ambasadorul Republicii Belarus în România – Basilica.ro

 

Basilica.roさんのツイート: "Întâlnirea a avut loc la Reşedinţa Episcopală din Drobeta Turnu Severin. https://t.co/tYt9UoGKUJ"

 

ギリシャ共和国憲法改正の動き進むも、次は総選挙後に審議?(2019年3月)ツィプラス政権は憲法三条=「ギリシャではキリスト教/東方正教会を優遇しますよ」という条文の変更を目指していますが……

 ギリシャ共和国の議会は、憲法改正の動きを進める投票をおこない、過半数以上の156人が賛成票を投じました。
 ただ、改正には総選挙後の議会(憲法改正の審議をおこなうため特別な名称が付くらしいです)で180票(全体の五分の三)が必要らしいです。

 ギリシャ共和国総選挙は今年【2019年】おこなわれ、ギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)からは10月が候補として挙げられたことがあります。有利と見た時期におこなうでしょうが、現状の世論調査では SYRIZA は現有議席の確保も難しく、このままでは通らないんではないかと思います。とはいえ半年以上あればイスラム系で同国で暮らしている人々に国籍やら選挙権やらをたくさん与えられる可能性もあり、非キリスト教有権者の増大が選挙結果を大きく変えるかもしれません。

 

 (英語)Revision of Article 3 was approved by the Parliament – Romfea News

Romfea.newsさんのツイート: "Revision of Article 3 was approved by the Hellenic Parliament #romfeanews #greekparliament #constitutionalrevision #Article3 #churchofgreece https://t.co/cRhNEkzWCf"

 

 なお、その憲法三条ですが、簡単にいいますと

  1. ギリシャではコンスタンティノープル及び同じ教えを奉じる東方正教会のギリシャ正教会を優遇しますよ
  2. 聖職に関して、国家は前項に反するようなこと考えちゃダメですよ
  3. 聖書を、コンスタンティノープルとギリシャ正教会の許可なしに変えちゃダメですよ

 というようなことらしいです(1項はもっと長いです)。

 これに対し「宗教的中立」というお題目を提示してツィプラス政権は憲法改正を図っています。

 

キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドの会合が終了しましたが、大したことは決まらず、2019年3月19日~21日に(おそらく全主教出席の)会合を開くことが決定されたようです。

 

 (英語)The decisions will be taken by the meeting of the Hierarchs on March 19 – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "The meeting of the #Hierarchs will have the last word on March 19 #romfeanews #ChurhOfGreece https://t.co/GDmrLxAZ8K"

 

 現在、ギリシャ正教会は発狂寸前ではないかという状態です。

 コンスタンティノープルとモスクワの対立をもう引き返せないところまでにしてしまったウクライナの件に加え、SYRIZAを率いるギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)による国家と教会の分離(平たく言えば教会排除の方針)。また首相・SYRIZAによってマケドニア問題に関して国名を「北マケドニア共和国」で認めることや、トルコ共和国とのなんだかよくわからない関係の構築(ギリシャ正教会の府主教からは首相をトルコ系ユダヤ人とする発言も出ています。首相自身がトルコ紙に語ったことがベースになっているようですが)、そして、アフガニスタン・パキスタンなどからのイスラム教徒【ムスリム】への選挙権付与により票の上積みをはかっているなど。トルコ系ユダヤ人の無神論者がイスラム教徒から支持を受けるということでどこまで本当かわかりませんが、ツィプラス政権でギリシャと教会は滅ぶと恐怖しているようにみえます。
 なお、いろいろありましが、ギリシャの世論調査を信じるならば、今年【2019年】中におこなわれる(首相はかつて10月と発言)ギリシャ議会選挙で SYRIZA に投票すると答えた人は微増している状況です。この調査結果は、選挙までの残り半年以上で首相がさらになにかをやらかす可能性を上昇させています。

 また、欧州全体の景気後退が始まったのではないかという観測に加えて、仮にロシア正教会からフル・コミュニオンを解除されると、ロシア人巡礼観光客はさらに減少し(某府主教はロシア正教会を批判する一方で「365日ロシア人をもてなす」とかのんきなことをいってましたが)、ギリシャ経済は悪化、首相によって教会に責任が押しつけられるという展開もありえます。
 これはギリシャだけでなく、モスクワとの関係は、キプロスやエルサレムもそれぞれの国の経済・政治・外交に直結する問題なので、正直どこも頭が痛いでしょう。

 

キリスト教/ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下が、会合がおこなわれている聖シノドについてコメント。国家と教会の関係、ウクライナの件(2019年3月)

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)が、現在会合がおこなわれている同教会の聖シノドに関して、国家と教会の分離を推進するツィプラス政権に対する決定や、ウクライナに関する件などについて結論を目指していることなどをコメントしています。

 

 (英語)Archbishop Ieronymos: Τhe State, the Church, and the priests, will make the final decision – Romfea News

 

 国家と教会の分離については、ギリシャ共和国の国内問題である部分も多いので、結局は政治家や選挙結果とのかかわりで進むと思いますが、ウクライナの件についてはギリシャ系の独立正教会はコンスタンティノープルに逆らうことはないだろうと思います。
 タイミングはともかくコンスタンティノープルが認めたほうの「ウクライナ正教会(AOCU : OCU)」を承認し、そしてロシア正教会側からフル・コミュニオンが解除され、東方正教会の教会分裂が確定的になっていくのではないでしょうか。

 まあ……もうしょうがないでしょうね。

 

 聖シノドは、2019年3月7日(木)が最終日ですが、どちらの問題も持ち越すかもしれません。

 

関連:
 キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、ギリシャ正教会の「アポストリキ・ディアコニア」代表団のファナリオン主教アガサンゲロス座下らと会見(2019年2月)

 2019年2月25日、キリスト教/ローマ・カトリック教会の首座/ローマ教皇聖座およびバチカン市国の絶対君主/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会に聖シノドに属する「アポストリキ・ディアコニア(Apostolikì Diakonìa : Αποστολική Διακονία)」の訪問を受け、ファナリオン主教アガサンゲロス座下(His Grace Bishop Agathanghelos of Phanarion)らと会見しました。

 フランシスコ教皇聖下は、「フル・コミュニオンへの道にそびえる困難を克服」することを呼びかけることなどを含む挨拶をしたようです。

 

Vatican News – Italiano:
Papa Francesco: i discepoli di Cristo non siano prigionieri delle differenze – YouTube

 

 (英語)Pope Francis meets Orthodox Church of Greece delegation | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Pope Francis meets Orthodox Church of Greece delegation – YouTube

 

 (英語:ローマ教皇聖座公式サイト)Audience with a delegation of the “Apostolikì Diakonìa” of the Church of Greece, 25.02.2019
 (英語:バチカンニュース)Pope to Greek Orthodox: ‘we have more in common than what keeps us apart' – Vatican News