東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の聖シノド会合は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)とのコミュニオン解除を決定しました。
 これは、セオドロス2世が、前言を翻し、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認したことによる対抗措置です。

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 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 報道によれば、決定は八項目にまとめられるようです。

  1. 教会分裂勢力(コンスタンティノープル系ウクライナ正教会)とコミュニオンに入ったアレクサンドリア総主教セオドロスの反教会法的行為に対し、深い悲しみを表明すること
  2. それはこれまでの彼の意見表明とまったく反するものであることを強調すること
  3. この行動は、アレクサンドリア総主教庁聖シノド会合では審議されておらず、独断のものであること
  4. 彼の名を挙げて礼拝することが不可能であることと、彼とユーカリスティック・コミュニオンを継続することが不可能であることを確認すること
  5. アレクサンドリア総主教に追随しないアレクサンドリア総主教庁の聖職者とはコミュニオンを継続すること
  6. アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止すること
  7. アレクサンドリア総主教庁に向けて置かれていたエジプト・カイロのモスクワ総主教庁の代表団は、ロシア正教会の小教区に変更されること
  8. アフリカに置かれていたロシア正教会の小教区はアレクサンドリア総主教庁の管轄権下から撤退し、モスクワ総主教庁直轄に移ること

 ここからの展開ですが、アフリカ大陸において、ギリシャ系人種の主教らに“二級市民”として扱われているアフリカ系聖職者(アフリカ系のみならずギリシャ系人種以外は東方正教会では二級市民ですが)らがどう行動するかということになるでしょう。
 ロシア正教会側は、「全アフリカにおける総主教代理区」のようなものを設置し、彼らをアレクサンドリアから切り崩して取り込んでいくのではないでしょうか。

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Священный Синод принял меры в связи с признанием Предстоятелем Александрийского Патриархата раскольнической структуры на Украине / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ベラルーシ正教会公式サイト)Митрополит Павел принял участие в заседании Священного Синода Русской Православной Церкви | Митрополит | Белорусская Православная Церковь | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill ceases liturgical commemoration of patriarch of Alexandria for recognizing new church of Ukraine
 (英語)Russian Synod removes Russian parishes in Africa from jurisdiction of Patriarchate of Alexandria / OrthoChristian.Com
 (英語)ROC Synod evaluates the recognition of OCU by Alexandrian Patriarchate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

キリスト教/ロシア正教会の今年最後の聖シノド会合はじまる(2019年12月)アレクサンドリア総主教庁とのコミュニオン解除があるかどうかが注目

 2019年最後となる、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の聖シノド会合が始まりました。
 アレクサンドリア総主教庁とのコミュニオン解除があるかどうかが注目です。

関連記事:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 

russianchurch(ロシア正教会モスクワ総主教庁公式チャンネル):
Началось последнее в 2019 году заседание Священного Синода Русской Православной Церкви – YouTube

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Святейший Патриарх Кирилл возглавил последнее в 2019 году заседание Священного Синода Русской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru

 

 ロシア正教会聖シノドのメンバーは、

  • ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)
  • ウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)
  • クルチツィ・コロムナ府主教ユヴェナリー座下(His Eminence Metropolitan Juvenaly of Krutitsy and Kolomna)
  • モルドバ正教会の首座/キシナウ・全モルドバ府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)
  • アスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander of Astana and Kazakhstan)
  • タシケント・ウズベキスタン府主教ヴィケンティー座下(His Eminence Metropolitan Vikentiy of Tashkent and Uzbekistan)
  • サンクトペテルブルク・ラドガ府主教ヴァルソノフィー座下(His Eminence Metropolitan Varsonofy of St. Petersburg and Ladoga)
  • ベラルーシにおける総主教代理【ベラルーシ正教会首座】/ミンスク・ザスラーヴリ府主教パーヴェル座下(His Eminence Metropolitan PaulPavel】of Minsk and Zaslavl, The Patriarchal Exarch of All Belarus)
  • モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))
  • ヴォスクレセンスク府主教ディオニシー座下(His Eminence Metropolitan Dionisiy of Voskresensk)

 上記が固定メンバーで、さらに五名が半年間の任期で参加します。

 

追記:
 会合前の話ですが、イラリオン府主教座下は、アフリカへの小教区設置の可能性についてコメントしたようです。

 (英語)Interfax-Religion: Russian Orthodox Church could open parishes in Africa if Patriarchate of Alexandria sides with Ukrainian schism – Metropolitan Hilarion (updated)

 

続報:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)

 

動画(英語):キリスト教/コプト正教会のロンドン大主教【ロンドン大司教】アンゲロス座下のクリスマス(降誕祭)メッセージ映像(2019年12月)

 キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会/ロンドン大主教【ロンドン大司教】アンゲロス座下(His Eminence Archbishop Angaelos of London)による降誕祭のメッセージ映像です。

 

Archbishop Angaelos(アンゲロス大主教公式チャンネル):
Feast of the Nativity Message 2019/2020 from HE Archbishop Angaelos – YouTube

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。

 

キリスト教/英国正教会【イギリス正教会】【ブリテン正教会】首座/グラストンベリー府主教セラフィム座下(英国総主教)が、転倒して負傷したとのこと(2019年9月)

 キリスト教/オリエント正教会系統の英国正教会【イギリス正教会】【ブリテン正教会】(British Orthodox Church)の首座/グラストンベリー府主教“アバ”・セラフィム座下(His Eminence Abba Seraphim, Metropolitan of Glastonbury)は、転倒して上腕骨を骨折した模様。
 用語の正確な意味がいまいちわかりませんが、六週間は腕を吊るような包帯か何かの着用が必要なようです。

 

 (英語:英国正教会公式サイト)Abba Seraphim suffers a fall and a fracture – The British Orthodox Church

 

 セラフィム座下は英国総主教を称しており、また、今回の記事では後継者のジェームズ大主教座下がいるのでなにも心配はないというような記述もあります。

 セラフィム座下自身はコプト正教会で叙聖を受けており、その後コプト正教会から英国正教会が離脱した後にどうなったかはわかりませんが、オリエント正教会の主流の教会の聖職者として認められる条件は過去においては満たしています。
 が、ジェームズ座下は、そのような主流の教会に属さない主教を含んだ形で叙聖を受けています。
 また、(長い形での)ジェームズ座下の称号を含む表記は(His Eminence Abba James, Archbishop Titular of Caerleon-upon-Usk and Mafrian to the Metropolis of Glastonbury and British Patriarchate)となっており、カーリアン=アポン=アスク名義大主教に加え、「Mafrian」というものが付加されています。これはおそらく「Maphrian」と主に表記される過去のシリア正教会において総主教に次ぐ地位を持っていた聖職者の称号を後継者兼補佐(カトリックでいう協働)のためのジェームズ座下のために使用しているのでしょう。