キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合が、オンライン(Zoom)でおこなわれる(2020年12月)

 2020年12月8日、キリスト教/ロシア正教会の聖シノドの会合が、オンライン(Zoom)でおこなわれました。

 総主教からは、多数の神品(聖職者)が新型コロナウイルス感染症【COVID-19】で永眠したことなどの話があり、決定事項の中には後継人事も含まれています。
 カザン・タタールスタン府主教には、エカテリンブルク・ヴェルホトゥリエ府主教キリル座下が任命され、代わりに総主教の補佐の一人ブロンニツィ主教エフゲニー座下がエカテリンブルク・ヴェルホトゥリエ主教となるようです(同教区で補佐経験あり)。

 

russianchurch(ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式チャンネル):
Святейший Патриарх Кирилл возглавил заседание Священного Синода Русской Православной Церкви – YouTube

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Holy Synod of the Russian Orthodox Church holds on-line session / News / Patriarchate.ru

 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Состоялось заседание Священного Синода Русской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)ЖУРНАЛЫ заседания Священного Синода от 8 декабря 2020 года / Официальные документы / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Слово Святейшего Патриарха Кирилла на заседании Священного Синода 8 декабря 2020 года / Патриарх / Патриархия.ru
 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Главой Татарстанской митрополии назначен митрополит Екатеринбургский Кирилл / Новости / Патриархия.ru

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Блаженніший Митрополит Онуфрій взяв участь у роботі Священного Синоду РПЦ – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会 公式サイト)Ієрархи та духовенство УПЦ увійшли до складу комісії Міжсоборної присутності з богослов’я і богословської освіти – Українська Православна Церква

 (ルーマニア語【モルドバ語】:モルドバ正教会 キシナウ・モルドバ全土府主教庁 公式サイト)Mitropolia Chişinăului şi a Întregii Moldove | ÎPS Mitropolit Vladimir a participat la ședința în format on-line a Sfântului Sinod al Bisericii Ortodoxe Ruse
 (英語:モルドバ正教会 キシナウ・モルドバ全土府主教庁 公式サイト)Orthodox Church of Moldova – Metropolis of Chişinău and all Moldova | His Eminence Metropolitan Vladimir participated in on-line Session of the Holy Synod of the Russian Orthodox Church

 (ロシア語:ベラルーシ正教会 公式サイト)Митрополит Вениамин принял участие в очередном заседании Священного Синода | Митрополит | Белорусская Православная Церковь | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

 

 聖シノドのメンバー:

 議長:
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・ロシア全土【ルーシ全土】総主教キリル聖下(キリール総主教キリイル総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)

 常任メンバー:

  • ウクライナ正教会の首座/キエフ・ウクライナ全土府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)
  • クルチツィ・コロムナ府主教ユヴェナリー座下(His Eminence Metropolitan Juvenaly of Krutitsy and Kolomna)
  • モルドバ正教会の首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)
  • アスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander of Astana and Kazakhstan)
  • タシケント・ウズベキスタン府主教ヴィケンティー座下(His Eminence Metropolitan Vikentiy of Tashkent and Uzbekistan)
  • サンクトペテルブルク・ラドガ府主教ヴァルソノフィー座下(His Eminence Metropolitan Varsonofy of St. Petersburg and Ladoga)
  • ベラルーシ全土における総主教代理(ベラルーシ正教会首座)のミンスク・ザスラーヴリ府主教ヴェニャミン座下(His Eminence Metropolitan BenjaminVeniamin】of Minsk and Zaslavl, the Patriarchal Exarch of All Belarus)
  • モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))
  • ヴォスクレセンスク府主教ディオニシー座下(His Eminence Metropolitan DionysiusDionisiy】 of Voskresensk)

 その他、冬季(9月~2021年2月)メンバーが五名います。

 

キリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、アメリカ正教会【OCA】のポドヴォリエ(東方正教会の大使館的権能を持つ)でもある聖堂で礼拝をおこなう(2020年12月)

 2020年12月7日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、キリスト教/東方正教会/アメリカ正教会【OCA】のポドヴォリエでもある聖エカテリナ聖堂にて、聖大致命女エカテリナの祭日の礼拝をおこないました。
 キリスト教/東方正教会/セルビア正教会よりモラヴィツァ主教アントニイェ座下(His Grace vicar Bishop AnthonyAntonije】 of Moravica)ほか、チェコ・スロバキア正教会、ジョージア正教会【グルジア正教会】などから神品(聖職者)が参列したようです。
 また、アメリカ正教会【OCA】の首座/ワシントン大主教、全アメリカ・カナダ府主教ティーホン座下(His Beatitude Metropolitan Tikhon of All America and Canada, Archbishop of Washington)よりメッセージが届いたようです。

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)On commemoration day of St. Catherine, Metropolitan Hilarion of Volokolamsk officiated at the Church of St. Catherine the Great Martyr In-the-Fields  the representation of the Orthodox Church in America / News / Patriarchate.ru

 

 (ロシア語:聖エカテリナ聖堂 公式サイト)07.12.2020 г. СВЯТАЯ ВЕЛИКОМУЧЕНИЦА ЕКАТЕРИНА. ПРЕСТОЛЬНЫЙ ПРАЗДНИК | Храм Святой Великомученицы Екатерины на Всполье

 

Храм святой великомученицы Екатерины на Всполье – 07.12.2020 | Facebook

 

Поздравление Блаженнейшего Митрополита… – Храм святой великомученицы Екатерины на Всполье | Facebook

 

キリスト教/西欧ロシア正教会大主教区のジャン大主教座下とコンスタンティノープルのフランス府主教エマニュエル座下が共同声明(2020年12月)「お互いに気を使いましょうね」くらいの文章ですが……

 2020年12月4日付で、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自治的な権限を持つ西欧ロシア正教会大主教区の首座大主教/ドゥブナ府主教ジャン座下(His Eminence Metropolitan JeanJohn】【Ioan】【Ioann】 of Dubna, Archbishop of the Russian Orthodox Churches in Western Europe)と、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルのフランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)による共同声明が発表されています。

 

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区 公式サイト)Archevêché des églises orthodoxe de tradition russe en Europe occidentale – Communiqué du Bureau de l’Archevêque du 4 décembre 2020

 (英語)ROC structures and Phanar in Europe agree on fraternal coexistence – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

ROC structures and Phanar in Europe… – Union of Orthodox Journalists – UOJ | Facebook

 

※現時点で西欧ロシア正教会大主教区側の発表と、フランスの正教会系メディア、ロシアの正教会系メディアの記事がありますが、コンスタンティノープル側からの発表はなく、ギリシャの正教会系メディアも言及していません。

 

 内容は「お互いに気を配りましょうね」くらいのもので、特に意味はありません
 コンスタンティノープルが(コンスタンティノープルの管轄権下にあった)西欧ロシア正教会大主教区をつぶそうとしたときに、モスクワ総主教庁の管轄権下に移ったジャン大主教座下らとコンスタンティノープルの管轄権下の小教区に移った人々がおり、この両者の間でケンカをなるべくしないようにしましょうねということです。
 モスクワ総主教庁がコンスタンティノープルとのコミュニオンを解除している以上、西欧ロシア正教会大主教区もまたコンスタンティノープル系の神品(聖職者)らと礼拝はおこなえず、せいぜいケンカしないくらいが限界ですが……。

 今回の合意文書がなぜ出されたかについては、判断できかねるところがあります。
 そもそも決裂して出ていったわけで、ケンカをする必要はないものの、もう距離をおいてしまえばいいはずです。そうしていないとすると、距離が取れていないし、取れない理由があるのでしょう。聖堂などの施設を今も共同で使用していたりするケースがあったり、片方がそれを自分たちだけのものにしようとしていたりという、そういう争いごとがあるのかもしれません。

 また、あるいはモスクワ総主教庁自体が大主教区になんらかの圧力をかけてきている可能性があります。
関連:
 キリスト教/ロシア正教会/西欧における総主教代理アントニー府主教座下と、西欧ロシア正教会大主教区首座/ジャン府主教座下が会見(2020年10月)
 ↑ の記事において、両者の関係に関する問題点が話し合われたことが伝えられたように、大主教区とモスクワ総主教庁の西欧における総主教代理区になにか問題があることは秘密でも何でもない様子。
 ジャン大主教が、コンスタンティノープルとの融和姿勢を見せて、モスクワ総主教庁を牽制している可能性もあります。

 

追記:
 ロシアの正教会系メディア ORTHODOX CHRISTIANITY も今回の件を伝えています。

 (英語)Moscow-Constantinople agreement in France signals end of Met. Emmanuel’s legal threats / OrthoChristian.Com

 この見解は、コンスタンティノープルのエマニュエル府主教が自身の主張を諦め、ジャン大主教の立場を認めたというようなものです。
 これはコンスタンティノープルに善意(?)があるとすれば一つの見方でしょう。
 しかしコンスタンティノープル側にメリットがなく(ないというか見えてこないというか)、そもそも東方正教会全体での絶対的な首位権を主張しているコンスタンティノープルが何かを諦める必要など毛頭ないというのが現在の前提である以上、あまり説得力はないのかなと思います(書いた人も信じているのかどうか)。

 

ロシア連邦駐箚ローマ教皇大使ジョヴァンニ・ダニエッロ座下、マルタ騎士団ロシア・ミッション代表/イタリア王室(アオスタ系統)継嗣/プッリャ公爵アイモーネ公子殿下が、各国大使と共にロシア大統領ウラジーミル・プーチン閣下に信任状を捧呈(2020年11月)

※この記事は世界の王室ニュースと一部重複します。

 

 2020年11月24日、ロシア連邦駐箚ローマ教皇大使ジョヴァンニ・ダニエッロ大司教座下(ペスト名義大司教 : Archbishop Giovanni d’Aniello, Apostolic Nuncio to Russian Federation, Titular Archbishop of Pesto)、マルタ騎士団のロシア・ミッション代表に就任したイタリア王室(アオスタ系統)の継嗣/プッリャ公爵アイモーネ公子殿下(His Royal Highness Prince Aimone of Savoy-Aosta, Duke of Apulia : His Royal Highness The Duke of Aosta)は、各国大使と共に、ロシア連邦大統領ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン閣下(His Excellency Mr Vladimir Vladimirovich Putin)に信任状を捧呈しました。

※マルタ騎士団とロシアの外交関係は両者の歴史的な特別なものに基づくものらしく、通常の外交関係とされていないようです。しかし、マルタ騎士団は代表を大使とし、ロシア側も大使として扱っているようです(他国の大使と一緒に信任状の捧呈を受けているので)。

 

 (英語:マルタ騎士団 公式サイト)The new Ambassador of the Order of Malta to Russian Federation presents his letters of credence – Order of Malta

Ambassador Aimone di Savoia Aosta presented his Credentials to President Vladimir Putin as the Order of Malta’s Representative to the Russian Federation.

 (英語:ロシア大統領府【クレムリン】公式サイト)Ceremony for presenting foreign ambassadors’ letters of credence • President of Russia

Archbishop Giovanni d’Aniello (Apostolic Nuncio – Ambassador of the Holy See)

Aimone of Savoy-Aosta (ambassador of the Sovereign Military Order of Malta)

President of RussiaさんはTwitterを使っています 「Foreign ambassadors presented their letters of credence at the Kremlin https://t.co/2qdHsEn9wb https://t.co/qIzZkEw7uR」 / Twitter

 

 (イタリア語:サヴォイア王室【アオスタ系統】公式サイト)Mosca 20 novembre 2020 – Real Casa di Savoia

 

本日【2020年11月23日】キリスト教/キプロス正教会が聖シノドの会合をおこなう模様。おそらくコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認し、その後ロシア正教会側からフル・コミュニオンを解除されるということになるのでは(2020年11月)

 本日【2020年11月23日】、キリスト教/キプロス正教会が聖シノドの会合をおこなう模様。
 おそらくコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認することになると思われます。

 

ここまでの事態:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)
 キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がキプロス大主教の行動についてコメント(2020年10月)
 キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノドがキプロス大主教クリソストモス2世座下とのユーカリスティック・コミュニオンを解除(2020年11月)

 

 レメソス府主教ら四主教がクリソストモス2世を批判していますが、それ以外の批判者が続かないところをみると、聖シノドの会合はクリソストモス2世を支持するものが多数、 OCU を独立正教会として承認して終了するでしょう。

 その後は、ロシア正教会の聖シノドが臨時会合を開き、今まではキプロス大主教とのみフル・コミュニオンを解除していましたが、キプロス正教会全体とフル・コミュニオンを解除することを決定するということになります。
 東方正教会大分裂がまた一段階進みます。
 これは単なる大分裂ではなく、原則がムチャクチャになっているので、東方正教会崩壊というほうが正しいかもしれません。

 

 さて、そんな全体のことはともかく。
 このキプロスの一件で注目なのは、レメソス府主教らが、あくまで聖シノドの決定に従わず、分離シノドを形成する可能性です。
 彼ら自身も所詮はギリシャ人なので、最終的には折れてコンスタンティノープルに従うのではないかと思っていますが……。
 しかしコンスタンティノープルを批判する声明を出した四人があっさりとまた短期間で言葉を翻すようでは、東方正教会のギリシャ人の神品(聖職者)は嘘つきばかりと大宣伝しているようなもの。
 彼らは(コンスタンティノープルやそれに続く連中と共に)、キリスト教と東方正教会とギリシャ人という人種の評判を大幅に下落させることになります。
 まあでも、そうするんじゃないでしょうか(達観)。

 

 あとは北キプロス・トルコ共和国への影響です。
 分離シノドが形成されるようなことがなければ、ロシア正教会は北キプロスにある聖堂・修道院などの接収を(ロシア政府を通じて)トルコ共和国政府および北キプロス政府に求めるでしょう(なにしろもはや正当な所有者がいないため)。
 政治・外交への影響は避けられないように思えます。