インタビュー記事(セルビア語):キリスト教/ロシア正教会/アフリカにおける総主教代理/クリン府主教レオニード座下へのインタビュー「バルソロメオス総主教はルビコン川を渡った」(2023年9月)

 セルビア語による、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会/アフリカにおける総主教代理/クリン府主教レオニード座下(His Eminence Metropolitan Leonid of Klin, Patriarchal Exarch of Africa)へのインタビュー記事が掲載されています。

 大意ですが、ファナル(コンスタンティノープル)がルールを破ったこと、アレクサンドリア総主教が OCU を認めたためにアフリカに正しい教えが広められなくなったこと、など、ロシア正教会の立場とアフリカにおける総主教代理区の設置に関する話です。

 また、セルビア正教会に向けた連帯の期待のような発言もあります。

 

 (セルビア語)Патријарх Вартоломеј је прешао Рубикон – Печат – Лист слободне Србије

 

 アフリカにおける総主教代理区の公式ウェブサイトに、一部英訳(アレクサンドリア総主教に関することなど)があります。

 (英語:アフリカにおける総主教代理区 公式ウェブサイト)Interview of Metropolitan Leonid of Klin to the Serbian edition "Pechat" – Exarchate of Africa

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下の、ロシアの若者へのメッセージにウクライナ政府などが反発。バチカンはウクライナ政府側の見解を拒否(2023年8月)

 2023年8月25日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、ロシア青年の日に、サンクトペテルブルクに集まった若者たちへメッセージを送りました。

 このメッセージの末尾、

 (ロシア語:)«Вы собрались, чтобы быть единой Церковью». Телемост российской молодёжи с Папой Франциском – Римско-католическая Архиепархия Божией Матери в Москве

Перед благословением Святейший Отец завершил встречу следующими словами: «Никогда не забывайте о наследии. Вы наследники великой России: великой России святых, правителей, большой России Петра I, Екатерины II, той империи – великой, просвещенной, [страны] большой культуры и большой человечности. Никогда не отказывайтесь от этого наследства, вы наследники великой Матушки России, идите вперёд с этим. И спасибо вам. Спасибо за ваш способ быть, за ваш способ быть россиянами».

(Google翻訳に一部手入れ)
「あなたたちは偉大なロシアの相続人です。聖人・統治者たちの偉大なロシア、ピョートル1世・エカチェリーナ2世の偉大なロシア、偉大で啓蒙された、偉大な文化と偉大な人間性を備えた帝国の子孫です。 この遺産を決して手放さないでください。あなた方は偉大で母なるロシアの相続人です。これを進めてください。そしてありがとう。あなたの生き方、ロシア人のあり方に感謝します」

 

 この部分にウクライナ政府などが激怒。

 ローマ教皇、ロシア皇帝に好意的言及 ウクライナが批判|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
 ウクライナ、ローマ教皇の演説に反発 「帝国主義的プロパガンダ」 – CNN.co.jp

 しかし、ローマ教皇聖座側はこのような見解を拒絶しました。

 (英語:バチカンニュース)Holy See Press Office: Pope did not exalt imperialist logic in remarks about Russia – Vatican News

 

 今回のメッセージは、お偉方にありがちな、さしたる理由も意味もないリップサービスかもしれません。

 しかし、現今の世界状況の中(そうでなければ別に流しても良いようなものですが)で、ローマ教皇によって、ロシア正教会ではなく(あるいはのみならず)ロシアのキリスト教文化そのものとそれを牽引した皇帝たちが称揚されたことは注目すべきことでしょう。

 東西教会(カトリック教会と東方正教会)の融和というのは、名目上(ローマとコンスタンティノープル)と実質上(ローマとモスクワ)の二つがわかれているのがこれまで度々問題となってきましたが、1453年以降の状況を考えれば、コンスタンティノープルなどオスマン帝国下で見苦しい行動をしていたにすぎないというのが大半の状況であり、それにくらべて、「正教の中心はモスクワに移った」と言われたのがロシア
 今回のフランシスコ教皇の発言、そのロシアの実質は「決して東方正教会というくくり」におさまるものではないというのが含意されている発言である、と理解してもよさそうです。
 つまり、ウクライナどうこうの反応は教皇にとってもウクライナ政府自身にとっても直接はどうでもよく、これはコンスタンティノープルにとって(長い目で見れば)衝撃となるものでしょう。もう500年以上、あなたたちコンスタンティノープルに実質の価値はないんですよ。

 

 さて、ウクライナ政府はカトリックの活動を国内で禁止するでしょうか? するべきだと思いますね。トップがロシアを支持したのですから。でも、すると西側諸国の支援は削られますね。できませんね。国内で「ロシアにつながりがある」とウクライナ正教会(UOCのほう)に色々やってきましたが、西側諸国に見捨てられるのは怖いでしょう。だからカトリックには何もしないでしょう。なんて信教の自由がある平等で民主的な国家なんでしょう。

 あと、コンスタンティノープルが認めた方のウクライナ正教会(OCU)に異論が多数存在しているという事実を言っただけで、他人をモスクワの手先扱いする方々がネットには満ちていますが、そういう方々には「ローマ教皇はモスクワの手先だ! ウクライナでカトリックを禁止しろ!!」とぜひ言っていただきたいものです。言う人が増えるほどウクライナ政府が困るだけですけどね。

キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下が、ロシア正教会ブダペスト・ハンガリー府主教イラリオン座下を訪問(2023年8月)

 2023年8月19日、キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会/ブダペスト・ハンガリー府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Budapest and Hungary)を訪問しました。

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 渉外局 公式サイト)Metropolitan Hilarion of Budapest meets with Primate of the Coptic Church / News / Patriarchate.ru

 (マジャール語【ハンガリー語】:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 ハンガリー教区 公式サイト)Hilarion budapesti metropolita találkozott a kopt egyház elöljárójával | Magyar Ortodox Egyházmegye

キリスト教/ロシア正教会から、分離して独立正教会であることを宣言したラトビア正教会が独自に主教を叙聖(2023年8月)ロシア正教会の聖シノドは反発

 2023年8月13日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自治的な権限を行使する、
 ラトビア正教会の首座/リガ・全ラトビア府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander【Aleksandr】 of Riga and All Latvia)、
 ダウガフピルス・レゼクネ主教アレクサンドル座下(His Grace Bishop Alexander【Aleksandr】 of Daugavpils and Rezekne)、
 イェルガヴァ主教イオアン座下(His Grace Bishop JohnIoann】 of Jelgava, vicar of the Riga diocese)、
 らは、あらたに同教会の主教として、ヴァルミエラ主教イオアン座下(His Grace Bishop JohnIoann】 of Valmiera, vicar of the Riga diocese)を叙聖したようです。

 ラトビア正教会は、ロシア正教会から独立したことになっています

関連:
 キリスト教/ラトビア正教会“独立”問題:ラトビア政府議会による“独立”強制について、ラトビア正教会は(ロシア正教会から分離しての)教会分裂には陥っていないとのロシア正教会側の文書(2022年9月~10月)

 ロシア正教会の聖シノドはこれに反発していますが、いずれにせよ、処分は(あるとしても)世界情勢が落ち着かない限りないでしょう。

 

 (ロシア語:ラトビア正教会 公式サイト)Торжество Латвийской Православной Церкви | Официальный сайт Латвийской Православной Церкви
 (ロシア語:ラトビア正教会 公式サイト)Слово Высокопреосвященнейшего Митрополита Александра при вручении архиерейского жезла Преосвященнейшему Иоанну, Епископу Валмиерскому | Официальный сайт Латвийской Православной Церкви

 (英語)Latvian Church celebrates episcopal consecration in Riga for first time in 80 years / OrthoChristian.Com
 (英語)Russian Synod condemns actions of Metropolitan of Latvia / OrthoChristian.Com

訃報(2023年8月10日):キリスト教/日本正教会首座/全日本府主教ダニイル座下(主代郁夫)が永眠(1938~2023)

 2023年8月10日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自治正教会として活動する日本正教会【日本ハリストス正教会】の首座/東京大主教・全日本府主教ダニイル座下(His Eminence Daniel【Daniil】, Archbishop of Tokyo, Metropolitan of All Japan : 主代郁夫ぬしろ いくおIkuo Nushiro)が永眠しました。
 1938年9月5日生まれの84歳。

 

日本正教会 公式サイト:
 訃報 - 日本正教会|ハリストス正教会 The Orthodox Church in Japan
 ダニイル府主教 主教埋葬式 2023年8月17日 - 日本正教会|ハリストス正教会 The Orthodox Church in Japan

 

中外日報おくやみ:
 ダニイル・主代郁夫氏(日本正教会首座主教):中外日報

 

 20年以上にわたり、日本正教会の首座であった人物の永眠です。
 最後の数年は、文字通り激動の時代に入ってしまいました。

 

 今回、訃報の文書がそのまま画像で掲示されていますが、上記、日本正教会の公式サイトでは、教会名を、

 日本語:聖自治日本正教会

 英語:HOLY AUTONOMOUS ORTHODOX CHURCH IN JAPAN

 としています。
 一方、宗教法人名を「日本ハリストス正教会教団」としています。
 日本正教会の呼称には混乱が見られますが、日本ハリストス正教会(教団)は宗教法人名で、教会名としては(聖自治)日本正教会ということのように思われます。

※が、正確なことをお知りになりたい事情がある方は、直接、日本正教会にお尋ね下さい。

 

 また、永眠に伴い、仙台大主教・東京副主教セラフィム座下(His Eminence Archbishop Seraphim of Sendai : 辻永昇つじえ のぼるNoboru Tsujie)が、「日本ハリストス正教会憲法第九条に則り」「聖自治日本正教会首座代理に就任します」としています。
追記:
 ここからの文章を訂正しています。誤解を招いて申し訳ありません。
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁 公式サイト)His Holiness Patriarch Kirill invoked God’s blessing upon the work of the Locum Tenens of the Metropolitan See of the Japanese Orthodox Church / News / Patriarchate.ru

On August 11, 2023, in connection with the demise of Metropolitan Daniel of Tokyo and All Japan, Archbishop Seraphim of Sendai was elected as Locum Tenens of the Metropolitan’s See of the Japanese Orthodox Church in accordance with the Statute of this Church.

 キリル総主教から祝福の書簡がセラフィム大主教に送られたという記事ですが、「in accordance with the Statute of this Church」(この教会の憲章に従い)「Archbishop Seraphim of Sendai was elected as Locum Tenens of the Metropolitan’s See of the Japanese Orthodox Church」(仙台大主教セラフィムが日本正教会の府主教座(首座)代行に選出された)と書いています。
 日本正教会の発表と同内容と見て良さそうです(条文詳細はわかりませんが)。

※が、これもまた、正確なことをお知りになりたい事情がある方は、直接、日本正教会にお尋ね下さい。

 

 日本正教会には主教がひとりになってしまいましたが、いずれ、新たな主教を、という声が挙がる(あるいは府主教の生前からすでに挙がっていた)ものと思われます。

 

 座下の永眠に伴い、モスクワ総主教庁が記事を出しています。

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁 公式サイト)Patriarchal condolences over the passing away of Metropolitan Daniel of Tokyo / Patriarch / Patriarchate.ru

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局 公式サイト)Metropolitan Daniel of Tokyo and All Japan passes away in the Lord
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局 公式サイト:キリル総主教からの弔意)Patriarchal condolences over the passing away of Metropolitan Daniel of Tokyo
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局 公式サイト:アントニー府主教からの弔意)DECR chairman sends condolences over the death of Metropolitan Daniel of Tokyo and All Japan

 (英語)Metropolitan Daniel of Japan reposes in the Lord / OrthoChristian.Com

 

関連:
 キリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下が、日本正教会首座代行/仙台大主教セラフィム座下を訪問(2023年9月)
 キリスト教/日本正教会の新たな首座に、仙台大主教セラフィム座下が選出(2023年9月)
 着座式(2023年10月22日):キリスト教/日本正教会首座/全日本府主教セラフィム座下の着座式