キリスト教/カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー座下が、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下を訪問(2018年10月)

 2018年10月19日、キリスト教/アングリカン・コミュニオン/英国国教会/カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー座下(全イングランド首座 : The Most Reverend and Right Honourable Justin Welby : His Grace The Lord Archbishop of Canterbury : Primate of All England)は、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)を訪問しました。

 

 (英語:カンタベリー大主教公式サイト)Archbishop of Canterbury visits Ecumenical Patriarch in Istanbul | The Archbishop Of Canterbury

 

Lambeth Palace نさんのツイート: "Archbishop @JustinWelby visited the Ecumenical Patriarch in Istanbul today. Find out more: https://t.co/hA2rYgMOAV… "

 

 会談中、バルソロメオス聖下は、ジャスティン・ウェルビー座下に、ウクライナ及びマケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 : FYROM)における全地総主教庁の立場を伝えた模様。
※ジャスティン・ウェルビー座下は、昨年【2017年】11月にロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下よりロシア正教会側の立場を説明されている模様。

 上記リンクのカンタベリー大主教公式サイトの記事末尾には、ジャスティン・ウェルビー座下のコメントとして「ウクライナで持ち上がっている(東方正教会の)教会法上の問題は東方正教会が対処する問題」という主旨から始まる、外部の教会の人がコメントしそうな短いコメントが末尾に掲載されています。

 

関連:
 【シスマ2018 – The Schism of 2018】<東方正教会大分裂>: ウクライナへの独立正教会設置から始まったコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など<大分裂、または崩壊?>

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”に対し、「あなたのところはセルビア正教会の管轄権下なので独立は承認できません」(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

※フェイクニュースの可能性があります。

 

 ギリシャの正教会系メディア「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」によりますと、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”(以下、MOC-OA)が、マケドニアの名を冠さない教会名で全地総主教庁に承認を求めたところ、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に、「あなたのところは1922年にセルビア正教会に管轄権が移っているのでダメです」とにべもない回答が来たとのこと。

 

 (ギリシャ語)Αλλαγή στάσης από το Οικουμενικό Πατριαρχείο για την σχισματική Εκκλησία της πΓΔΜ

 

 これまでこの問題は行ったり来たりというか情報が錯綜しており、少し前には彼らは「国名も教会名もマケドニアを維持すべき」と主張しているという情報が出ました。このニュースはフェイクニュースだったのか、それとも意見をコロリと変えたのか。

 いずれにせよ、今回のニュースがフェイクニュースでない場合、また加えて以前にバルソロメオス聖下が「名前を変えればいいよ」と発言したとのニュースがフェイクニュースでなかった場合、聖下もまたコロリと意見を変えたわけですが、これはおそらくロシア正教会とセルビア正教会の二正面作戦は勝ち目がないという現実的な判断をしただけで、だとするとまたいつコロリと変わるかわかったものではありません。

 MOC-OAのプレスパ=ペラゴニア府主教ペタル座下(His Eminence Metropolitan Petar of Prespa-Pelagonia)は、無念さを隠していませんが、同教会はこれまで通り運営されるし、国名問題が解決すれば独立正教会として承認されるだろうと見込んでいるようです。

 

 そして、この問題を通じて、内部の見解の分裂が露呈し、マケドニアとの政治的連携を目的とする政治家や政治活動家による教会への介入を招いただけのブルガリア正教会はずいぶんとまた貧乏くじを引いてしまったものだと思います。

 

 それにしても、今回の話も全部フェイクニュースかもしれません(頭が痛い……)。

 

キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下とセルビア総主教イリネイ聖下らの共同礼拝(2018年10月)

 2018年10月14日、セルビア共和国を訪問中のキリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)は、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)らと聖サワ大聖堂【聖サヴァ大聖堂】にて共同礼拝をおこないました。

 イリネイ聖下からヨウハンナ10世聖下に、セルビア正教会の最高位勲章「聖サワ勲章第一等」が贈られた模様。

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Conciliar Patriarchal Liturgy in Saint Sava Cathedral | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 

Телевизија Храм:
Саборна света Литургија служена у крипти Храма Светог Саве – YouTube

 

Телевизија Храм:
Служена саборна света Литургија и упућена молитва за Косово и Метохију – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Патријарха Иринеја поводом посете Патријарха антиохијског Јована Х – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Патријарха антиохијског Јована Х – YouTube

 

共同司式:
 正教オフリド大主教庁の首座/オフリド大主教ヨヴァン6世座下(スコピエ府主教 : His Beatitude Archbishop Jovan VI of Ohrid, Metropolitan of Skopje)、
 ザグレブ=リュブリャナ府主教ポルフィリエ座下(His Eminence Metropolitan Porfirije of Zagreb-Ljubljana)、
 アンティオキア総主教庁のアッカール府主教バシリオス座下(His Eminence, the Most Reverend Metropolitan Basilios of Akkar)、
 アンティオキア総主教庁下の北米アンティオキア正教キリスト者大主教庁首座/ニューヨーク・全北米大主教ジョセフ座下(His Eminence the Most Reverend Metropolitan Joseph of New York and All North America)、
 シュマディヤ主教ヨヴァン座下(His Grace Bishop Jovan of Šumadija)、

参列:
 バチュカ主教イリネイ座下(His Grace Bishop Irinej of Bačka)、
 ヴラニェ主教パホミイェ座下(His Grace Bishop Pahomije of Vranje)、
 ヴァリェヴォ主教ミルティン座下(His Grace Bishop Milutin of Valjevo)、
 正教オフリド大主教庁のストビ主教ダヴィッド座下(His Grace Bishop David of Stobi)、
 モハチ主教イシヒイェ座下(His Grace Bishop Isihije of Mohač, vicar of the diocese of Bačka)、
 セルビア総主教補佐/レメジヤナ主教ステファン座下(His Grace Bishop Stefan of Remesiana, Vicar Bishop of the Serbian Patriarch)、

 

キリスト教/東方正教会/教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”が、国名も教会名も「マケドニア」を維持すべきと主張(2018年10月)

 ギリシャ系正教会メディア「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」が MIA (マケドニアのニュース)の報道を引いて記事にしているところによりますと、キリスト教/東方正教会の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”(以下、MOC-OA)が、国名も教会名も「マケドニア」を維持すべきと主張しているようです。

※MIAのニュースサイトを見てみましたが、英語版・マケドニア語版とも該当記事は見つかりません。

 

 (ギリシャ語)Σχισματική εκκλησία Σκοπίων: «Το όνομα της εκκλησίας και της χώρας να παραμείνει Μακεδονία»

 

 マケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 : FYROM)は、ユーゴスラビア崩壊後、隣国ギリシャによって国名への「マケドニア」使用が反対され、欧州連合【EU】や北大西洋条約機構【NATO】への加盟も事実上拒否されてきましたが、現在の両国政権により、「国名を北マケドニア共和国に変える」ことで合意がなされました(どちらも厳しい反対意見があります)。

 そんな中で先月末、マケドニア共和国で国民投票がおこなわれましたが、投票率は事前に決めていた目標を下回りました。また、そもそも投票結果は行政府を束縛するものではありません。議会での賛成が必要でした。
 マケドニアの政権はまったくあきらめておらず、NATOやその拡大を目指すアメリカも支持していますが、一方、ロシアは反対している、という、いつもの状況です。

 それはともかくとして、教会の話ですが、MOC-OAは、仲の良いブルガリア正教会と教会法上合法化に向けた取り組みを開始しています(2017年11月報道よりたびたび話が出ます)。
 マケドニア共和国の領域は、セルビア正教会の管轄で、同教会が正教オフリド大主教庁を設置していますが、MOC-OAと同国政府はこれを弾圧してきました。
 MOC-OAの教会法上合法化はセルビア正教会には容認できるものではなく、またロシア正教会もセルビア正教会に同調しています(とはいえ両教会がすべてのことにおいて共同するわけではないことには注意が必要です)。
 そして、コンスタンティノープルの全地総主教庁も、「マケドニアやその派生語を含む名称」は一切認めないとしており、仮に名称を「北マケドニア正教会」としても、全地総主教庁の承認は得られない状況にあります。これはギリシャ国内のマケドニア地方が全地総主教庁の管轄下にあることが理由なのでしょう(ギリシャ国内の管轄権はギリシャ正教会に預けられているともいわれますが、これまでの状況をみるとギリシャ正教会は無視されているように思えます)。

 唯一の道は、教会名に「マケドニアやその派生語を含む名称」を一切入れないことで全地総主教庁の合意を得ることでしょうが、これもまた今回の声明が本気であれば、選択肢に入っていないようです(とはいえ、これまでもいろいろと報道が出ているので、フェイクニュースかもしれません)。

 MOC-OAのスタンスは興味深いですが、もし彼らが現在の立場を維持するならば、コンスタンティノープルの全地総主教庁とフル・コミュニオンに入ることはありえず、一方でロシア正教会モスクワ総主教庁とフル・コミュニオンに入ることもありえなさそうです。

 

キリスト教/セルビア正教会下の正教オフリド大主教庁が、オフリド大主教庁設立1000周年を祝う(2018年9月)

 2018年9月末、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会下で自治的な権限を持つ正教オフリド大主教庁は、オフリド大主教庁の設立1000周年を祝ったようです。

 これは、東ローマ皇帝バシレイオス2世が、第一次ブルガリア帝国のイヴァン・ヴラディスラフに勝利し、第一次ブルガリア帝国が崩壊した年(1018年)を成立年としているようです。

※実際のオフリド大主教庁の設置については翌年【1019年】としていることが多いようです。また、正教オフリド大主教庁自体がこのオフリド大主教庁から続いているというわけではありません。

 式典には、正教オフリド大主教庁首座/オフリド大主教ヨヴァン6世座下(His Beatitude Archbishop Jovan VI of Ohrid)のほか、セルビア正教会を中心に聖職者らが臨席したようです。

 

Телевизија Храм:
Прослављен јубилеј 1000 година од оснивања Православне Охридске Архиепископије – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Митрополита Амфилохија поводом јубилеја 1000 година од оснивања Охридске Архиепископије – YouTube

 

Телевизија Храм:
Беседа Архиепископа Јована поводом прославе 1000 година од оснивања Охридске Архиепископије – YouTube

 

※見出しが「100th」となっていますが、1000周年を祝っています。
 (英語:セルビア正教会公式サイト)100th Anniversary of the founding of the Ohrid Archdiocese | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (マケドニア語:正教オフリド大主教庁公式サイト)Православна Охридска Архиепископија » Вести | Православната Охридска Архиепископија го прослави јубилејот: 1000 години од основањето на Охридската Архиепископија

 (セルビア語:モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Православна Охридска Архиепископија » Вести | Православната Охридска Архиепископија го прослави јубилејот: 1000 години од основањето на Охридската Архиепископија
 (セルビア語:モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)У Битољу литургијски прослављен јубилеј 1000 година Архиепископије охридске (видео) | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 ヨヴァン6世座下のほかの臨席者/

 正教オフリド大主教庁:
 ポロク・クマノヴォ主教ヨアキム座下(His Grace Bishop Joakim of Polog and Kumanovo)、
 ブレガニツァ主教マルコ座下(Hig Grace Bishop Marko of Bregalnica)、
 ストビ主教ダヴィッド座下(His Grace Bishop David of Stobi)、

 セルビア正教会:
 モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)、
 ヴラニェ主教パホミイェ座下(His Grace Bishop Pahomije of Vranje)、
 モハチ主教イシヒイェ座下(His Grace Bishop Isihije of Mohač, vicar of the diocese of Bačka)、
 ドゥクリャ主教メトディイェ座下(His Grace Vicar Bishop Metodije of Dioclea)、
 ラシュカ・プリズレン主教テオドシイェ座下(His Grace Bishop Teodosije of Raška and Prizren)、
 クルシェヴァツ主教ダヴィド座下(His Grace Bishop David of Kruševac)、

 ポーランド正教会:
 ルブリン・ヘウム大主教アベル座下(His Eminence Archbishop Abel of Lublin and Chełm)、

 チェコ・スロバキア正教会:
 シュムペルク主教イザヤシュ座下(His Grace Bishop IsaiaIzaiáš】 of Šumperk)、

 そして、代理の人物がアルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)から送られてきたようです。