キリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、ポルトガル、ブルガリアの大使と会見(2017年12月)

 2017年12月22日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、ロシア連邦駐箚ポルトガル共和国特命全権大使パウロ・ヴィゼウ・ピニェイロ閣下(His Excellency Paulo Vizeu Pinheiro)、ロシア連邦駐箚ブルガリア共和国特命全権大使ボイコ・コツェフ閣下(His Excellency Boyko Kotzev)とそれぞれ会見しました。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)DEC chairman meets with the Ambassador of Portugal to Russia | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Metropolitan Hilarion meets with Bulgarian Ambassador to Russia | The Russian Orthodox Church

 

キリスト教/ギリシャ正教会が、ブルガリア正教会がマケドニア正教会を“承認”しようとしていることについて懸念を表明(2017年12月)

 (ギリシャ語)ΔΙΣ: Η επέμβαση της Εκκλησίας της Βουλγαρίας αντίκειται στους Ιερούς Κανόνες
 (英語)Greek Synod says Bulgarians acting against holy canons in case of Macedonian Church / OrthoChristian.Com

 

 ブルガリア正教会が、セルビア正教会から勝手に独立を宣言しているマケドニア正教会を、自身の傘下の自治的権限を持つ教会として認めようとしている問題について、ギリシャ正教会が懸念を表明。セルビア正教会の管轄権を侵害するのみならず「マケドニア正教会」という名称の教会が東方正教会で教会法上合法となる事態は、マケドニア共和国という名称について反対してきたギリシャ共和国のメンツをつぶすことにもなります。
 マケドニアとブルガリアの政教同調による今回の件について、ギリシャのツィプラス政権は教会の国家からの分離(政教分離)を推し進めようとしてきたゆえに、この件についてマケドニアやブルガリアに積極的に抗議をすることもしにくく、弱い指導者という印象が強まるかもしれません(逆に、教会のことなので無視するのが当然の人物とすでに思われているかもしれません)。
 ともあれ、ユーゴスラビア崩壊問題、いまだ終わらず広まるのみ。

 ロシア正教会およびロシア連邦も、セルビアとの連帯からマケドニアとブルガリアに対してなんらかの処置をおこなう可能性もありますが、そんな余裕はないかなあ

 コンスタンティノープルの全地総主教庁の指導力に期待する向きもあるようですが、ムリでしょう。
 トルコのエルドアン大統領がローザンヌ条約の改定について言及し始めた以上、ヘタすると全地総主教庁の聖職者を含むギリシャ系住民はイスタンブール(コンスタンティノープル)から追い出されるかもしれません。

 

キリスト教/東方正教会の首座らがロシア大統領プーチン閣下と会合(2017年12月)

 2017年12月4日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン閣下(His Excellency Mr Vladimir Vladimirovich Putin)は、キリスト教/東方正教会の首座らと会合しました。

 ロシア正教会では、1917年にモスクワ総主教座が復活し聖ティーホンが選出されてから100年の催しがおこなわれており、他の教会から首座や代表団がおとずれている模様(コンスタンティノープルの全地総主教庁とギリシャ正教会アテネ大主教庁が来てませんが)。

 

President of Russiaさんのツイート: "Vladimir Putin met with heads of delegations of local Orthodox churches, who have arrived in Moscow to attend the celebrations to mark the 1… https://t.co/dIstfUxlAq"

 

 プーチン大統領は、同教会の、
 モスクワ・全ロシア【ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)、
 モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk)、
 および、
 アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)、
 アンティオキア・全東方総主教ヨウハンナ10世聖下(イオアン10世ジョン10世 : His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)、
 エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)、
 セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)、
 ルーマニア正教会の首座/ブカレスト大主教、ムンテニア・ドブロジャ府主教、ルーマニア正教会総主教ダニエル聖下(His Beatitude Daniel, Archbishop of Bucharest, Metropolitan of Muntenia and Dobrudgea and Patriarch of the Romanian Orthodox Church)、
 キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)、
 アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana And Durres)、
 ポーランド正教会の首座/ワルシャワ・全ポーランド府主教サワ座下(His Beatitude Metropolitan Sawa of Warsaw and All Poland)、
 チェコ・スロバキア正教会の首座/チェコ・スロバキア府主教ラスティスラフ座下(His Beatitude Metropolitan Rastislav of the Czech Lands and Slovakia)、
 アメリカ正教会【OCA】の首座/ワシントン大主教、全アメリカ・カナダ府主教ティーホン座下(His Beatitude Metropolitan Tikhon of All America and Canada, Archbishop of Washington)、
 ら各首座、
 ジョージア正教会【グルジア正教会】代表団のアハルツィヘ・タオ=クラルジェティ府主教テヴドレ座下(His Eminence Metropolitan Theodore of Akhaltsikhe and Tao-Klarjeti)、
 ブルガリア正教会代表団のロヴェチ府主教ガヴリイル座下(His Eminence Metropolitan Gabriel of Lovech)、
 と会合。

 

 (英語:ロシア大統領府【クレムリン】公式サイト)Meeting with heads of delegations of local Orthodox churches • President of Russia
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Президент России В.В. Путин встретился с Предстоятелями Поместных Православных Церквей / Новости / Патриархия.ru
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Russian President Vladimir Putin meets with Primates of Local Orthodox Churches | The Russian Orthodox Church
 (英語:セルビア正教会セルビア総主教庁公式サイト)Russian President Vladimir Putin meets with Primates of Local Orthodox Churches | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 

キリスト教/ブルガリア正教会は、マケドニア正教会を傘下の教会として認める方向で会合(2017年11月)

 キリスト教/東方正教会のブルガリア正教会は、現在教会法上合法な教会とされていないマケドニア正教会を、自らの傘下の自治教会として認める方向で本日(2017年11月27日)会合を開く模様です。

 

 (ブルガリア語:ブルガリア正教会公式サイト)РЕШЕНИЕ на Св. Синод по повод отправено писмо от Македонската православна църква

 

 ブルガリア共和国大統領ルメン・ラデフ閣下(His Excellency Dr Rumen Radev)とブルガリア正教会の首座/ブルガリア総主教ネオフィット聖下(His Holiness Patriarch Neophyte【Neofit】 of Bulgaria)の会談などで、今回の承認がマケドニア支援のための一環であるような話もされていたようです。

 ラデフ大統領閣下は、大統領選挙当時は、「親ロシア」だのと西側主要メディアに報道されていましたが、今回のこの件をみても(親マケドニア/反セルビア・反ロシアの選択)、そんなに単純なものではありません。

 

追記:
 その後もこの件はそう簡単には進まないようです。

 

キリスト教/“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”が、ブルガリア正教会を“母なる教会”として認めたいと要請した模様(2017年11月)

 キリスト教の東方正教会では、マケドニア共和国【マケドニア旧ユーゴスラビア共和国】において最有力の教会である“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”は、セルビア正教会の管轄権を無視して設立された教会法上合法でない集団です(が、それらの教会のなかでは東方正教会の他の教会との交流が一番多いとみられています)。

 

 そのマケドニア正教会-オフリド大主教庁(とマケドニア政府)は、教会法(つまりセルビア正教会)に従う正教オフリド大主教庁のオフリド大主教ヨヴァン6世座下(His Beatitude Archbishop Jovan VI of Ohrid)に対する弾圧・人権侵害を続け、欧州連合【EU】からも非難を受けていました。

 

 もともとマケドニア人とブルガリア人は人種的・文化的に近いと考えられているため、マケドニア正教会-オフリド大主教庁とブルガリア正教会も仲良くやっていました。
 そのマケドニア正教会-オフリド大主教庁がブルガリア正教会を“母なる教会”として認め、ブルガリア正教会がマケドニア正教会-オフリド大主教庁の自治を認めるというような事態になると、マケドニア正教会-オフリド大主教庁が教会法上合法な教会(の一部)となります。
 これは、ブルガリア正教会と他の東方正教会に属する教会との関係に影響を及ぼします。とりわけ、セルビア正教会及びロシア正教会との。

 

 そのようなわけで、キリスト教/東方正教会/ブルガリア正教会の首座/ブルガリア総主教ネオフィット聖下(His Holiness Patriarch Neophyte【Neofit】 of Bulgaria)はそのようなことを承認するのに否定的とみられていたのですが、どうも今回、承認する形で話が進められているという報道がされています(最後までどうなるかわかりませんけど)。

 

 もしそうなると、セルビア正教会とブルガリア正教会のフル・コミュニオンの解除(相互破門のような見出しがニュースに出たり)もあるかもしれません。