キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁の司祭が、ラジオで「過去に私が参加した会合で、ギリシャ正教会の府主教が『ここにロシア人がいなくてよかった』とスピーチした」「彼らはロシア人を嫌っている」とコメント(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の司祭が、ラジオで「過去に私が参加した会合で、ギリシャ正教会の府主教が『ここにロシア人がいなくてよかった』とスピーチした」「彼らはロシア人を嫌っている」とコメントしたようです。

 また、現在のコンスタンティノープルとの教会分裂は、東方正教会にとって良いことであり非難は心配しなくて良い、これによって教会が浄化されているからとも語っています。

 

 (英語)Interfax-Religion: Russian Church accuses Constantinople for ingratitude and Russophobia

 

キリスト教/オリエント正教会系のメディア OCP が、オリエン正教会の各教会と東方正教会/ロシア正教会の関係は悪化しているわけではないとわざわざ記事を出す(2019年12月)

 キリスト教/オリエント正教会系のメディア OCP(Orthodoxy Cognate PAGE) が、オリエン正教会の各教会とキリスト教/東方正教会/ロシア正教会の関係は悪化しているわけではないとわざわざ記事を出しています。

 

 (英語)Russian Orthodox Church – Oriental Orthodox Relations – OCP Statement | News | Orthodoxy Cognate PAGE

OCP® TweetsさんはTwitterを使っています: 「https://t.co/cb0OcgRHYr」 / Twitter

 

※オリエント正教会の主流のコミュニオンに属するのは、コプト正教会(アレクサンドリア総主教庁)、アルメニア使徒教会【アルメニア教会】、シリア正教会(アンティオキア総主教庁)、エチオピア正教会(エチオピア正教合性論教会)、エリトリア正教会(エリトリア正教合性論教会)、マランカラ正教シリア教会【インド正教会】の六つ。
 このうち、シリア正教会とインドのマランカラ正教シリア教会はコミュニオンが成立しておらず、エリトリアでは政府が教会を主導していることにより他の教会とは正常な関係にありません。また、エチオピアでは人種対立の教会分裂への影響が取り沙汰されています。

 

 ウクライナから発した、ロシア正教会とコンスタンティノープル・ギリシャ正教会・アレクサンドリア総主教庁との関係悪化という、宗教の枠内で見れば東方正教会内部の問題は、オリエント正教会の各教会に強い影響を与えているわけではない状況です(そういう状況だと思います)。
 もともと、正教会(Orthodox Church)という称を、オリエント正教会・東方正教会の両者とも多用するため混同が起きやすいわけですが。

 オリエント正教会ではアレクサンドリアといえばコプト正教会であるため、ロシア正教会が(東方正教会の)アレクサンドリア総主教とのコミュニオンを解除したことによる誤解(?)のようなものも一部に発生しているのかもしれません。

 

 それにしても、 OCP のような、東方正教会とオリエント正教会の間のコミュニオン回復とそれによるカトリックへの対抗を目指す立場というのは、今回の東方正教会大分裂とコンスタンティノープル原理主義の満開で望みは潰えていると思えるのですが、まだ頑張るのでしょうか。

 

関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)
 キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下が、“ウクライナのシリア化”を懸念する書簡をロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下に(2019年2月)

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。

 

キリスト教/ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下が、ロシア正教会の西欧における総主教代理アントニー府主教座下と会見(2019年9月)

 2019年9月6日、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の西欧における総主教代理/コールスニ・西欧府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony【Antoniy】 of Korsun and Western Europe, Patriarchal Exarch of Western Europe)と会見しました。
 アントニー総主教代理座下側から、ロシア正教会の海外の教区らの活動についてイエロニモス2世座下側へ説明があり、また、東方正教会内の問題についても話し合われたようです。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Metropolitan Anthony of Chersonesus and Western Europe meets with Primate of Greek Orthodox Church | The Russian Orthodox Church
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Metropolitan Anthony of Chersonesus and Western Europe meets with Primate of Greek Orthodox Church / News / Patriarchate.ru
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Митрополит Корсунский и Западноевропейский Антоний встретился с Предстоятелем Элладской Православной Церкви | Русская Православная Церковь
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Митрополит Корсунский и Западноевропейский Антоний встретился с Предстоятелем Элладской Православной Церкви / Новости / Патриархия.ru

 

 (英語)Metropolitan of Chersonese met with the Archbishop of Athens – Romfea News

Romfea.newsさんはTwitterを使っています: 「The Archbishop and Metropolitan Anthony raised a number of issues on Orthodoxy . #romfeanews https://t.co/hthqUxkW1L」 / Twitter

Romfea.news – The Archbishop and Metropolitan Anthony… | Facebook

 

(速報気味の情報ですが)キリスト教/ギリシャ正教会の常任聖シノドはコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を独立正教会として承認するかどうかを10月の全主教団聖シノド会合で決定することにしたという情報(2019年8月)

 ギリシャの正教会系メディア Romfea によりますと、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の常任聖シノドは、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を独立正教会として承認するかどうかを10月の全主教団聖シノド会合で審議すると決めたようです。

 

 (英語)The Hierarchy of the Church of Greece to decide on the issue of Ukrainian autocephaly (upd) – Romfea News

 

 唖然とさせられるのは Romfea の報道です。
 彼らは、10月の全主教団聖シノド会合ではこの問題は議題にあがっていないと報じていました。
 そして、今回の常任聖シノドで決定されると報じながら、一転してやっぱり10月の全主教団聖シノド会合で決定されるようだと報じています。
 あなたがたの情報元はどのくらい正しいんですか……?
 もちろん、今回のものは、コンスタンティノープル寄りの Romfea による希望的観測記事が外れただけのことかもしれませんが……。

 ともあれ、今回の報道が事実ならば、問題はやはり先送りされたということでしょう。
 詳細は理解していないのですが、ギリシャ正教会の常任聖シノドの議席配合はコンスタンティノープル側に管轄権がある主教(アテネ大主教庁に管轄権が預けられているという建前が主張されることもありますが)らと、アテネ大主教庁に管轄権がある主教らにわかれており、両者が同調する必要があるらしく、したがってアテネ大主教庁側がコンスタンティノープルに同調するのをまたも拒否したとみていいのではないでしょうか。
 このあたりの詳細は、ロシアの正教会系メディアが解説してくれると思いますが……。

 

追記:

 (英語)Archbishop Ieronymos: I cannot take responsibility on my own – Romfea News

 Romfea の続報によりますと、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、 OCU を独立正教会として承認するかどうかについて、「責任を負えない」と述べたそうです。
 これは主教団聖シノド会合で投票にかけた結果なら自分の責任ではないということなんでしょうか。
 独立正教会の首座とはいったい……。
 いやもちろん、すべての主教は平等(?)だというのが東方の教会の原則らしいですが。