シスマ2018:キリスト教/ウクライナ駐箚ローマ教皇大使館が、ウクライナ外務省公式サイトの内容(ローマ教皇聖座がウクライナへの独立正教会設置を支持しているかのようにとれるタイトルと記事)を否定。「東方正教会内部の問題」(2018年9月)

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

 2018年9月25日、ローマ教皇庁国務省外務局局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教座下(ホデルム名義大司教 : Archbishop Paul Richard Gallagher : Titular Archbishop of Hodelm)は、ウクライナ外務大臣パウロ・クリムキン閣下(His Excellency Mr Pavlo Klimkin)と会見しました。

 ウクライナ外務省はこの会談の内容について記事を出していましたが……

 

 (ウクライナ語:ウクライナ外務省公式サイト)Святий Престол поважає рішення українського народу щодо створення Єдиної помісної церкви | Міністерство закордонних справ України

Святий Престол поважає рішення українського народу щодо створення Єдиної помісної церкви

「ローマ教皇聖座は単一の(東方正教会の独立正教会の)教会を設置するというウクライナの人々の決定を尊重する」

 

 ウクライナ駐箚ローマ教皇大使館公式サイトがこれを否定。

 

 (英語:ウクライナ駐箚ローマ教皇大使館公式サイト)Communiqué of the Apostolic Nunciature in Ukraine – Apostolic Nunciature in Ukraine

this is an internal question of the Orthodox Church, on which the Holy See never did and has no intention whatsoever of expressing any evaluation, in any venue.

 東方正教会内部の問題であるとしています。
 引用より前の「wishes to once again state」という部分から、「またいわないといけないのか……」とうんざりしているのが伝わってくるようです。

 

 ウクライナ外務省公式サイトは、 stopfake.org のバナーをはってリンクしていますが、自らがフェイクニュースを発信している有様で、ウクライナ系メディアはさらにひどく、コンスタンティノープルの全地総主教庁ですらそれに乗っかって高位の聖職者が無責任な発言をしています。
 理由の一つは、各正教会の声明や首座の発言が、それぞれの言語(要するにほかのところの人には読めない)で発信されているケースが多いことでしょう。
 そしてもちろん、ウクライナ政府やウクライナ系メディア、そして全地総主教庁も、勝たないとすべてが終わるのでフェイクニュースでもなんでも、ということは間違いありません。
 しかし、この一連のフェイクニュースが、彼らにとって少しでもプラスになっているのかどうか?

 政治的ギャンブルが前面に出て進んできた「シスマ2018」ですが、さらに形容しがたい状況に突入しています。