シスマ2018:キリスト教/フランス正教主教会議【AEOF】がウクライナ問題を憂慮し解決を訴える声明(2018年10月)ロシア正教会の主教らは出席せず

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 2018年10月16日、キリスト教/東方正教会のフランス正教主教会議【AEOF】がウクライナ問題を憂慮し解決を訴える声明を出したようです。ロシア正教会の主教らは出席せず。

 

 (英語)Statement by the assembly of the French Orthodox Bishops on the Ukrainian issue ⋆ Orthodoxie.com

 (英語:ルーマニア正教会通信)Statement by the assembly of the French Orthodox Bishops on the Ukrainian issue – Basilica.ro

 

 そして、このフランス正教主教会議【AEOF】の議長は、ロシア正教会による“フィラレート聖下”及び“マカリー座下”へのAnathemaを全地総主教庁が一方的に撤回することを発表したフランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)であり、座下自信のみによる決定ではもちろんないにせよ、座下の発表により問題が発生しているのに「ウクライナ問題の解決」「正教会の統一」「独立正教会関係の協働の必要性」を求める声明を出すなど実にまあ神経が太いことです。ロシア正教会にさらにケンカをふっかけているのか、それとも脅していればロシアは屈服すると思っているのかよくわかりませんが……。

 なお、管轄権が確定していない東方正教会の信徒が少数派の各国などに正教主教会議は設置されていますが、コンスタンティノープルの全地総主教庁の主教が議長となるため、ロシア正教会はユーカリスティック・コミュニオン解除前から参加しないことを決定しています。
 コミュニオン解除により、ますます参加の可能性がなくなりました。

 これらの正教主教会議のウェブサイトからいつロシア正教会やロシア正教会の主教らの名前が消えるかというのが気になるポイントではありますが、このフランス正教主教会議【AEOF】の公式サイトでは年内に消すこともあるかもしれません。

 

シスマ2018:キリスト教/在外ロシア正教会の聖シノドは、ロシア正教会の聖シノドの決定を支持し、コンスタンティノープルの全地総主教庁を批判(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を保有する在外ロシア正教会の聖シノドは、2018年10月15日にロシア正教会の聖シノドがコンスタンティノープルの全地総主教庁とのユーカリスティック・コミュニオンを解除したことを完全に支持し、全地総主教庁を批判する声明を出しています。

 

 (英語:在外ロシア正教会公式サイト)The Russian Orthodox Church Outside of Russia – Official Website | Statement of the Holy Synod of Bishops of the Russian Orthodox Church Outside of Russia

 

シスマ2018:あくまでロシアの正教会系メディアの情報ですが、キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”、“ウクライナ独立正教会”で、独立正教会設置に向けた細かな計画について同意が進んでいない模様(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 (英語)Ukrainian schismatic leaders disagreeing over how to unite / OrthoChristian.Com

 

 あくまでロシアの正教会系メディアが(おそらくウクライナ国内の報道から自分たちに良いものを選んで構成しているのだと思いますが)、コンスタンティノープルの全地総主教庁、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”、“ウクライナ独立正教会”の間で、独立正教会設置に向けた細かな調整が進んでいないようだという話です。

 まず全地総主教庁ですが、新設する独立正教会の首座を府主教とし、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁のキエフ総主教フィラレート聖下”をそれにあてたい、という考えが(全体でないにせよ)出ています。
 が、フィラレート聖下は「自分はすでに総主教、これからも総主教」と、府主教への降格を受け入れるつもりはまったくないようです(下手をすれば、“キエフ・全ルーシ総主教”と言い出すかもしれません)。
 付言していえば、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁”と“ウクライナ独立正教会”、及びウクライナ国内のその他の親コンスタンティノープル派の少数グループが合流すれば、その信徒数については、ルーマニア正教会の信徒数を超えているとも考えられます。ロシア正教会が全地総主教庁とのコミュニオンから離脱した以上、東方正教会の教会法上合法な教会で最大の信徒数を誇るのは新設される「ウクライナ正教会」である、と考えれば、その首座が総主教であるのは当たり前のことで、なぜ今になって全地総主教庁が府主教にとどめたい意向を示しているのか、よくわからないところです(もちろんこのニュースが本当だとしてですが)。

 そして、“ウクライナ独立正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教マカリー座下”ですが、フィラレート聖下との話し合いで、新たな教会をどうするかについて、「一方的な合流を求められた」という話をしているそうです(しつこいようですが、ロシアの正教会系メディアが正しく報道していれば)。しっかり話し合って組織としての在り方を決めるべきだとまっとうなことを主張しているようですが……まっとうなことを考える人は今回のようなムチャな展開に関わってはいけないのでは……。
 そもそも過去にこの二教会は一時的には協調しましたが、その後の合同については失敗に終わっています。
 また、マカリー座下は、全地総主教庁がしっかりとした主導をしていないことにも不満があるようです。

 

 いろいろ問題はあるようですが、一方で全地総主教庁はおそらく近いうちに独立正教会の設置を承認するでしょう。
 設立する独立正教会がしっかり運用されるのかという現実的な問題が浮上してきています。
 まだ名前すら決まっていないということですので。

 

シスマ2018:キリスト教/トルコ正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁を提訴。ロシアとウクライナの戦争を誘発するような行動はローザンヌ条約違反=トルコの刑法に違反とのこと(2018年10月)まだ存在していたことに驚きましたが……

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 ロシアのタス通信によりますと、2018年10月16日、キリスト教/東方正教会(とはほとんどまったく思われていない少数集団)のトルコ正教会が、コンスタンティノープルの全地総主教庁を提訴した模様です。
 ロシア連邦とウクライナの戦争を誘発するような行動はローザンヌ条約違反=トルコの刑法に違反しているとのことです。

 

 (英語)TASS: World – Turkish Orthodox Church urges criminal case against Ecumenical Patriarchate

 

 率直な話、まだ存在していたことに驚きました。

 

 今回の記事でスポークスウーマンとして名前の出てきているセウギ・エレネロルSevgi Erenerol)という人ですが、首座(世襲)の姉妹で、5年前に終身刑になったはずでは……。

 

 なお、トルコ共和国大統領レジェップ・タイップ・エルドアン閣下(His Excellency Mr Recep Tayyip Erdoğan)はローザンヌ条約の見直しを求める発言をおこなっており、今回わざわざ条約名が出てきたことには、意味があるかもしれません。

 

追記:
 「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」による今回の件の記事によりますと、トルコ正教会は、全地総主教庁側が自分たちのものだと認識している建物(?)をいくつか保有(?)していて、係争中の模様です。

 (ギリシャ語)Το λεγόμενο Τουρκικό ''Ορθόδοξο Πατριαρχείο'' κατέθεσε μήνυση κατά του Φαναρίου

 

追記2:
 記事へのリンクをひとつ追加。

 (英語)Turkish Orthodox “Church” files lawsuit against Ecumenical Patriarchate / OrthoChristian.Com

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”に対し、「あなたのところはセルビア正教会の管轄権下なので独立は承認できません」(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

※フェイクニュースの可能性があります。

 

 ギリシャの正教会系メディア「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」によりますと、教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】”(以下、MOC-OA)が、マケドニアの名を冠さない教会名で全地総主教庁に承認を求めたところ、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に、「あなたのところは1922年にセルビア正教会に管轄権が移っているのでダメです」とにべもない回答が来たとのこと。

 

 (ギリシャ語)Αλλαγή στάσης από το Οικουμενικό Πατριαρχείο για την σχισματική Εκκλησία της πΓΔΜ

 

 これまでこの問題は行ったり来たりというか情報が錯綜しており、少し前には彼らは「国名も教会名もマケドニアを維持すべき」と主張しているという情報が出ました。このニュースはフェイクニュースだったのか、それとも意見をコロリと変えたのか。

 いずれにせよ、今回のニュースがフェイクニュースでない場合、また加えて以前にバルソロメオス聖下が「名前を変えればいいよ」と発言したとのニュースがフェイクニュースでなかった場合、聖下もまたコロリと意見を変えたわけですが、これはおそらくロシア正教会とセルビア正教会の二正面作戦は勝ち目がないという現実的な判断をしただけで、だとするとまたいつコロリと変わるかわかったものではありません。

 MOC-OAのプレスパ=ペラゴニア府主教ペタル座下(His Eminence Metropolitan Petar of Prespa-Pelagonia)は、無念さを隠していませんが、同教会はこれまで通り運営されるし、国名問題が解決すれば独立正教会として承認されるだろうと見込んでいるようです。

 

 そして、この問題を通じて、内部の見解の分裂が露呈し、マケドニアとの政治的連携を目的とする政治家や政治活動家による教会への介入を招いただけのブルガリア正教会はずいぶんとまた貧乏くじを引いてしまったものだと思います。

 

 それにしても、今回の話も全部フェイクニュースかもしれません(頭が痛い……)。