東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 2020年10月24日、キリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)は、礼拝において、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の“エピファニー府主教”の名を挙げました。これは要するに独立正教会の首座として認めたということですが、同教会のシノドの事前同意はないようです。

 

 (英語)Archbishop of Cyprus commemorates Metropolitan Epifaniy of Kyiv for first time (upd) – Orthodox Times
 (英語)Archbishop of Cyprus commemorates head of Ukrainian schismatics without Synodal consent / OrthoChristian.Com
 (英語)Media: Primate of the Church of Cyprus commemorates Epiphany – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)UOC Spokesman: Cypriot hierarchs are outraged by the act of their Primate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 なお、これにいたる間の話は長いのでとても語れませんが、近いところだと、東方正教会のアレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下がキプロス共和国を訪問した際に、キプロス正教会側の府主教らが共同礼拝をおこなわないということがありました。
 これはその前の訪問時に、総主教が事前には礼拝でエピファニー府主教の名を挙げないと約束していたのに、実際には礼拝で名を挙げて(つまり大嘘をこいて)キプロス正教会側の顔に泥を塗ったことに対する措置だと見られています。

 このような経緯もあり、今回、ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)は、キプロス正教会内部でキプロス大主教に対して反発が起こっているとしています。
 これがただの希望的観測なのか、事実を確認しているのか、確認しているとして全体のどれくらいの割合なのかはわかりません。
 しかし2018年から見せられてきた、ギリシャ正教というのが「ギリシャ人はしいというえ」でしかなく、古代からの正しい教えなどどうでもよいようなルール無視ばかりという現実を考えると、キプロスの聖職者もバルバロイどものことなどどうでもよいというのが本音でしょう。

関連:
 キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下が、“北キプロス・ロシア正教会”を批判(2019年8月)在外ロシア正教会と、在外ロシア正教会から分離した(通称)“アガファンゲル・シノド”の区別がついていないのでは……

 アレクサンドリアとの問題もギリシャ人同士のメンツの問題であって、そこはそれギリシャ人同士にしかよくわからない手打ちがなされて終わりではないかと思います。

 

 また、 UOJ の記事は、 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)がコンスタンティノープルと OCU を批判(というかおちょくった)ために、コンスタンティノープルが力を見せつける必要が出てきたのではないかと分析しています。

関連:
 キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、コンスタンティノープルとそのトモスを批判(2020年10月)
 インタビュー動画:キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”への、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの回復以降初のロング・インタビュー映像(2020年10月)

 真偽はわかりません。

 しかし、ギリシャ人が自分たち以外に興味がなく、その割に自分たちに逆らうものを許さないというのは、東方正教会において確実にいえる真実です(教会だけなら良いのですが……)ので、事態もまたそれに沿って進むだけでしょう。

 ロシア正教会モスクワ総主教庁の聖シノドがキプロス大主教とのコミュニオンを解除すると思いますが、それのみに関わらず政治・外交への影響も出るかもしれません。
 キプロス紛争への出るかもしれません。ロシアにとってキプロス共和国にもう価値は無く(もうロシアの兵器も購入しないでしょう)、ロシアが北キプロス共和国を支援し始めても不思議でもない状況となりました。……その発端がこんな出来事では……。

 

 (英語:ロシア真正教会 西欧教区 公式サイト)World "Orthodoxy's" Soap Opera of the “Orthodox Church of Ukraine" (OCU) Continues… – True Orthodox Diocese of Western Europe

 東方正教会系統の教会のうち、主流ではないロシア真正教会のサイトからおちょくられています。
 「 “OCU” のソープ・オペラは続く……」。
 おっしゃる通りとしか……。

 

続報:
 キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がキプロス大主教の行動についてコメント(2020年10月)
 キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノドがキプロス大主教クリソストモス2世座下とのユーカリスティック・コミュニオンを解除(2020年11月)

 

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下と会見(2020年10月)

 キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)と会見しました。

 

 (英語)Pope Francis and the Ecumenical Patriarch meet for 50 minutes | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Pope Francis and the Ecumenical Patriarch meet for 50 minutes – YouTube

 

インタビュー動画:キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”への、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの回復以降初のロング・インタビュー映像(2020年10月)

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)への、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの回復以降初のロング・インタビューの映像です。

 

Київський Патріархат(キエフ総主教庁 公式チャンネル):
Патріарх Філарет у програмі "ХАРД з Влащенко" на телеканалі "Україна 24" – YouTube

 

 (キャプションによりますと)
 コンスタンティノープルのトモスと、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】がコンスタンティノープルに従属しているという話。
 自分を裏切って(?) OCU の首座となっている“エピファニー府主教”への批判。
 新型コロナウイルス感染症からの回復。

 司会者らからの質問に関して、
 なぜ聖堂の中で、聖職者は裏切ったり罪を犯すのかという話。
 教会と国家の関係の話。
 教会なしで神とつながることはできるのか、救われることはできるのかという話。
 どのような祈りがもっとも効果があるのか。
 邪悪はどこから来るのか。
 神が許さない罪とは。
 フィラレート総主教は個人的に神にどのような祈りを捧げているのか。
 コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教に関して、ウクライナのポロシェンコ前大統領に関して、ゼレンスキー大統領に関して、ホロドモール(虐殺)について、海外の信者について、ドンバスについて、LGBTについて、KGBについて。

 などなど、ものすごく興味がある項目が並びます。
 内容が整理されている記事など見かければあとでリンクしておきます。

 

 (英語)Filaret: Patriarch Bartholomew steps back from the purity of Orthodoxy – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

訃報(2020年10月16日):キリスト教/コンスタンティノープルのイタリア府主教ゲンナディオス座下が永眠(1937~2020)全地総主教バルソロメオス聖下が礼拝。ヴェネツィア総大司教フランチェスコ・モラッリャ座下が弔意

 2020年10月16日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルのイタリア府主教ゲンナディオス座下(南欧における首座代理 : His Eminence, the Metropolitan of Italy and Exarch of the Southern Europe Gennadios)が永眠しました。
 1937年生まれ。

 コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)は鎮魂の礼拝をおこないました。

 また、ローマ・カトリック教会のヴェネツィア総大司教フランチェスコ・モラッリャ座下(His Beatitude Patriarch Francesco Moraglia, Patriarch of Venice)が弔意を表明しています。

 

 (イタリア語:イタリア・マルタ正教会大主教庁 公式サイト)Sacra Arcidiocesi Ortodossa d'Italia e Malta | È TRANSITATO AL CIELO IL METROPOLITA GENNADIOS

È TRANSITATO AL CIELO IL METROPOLITA… – Arcidiocesi Ortodossa d'Italia e Malta | Facebook

 

 (英語)Metropolitan Gennadios of Italy fell asleep in the Lord – Orthodox Times

 

Orthodox TimesさんはTwitterを使っています 「Metropolitan Gennadios of #Italy fell asleep in the Lord #orthodox_times https://t.co/quPtjA1Nvx」 / Twitter

 

Orthodox Times – Metropolitan Gennadios of #Italy fell… | Facebook

 

 (英語)Greek Metropolitan Gennadios of Italy reposes in the Lord / OrthoChristian.Com

 

Orthodox ChristianityさんはTwitterを使っています 「Greek Metropolitan Gennadios of Italy reposes in the Lord https://t.co/r12XSCvO2F He served as a hierarch in Italy since 1970. During his long pastorate, he founded more than 50 parishes and 5 monasteries and reestablished the Monastery of St. George in Venice. https://t.co/rIZu3AjW1p」 / Twitter

 

バルソロメオス聖下の礼拝:
Ecumenical Patriarchate – Πατριαρχικό Τρισάγιο για τον μακαριστό Μητροπολίτη Ιταλίας και Μελίτης | Facebook

 

 (イタリア語:ヴェネツィア総大司教庁 公式サイト)La morte del Metropolita Gennadios | Un ricordo nel messaggio di condoglianze del Patriarca Francesco all’Arcidiocesi ortodossa greca d’Italia e Malta: “Un vero testimone e costruttore di unità, un uomo di Dio, una persona ricca di gioia”
 (イタリア語:ヴェネツィア総大司教庁 公式サイト)Messaggio del Patriarca per la scomparsa del Metropolita Gennadios

 

キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下とアルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教サハク2世マシャリャン座下の会談(2020年10月?)

 ギリシャの正教会系メディア Orthodox Times( Romfea.gr の英語版)が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)とキリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教サハク2世マシャリャン主教座下(His Beatitude Bishop Sahak II Mashalian, Armenian Patriarch of Constantinople)の会談がおこなわれたことを報じています。

 会談の内容ははっきりしませんが、アルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノカラバフでの戦闘と、イスタンブールでの騒動を受けていると記事は示唆しています。
関連:
 アルメニアとアゼルバイジャンの軍事衝突を受けて、トルコ/イスタンブールのキリスト教/アルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教庁周辺およびアルメニア系住民居住地区で、アゼルバイジャン国旗を掲げた車両がクラクションを鳴らしながら通行する出来事が(2020年9月)

 

 (英語)The Ecumenical Patriarch meets with the Armenian Patriarch in Turkey – Orthodox Times

Orthodox TimesさんはTwitterを使っています 「.@EcuPatriarch Bartholomew had a meeting in #Phanar with the Patriarch of the #Armenians in #Turkey, Sahag Maşalyan #orthodox_times https://t.co/ODRpwCrTS5」 / Twitter

Orthodox Times – Ecumenical Patriarch Bartholomew had a… | Facebook

 

 なお、アルメニア使徒教会のコンスタンティノープル総主教とエルサレム総主教は個人の称号として主教または大主教を維持します(維持という表現が正確かはわかりませんが)。
 サハク2世マシャリャン座下は選出・着座時には主教であり、その後に大主教となったという報道を見ていませんが、なっているかもしれません。

関連:
 着座式(2020年1月11日):キリスト教/アルメニア使徒教会の第85代コンスタンティノープル総主教サハク・マシャリャン座下の着座式がおこなわれる。東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下らも参列