キリスト教/ブルガリア正教会聖シノドが、同国の宗教関連の法の改定に反対する意見の提出と声明の公開(2018年10月)成立するとブルガリア正教会とイスラム教スンナ派以外は全部つぶれるという観測も

 ブルガリア共和国の議会で、宗教関連の法の改定の検討が進められていますが、キリスト教/東方正教会のブルガリア正教会総主教庁は、これに反対する意見書を議会に提出し、またそれとは別に声明を公開しています。
 国家への宗教への介入に反対する立場から、一言でいうとロクなことにならないからやめてくれという内容のようです(また代替シノドのようなものが分離しても困ると)。
 とはいえ政府側は、最近になってブルガリア正教会への資金援助を強化しており、これに「法案に賛成しなさい」という意図があるのは間違いないでしょう。

 今回の改定案は、詳細(つまりなぜこんなものが出てきたのかということとその細かな内容と問題点)はわからないのですが(外国のことはだいたいそうですが)、テロ活動の阻止と外国による内政干渉を防止するという名目から、宗教団体の活動資金の詳細なチェックや、特に少数宗派の役員(?)は外国人との面会に条件が設けられるというような内容が含まれているようです。

 報道などによれば、ブルガリア正教会とイスラム教のスンナ派以外の第三宗派以降はそれぞれ全人口の1%に満たないという状況です。
 同国内のローマ・カトリック教会の聖職者らの活動は他国からの資金頼みが現状らしく、その資金を絶たれるとブルガリアではローマ・カトリック教会(ブルガリア東方典礼カトリック教会を含む)は消滅するのではないかともいわれています。

 欧州連合やその関連司法機関に訴えるという意見を表明している人もおり、どう落ち着くかわからない状況です。

 

 (ブルガリア語:ブルガリア正教会総主教庁公式サイト)Изявление на Св. Синод на БПЦ-БП по повод внесените законопроекти за изменение и допълнение на Закона за вероизповеданията
 (ブルガリア語:ブルガリア正教会総主教庁公式サイト)С Т А Н О В И Щ Е на Св. Синод относно законопроекти за изменение и допълнение на Закона за вероизповеданията – II част
 (ブルガリア語:ブルガリア正教会総主教庁公式サイト)С Т А Н О В И Щ Е на Св. Синод относно законопроекти за изменение и допълнение на Закона за вероизповеданията – I част

 

関連:
 キリスト教/ブルガリア正教会聖シノドが、ブルガリア首相ボイコ・ボリソフ閣下らと会見(2018年10月)

 

キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下と、セルビア総主教イリネイ聖下が共同礼拝(2018年9月)

 すでに会談の件だけお伝えしましたが、2018年9月28日~9月30日の日程で、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が、ギリシャ共和国マケドニア地方のテッサロニキを訪問しています。
 同教会のザグレブ=リュブリャナ府主教ポルフィリイェ座下(His Eminence Metropolitan Porfirije of Zagreb-Ljubljana)が同行。
 ネアポリス・スタウロポリス府主教バルナバス座下(His Eminence Metropolitan Barnabas of Neapolis and Stavroupolis)が出迎え。

 キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)と各地を訪問したほか、会談、第一次世界大戦戦死者の慰霊、共同礼拝などがおこなわれました。

 

Телевизија Храм:
Патријарх Иринеј: "Врло је важно да сачувамо јединство нас православних народа" – YouTube

 

Телевизија Храм:
Активности Патријарха Иринеја и Патријарха Вартоломеја у Солуну – YouTube

 

Телевизија Храм:
Патријарх Вартоломеј и Патријарх Иринеј на Зејтинлику посадили дрво маслине као симбол мира – YouTube

 

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)A Centenary Anniversary of the End of the First World War Marked | Serbian Orthodox Church [Official web site]
 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Patriarchal Liturgy in honor of the hundredth anniversary of the breakthrough of the Thessalonica front | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Патријарх Иринеј и Патријарх Вартоломеј у Солуну служили Свету архијерејску литургију | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 (英語:ルーマニア正教会通信)Ecumenical Patriarch Bartholomew, Serbian Patriarch Irinej plant olive tree in Thessaloniki to send message of peace – Basilica.ro

 

シスマ2018:キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下によるウクライナ正教会オデッサ教区訪問2日目(2018年9月)ロシア正教会系のウクライナ正教会及びモルドバ正教会の主教らと共同礼拝

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

訪問初日:
 シスマ2018:キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下が、ロシア正教会系のウクライナ正教会のオデッサ教区を訪問、教会法上合法である同教会とその首座のキエフ府主教オヌフリー座下への支持をあらためて表明(2018年9月)

 

 2018年9月28日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄下で自治的な権限を行使するウクライナ正教会のオデッサ教区を訪問中のキリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)は、オデッサの至聖三者大聖堂にて、ウクライナ正教会の主教ら、及びウクライナ正教会と同じくロシア正教会下で自治的な権限を保有するモルドバ正教会の首座/キシナウ・全モルドバ府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)らと共同で礼拝をおこなったようです。

 また、同地の大学から名誉博士号を受けたようです。

 

Одесская епархия(ウクライナ正教会オデッサ教区公式チャンネル):
Патриаршее богослужение в Свято-Троицком греческом соборе – YouTube

 

Одесская епархия(ウクライナ正教会オデッサ教区公式チャンネル):
Посещение Патриарха Александрийского НУ "Одесская юридическая академия" – YouTube

 

Одесская епархия(ウクライナ正教会オデッサ教区公式チャンネル):
Вечернее богослужение накануне дня памяти прп. Кукши Одесского – YouTube

 

 (記事の掲載が終了しています)(ロシア語:ウクライナ正教会オデッサ教区公式サイト)Православная Одесса | Блаженнейший Патриарх Александрийский и всея Африки Феодор II совершил Божественную литургию в Свято-Троицком соборе г. Одессы (Видео)
掲載時URL:http://eparhiya.od.ua/sobyitiya/sobyitiya/4864-blajenneyshiy-patriarh-aleksandriyskiy-i-vseya-afriki-feodor-ii-sovershil-bojestvennuyu-liturgiyu-v-svyato-troitskom-sobore-g_-odessyi-video
 (記事の掲載が終了しています)(ロシア語:ウクライナ正教会オデッサ教区公式サイト)Православная Одесса | Блаженнейший Патриарх Феодор II был удостоен почетного звания доктора honoris causa Национального университета «Одесская юридическая академия» (Видео)
掲載時URL:http://eparhiya.od.ua/sobyitiya/sobyitiya/4865–blajenneyshiy-patriarh-feodor-ii-byil-udostoen-pochetnogo-zvaniya-doktora-honoris-causa-natsionalnogo-universiteta-odesskaya-yuridicheskaya-akademiya-video
 (記事の掲載が終了しています)(ロシア語:ウクライナ正教会オデッサ教区公式サイト)Православная Одесса | Накануне дня памяти преподобного Кукши Одесского Блаженнейший Патриарх Феодор II возглавил праздничное всенощное бдение в Свято-Успенском Одесском мужском монастыре (Видео)
掲載時URL:http://eparhiya.od.ua/sobyitiya/sobyitiya/4866-nakanune-dnya-pamyati-prepodobnogo-kukshi-odesskogo-blajenneyshiy-patriarh-feodor-ii-vozglavil-prazdnichnoe-vsenoschnoe-bdenie-v-svyato-uspenskom-odesskom-mujskom-monastyire-video

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Олександрійський Патріарх Феодор звершив Літургію в Одеському соборі, де служив протягом 10-ти років (+відео) – Українська Православна Церква
 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Олександрійський Патріарх повідомить усіх Предстоятелів Помісних Церков про реальну церковну ситуацію в Україні (+відео) – Українська Православна Церква

 (ルーマニア語:モルドバ正教会ウンゲニ・ニスポレニ教区公式サイト)Preasfințitul Episcop PETRU, a luat parte la Liturghia oficiată de Preafericitul TEODOR al II, Patriarhul Alexandriei și a întregii Africi (Foto/Vedeo)
 (ルーマニア語:モルドバ正教会ウンゲニ・ニスポレニ教区公式サイト)Preasfințitul Episcop PETRU, ia parte la festivitățile prilejuite de venirea Preafericitului Patriarh TEODOR la Odessa (Foto/Video)
 (ルーマニア語:モルドバ正教会ウンゲニ・ニスポレニ教区公式サイト)Slujba Privegherii în ajunul prăznuirii Cuviosului Cucșa al Odessei (Foto/Video)

 

 アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下、モルドバ府主教ヴラジミール座下のほかに、礼拝の参加者として名前が挙がっている主教:

※後で追記します。

 オデッサ・イズマイル府主教アガファンゲル座下(アハファンヘル府主教 : His Eminence Agafangel, Metropolitan of Odessa and Izmail)、

 ブルガリア正教会のヴァルナとヴェリキー・プレスラフ府主教ヨアン座下(His Eminence Ĭoan, Metropolitan of Varna and Veliki Preslav (Great Preslav))、
 アンティオキア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】ニフォン府主教座下(His Eminence, the Most Reverend Niphon, Metropolitan of Philippople?【Chehba?】)、

 ルガンスク・アルチェフスク府主教ミトロファン座下(His Eminence Metropolitan MitrofanMytrofan】 of Lugansk and Alchevsk)、
 ボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)、
 フメリニツキー・スタロコンスタンチノフ府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Khmelnitsky and Starokostiantyniv)、
 ロシア正教会のニジニ・ノヴゴロドとアルザマス府主教ゲオルギー座下(His Eminence Metropolitan Georgiy of Nizhny Novgorod and Arzamas)、
 ヘルソン・タヴリダ府主教ヨアン座下(His Eminence Metropolitan Ioann of Kherson and Taurida)、
 イジュム・クピャンスク府主教エリセイ座下(His Eminence Metropolitan Yelisey of Izium and Kupiansk)、
 キロヴォグラード・ノヴォミルゴロド府主教ヨアサフ座下(His Eminence Metropolitan Ioasaf of Kirovograd and Novomirgorod)、
 スミ・アフティルスキー府主教イェヴロギー座下(His Eminence Metropolitan Yevlogiy of Sumy and Akhtyrsky)、
 リヴォフ・ガリツィヤ大主教【リヴィウ・ハリチュナ大主教】フィラレート座下(His Eminence Archbishop Filaret of Lviv and Galicia)、
 バンチェニー大主教ロンギン座下(His Eminence Archbishop Longin of Bancheny)、
 ニジン・プリルキ大主教クリメント座下(His Eminence Archbishop KlimentClement】of Nezhin and Pryluky)、
 オヴィディオポリ主教アルカディー座下(His Grace Arkadiy, Bishop of Ovidiopol)、
 ユージュネ主教ディオドル座下(His Grace Diodor, Bishop of Yuzhne)、
 アルツィス主教ヴィクトル座下(His Grace Victor, Bishop of Artsyz)、
 マカロフ主教ゲデオン座下(His Grace Gedeon, Bishop of Makarov)、
 モルドバ正教会のウンゲニ・ニスポレニ主教ペトル座下(His Grace Petru, Bishop of Ungheni and Nisporeni)、
 元コノトプ・グルーホフ主教のイノケンティー主教座下(His Grace Bishop Innokentiy)、

 

シスマ2018:キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下が、セルビア総主教イリネイ聖下と会談(2018年9月)共同礼拝も予定の模様

【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 

 2018年9月29日、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)は、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)と会談したようです。

 

 (英語:コンスタンティノープル全地総主教庁 世界教会協議会代表部 公式サイト)Meeting of the Ecumenical Patriarch with the Patriarch of Serbia – Ecumenical Patriarchate Permanent Delegation to the World Council of Churches

 

 上記サイトによりますと、バルソロメオス聖下は、第一次世界大戦終了100周年式典のため、ギリシャ共和国を訪問しているようです。よって、同地をイリネイ聖下も同目的で訪問しているのでしょう。
 会談では、東方正教会の問題が話されたようですが、詳細は不明。
 ネアポリス・スタウロポリス府主教バルナバス座下(His Eminence Metropolitan Barnabas of Neapolis and Stavroupolis)が同席したようです。

 翌9月30日には共同礼拝も予定されている模様。

 

 現在の東方正教会の問題(シスマ)がどこまで波及するか不明ですが……。

 マケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 : FYROM)はセルビア共和国の管轄権内であり、正教オフリド大主教庁が設置されています。国家当局が支持するマケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】はそれと対立し、正教オフリド大主教庁へは国家による弾圧がおこなわれました。マケドニア正教会-オフリド大主教庁は、現在ブルガリア正教会の協力を得て、教会法上合法な地位を目指しています。
 一方、バルソロメオス聖下「マケドニアやその派生の名称を含む教会名は一切認めない」としています。
 9月30日には、マケドニア共和国で「マケドニア政府とギリシャ政府の合意に基づいて欧州連合【EU】・北大西洋条約機構【NATO】加盟を支持するか?」という内容の国名変更(北マケドニア共和国?)を問う国民投票が実施されます。
 この時期に、バルソロメオス聖下がマケドニア地方を訪問するというのは、教会政治的な意味合いが感じられます。
 仮に国名が変更され、欧州連合や北大西洋条約機構への加盟がかないそうな状況でも、聖下が「教会名にマケドニアを含むことは認められない」と発言すれば、ギリシャ(の政権側)、マケドニア、ブルガリアの政治家らの反発は避けられないかと思われます。西側諸国からも批判が出るでしょう。
 一方、独立正教会設置を認めれば、セルビア正教会はロシア正教会と同じ対応をとるでしょう。東方正教会の分裂が進むことは避けられません。
 しかも、ウクライナでの一連の経緯を受けて、この件は名称だけの問題となっており、仮にマケドニアで誰かがマケドニアという名称と関係がないが信徒や政治家たちが納得する名称を思いついてしまえば独立正教会設置を承認するしかないということになるでしょう。

 

 なお、今回同席したネアポリス・スタウロポリス府主教バルナバス座下ですが、同教区は全地総主教庁の管轄権にありながらギリシャ正教会に管理が預けられているいうややこしい扱いをされているもののひとつです(結構あります)。
 バルソロメオス聖下は、これらの教区の長たちを、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)へはなんの承認も得ずに招集したりしたことで、同座下より批判を受けたことがあり、全地総主教庁とギリシャ正教会で認識に差があることが指摘されています。
 ここもまたシスマが波及する可能性がある場所です。

 

追記:
 それにしても、今回9月末にやや唐突に(と思える)バルソロメオス聖下とイリネイ聖下の会談は、8月末のモスクワ総主教キリル聖下とバルソロメオス聖下の会談後、コンスタンティノープルとロシアの関係は断絶するしかない方向へ向かったことを思い出させます。

 

関連:
 キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下と、セルビア総主教イリネイ聖下が共同礼拝(2018年9月)

 

キリスト教/セルビア正教会の重鎮モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下へのインタビュー記事(2018年9月)

 キリスト教/セルビア正教会/モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイトに、セルビア共和国の「Политика(Politika)」によるモンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)へのインタビュー記事が掲載されています。

※同ニュースの公式サイトに記事が見当たらないので、元記事は今のところ紙媒体なのかと思います。教会の公式サイトに転載したら意味ない気もしますが……。

 

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Политика: Интервју Митрополита црногорско-приморског г. Амфилохија | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 内容ですが、モンテネグロ政府との地所の返還かなにかに関する問題について、カトリックや、イスラム教、ユダヤ教も絡んで解決していない、という問題が最初に出ていますが、以降はモンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下(His Excellency Mr Milo ĐukanovićМило Ђукановић)への批判、大統領への批判、そして大統領への批判、と最後に少しだけシスマの話という内容でした。
 シスマの内容メインかなと思ったんですが……まだまだ他人事のようです。

 大統領への批判の内容ですが、大統領がセルビア正教会のモンテネグロ・プリモルスカ府主教庁を「大セルビア主義」「ロシアの手先」などとしていることについて、大統領を「チトー系のマルクス主義者」「教会についてなにもわかっていない」と応酬しているようです。
 また、「私にとってはモンテネグロはペトロヴィッチ=ニェゴシュ王朝のニコラ1世王まで続く東方正教会の国だが、ジュカノヴィッチ大統領にとってはチトーによる反宗教・反東方正教会の国だ」というようなことも述べていると思います(モンテネグロ王国もチトーのユーゴスラビアも滅んでいるじゃないかということはさておき)。
 (ちなみに「大統領は私の友で、私の兄弟で、セルビア人の兄弟だ」とも述べています)

 セルビア共和国から“独立”したコソボについては極めて批判的かつ否定的(詳細がよくわかりませんが【読解力不足】、モンテネグロ人に関連する聖堂がいくつか破壊されたのだと思います)。

 

 さて、“シスマ”に関するコメントですが、

関連:
 【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 末尾に少しだけあるだけです。
 記者がウクライナでの問題のモンテネグロへの影響を尋ねたのに対し、そもそも“キエフ総主教庁”が、モンテネグロにおける教会法上合法でない教会「モンテネグロ正教会(Montenegrin Orthodox Church : MOC : CPC)」とフル・コミュニオンの状態に、ずっと前になっていることを指摘しています。
 また、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下は、ウクライナに独立正教会を設置しようとしているものの、仮にキエフ総主教庁が独立を認められても、それとフル・コミュニオンにある上記の「モンテネグロ正教会」の首座ミハイロ府主教との関係回復はありえないという見通しを述べています。
※ミハイロ府主教は、コンスタンティノープルの全地総主教庁から、 excommunication と anathema を受けており(要は完全に破門されており)、これの撤回はありえない、ということです。

 もっとも、これらの内容は、興味のある人ならだいたい知ってることであり、新しい情報はなに一つありません。
※あえていえば、“キエフ総主教庁”と「モンテネグロ正教会」のフル・コミュニオンが現時点でも継続しているであろうことが確認できたくらい。

 また、全地総主教とミハイロ府主教との関係回復はないとしていますが、個人的な意見としては、今の全地総主教庁ならなにをやっても不思議ではない気がします。

※もともとミハイロ府主教を主教に叙聖したのはブルガリア正教会から分離した「ブルガリア正教会代替シノド(Bulgarian Orthodox Church – Alternative Synod)」の主教だったと思いますが、このシノドがブルガリア正教会との関係正常化を図っていたはずで(どうなったのかいまいちわからないのですが)、仮に叙聖した主教がブルガリア正教会に戻っているとするとミハイロ府主教の主教叙聖が有効化される可能性があるかもしれません。