キリスト教/クレタ大主教イリネオス座下が呼吸不全で ICU へ(2020年9月)

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下で自治的な権限を持つクレタ正教会の首座/クレタ大主教イリネオス座下(His Eminence Archbishop Irinaios of Crete)が入院、呼吸不全で入院とのことです。
 念のためのようですが、 ICU に移った模様。
追記:
 挿管がおこなわれているようです。
 新型コロナウイルス感染症の検査は陰性だとのこと。

 イリネオス大主教は87歳です。

 

 (英語)Archbishop Eirinaios of Crete was moved to Intensive Care Unit – Orthodox Times
 (英語)Concern over Archbishop of Crete continues – He remains intubated in ICU – Orthodox Times
 (英語)Physicians are cautiously optimistic as regards Archbishop of Crete’s health – Orthodox Times

 (英語)Archbishop Irineos of Crete in ICU with acute respiratory failure / OrthoChristian.Com

 

Orthodox TimesさんはTwitterを使っています 「Archbishop Eirinaios of Crete was admitted to the General University Hospital of Heraklion today at noon #orthodox_times https://t.co/eq1JnQhcgu」 / Twitter

 

Orthodox Times – Archbishop Eirinaios of Crete was… | Facebook

 

キリスト教/東方正教会系統の主流でない勢力、セルビア真正教会【STOC】と、在外ロシア正教会から離脱した勢力からさらに離脱した勢力がユーカリスティック・コミュニオンの状態に入る(2020年9月)

 2020年9月18日、キリスト教/東方正教会系統の主流でない教会のうち、トゥルー・オーソドキシーと呼ばれる保守的な分類の勢力に属する、セルビア真正教会(STOC : Serbian True Orthodox Church)と、在外ロシア正教会から離脱した勢力(現在は自分たちを正統とし同じく「在外ロシア正教会」を称し“アガファンゲル・シノド”などと他からは呼ばれる)から離脱した勢力(“アンドロニク大主教”と呼ばれる人物が主導しているので以後記事にするときはアンドロニク派と呼んでおきます)が、ユーカリスティック・コミュニオンの状態に入ったようです。

 

 (英語:アンドロニク派のカナダの教区の公式サイト)ANNOUNCEMENT OF THE ESTABLISHMENT OF EUCHARISTIC COMMUNION BETWEEN STOC AND ROCA
 (セルビア語)СРБИН ИСТИНСКИ ПРАВОСЛАВАН: Обавештење о успостављању евхаристијског општења између СИПЦ и РПЦЗ

 これに関して、ここ数年、同じくトゥルー・オーソドキシーに分類されるも、この両者を批判し対立を深めていたロシア真正教会(RTOC : Russian True Orthodox Church)の公式サイトの一つが激しく批判しつつ取り上げています。

 (英語:ロシア真正教会 西欧教区 公式サイト)A New "Church Conglomeration" is Announced! "You speak an infinite deal of nothing.” ― William Shakespeare, "The Merchant of Venice". – True Orthodox Diocese of Western Europe

 

 さらに、ロシア真正教会は、同じくトゥルー・オーソドキシーおよびオールド・カレンダリスト【Old Calendarist】【旧暦主義者】に分類される、 GOC-K (Church of the Genuine Orthodox Christians of Greece : ギリシャ真正教会 : カリニコス・シノド : Kallinikos-Synod)の公式サイトの新規記事で、セルビア真正教会の首座“アカキイェ主教”(His Grace Bishop Akakije)が司祭扱いで表記されていることも伝えています。

 (英語:ロシア真正教会 西欧教区 公式サイト)Synod of GOC-Kallinikos Calls Bishop (But Here They Address Him as "Father") to Appear as "Accused" – True Orthodox Diocese of Western Europe

 カリニコス・シノドとセルビア真正教会は同じグループとみなされていますが、過去に意見相違があり、セルビア真正教会側は「セルビアは我々の管轄権下にあり、ギリシャの教会がどうこういってくるのは、“ファナリオット”(コンスタンティノープル原理主義者=ギリシャ人がしいというえを奉じる人々)だ」というようなどこかで聞いたような主張と対立の仕方をしていました。

 今回のアカキイェ主教によるギリシャ訪問は、この対立の解決のためのものかと思われますが、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】対策のために中止となったようです。
 カリニコス・シノド側は、その(自分たちが主教と認めていたはずの)主教に対して司祭と呼んでいるということになりますが、自分たちギリシャ人に逆らった聖職者を一方的にランクダウンしたか、アカキイェ主教がギリシャ人ではないのでどうでもいいから記述が適当になっているか、どちらかでしょう。

 

 「教え」を理由に離脱したはずのトゥルー・オーソドキシー系統の教会の中には、成立当時よりさらにコンスタンティノープルが世俗化かつローマ接近を図っているにも関わらず、今回の東方正教会大分裂(コンスタンティノープル対モスクワ)でコンスタンティノープル支持に回っているところもあります。

 

続報:
 キリスト教/東方正教会系統の主流でない勢力、“アンドロニク派”がセルビア真正教会【STOC】を訪問(2020年10月)

 

東方正教会シスマ2020:北マケドニア大統領ペンダロフスキ閣下が、キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下に対し、同国の教会法上合法でない“マケドニア正教会-オフリド大主教庁”を独立正教会として認めるよう要請したと報道(2020年9月)

 北マケドニア共和国大統領ステヴォ・ペンダロフスキ閣下(Stevo Pendarovski)が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に対し、同国の教会法上合法でない集団“マケドニア正教会-オフリド大主教庁(Macedonian Orthodox Church – Ohrid Archdiocese : MOC-OA)”を独立正教会として認めるよう要請したという報道が出ています。

 

 (英語)Media: North Macedonia requests autocephaly for their "church" from Phanar – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)North Macedonia asks Constantinople for autocephaly for its schismatic church / OrthoChristian.Com
 (英語)North Macedonia asks for recognition of its Church from the Ecumenical Patriarch – Orthodox Times

 

 北マケドニア共和国(の領域)は、セルビア正教会の管轄権下であるとコンスタンティノープルは何度も何度も繰り返していますが、(彼らにとっては)彼らの気分次第でそんなものはいつどうにでも変えていいものだということが明らかになっているため、承認する可能性はあるでしょう(今回なくても常にありえます)。

 もし承認すれば、セルビア正教会側との衝突、というか教会分裂は避けられないものと思われますが……。
 しかし、もはや引くことができないのはどのプレイヤーも同じなので承認するかもしれません。

 ロシアとの友好関係を維持しつつ、欧州連合との接近やコソボとの関係改善をはかっているセルビア政府ですが、セルビア正教会ははっきりいってこの動き(コソボに関して)に反対しています。
 セルビア政府とセルビア正教会の足並みが乱れる可能性もあります。

 セルビア政府が教会と歩調を合わせる場合、ギリシャ政府とセルビア政府の間も緊張し、最近ギリシャへの配慮(?)を見せているロシア連邦の姿勢も再転換というか本音というかに戻るかもしれません。
 トルコ政府との対立のために味方を多く確保したいギリシャ政府ですが、北マケドニアやそれを支援するブルガリアなどとっくの昔からギリシャの経済的植民地であり、たいして役に立ちません(ブルガリアは親ロシア派を抱えていますし)。

 

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁の司祭が、ラジオで「過去に私が参加した会合で、ギリシャ正教会の府主教が『ここにロシア人がいなくてよかった』とスピーチした」「彼らはロシア人を嫌っている」とコメント(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の司祭が、ラジオで「過去に私が参加した会合で、ギリシャ正教会の府主教が『ここにロシア人がいなくてよかった』とスピーチした」「彼らはロシア人を嫌っている」とコメントしたようです。

 また、現在のコンスタンティノープルとの教会分裂は、東方正教会にとって良いことであり非難は心配しなくて良い、これによって教会が浄化されているからとも語っています。

 

 (英語)Interfax-Religion: Russian Church accuses Constantinople for ingratitude and Russophobia

 

動画:キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁が、聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】でのアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁との争いの映像を公開(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教庁が、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/エルサレム総主教庁との聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】での争いの映像をアップロードしています。

 

Jerusalem Patriarchate(東方正教会エルサレム総主教庁 公式チャンネル):
ΔΙΑΜΑΡΤΥΡΙΑ ΔΙΑ ΤΑΣ ΕΝΕΡΓΕΙΑΣ ΒΙΑΣ ΤΩΝ ΑΡΜΕΝΙΩΝ – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SrW8KtsZYgE

 

関連:
 キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁とアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁が双方を批判する声明を発表(2020年1月)聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】の礼拝利用に関する行き違いか