ブルガリア議会が、ブルガリア正教会-ブルガリア総主教庁を、キリスト教/東方正教会の唯一の代表団体として定義する法案を採択(2025年1月)

 2025年1月31日、ブルガリア共和国議会は、キリスト教/東方正教会/ブルガリア正教会-ブルガリア総主教庁(BOC-BP)を、東方正教会の唯一の代表と定義する改正法案を採択したようです。

 2024年12月に、同国最高裁判所から、ブルガリア旧暦正教会(Old Calendar Orthodox Church of Bulgaria)という団体を宗教宗派登録簿に登録する判決が出て、これに対する強い反発が起こりました。

 同国憲法は、信教の自由や政教分離と取れる項目を定義しつつも、ブルガリア共和国では東方正教会が伝統的な宗教と見なされるとしています。
 
 ブルガリア共和国憲法英文:
 (英語:ブルガリア議会 公式ウェブサイト)CONSTITUTION OF THE REPUBLIC OF BULGARIA – National Assembly of the Republic of Bulgaria

Art. 13.
(1) The practicing of any religion shall be unrestricted.
(2) Religious institutions shall be separate from the State.
(3) Eastern Orthodox Christianity shall be considered the traditional religion in the Republic of Bulgaria.
(4) Religious institutions and communities, and religious beliefs shall not be used to political ends.

 従って、ある宗教団体が、東方正教会かどうかは、重要な問題となります。
 
 とはいうものの、ブルガリア旧暦正教会には、そこまで大きな影響力はなく、この集団をターゲットにしておこなわれたものではなく、単にきっかけとなったに過ぎないという発言もあります(国外を含む旧暦派からは、宗教弾圧であるとして反発は強いようです)。

 今回の事態は、現在のブルガリア総主教庁の内部問題からの教会分裂の可能性や、西側からの教会問題経由での内政干渉を警戒しているものと取られている、ととりあえずそう理解しつつ、さらなる展開があるかどうか見ていきます。

 また、今回の法改正により、同国で正教を意味する単語を名前に入れて登録していた宗教団体は改名をする必要があります。
 そのひとつである(東方正教会ではなく、非カルケドン派のオリエント正教会の)アルメニア使徒教会はガレギン2世聖下がブルガリアの法およびその伝統を尊重するメッセージを発出しており(ブルガリア国内団体の名称は変更されます)、ブルガリア総主教ダニイル聖下側からそれに対して感謝が述べられています。

 

 (英語)BTA :: Parliament Makes Bulgarian Orthodox Church – Bulgarian Patriarchate Sole Representative of Eastern Orthodox Christianity in Bulgaria

 (英語)Only Bulgarian Patriarchate can use “Orthodox” in its name—Parliament adopts on second reading / OrthoChristian.Com

 (英語:旧暦派の見解)Patriarchal Sergianism and the Beginnings of Persecutions in 'Orthodox' Bulgaria

訃報(2023年9月2日):ルーマニア旧式正教会の前の首座、“ヴラシエ府主教”が永眠(1941~2023)

 2023年9月2日、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会から暦の変更などを理由に離脱した、ルーマニア旧式正教会の前の首座、“ヴラシエ府主教”(Metropolitan Vlasie)が永眠したという記事が出ています。

 

 (英語)Repose of Metropolitan Vlasie (Mogârzan) of Romania – NFTU

XユーザーのNFTU True Orthodox News and Apologetics ❌さん: 「https://t.co/7HTG10iSZy」 / X

ギリシャ真正教会の“カリニコス大主教”らが、“インドネシア正教会”の“ダニエル主教”を“叙聖”(2023年7月)

 2023年7月21日、キリスト教/東方正教会系統の旧暦派・ギリシャ真正教会の“カリニコス大主教”(アテネ・ギリシャ全土大主教カリニコス座下 : His Beatitude Archbishop Kallinikos of Athens and All Greece)らが、インドネシア正教会を率いているダニエル司祭(Daniel Bambang Dwi Byantoro)という人物を主教に叙聖したということです。ニコポリス主教ダニエル座下(His Grace Bishop Daniel of Nikopolis)となるようです。

 

Romo Episkop Daniel dari Nikopolis (Official):
Pentabisan Romo Daniel Byantoro sebagai Episkop dari Nikopolis (Live dari Yunani) – YouTube

 

 (ギリシャ語:ギリシャ真正教会 公式ウェブサイト)Χειροτονία Θεοφιλεστάτου Ἐπισκόπου Νικοπόλεως (Τζακάρτας) κ. Δανιήλ.

 

 なお、この件に関して、コンスタンティノープルのシンガポール・南アジア府主教庁のコンスタンティノス府主教が、“ダニエル主教”なる人物は教会法上合法な主教ではないということを述べ、インドネシア正教会の信徒から反論というか嘲笑を受けています。
 要するに、さんざん教会法を破ってきたコンスタンティノープルが教会法がどうとか言うな、ということです。

 (この記事は英語:インドネシア正教会 公式ウェブサイト)A response to the Communique of Metropolitan Konstantinos Tsilis of the EP posted on FB – Gereja Orthodox Indonesia

 ダニエル主教は、コンスタンティノープルで司祭となった後に離れ、モスクワ総主教庁と統合される前の在外ロシア正教会の司祭となり、その後(自動的に)モスクワ総主教庁と統合された後の在外ロシア正教会の司祭となり、そしてギリシャ真正教会とのコミュニオンに入ったことにより在外ロシア正教会から聖職権限を停止されているようです(コンスタンティノープルからも停止されているという話もありますが、正式な手続きがされていないという話もあり、その辺りは不明)。

 在外ロシア正教会を離れた理由は不明。

 また、インドネシア正教会の公式ウェブサイトからは、ギリシャ真正教会のほかに、ルーマニア旧式正教会と、在外ロシア正教会から分離した(同名で自らの方を正統としている)アガファンゲル・シノドがリンクされており、これらの教会とコミュニオンの状態にあるという認識の模様。

訃報(2021年4月7日):アヴロナ・シノドの首座/“アンジェロス府主教”が永眠(1950~2021)

 2021年4月7日、アヴロナ・シノド(Avlona Synod)の首座/“アンジェロス府主教”(アヴロナ・ヴィオティア府主教アンジェロス座下 : His Beatitude Metropolitan Angelos of Avlona and Viotia)が永眠したようです。
 1950年生まれ。

 アヴロナ・シノドは(正式名称らしきものがいろいろ表記されていてよくわかりませんが)、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会から1935年に分離したギリシャ真正教会からさらに1995年に分離した教会から、2010年に成立した集団です。

 同教会は、真正教会国際連合(International Union of Genuine Orthodox Churches : IUGOC)に加盟しています。

 

 (英語)Avlona Synod USA | REPOSE OF MET. ANGELOS
 (英語)Repose of Metropolitan Angelos of Avlona – The Autonomous Orthodox Metropolia of North and South America and the British Isles

 

 永眠後、フル・コミュニオンの状態にあるロシア真正教会(TOCiRのほう : True Orthodox Church in Russia)の首座“セラフィム府主教”の臨席のもとで、“ケロウブ主教”が新たな首座に選出され、府主教に昇叙となったようです。

 (英語)Avlona Synod USA | ELECTION OF MET. CHERUBIM

キリスト教/東方正教会系統の主流でない勢力、“アンドロニク派”がセルビア真正教会【STOC】を訪問(2020年10月)

 2020年10月9日、キリスト教/東方正教会系統の主流でない教会、在外ロシア正教会から離脱した勢力のうちアンドロニク派の“アンドロニク大主教”(Archbishop of New York and North America Andronik)らが、セルビア真正教会(STOC : Serbian True Orthodox Church)を訪問、 STOC の首座“アカキイェ主教”(His Grace Bishop Akakije)らが出迎えたようです。

 両者は9月18日にユーカリスティック・コミュニオンの状態に入っています。

 

 (英語:アンドロニク派のカナダの教区の公式サイト)Serbian True Orthodox Church Welcomes The Russian Orthodox Church Abroad

ROCA North America:
Приветсвенное Слово Епископа Акакия Делегации РПЦЗ/ Bishop Akakije Greets the Delegation of the ROCA – YouTube