動画(英語):ロシア真正教会【RTOC】の西欧教区のチャンネルが、東方正教会アレクサンドリア総主教庁が、 Deaconess を“叙聖”したことに関する動画を公開(2024年5月)

 東方正教会系統の True Orthodoxy の教会の一つ/ロシア真正教会(RTOC : Russian True Orthodox Church)の西欧教区のYouTubeチャンネルが、東方正教会アレクサンドリア総主教庁が、女性輔祭(Deaconess)を“叙聖”したことに関する動画を公開しています。
 これはもちろん、アレクサンドリアへの批判です。

 

 (英語)Was the Ordination of a Deaconess Correct? – True Orthodox Diocese of Western Europe

True Orthodox:
Deaconesses and the Orthodox Church in 5 minutes #1 – YouTube

 

関連:
 キリスト教/東方正教会アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教セラフィム座下が、女性輔祭を叙聖(2024年5月)

キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの府主教が、アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教が女性輔祭を叙聖した件について猛批判したというニュースに続き、それに対する反論など(2024年5月)

既報:
 キリスト教/東方正教会アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教セラフィム座下が、女性輔祭を叙聖(2024年5月)

 上記の出来事に関して、 Romfea.gr によると(あるいは他に同様な報道をしているところによると)、府主教個人のFacebook アカウント(ギリシャ語で検索しても見つかりませんでした)でのコメントらしいのですが、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルのイコニウム府主教セオレプトス座下(リカオニア全土における首座代行 : His Eminence Metropolitan Theoleptos of Iconium, Exarch of All Lycaonia)が、この叙聖を屈辱と述べ、猛批判した、というような報道が出ています。
 同・府主教は、バルソロメオス総主教や(次期総主教の有力候補である)エルピドフォロス大主教に近いと見られていますが、一方、以前の人事でコンスタンティノープルの中枢からは外されているとみる向きもあり、今回の私見がどの程度コンスタンティノープルを代表している感覚なのかはわかりません(そもそも該当アカウントを発見できていませんが……)。

 

 (ギリシャ語)Ικονίου Θεόληπτος: «Η χειροτονία αυτή είναι εξευτελισμός»

Romfea.gr – Romfaia.gr | Facebook

 

 一方、セオレプトス府主教のこの屈辱という見解に対しても、反論などが述べられており、

ジンバブエ府主教区から:
 The Metropolis of Zimbabwe offers insight into the Ordination of Deaconess Angeliki | Orthodox Times (en)

 そしてもう一つ。 

 (ギリシャ語)Απάντηση στον Μητροπολίτη Ικονίου Θεόληπτο – ΕΚΚΛΗΣΙΑ ONLINE

 こちらのほうは、アテネ大学の教授が述べているようなのですが、セオレプトス府主教を嘲笑するような内容にしか受け取れません。

 

 そもそも、古代の Deaconess の役割についても議論があるわけです。一番厳しい見方は、アレクサンドリアがおこなったことは古代にあったことの再現ではなく、別のことをおこなっている、すなわち単なる異端な行為であるとする立場です(当方にはその是非は判別できませんが)。この立場をとる人々は、東方正教会の教会法上合法な教会の中に、アレクサンドリア総主教庁はもはや存在しない、ということになるでしょう(アレクサンドリアは引く気がまったくなさそうなので)。
 Deaconess に(東方正教会の中で)賛成している人々は、古代の Deaconess は、明確に廃止されたものではないため、今回の件は、教えとして問題はない、というようなことが(古代と絡める議論に関しては)だいたいの認識のようです。
 セオレプトス府主教(一番上にリンクした記事の文章)は、古代の例について、アレクサンドリアが今回やったことと同じとみたうえで、もう必要がないままずっと来ているものを、雑に唐突におこなうのは無価値で屈辱としているようで、これを一貫性がある認識と受け取れるかどうかは人によると思います。

 なお、カトリックのローマ教皇フランシスコ聖下は古代の例は現代の議論とは関係ないとしています(詳細まで確認していませんが)。
 カトリックでは、 Deaconess に関する検討を進める委員会(?)があるはずで、そちらの検討がどうなるかによるでしょうか。

 いずれにせよ、セオレプトス府主教の見解とされるものが、本当に正式な府主教の見解なのかがまず問われたうえで(なにせ個人のアカウントで、記事からリンクもされていないので)、コンスタンティノープルとしてなにか見解を出すのかどうかというのが、次の注目になるでしょうか。

キリスト教/東方正教会アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教セラフィム座下が、女性輔祭を叙聖(2024年5月)

 2024年5月2日、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ・アンゴラ府主教セラフィム座下(His Eminence Metropolitan SeraphimSerafim】 (Kykkotis) of Zimbabwe and Angola)は、エンジェリック・モレンAngelic Molen)という女性を女性輔祭(Deaconess : 女性助祭)に叙聖したということです。

 アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)と聖シノドの承認によるものですが、(例によって)他の東方正教会の教会との事前の調整は一切ありません。

 おそらくですが、今回の件をスルーする教会、認める教会、場合によってはコミュニオンを解除する教会にわかれると思われます。
 また、ロシア正教会がアフリカにおける総主教代理庁(Patriarchal Exarchate of Africa)を設置し、(コミュニオンを相互に切っている)アレクサンドリア総主教庁と対立していますが、今回のアレクサンドリア総主教庁の行動により、女性輔祭という存在を支持しない人々がロシア正教会(のアフリカにおける総主教代理庁)の支持に回ることも考えられます。

※この話題は、広範囲に影響を与える可能性がありますので、重要だと思われる方は、細かい事実や最新の情報をご自身で熱心に追われることをお勧めします。

 

 (英語)Metropolitan Serafim of Zimbabwe Ordained Angelic Molen as Deaconess – Orthodoxy Cognate PAGE

Orthodoxy Cognate PAGE:
Breaking News: Dr. John G. Panagiotou Responds to the Ordination of Orthodox Deaconess in Zimbabwe – YouTube

XユーザーのOCP®Tweetsさん: 「Metropolitan Serafim of Zimbabwe Ordained Angelic Molen as Deaconess https://t.co/YsNz57T2GN #MetropolitanSerafim #Zimbabwe #Ordained #Angelic_Molen #Deaconess #orthodoxdeaconess #Greek_Orthodox #Patriarchate_of_Alexandria #panorthodoxy #easternorthodoxy #ocpnews」 / X

 

 (英語)Eastern Orthodox Church ordains Zimbabwean woman as its first deaconess

 (ギリシャ語)Χειροτονήθηκε η πρώτη γυναίκα διακόνισσα στην Ι.Μ. Ζιμπάμπουε!!

 

追記:
 2024年5月4日、セラフィム府主教は、エンジェリック女性輔祭を女性輔祭(訳語訂正)女性輔祭(Archdeaconess)に昇叙したという情報が出ています。
 全体の状況も今一つはっきりしないので、新しい情報を待つことにします。

 

関連:
 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの府主教が、アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教が女性輔祭を叙聖した件について猛批判したというニュースに続き、それに対する反論など(2024年5月)
 動画(英語):ロシア真正教会【RTOC】の西欧教区のチャンネルが、東方正教会アレクサンドリア総主教庁が、 Deaconess を“叙聖”したことに関する動画を公開(2024年5月)

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下が、アフリカにおける総主教代理/ザライスク府主教コンスタンティン座下と会合(2024年4月)

 2024年4月4日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・ロシア全土【ルーシ全土】総主教キリル聖下(キリール総主教キリイル総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)は、ロシア正教会モスクワ総主教庁のアフリカにおける総主教代理/ザライスク府主教コンスタンティン座下(His Eminence Metropolitan ConstantineKonstantin】 of Zaraisk, Patriarchal Exarch of Africa)と会合を持ちました。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁 公式ウェブサイト)His Holiness Patriarch Kirill meets with Metropolitan Constantine of Zaraisk / News / Patriarchate.ru
 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁 渉外局 公式ウェブサイト)His Holiness Patriarch Kirill meets with Metropolitan Constantine of Zaraisk
 (英語:ロシア正教会 アフリカにおける総主教代理庁 公式ウェブサイト)His Holiness Patriarch Kirill meets with Metropolitan Konstantin of Zaraisk – Exarchate of Africa

Святейший Патриарх… – Patriarchal Exarchate of Africa | Facebook

キリスト教/ロシア正教会のアフリカにおける総主教代理/ザライスク主教コンスタンティン座下が府主教に昇叙される(2024年3月)

 2024年3月12日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁のアフリカにおける総主教代理/ザライスク主教コンスタンティン座下(His Grace Bishop ConstantineKonstantin】 of Zaraisk, Patriarchal Exarch of Africa)が、府主教に昇叙されました。

 

 (英語:ロシア正教会 アフリカにおける総主教代理庁 公式ウェブサイト)Bishop Konstantin of Zaraisk was elevated to the rank of Metropolitan – Exarchate of Africa

 (英語)Bishop Konstantin of Zaraisk (Patriarchal Exarch of Africa) Elevated as Metropolitan – Orthodoxy Cognate PAGE

Епископ Зарайский… – Patriarchal Exarchate of Africa | Facebook