東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノドがキプロス大主教クリソストモス2世座下とのユーカリスティック・コミュニオンを解除(2020年11月)

 2020年11月20日、キリスト教/ロシア正教会の聖シノドの会合がおこなわれました。

 キリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)とのユーカリスティック・コミュニオンの継続は不可能との結論など、最重要なのはキプロス大主教との関係解除の決定です。
関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 東方正教会の教会法は、教会法上合法でない主教とコミュニオンに入った主教は、同じく教会法上合法でない主教になると定めています。
 よって、たいした説明もなく OCU を設置したりいろいろと雑なことをやらかしたコンスタンティノープル自体がその時点でもはや教会法上合法な存在ではないのですが、コンスタンティノープルというブランド名が外部から見るよりはるかに重いらしく、まだまだなんやかやと細かい関係解除を重ねて大分裂という既成事実に近づいているという状況です。

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Holy Synod states the impossibility of Eucharistic communion with Archbishop Chrysostomos of Cyprus / News / Patriarchate.ru
 (ロシア語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)ЖУРНАЛЫ заседания Священного Синода от 20 ноября 2020 года / Официальные документы / Патриархия.ru

 (英語)Patriarch Kirill ceases commemoration of Archbishop of Cyprus / OrthoChristian.Com

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill ceases liturgical commemoration of archbishop of Cyprus for backing schism in Ukraine

 

 聖シノドのメンバー:

 議長:
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・ロシア全土【ルーシ全土】総主教キリル聖下(キリール総主教キリイル総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)

 常任メンバー:

  • ウクライナ正教会の首座/キエフ・ウクライナ全土府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufriy of Kiev and All Ukraine)
  • クルチツィ・コロムナ府主教ユヴェナリー座下(His Eminence Metropolitan Juvenaly of Krutitsy and Kolomna)
  • モルドバ正教会の首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)
  • アスタナ・カザフスタン府主教アレクサンドル座下(His Eminence Metropolitan Alexander of Astana and Kazakhstan)
  • タシケント・ウズベキスタン府主教ヴィケンティー座下(His Eminence Metropolitan Vikentiy of Tashkent and Uzbekistan)
  • サンクトペテルブルク・ラドガ府主教ヴァルソノフィー座下(His Eminence Metropolitan Varsonofy of St. Petersburg and Ladoga)
  • ベラルーシ全土における総主教代理(ベラルーシ正教会首座)のミンスク・ザスラーヴリ府主教ヴェニャミン座下(His Eminence Metropolitan BenjaminVeniamin】of Minsk and Zaslavl, the Patriarchal Exarch of All Belarus)
  • モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))
  • ヴォスクレセンスク府主教ディオニシー座下(His Eminence Metropolitan Dionisiy of Voskresensk)

 その他、冬季(9月~2021年2月)メンバーが五名います。

 

生神女庇護祭 2020年:キリスト教/モルドバ正教会首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下の生神女庇護祭の礼拝(2020年10月)モルドバ大統領ドドン閣下らが参列

 2020年10月14日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を行使するモルドバ正教会の首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)の、生神女庇護祭の礼拝の様子です。

 モルドバ共和国大統領イーゴル・ドドン閣下(His Excellency Mr Igor Dodon)、キシナウ市長イオン・チェバン閣下(Ion Ceban)らが参列。

 下記の動画は、ドドン閣下のアカウントのものです。

 

Igor Dodon – Inaugurarea Sărbătorii „HRAMUL ORAȘULUI CHIȘINĂU” | Facebook

 

 (英語:モルドバ正教会キシナウ・モルドバ全土府主教庁 公式サイト)Orthodox Church of Moldova – Metropolis of Chişinău and all Moldova

 (ルーマニア語【モルドバ語】:モルドバ正教会キシナウ・モルドバ全土府主教庁 公式サイト)Mitropolia Chişinăului şi a Întregii Moldove

Mitropolia Chișinăului și a Întregii Moldove | Facebook

 

去年【2019年】9月に設置されたばかりのモルドバ内務省内の十字架像撤去が決定。キリスト教/ロシア正教会系のモルドバ正教会の首座/キシナウ・全モルドバ府主教ヴラジミール座下と、ルーマニア正教会のベッサラビア府主教ペトル座下(モルドバ管轄)が怒りの声明(2020年1月)

 事情がよくわからないのですが、モルドバ共和国で、去年【2019年】9月に設置されたばかりのモルドバ内務省内の十字架像撤去が決まったようです。

 

Instalarea unui crucifix în holul… – Consiliul pentru egalitate – Совет по равенству – Equality Council | Facebook

 

 決めた機関は、どんな権限があるところかよくわからないのですが、決定した内容については、要するにキリスト教を優遇するのは差別で、世俗的国家として良くありませんよ、ということでしょう。
 反論の期間は設けられているようなので、まだ撤去されたわけではないものと思います。

 十字架像設置時に臨席した、
 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を行使するモルドバ正教会の首座/キシナウ・全モルドバ府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)、
 キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会/ベッサラビア府主教庁のベッサラビア府主教/キシナウ大主教ペトル座下(His Eminence Petru, the Archbishop of Chisinau, the Metropolitan of Basarabia and the Exarch of the Plains)、
 は、ともに怒りの声明を発出しており、そもそもモルドバ共和国の国旗では鷲が十字架を咥えているという指摘もあります。

※「国旗を変えろ」という話が出てきたら大騒動ですが。

 

 (ルーマニア語【モルドバ語】:モルドバ正教会 モルドバ・全キシナウ府主教庁 公式ウェブサイト)Mitropolia Chişinăului şi a Întregii Moldove

Mitropolia Chișinăului și a Întregii… – Mitropolia Chișinăului și a Întregii Moldove | Facebook

 

 (ルーマニア語:ベッサラビア府主教庁 公式ウェブサイト)Mitropolia Basarabiei consideră drept un atentat la identitatea noastră de Credință și de Neam, decizia Consiliului pentru Prevenirea și Eliminarea Discriminării și Asigurarea Egalității, privind decizia de a scoate Crucifixul instalat în incinta M.A.I. | Mitropolia

http://mitropoliabasarabiei.md/mitropolia… – Mitropolia Basarabiei | Facebook

 

追加リンク:
 (英語)Romanian hierarch condemns removal of crucifix from Moldovan Ministry of Internal Affairs building / OrthoChristian.Com
 (英語)Romanian Metropolitan of Bessarabia condemns removal of crucifix from Moldovan Ministry of Internal Affairs building – Basilica.ro

 

キリスト教/モルドバ正教会首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下の降誕祭のメッセージ(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を行使するモルドバ正教会の首座/キシナウ・モルドバ全土府主教ヴラジミール座下(His Eminence Metropolitan Vladimir of Chişinău and All Moldova)の降誕祭のメッセージです。

 

 (ルーマニア語【モルドバ語】:モルドバ正教会キシナウ・モルドバ全土府主教庁公式サイト)Mitropolia Chişinăului şi a Întregii Moldove | Pastorală la Naşterea Domnului a Înaltpreasfințitului Vladimir, Mitropolit al Chişinăului şi al Întregii Moldove
 (ロシア語:モルドバ正教会キシナウ・モルドバ全土府主教庁公式サイト)Православная Церковь Молдовы – Кишиневско-Молдавская Митрополия | Рождественское послание Высокопреосвященного Митрополита Кишиневского и всея Молдовы Владимира
 (英語:モルドバ正教会キシナウ・モルドバ全土府主教庁公式サイト)Orthodox Church of Moldova – Metropolis of Chişinău and all Moldova | Arch-pastoral message on the Nativity of the Lord, of His Eminence Vladimir, Metropolitan of Chisinau and all Moldova

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノド会合がアレクサンドリア総主教とのコミュニオン解除を決定(2019年12月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の聖シノド会合は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)とのコミュニオン解除を決定しました。
 これは、セオドロス2世が、前言を翻し、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認したことによる対抗措置です。

関連記事:
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 報道によれば、決定は八項目にまとめられるようです。

  1. 教会分裂勢力(コンスタンティノープル系ウクライナ正教会)とコミュニオンに入ったアレクサンドリア総主教セオドロスの反教会法的行為に対し、深い悲しみを表明すること
  2. それはこれまでの彼の意見表明とまったく反するものであることを強調すること
  3. この行動は、アレクサンドリア総主教庁聖シノド会合では審議されておらず、独断のものであること
  4. 彼の名を挙げて礼拝することが不可能であることと、彼とユーカリスティック・コミュニオンを継続することが不可能であることを確認すること
  5. アレクサンドリア総主教に追随しないアレクサンドリア総主教庁の聖職者とはコミュニオンを継続すること
  6. アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止すること
  7. アレクサンドリア総主教庁に向けて置かれていたエジプト・カイロのモスクワ総主教庁の代表団は、ロシア正教会の小教区に変更されること
  8. アフリカに置かれていたロシア正教会の小教区はアレクサンドリア総主教庁の管轄権下から撤退し、モスクワ総主教庁直轄に移ること

 ここからの展開ですが、アフリカ大陸において、ギリシャ系人種の主教らに“二級市民”として扱われているアフリカ系聖職者(アフリカ系のみならずギリシャ系人種以外は東方正教会では二級市民ですが)らがどう行動するかということになるでしょう。
 ロシア正教会側は、「全アフリカにおける総主教代理区」のようなものを設置し、彼らをアレクサンドリアから切り崩して取り込んでいくのではないでしょうか。

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Священный Синод принял меры в связи с признанием Предстоятелем Александрийского Патриархата раскольнической структуры на Украине / Новости / Патриархия.ru
 (ロシア語:ベラルーシ正教会公式サイト)Митрополит Павел принял участие в заседании Священного Синода Русской Православной Церкви | Митрополит | Белорусская Православная Церковь | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill ceases liturgical commemoration of patriarch of Alexandria for recognizing new church of Ukraine
 (英語)Russian Synod removes Russian parishes in Africa from jurisdiction of Patriarchate of Alexandria / OrthoChristian.Com
 (英語)ROC Synod evaluates the recognition of OCU by Alexandrian Patriarchate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists