動画:キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁が、聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】でのアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁との争いの映像を公開(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教庁が、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/エルサレム総主教庁との聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】での争いの映像をアップロードしています。

 

Jerusalem Patriarchate(東方正教会エルサレム総主教庁 公式チャンネル):
ΔΙΑΜΑΡΤΥΡΙΑ ΔΙΑ ΤΑΣ ΕΝΕΡΓΕΙΑΣ ΒΙΑΣ ΤΩΝ ΑΡΜΕΝΙΩΝ – YouTube

 

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 キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁とアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁が双方を批判する声明を発表(2020年1月)聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】の礼拝利用に関する行き違いか

 

キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁とアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁が双方を批判する声明を発表(2020年1月)聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】の礼拝利用に関する行き違いか

 キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教庁と、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/エルサレム総主教庁が、双方を批判する声明を発表しています。

 ざっと読んだ限りでは、2020年1月18日~19日における聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】の礼拝利用に関する行き違いに思えますが……。
 細かい事態の展開はともかくとして、東方正教会側は事前申請を通してあるので自分たちが優先、アルメニア使徒教会側はアルメニア使徒教会の降誕祭においては24時間アルメニア使徒教会が優先、ということを主張しているように思えます。

※係争の場については、「Grotto of the Nativity」、大聖堂内の、イエス降誕の場(として扱われている場所)です。
 東方正教会側が「cave」、アルメニア使徒教会側が「Grotto」という表記を使っています。「cave」は「God-receiving Cave」とも表記されます。

 最終的に、東方正教会側はパレスチナ当局が彼らの主張を受け入れたとし、アルメニア使徒教会側はパレスチナ国大統領マフムード・アッバース閣下(His Excellency Mr Mahmoud Abbas)らの調停を受け入れ今年だけギリシャ人側の行動を受け入れたとしています。
 アルメニア使徒教会側によれば、この後、問題解決のための話し合いがおこなわれるようですが、東方正教会側にはそういった記述はありません。

 単なる行き違いであれば解決は可能でしょうが、「行き違いなのかこれは……?」という感じもあります。

 

 (英語:東方正教会エルサレム総主教庁 公式ウェブサイト)PROTEST AGAINST THE VIOLENT ACTIONS OF THE ARMENIANS
 (英語:アルメニア使徒教会エルサレム総主教庁 公式ウェブサイト)Official Communiqué – Christmas 2020 | Armenian Patriarchate of Jerusalem

 

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 動画:キリスト教/東方正教会エルサレム総主教庁が、聖墳墓教会【復活教会】【復活大聖堂】でのアルメニア使徒教会エルサレム総主教庁との争いの映像を公開(2020年1月)

 

首座全体会合を呼びかけたキリスト教/東方正教会/エルサレム総主教セオフィロス3世聖下の真意はいまだ不明。ギリシャの正教会系メディアには苛立ちも(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)が東方正教会首座全体会合を呼びかけた件ですが、聖下の真意はいまだ不明です。

 これについて、ギリシャの正教会系メディアのひとつ、 ΟΡΘΟΔΟΞΙΑ INFO(orthodoxia.info)が、エルサレム総主教から、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)に送られた英文の手紙を入手して公開しています。

 

 (ギリシャ語)ΑΠΟΚΛΕΙΣΤΙΚΟ: Η επιστολή Ιεροσολύμων για την σύναξη Προκαθημένων στην Ιορδανία – ΟΡΘΟΔΟΞΙΑ INFO

 

 この手紙については、すでに各方面で話題になっているのですが、このほど同じくギリシャの正教会系メディアのひとつ romfea.gr(英語版は Orthodox Times に名称を変更)がこれを批判的に取り上げています

 

 (英語)The letter of the Patriarch of Jerusalem for the synaxis of Orthodox primates in Jordan – Orthodox Times

 

 この記事の末尾、

It is noteworthy for historical reasons that the Patriarch of Jerusalem, who cited unity and love to justify his intervention in the powers of the Ecumenical Throne, has ceased communion with the Patriarch of Antioch over the last six years due to a disagreement over jurisdiction in Qatar where only one parish exists!

 エルサレム総主教庁は、カタールの大主教庁設置の件で、アンティオキア総主教庁と相互にコミュニオンを解除していますが、これを取り上げ、
 「たった一つの小教区で六年もアンティオキアとコミュニオンを停止しておいて、なにが一致と愛だ!」

 ──と、この記事を書いた人物が吐き捨てているのが目に見えるようです。

 しかしこれはブーメランで、そのたった一つの小教区をめぐるエルサレムとアンティオキアの間の調停を六年間おこなえなかったコンスタンティノープルが、ここまで乱れた東方正教会全体を立て直すのは不可能というツッコミが来るでしょう。

※しかも、そのエルサレムとアンティオキアの対立は、解決するかもしれない可能性が出てきています。
 キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下が、エルサレム総主教の呼びかけによる東方正教会首座会合に関するメッセージを届けに来たフリストフォロス大主教座下と会見(2019年12月)
 個人的にはうまくいかないと思っていますが……。

 

 他にもこの記事には、

the Chief Secretary of the Holy Synod, Archbishop Aristarchos of Constantina, said that he could not make further statements without the blessing of his Patriarch.

 エルサレム総主教庁の聖シノドの事務を統括するコンスタンティナ大主教アリスタルコス座下(Geronda Secretary-General Most Reverend Archbishop Aristarchos of Constantina)が、「総主教の祝福がないとこれ以上は話せないのだ」と人を食ったようなことを言っていることにも言及されています。

 

 それにしても、エルサレム総主教庁の一連の動きは不可解です。

 セオフィロス3世総主教がどういう人物かといいますと、(もちろん会ったこともないですけど)、「東方正教会の高位聖職者で一番発言が軽い」「親アメリカ派」というのが、シスマ2018の前での定評と考えていいでしょう(真面目な方面ではそんなことは言われてなかったかもしれませんけど)。

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)について、総主教は「オヌフリー府主教は神がこの難局を乗り越えるために選んだ人物」ととてつもない持ち上げようをしましたが、ロシア側からはまったく発言を信用されておらず、ロシア正教会によるコンスタンティノープルとのコミュニオン解除時には、「エルサレムがコンスタンティノープルに追随するならエルサレムともコミュニオンを解除だ!」との発言が出る始末でした。

 要するに、コンスタンティノープル側、モスクワ側、双方ともエルサレムはコンスタンティノープルに追随すると思い込んでいたわけですが、当のエルサレム総主教はかたくなにコンスタンティノープル支持を拒否し続けています。

 挙句の果てに、ウクライナ問題解決のための首座会合の招集という、(上記記事中にあるように用語の問題はあるにせよ)コンスタンティノープルの権威に挑戦する(※コンスタンティノープル派の意見)かのような行動に出たわけで、何が目的なのか、東方正教会全体が首をひねっている状態です。

 

キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下が、エルサレム総主教の呼びかけによる東方正教会首座会合に関するメッセージを届けに来たフリストフォロス大主教座下と会見(2019年12月)

 2019年12月28日、キリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)は、キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教庁のキリアクーポリ大主教フリストフォロス座下(His Eminence【The Most Reverend】 Archbishop Christophoros of Kyriakoupolis)と会見しました。

※なお、アンティオキア総主教庁公式サイトなどでは、アンマン府主教【Metropolitan of Amman】となっていますが、ヨルダンのアンマンでの役割もありますが、キリアクーポリ大主教なのではないかと思います(当方が人違いをしていなければ)。

 

 フリストフォロス座下は、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)が呼びかけた東方正教会首座全体会合に関するメッセージを届けたようで、ヨウハンナ10世聖下はおそらく参加するでしょう。

 

 (英語:東方正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)His Beatitude Patriarch John X received His Eminence Christophoros, the Metropolitan of Amman delegated by His Beatitude Patriarch Theophilus III, – Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and All the East

(English translation below – Traduction… – Antioch Patriarchate | Facebook

 

 一方で、エルサレム総主教庁とアンティオキア総主教庁は、エルサレム側のカタール大主教庁設置の結果、相互にフル・コミュニオンを解除したままです。

 今回のニュースを報じているロシアの正教会系メディア「ORTHODOX CHRISTIANITY(OrthoChristian.Com)」によりますと、

 (英語)Patriarch of Jerusalem invites Patriarch of Antioch to Synaxis of Primates in Jordan / OrthoChristian.Com

At present, Pat. John does not commemorate Pat. Theophilos in the Divine services, though Pat. Theophilos commemorates Pat. John.

 現在、ヨウハンナ10世聖下はセオフィロス3世聖下の名前を礼拝で挙げていませんが、セオフィロス3世聖下はヨウハンナ10世聖下の名を挙げているようです。エルサレム側が歩み寄るつもりなのか、あるいはそう見せかけているだけなのか。
 セオフィロス3世聖下の首座全体会合開催の呼びかけの目的も、表面上は「ウクライナ問題」の解決ですが解決するわけがないのであって、いったい何が目的なのか。
 無理に予想しようとして出てくるのは、「これだけやってもダメでした」という言い訳作りか、コンスタンティノープルを引きずりおろして自らが首位に立つことくらいですが、どちらも現実味を感じさせないところです。
 とりあえず集まったけれど、何も良い知恵は出ず、問題は先送りというオチになるのでは……。

 

東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定との報道(2019年11月)

 ロシアの Interfax によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会は、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の、駐モスクワ・メトヒオン【ポドヴォリエ】(正教会の大使館的聖堂)の権能を停止する予定のようです。

 

 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill suspends operation of Alexandria Patriarchate’s Moscow mission
 (英語)Representation church of Patriarchate of Alexandria in Moscow temporarily suspended / OrthoChristian.Com

 

 これは、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)が、ロシア正教会というかモスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)を裏切り(ユダとまでする抗議活動もあったようですが)コンスタンティノープル系ウクライナ正教会を承認したことによるものです。

 一方ですが、アレクサンドリア総主教庁とのフル・コミュニオン解除も見込まれていた先週のロシア正教会聖シノドでは、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)がヨルダンでの東方正教会の首座の会合を招集したことにより、アレクサンドリアへの対応は延期されています。
 これは矛盾するようではありますが、現時点でなんらかの処置をする意思を示さないわけにもいかないとも思えます。

 また、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、エルサレム総主教の招集に対し、「そのような権限はコンスタンティノープルの全地総主教にのみある」と発言し、参加を事実上拒否しました。
 さらにこの、アテネ大主教による他の首座とのなんの相談もなしのままのエルサレム総主教庁の権威を否定する発言に対し、東方正教会から離脱した保守的な勢力から「ついに古代五大総主教座(Pentarchy)の権威までもが否定された」と驚きの声までも上がっています。

 加えて、エルサレムとアテネが割れる事態に、キリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)が強い危機感を表明しています。

 エルサレム総主教庁の行動の目的が、ロシアとの政治的対立を避けざるを得ないためか、あるいはこの事態を利用して自らが東方正教会の首位に立とうとするものなのか、まったくわかりませんが(本当にわかりません)、東方正教会の崩壊が現実味を帯びてきた感はあります。