【シスマ2018 – The Schism of 2018】<東方正教会大分裂>: ウクライナへの独立正教会設置の決定から始まったコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など<東方正教会内戦、大分裂、そして東方正教会崩壊?><あるいはキリスト教の終わりの始まりか>

 新約聖書/マタイによる福音書/10章/34節 より:

わたしが地上に平和をもたらすために来たと考えるな。平和ではなく剣をもたらすために来たのだ。

 

2018年12月18日追記:
 すいません、やっぱり更新終了します。
 もうキリスト教に価値をまったく感じられません。
 嫌いなものの情報をチェックしても人生にプラスになりません。

 

 コンスタンティノープルは、アメリカやカナダや英国やウクライナの政府に押され、そして自身の栄華が諦めきれず、オウム真理教の上祐広報部長(当時)レベルに成り果てました。
 もうロシアとそれ以外でわかれればいいんじゃないですか?
 伝統的なキリスト教の教会がオウム真理教以下の醜態をさらす場面とか見たくないんですが……。

 

最新ひとこと情勢:

  • 2018年12月15日のウクライナ政府とコンスタンティノープル主導による会合で、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の副総主教でもあるエピファニー府主教が新設された教会の首座に選出されました。UOC-KPのフィラレート総主教は、名誉総主教となっているとの情報が出ています。
  • 2018年12月16日の礼拝で、新設されたコンスタンティノープル系ウクライナ正教会の首座エピファニー府主教は、東方正教会の首座を読み上げる中からロシア正教会モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下の名前を外しました。これはモスクワとフル・コミュニオンの姿勢に入ることはないと公言したものであり、東方正教会の分裂を加速するものです。

モスクワとコンスタンティノープルの争いが起こっている主な場所:

  • ウクライナ(モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会と、新設されたコンスタンティノープル系のウクライナ正教会)
  • エストニア(モスクワ総主教庁系のエストニア正教会、コンスタンティノープル系のエストニア正教会【エストニア使徒正教会】)
  • 朝鮮半島【北朝鮮と韓国】

最新各勢力情勢:

  • 12月17日途中時点での情報では、ロシア正教会モスクワ総主教庁は聖シノドの会合を招集していません。下記のウクライナ正教会の聖シノド会合の後におこなわれる可能性があります。
  • 12月17日、ロシア正教会モスクワ総主教庁管轄下で高度な自治的権限を保有するウクライナ正教会はキエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下臨席の下で聖シノドの臨時会合を開催。ウクライナ政府及びコンスタンティノープルの動きを無意味としつつ、長年の主張であるローマ・カトリック教会への批判に回帰しつつあります。
  • コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は2019年1月6日に、ウクライナ政府やコンスタンティノープル主導でおこなわれ設置された「ウクライナ正教会」に独立正教会として認めるトモスを渡すとみられています。
  • モスクワとコンスタンティノープル以外の独立正教会で、ウクライナでの会合などについて組織としてコメントを出した教会はありません。また、12月17日途中時点での情報では、聖シノドの会合に関するものはありません。なお、コンスタンティノープル下の自治正教会であるフィンランド正教会が、コンスタンティノープルの犬であるコメントを出しています。
  • コンスタンティノープルにより2018年11月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】は、2019年2月23日に会合をおこなう予定と決定しました。
    公式情報ではありませんが、ロシア正教会モスクワ総主教庁、またはその管轄権下で自治的な権限を持つ在外ロシア正教会【ROCOR】、またはルーマニア正教会に属することを協議する模様です(が、先行き不透明すぎるので、直近でまたいろいろ変わるでしょう)。このままコンスタンティノープルの下に残ればバラバラにされ吸収されるでしょうが、さりとて反モスクワで合流した勢力もあり、ということで突如ルーマニア正教会の名前が加わったようです(ルーマニア正教会が引き受ける可能性は低いとみられますが……)。

これからの重要なポイント:

  • モスクワ及びコンスタンティノープル以外の各独立正教会の対応が焦点となります。ギリシャ系教会はコンスタンティノープルに逆らえる可能性はきわめて低く、アレクサンドリア、エルサレム、ギリシャ正教会、キプロス正教会、アルバニア正教会は、コンスタンティノープルのダメな下部組織としての行動以外はないでしょう。
    エルサレム総主教セオフィロス3世聖下は、過去においてモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下を「神がこの難局を乗り越えるために選んだ人物」と称えてしまったので、どのように前言を誤魔化すか、すべてを忘れたふりをするか、そのような情けないことが注目です。
    ルーマニア正教会は、正直自国のことで頭がいっぱいに見えますが……。
    セルビア正教会は、ロシア正教会と近いものの、コンスタンティノープルをまだまだ利用できる部分もあるため、利用価値がなくなるまでは等距離外交をおこなうでしょう。
    ブルガリア正教会は、聖シノドの会合でも意見が割れており、意見統一ができないと思われます。マケドニアの件もあり、一番頭が痛いかもしれません。
    ジョージア正教会【グルジア正教会】は、ここもやれることはあまりありません。
    ポーランド正教会は、ロシア正教会との争いを望んでいないようにみえます。
    チェコ・スロバキア正教会は、ロシア正教会寄りの姿勢を見せていますが、そもそも大した勢力ではありません。
    アンティオキア総主教庁は、海外の教区さえなければギリシャ人種系の教会とドンバチやりたいでしょうが、なかなかそうもいかないでしょう。
    そういうわけで、彼らにはほとんどできることがないわけですが、12月15日の会合がおこなわれてしまったこと、そして1月6日とみられるトモスの授与により、はっきりと意見をシフトさせてくる可能性があります。

 


2018年12月17日更新分/

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

 

その他:

  • モスクワとコンスタンティノープル以外の各独立正教会は現状の事態にだんまりを決め込んでいます。もう全員あきらめてコメントを出していないのかもしれませんが、どちらかが有利とはっきりすればそちらにつき、「ずっと自分たちは同じ立場を共有していた!」と高らかに宣言するでしょう。関ヶ原の合戦で最後まで動かずに有利なほうにつこうとしていた連中が立派に見えます。
    もちろん聖シノドの会合を開催して声明をだす可能性もあります。ただ、どこも臨時招集の情報は出ていません。
  • 前掲しましたが、ブルガリア正教会【ブルガリア総主教庁】は、公式サイトに同教会のヴィディン府主教ダニール座下によるコンスタンティノープルやウクライナ政府批判のインタビューを掲載しています(ブルガリア正教会公式サイト:Митрополит Даниил: Съборът в Украйна е неканоничен)。
    「コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は、着座してから長い間ずっと、ウクライナはロシア正教会の管轄権にあると認めていたのに、最近いきなりそうではないと言い出した」という指摘が光ります……光るというか、なんでよそはこの程度のツッコミもしないのか不思議でなりません。
    1990年代のオウム真理教事件当時、次から次へと屁理屈をこねる上祐(じょうゆう)広報部長(当時)という人がいて、「ああ言えば冗言う(じょうゆう)」という土産物か何かも出たと聞いていますが、コンスタンティノープルの連中の最近のコメントは……いやまあこれ以上はやめておきましょう。彼らもアメリカ政府から脅されているだけかもしれませんし、神のお告げでもあったのかもしれません。
    それにしても、結局現代日本人のある程度にはびこる「今どき特定宗教の信者というだけでうさんくさい」という見解が正しかったのかと思わされます。キリスト教の中でももっとも伝統的とされるところのひとつのトップがこれでは……。
  • フィンランド正教会公式サイトは、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会がトモスの授与により15番目の独立正教会になる確定的に書いています(フィンランド正教会公式サイト:Perejaslavin ja Bila Tserkvan metropoliitta Epifanios Ukrainan kirkon uusi päämies | Suomen ortodoksinen kirkko
    結局のところ、ここはコンスタンティノープルの犬です。ロシア正教会は何か打てる手があれば、即座にフィンランドに教会組織を設置するでしょうが、今のところ何もしていないところをみると、打てる手はないのかもしれません。
    あと、コンスタンティノープルが認める独立正教会の数はロシア正教会が抜けるから14になりますね!

「2018年12月17日更新分」はここまで。


モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会に属していて、裏切って独立正教会設置の会合に出席したヴィーンニツァ・バル府主教シメオン座下の無惨な軌跡

  1. ポロシェンコ大統領を訪問し、教会法上合法な主教(モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会の主教)が新たな独立正教会の首座になるべきであり、他に人が出ないなら自分が首座になると意欲を示す
  2. その動きに対し、教区内で司祭らが反乱を起こす
  3. 独立正教会設置のための会合には参加しないと発言
  4. 参加しないどころか、自分のところの大聖堂を場所として当日に強引に提供(ウクライナ保安庁が警備から鍵を奪い取ったとの話も)
  5. 参加して首座選挙に出るも敗北
  6. モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会は、「彼はもはや教会法上合法な主教でない」と宣言
  7. 今ここ → 裏切り者・嘘つき・役立たず・負け犬・用済み・クビこれからに注目です

2018年12月15日分及び12月16日分:

ウクライナでおこなわれるコンスタンティノープルの全地総主教庁系の独立正教会設置のための会合(首座選出選挙がおこなわれるのは確実のようですが、組織に関することまで決定できるかは予断を許さない状況):

 

コンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】でおこなわれる会合(はっきりとした目的不明):

  • 会合前の状態の整理ですが、総主教代理区としては廃止されたものの、同大主教区は自前の組織を維持しています。
    しかし、コンスタンティノープルの全地総主教庁は、同大主教区内の各国・地域の司祭長区をそれぞれ全地総主教庁の別々の小教区内に吸収する意向であるらしく、全地総主教庁下にとどまっていると同大主教区の組織の維持自体が難しいかもしれません。
    同大主教区のイタリア司祭長区【Deanery of Italy】のフィレンツェにおける小教区が在外ロシア正教会【ROCOR】に“移動”するなど、ロシア正教会の管轄権下に入りたい勢力が存在し、全地総主教庁及び同大主教区自体からの離脱をためらわない動きがあります。
    一方、グレートブリテン・アイルランド司祭長区のように、割と近年において反モスクワ的姿勢から全地総主教庁下の同大主教区に入った勢力もあり、一致しての行動は難しいように思えます。
    モスクワの管轄権下に入りたい勢力は抜ければすみますが、そうでない勢力は解体されるのを待つしかないのではという状況です。解体や分裂を避けるためにはモスクワ総主教庁の管轄権下に全体で入るしかありませんが、そもそもモスクワを避けて全地総主教庁下に入った人々が、現今の宗教面に留まらない不穏なウクライナ情勢を見ている現在においてモスクワ総主教庁とのフル・コミュニオンに入りたがるとは到底思えないのですが……。
    なお、万が一、全体でモスクワ総主教庁下に入った場合、全地総主教庁側から破門を含む何らかの処断があるかもしれません(近い将来にモスクワとの相互破門がありうるので、個別にやる必要はないかもしれません)。
  • 声明が出されました。それによりますと、2019年2月23日に臨時総会をおこなうそうです。そこで(コンスタンティノープルの全地総主教庁による総主教代理区廃止に関する)方針を決めるということでしょうが、うわー、事態がどう落ち着くか見守って一番得な道を選びたがっている(フランス語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Conseil de l’Archevêché du 15 décembre 2018)。
    正直、コンスタンティノープルもモスクワも、三ヶ月も同大主教区を放置してくれないと思いますが……。両者の相互破門の可能性も高いですし、それに2019年2月23日までに東方正教会全体が崩壊している可能性もあります。
  • ロシア正教会モスクワ総主教庁に直接属する、モスクワ総主教庁下で自治的な権限を持つ在外ロシア正教会【ROCOR】に属する、のほかにルーマニア正教会に属するという選択肢が浮上しているようです(ただしルーマニア正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁【及び下手したらモスクワとも】との係争につながる受け入れをおこなうかどうかはハテナマークが浮かぶところ)。

 


2018年12月14日現在/
コンスタンティノープルの全地総主教庁及びウクライナ政府側:

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

その他:

  • アレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下が、ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下を訪問。ウクライナに関する言及があったとは報道されていません(ギリシャ語:Ο Πατριάρχης Αλεξανδρείας στον Αρχιεπίσκοπο Ιερώνυμο)。
    ギリシャ系の各教会は無力ゆえに、ウクライナの件に関してできることはなにもなく、責任もありません。
  • 英国のガーディアン紙【Guardian】がアトス山のマカリオスという一修道士のコメントを中心に記事を出しており、「アトス山のほとんどのものはコンスタンティノープルの全地総主教庁に賛同しており、ロシアに賛同する者は金目当て」という末尾になっています(英語:Ukraine-Russia tensions reach Greece’s holy Mount Athos | World news | The Guardian)。相変わらず戦争を起こして多数の人間を死に追いやりたいらしいですね西側諸国の記者たちは。連中にはフェイクニュースなどという単語では好意的すぎる。旧ユーゴ戦争の時も西側主要メディアのこのような自己陶酔的で一方的な報道が戦争に火を注ぎましたが、まったく変わっていない。これは第三次世界大戦あるかもなあ……。みなさん、核戦争を覚悟して、悔いの残らないように生きましょう。

「2018年12月14日現在」はここまで。

 


2018年12月13日現在/
両者:

  • ロシア側の報道ですが(英語:Western European Exarchate, recently abolished by Constantinople, to ask to be received by Russian Church / OrthoChristian.Com)、コンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】の首座イオアン座下(ジャン座下)が、12月7日付で、ロシア正教会首座モスクワ総主教キリル聖下に対して管轄権下に入りたい旨のメッセージを送ったとされています。同大主教区は今週末(12月15日)に会合をひかえています。
    イオアン座下はフランス生まれのため、ロシア正教会への接近はないと思っていましたが、これは事実ならば、いかにコンスタンティノープルの全地総主教庁の行為が同大主教区内で横暴に受け取られているかということの証左となるでしょう。
    ただ、同大主教区内には、割と近年になって加入したモスクワと対立してきた人々など、モスクワへの接近を拒否する可能性の高い人々も多いとは思われます。特に「グレートブリテン・アイルランド司祭長区」はそうですが、ただ彼らとしても全地総主教庁の小教区にバラバラに吸収され二級信者扱いされるくらいならモスクワとのコミュニオンに入るほうが良いかもしれません。いずれにせよ、真偽含めて今週末までにいろいろと情報が出てくるでしょう。
    追記:フェイクニュースであるという記事が出ました(英語:Letter of Western European Archdiocese to Russian Church is “provocation” / OrthoChristian.Com)。大主教区及びモスクワ総主教庁渉外局ともに否定した模様。一方、大主教区側の司祭は、大主教区側が望めば、モスクワ総主教庁は教会法上合法な地位(管轄権下での自治的な権限の保有のこと?)を認めるだろうとの見通しを示しているとも記事にありますが、これもまた本当にそういったのかどうかわからないところで、全体の状況が落ち着くまではなにがなにやらになりそうです。落ち着くのがいつになるのかまったくわかりませんけど。

「2018年12月13日現在」はここまで。

 


2018年12月12日現在/
コンスタンティノープルの全地総主教庁及びウクライナ政府側:

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • ウクライナ正教会のザポロージエ・メリトポリ府主教ルカ座下は、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下に対し、「トルコ共和国の親愛なる忠臣、バルソロメオス氏!」(一般的には“全地総主教”と呼ばれている)と題した文書を掲載しました(英語:“Dear Loyal Subject of the Turkish Republic, Mr. Bartholomew!” / OrthoChristian.Com)。

 

「2018年12月12日現在」はここまで。

 


2018年12月11日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • ロシア正教会から破門(anathemaのほう)され、コンスタンティノープルの全地総主教庁によって破門を撤回された“キエフ総主教フィラレート聖下”が、ウクライナへの独立正教会設置に関する会合について、コンスタンティノープルの全地総主教庁を批判・「我々が納得しないならば結果を拒否する」としています(英語:Interfax-Religion: “Kiev Patriarchate” head threatens to disrupt unification assembly、英語:Philaret: If we don’t like the conditions of the “unification council,” we simply won’t vote (+ VIDEO) / OrthoChristian.Com)。
    「“キエフ総主教庁”は高位聖職者のみを参加させたいのに対し、コンスタンティノープルは司祭や一般人の参加を求めている」「“キエフ総主教庁”は公開投票でおこないたいのに対し、コンスタンティノープルは秘密投票でおこないたがっている」と上記の記事からはなっていますが、これがどこまで本音かはわからず、単に自分を首座に選べという脅しの可能性も高いでしょう。
    コンスタンティノープルの全地総主教庁が事態を甘く考えていた気配はいくつもありますが、とりわけ、フィラレート聖下が折れると思っていたのは大間違いです。聖下は東方正教会全体で自分より偉い人物はいないと思っており、下手したら、ロシアは新設されるウクライナ正教会の管轄権下に置かれるべきとか言いだします。もちろんヤバさを感じて排除しようとコンスタンティノープルの全地総主教庁も考えているのでしょうが、ムリです。ウクライナに独立正教会が設置されれば東方正教会全体で最大の独立正教会とみなされる可能性もあり、コンスタンティノープルの全地総主教庁は、ロシア正教会を縁を切って信徒数が激減した挙句、最大勢力の首座であるフィラレート聖下に常時注文を付けられるというオチになるかもしれません。
  • コンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】ですが、12月15日に予定されている同大主教区の会合に関する新たな声明が出されています(フランス語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué de l’Administration Diocésaine、英語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communique of the Diocesan Administration)。
    それによれば、12月15日の会合は同大主教区の将来を決定するためのものではない、とのことです。それに関する決定をおこなう会合は別に規定として存在する、ということですが……。
    このご時世になにをのんきな……と思いましたが、これは要するに、大主教区内において、12月15日に重要な決定がくだされると考えた人たちが多いということでしょう。そしてそれが否定されたからには、無視してとっとと自分たちで将来を決定する人々も出るでしょう。15日を待たずに何かが起こるかもしれません。

ローマ教皇聖座(ローマ・カトリック教会)及び東方典礼カトリック教会:

  • キリスト教/東方典礼カトリック教会/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下(His Beatitude Archbishop Sviatoslav Shevchuk, Major Archbishop of Kiev-Galicia : キエフ大司教 : Archbishop of Kiev)は、ウクライナに独立正教会を設置するための会合の成功を祈ると表明したようです(ロシア語:Интерфакс-Религия: Лидер украинских униатов поддержал "объединительный собор")。
    予想通りのコメントですが……いつ出すかなあと思っていたくらいで。
    これまでバチカンは、この件に関わることに極めて慎重でしたが、それは要するに、万が一ロシア対ウクライナの軍事行動まで発展したときに「ウクライナとコンスタンティノープルの背後にはローマがいる」「これは新たな十字軍だ!」「東方の教会をローマの“軛”におこうとするローマの陰謀」と批判され、過去と同じく現在でもキリスト教は平和の宗教でもなんでもないとバレてしまうのを恐れていたからだと思いますが、東方典礼カトリック教会の中でも一番めんどくさいウクライナ東方典礼カトリック教会の首座がはっきりとコンスタンティノープルによるウクライナへの独立正教会設置を支持したことにより、もはや中立でもなんでもなくなりました。
    もちろんローマ教皇聖座自体がこの態度を否定するコメントを出す可能性はありますが、それはさらなる混乱を招くことになるでしょう。カトリック内でも、反ロシア派・中立派・親ロシア派にわかれて激しい議論が起こる可能性があり、もはや東方正教会にとどまらないウクライナ発の宗教的黒死病のごとくなるかもしれません。
    ウクライナの問題が重要なのは、このように移民・難民問題と並んで21世紀のうちに西欧の伝統的なキリスト教(伝統的なプロテスタント含む)をつぶしてしまう最大の動きの一つとなる可能性があるからで、またヨーロッパでキリスト教が戦争を引き起こしているということがバレてしまえば、西欧の文化的権威はまた一つ低下し、それにより世界はまた一歩不安定になるからです。今はまだ誰もそこまでの大ごとだと思っていないし、事実軍事行動が起こらなければそこまでのことにはなりません。ですが、起これば「そして終わりが来るのである」ということになるでしょう。

 

「2018年12月11日現在」はここまで。

 


2018年12月7日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • ロシア連邦外務大臣セルゲイ・ヴィクトロヴィチ・ラヴロフ閣下(ラブロフ外相 : His Excellency Mr Sergey Viktorovich Lavrov)が、ローマ教皇庁国務省外務局局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教座下(ホデルム名義大司教 : His Most Reverend Excellency Monsignor Archbishop Paul Richard Gallagher : Titular Archbishop of Hodelm)と会見した模様(英語:Interfax-Religion: Russian FM, Vatican sec call for boosting bilateral ties)。ローマ教皇聖座が国際法上の主体であるために、ロシア連邦政府は政治家を使って教皇庁の聖職者に接触することもでき、ロシア側はそれを最大限に宣伝しています。そして国際法上の主体であるということがローマとコンスタンティノープルの埋められない格差でもあります。
    なお、別件ですが、ラヴロフ外相は、ギリシャ紙のインタビューに対し、ロシア連邦とギリシャ共和国の関係が(外相によればギリシャ側の行動により)きわめて悪化している旨をコメントしています。アメリカの意向を受けたツィプラス政権による反ロシア的行動ですが、それはそれとして、憲法内にコンスタンティノープルの全地総主教庁との関係を含むギリシャ共和国は、自動的に反ロシア正教会の立場となり、したがって反ロシア政府の立場を取ります。しかし、一連の事態は、そもそもなにが最初なのか、というのがわからなくなりつつあります。ギリシャの反ロシア正教会の姿勢は朝鮮戦争時代にはっきりしていたことです。ツィプラス政権は教会と国家の分離を進めていますが、反ロシア自体についてアメリカの意向もあるので、ギリシャの教会を追い込むことがロシアに有利になるような状況になれば掌をかえさざるをえず、また次の選挙で SYRIZA が勝利する可能性はやや低い状況です。
  • 元ロシア連邦首相セルゲイ・ヴァディモヴィチ・ステパーシン中将(Colonel General Sergei Vadimovich Stepashin)が会長を務める Imperial Orthodox Palestine Society 【帝立正教パレスチナ協会?】 が、トルコのイスタンブール【コンスタンティノープル】に支部を創設する模様です。(英語:Interfax-Religion: IOPS to open division in Istanbul despite patriarch Bartholomew’s opinion
    この支部については、全地総主教バルソロメオス聖下より設置が拒否されていたものですが、ロシア正教会とコンスタンティノープルの全地総主教庁のフル・コミュニオン解除とその後のロシア正教会側のイスタンブールへの小教区設置などの動きを受け、無視して設置するようです。
    なお、ステパーシン中将は、エリツィン大統領後継候補でしたが、その座はプーチン現大統領へとゆき、現在この教会の会長を務めています。この団体はロシアや東方正教会圏では知名度があるので、一連の事態を受けて、地位の重要度が高まっているように思えます。
  • 以前に司祭一名が離脱して(ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に属する)在外ロシア正教会【ROCOR】に合流した、コンスタンティノープルの全地総主教庁下の「アメリカ合衆国アメリカ・カルパト=ロシア正教教区」から、また一名の司祭が在外ロシア正教会に合流したようです(英語:Another Constantinople priest in America switches to ROCOR / OrthoChristian.Com)。

 

「2018年12月7日現在」はここまで。

 


2018年12月6日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープルの全地総主教庁側が、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)にあるロシア正教会の聖堂を自信の教区に含めたカレンダーを出したことについて、(朝鮮民主主義時人民共和国駐箚の)ロシア大使館が公式 Facebook アカウントで批判しているようです(英語:Interfax-Religion: Russian embassy outraged by Constantinople ‘ascribing’ itself Russian church in Pyongyang、英語:“Unseemly Ambitions”: Constantinople lays claim to Russian church in North Korea / OrthoChristian.Com)。
    全地総主教バルソロメオス聖下の大韓民国訪問に伴うカレンダーのようですが、これにより同庁の管轄権下に属する(モスクワ総主教庁を裏切った歴史のある)韓国正教会【正教朝鮮府主教庁】(Orthodox Metropolis of Korea)も今回の争いに対ロシア正教会強硬派として正式に参戦ということになるでしょう(カレンダーがそこのなので)。
    ユーラシアでは西はフランスから東は朝鮮半島まで、そして中東はもちろんのことアメリカなども争いに含まれる現状は、東西教会分裂よりも影響範囲が広く、これまでの東方正教会の負の歴史の総決算を見ているかのようです。

 

「2018年12月6日現在」はここまで。

 


2018年12月5日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • ウクライナのポロシェンコ大統領は、ウクライナへの独立正教会設置のための会合が12月15日におこなわれると述べたようです(英語:Interfax-Religion: Unifying Orthodox assembly in Ukraine to be held on Dec 15 – Poroshenko)。追記:会合の結果、首座や組織が定まっても、トモスが渡されるまでは独立正教会が設置されたことになるわけではありません。また、15日に本当に会合がおこなわれ決定がなされた場合、年内にコンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下からトモスが渡される可能性もあります。その場合はロシア正教会は聖シノドの会合を招集しコンスタンティノープルを破門(Anathemaのほう)する可能性があります(というかしないと完全に負けですのでするでしょう)。コンスタンティノープルとフル・コミュニオンの関係にある他の12の独立正教会とも(彼らがコンスタンティノープルとのコミュニオンを解除しなければ)フル・コミュニオンを解除することになる可能性もあります(が、しない可能性もあり、その場合、内部事情は極めてややこしいことになります。その胡散臭さは胡散臭いキリスト教分派のようになるでしょう)。
    なお、下記(12月2日現在分)に書いたように、12月15日にはコンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】が会合をおこなう予定となっています。会合の開催自体がコンスタンティノープルの全地総主教庁への不服従表明に近いものでもありますが、結論がどうなるかはわかりません(ウクライナのほうもあわせて結局のところどちらもおこなわれない可能性がありますけど)。

 

「2018年12月5日現在」はここまで。

 


2018年12月2日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】ですが、12月15日に会合をおこなう模様です(公式サイト/フランス語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué du Conseil de l’Archevêché du 30 novembre 2018、英語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué of the Council of the Archdiocese of 30th November 2018)。
    文意がいまいちはっきりしませんが、(ハッタリでなければ)全地総主教庁の決定をそのまま受け入れるつもりはなさそうです。同区は西欧の民主主義や基本的人権などの価値を吸収している、などとしているところは、全地総主教庁は非民主主義・反人権思想といっているかのようです(民主主義や人権思想より主の正しい教えのほうが大事なんじゃないの?)。
    総主教代理(だった)イオアン大主教座下(ジャン大主教座下)の総主教代理に代わる新たな肩書として「Archevêque dirigeant des Églises orthodoxes russes en Europe occidentale(英語版では Archbishop of the Russian Churches in Western Europe)」が(全地総主教庁に断りなく)使用されています(英語版を訳せばシンプルに「西欧ロシア教会大主教」となりますが、フランス語版を訳すと「西欧ロシア正教会首位大主教」でもなるでしょうか)。
    こちらの件で、仮に大主教区(一般的に大主教区が通称で、総主教代理区が正式名といわれてきましたが、総主教代理区としては廃止されたので大主教区を正式名称とするしかありません)が、全地総主教庁の管轄権下に残りつつ勝手にふるまうということを始めるとすると、非常にややこしいことになってきますが……。

 

「2018年12月2日現在」はここまで。

 


2018年12月1日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープル全地総主教庁により先月末に廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】の、フランス共和国パリの聖アレクサンドル・ネフスキー大聖堂にて、12月16日にコンサートがおこなわれるようです(フランス語:Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Concert des chœurs de la cathédrale Saint-Alexandre-Nevsky)。
    なお、総主教代理(だった)イオアン大主教座下(ジャン大主教座下)が臨席するようです(“総主教代理”の肩書が消えているのが物悲しいですね)。
    そもそもこの大聖堂は、現時点でどこが所有しているのかという問題もありますが……。一連のウクライナでの動きをみると、全地総主教庁が所有している可能性もありますが、イタリアで小教区が離脱して在外ロシア正教会に合流したことを考えると地元(?)の団体(フランスの宗教団体=廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区の団体?)が所有している可能性もあります。
    また、そもそもロシア皇帝アレクサンドル2世陛下が資金の一部を出していたり、ロシア正教会やプーチン政権からも拡張や補修のための資金が出ているようなので、ロシア側がなにか要求を出してくるかもしれません。一連の事態は世界政治に(教会資産を巡って)予想以上の影響を与えてくるかもしれません。
    ……という状態でのコンサートです。
  • ウクライナ独立正教会【UAOC】の首座/“マカリー府主教座下(マカリオス府主教)”は、自らは全地総主教庁によって新設される独立正教会の首座の候補ではないと語ったようです。理由として、全地総主教庁によって祝福されていない(?)ことを挙げ、同じ状況なのにも関わらずウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】の“フィラレート総主教聖下”が首座となろうとしていることを(やや遠回しに)批判しています。
    なお、この二人が同じ状況ではないことは指摘しておかねばならないところです。全地総主教庁を中心に教会法を見た場合、フィラレート総主教はロシア正教会によって破門(Anathema)されるまで教会法上合法な府主教であり、そしてその破門が全地総主教庁によって撤回された今、再び教会法上合法な府主教として認識することが(全地総主教庁側から見れば)可能です。一方、マカリー府主教は、ロシア正教会による破門(Anathema)時において主教叙聖を受けていたわけでもないため、現在もまだ教会法上合法な府主教(及び大主教・主教)ではどのような意味においてもありません。したがって、(教会法上合法な主教以上である)フィラレート総主教が首座の地位を望む権利はありますが、マカリー府主教には(事前に主教に叙聖されない限り)ありません。
    また、マカリー府主教は、教会新設のための会合に、UAOCの主教ら全員が出席すると述べたようです。しかしそもそも彼らのうちの一人として教会法上合法な主教はおらず、一体その会合の参加者の資格はなんなのかという疑問がわきます。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

その他:

  • アレクサンドリア総主教庁の聖シノドの会合が終了していますが、声明や報道を見る限り、ウクライナの問題がいっさい盛り込まれておらず、身内の話ばかりです(他に声明が出る可能性もありますが……)。これは……予想ではお茶を濁して終わりだと思っていましたが、それどころか手に負えないので完全スルーということなのでしょうか。ギリシャ系の教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁に逆らえるわけがないとは思っていましたが、もう見ずに済ます、そういうことだとすると、また一つ状況が進みます。
    東方正教会序列二番のアレクサンドリア総主教庁の聖シノドの会合がこんなんで終わりだとすると、他のギリシャ系教会がなにかをするわけもなく、全員でコンスタンティノープルの全地総主教庁とともにロシア正教会とのフル・コミュニオンの解除→相互破門にいたるしかないでしょう。
    つまり、コンスタンティノープルの全地総主教庁、アレクサンドリア総主教庁、エルサレム総主教庁、ギリシャ正教会、キプロス正教会、アルバニア正教会、の六(一+五)教会はロシア正教会モスクワ総主教庁との現在の関係はそれぞれ異なるものの、ここからは良くなることはもう一切ないのではないでしょうか。

 

「2018年12月1日現在」はここまで。

 


2018年11月30日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープルの全地総主教庁は、聖シノドの会合において、ウクライナに独立正教会の設置を認めることを決定しました。が、その日付は決定されていません。12月にウクライナで教会組織及び首座を決定する会合がおこなわれるとの話が事前に出ているので、その前には(相手がいないので)独立正教会として認めるためのトモスを渡せませんが、12月のうちになる可能性が高い一方、ロシア正教会側はこれまで何度も期日が遅れてきたことを指摘し揺さぶりをかけています。しかし、あくまで個人的な見解ですが、12月から翌2月までウクライナの気温はもっとも低くなり、つまりロシア軍が大規模な戦闘をしかけてくる可能性が一番低いので、あえてこの時期まで伸ばした可能性もあります。
  • 11月27日に全地総主教庁により廃止が決定された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】ですが、公式サイトで機関冊子の11月分のPDF各言語版が公開されています(Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Feuillets de l’Exarchat 2018)。最後のものになるのでしょう。
    なお、同総主教代理区の廃止に伴い、公式ウェブサイトの廃止及びドメインを手放す可能性があるため、時間が経過してからここのページを見た方は上記のリンクは踏まないほうがいいです。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

その他:

  • アレクサンドリア総主教庁の聖シノドの会合が本日終了する予定です。声明が出ると思うので、後で追記などする予定ですが、いまさら特に影響はないのではないかと思います。

コント:

  • ウクライナのポロシェンコ大統領が、ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系は「プーチン大統領やロシア軍のために祈りを捧げている」というだいたいいつもいうようなタイプの発言というかフェイクニュースというかなんというかをした後、同教会の府主教側から大統領とその側近へ「んなことが書いてあるかどうか読んでみい」祈祷用の書物が贈られたそうです。

 

「2018年11月30日現在」はここまで。

 


2018年11月29日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • ポロシェンコ政権に近いウクライナの議員の発言によりますと、ウクライナ政府は、全地総主教庁による独立正教会設置に反対する人々に戒厳令を適用して対応する見込みだそうです。
    一方、政権とは距離を取る無所属の議員らが、ウクライナ内務省に政権による信仰の自由の侵害の調査を要求した模様(たぶんスルーされます)。
  • 全地総主教庁により廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】に属していたのかなんなのかいまいち正確なところがわかりませんが、パリの聖セルジュ正教神学機関【聖セルギイ正教神学機関】(Saint Sergius Orthodox Theological Institute)という組織が声明を出したようです(英語:Paris: Saint Sergius Orthodox Theological Institute Communiqué ⋆ Orthodoxie.com)。
    シンプルにいってしまえば全地総主教庁の決定を諸手で支持、総主教代理区はとっくに役割を終えていた、というようなことで、彼らは全地総主教庁のフランス府主教エマニュエル座下及び全地総主教バルソロメオス聖下に従うということです。
    同総主教代理区の会合を待たずにとっとと声明を出したあたりが実に迅速だと思います。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • ロシア正教会は、全地総主教庁により廃止された西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区【西欧ロシア正教会大主教区】に関して、在外ロシア正教会【ROCOR】が現在はロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自治的な権限を保有し以前と同じ組織体制で活動していることを引き合いに出し、全地総主教庁のトモスの軽さを皮肉っています(ロシア語:Интерфакс-Религия: Упразднение "русского экзархата" в Европе показывает цену томосам Константинополя, считают в РПЦ)。
  • ローマ・カトリック教会のローマ教皇フランシスコ聖下は、ロシアの芸術展を私的訪問したとのことです(英語:Pope of Rome visits exhibition of Russian art masterpieces in Vatican | The Russian Orthodox Church)。
    上記のロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイトは、今回のフランシスコ聖下の訪問は、ロシアの芸術への愛だけではなく、ロシア及びロシア正教会への友好を示したものだ、としています(訪問を報じているカトリック系メディアではそのような表現は【この部分を書いている時点で】見当たりません)。
    今回の一連の事態によるキリスト教全体での重要なシフトの一つは、ロシア正教会によるバチカンへのはっきりとした接近であるといえます。彼らはローマ・カトリック教会との友好関係を示すことによりキリスト教内全体での影響力維持、ひいては東方正教会全体での影響力維持をおこなおうとしており、そしてそれはある程度の成功をおさめているといえます。

 

「2018年11月29日現在」はここまで。

 


2018年11月28日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • イタリア共和国の小教区の管理に新たに叙任されたロシア正教会のボゴロツク主教イオアン座下が、ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会議長クルト・コッホ枢機卿座下と会見(英語:Administrator of the Moscow Patriarchate’s parishes in Italy meets with the head of Pontifical Council for Promoting Christian Unity | The Russian Orthodox Church
    上記のロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイトによれば、イオアン主教座下はクルト・コッホ枢機卿座下にウクライナの問題について通知した、とのことです(すでに渉外局長のヴォロコラムスク府主教イラリオン座下がバチカン訪問時に通知済みではありますが、あれから一ヶ月以上が経過していることもあり、最新情勢なども含めて連絡、ということでしょうか)。

 

「2018年11月28日現在」はここまで。

 


2018年11月27日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープルの全地総主教庁の聖シノドの会合が始まり、三日間続く予定。議題は、最重要と目されているのがギリシャ共和国ツィプラス政権による国家と教会の分離を進めようとする動きに関してで、ウクライナの件がそれに続くことになりそうです。ウクライナの件では、新設される教会の体裁を決めるウクライナでの会合の日程が決まる可能性が指摘されています。彼らがどういう順番でなにを決めようとしているのかどんどんわからなくなっていますが……。ウクライナ(国家)からは大統領の側近が派遣されているようです。
  • “ウクライナ独立正教会【UAOC】”の創始者の一人とみなされているヴィケンティー・チェカリンという人物がオーストラリアのクイーンズランド州で有罪宣告を受けたようです。
    ギリシャの正教会系メディア Romfea.gr 及び ロシアの Interfax によりますと(記事中には信じられないような内容も多いですが……)、この人物はロシア(ソ連)生まれで、ロシア正教会の聖職者になったものの、問題行動多数で処分を受け、その後も各国で色々と問題を起こしていたり捕まったり元妻から訴訟を起こされたりしていたようです。
    “ウクライナ独立正教会【UAOC】”の創始者の一人と目され、コンスタンティノープルの全地総主教庁からロシア正教会による anathema を撤回された首座のマカリー府主教座下もこの人物の叙聖かなにかを受けているように記事からは取れます(彼自身は主教を称していたようですが、誰かから主教に叙されたわけでもないようです訂正:なんらかの主流でない教会から主教に叙されていたようです)。
    また、ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会のウクライナ東方典礼カトリック教会の首座代行であった故ボロジミル・ステルニューク大司教から同教会下の「ロシア・カトリック教会(またはロシア正教カトリック教会)」の首座に叙任されたと取れる内容もあります(東方典礼カトリック教会の一つであるロシア東方典礼カトリック教会とは無関係のようですが……)。この教会については、同名で呼ばれる教会が今も存続しているようですが、公式サイトの教会の歴史(ロシア語:Церковь — РОССИЙСКАЯ ПРАВОСЛАВНАЯ КАФОЛИЧЕСКАЯ ЦЕРКВЬ МОСКОВСКАЯ АРХИЕПИСКОПИЯ)からリンクされているページが見つからない(404)と表示が出るので連続性については不明です。また、この教会は、全地カトリック・キリスト教会(The Ecumenical Catholic Church of Christ)という、カトリック、東方正教会、アングリカン、その他の教会の統合を掲げる独立した教会(?)勢力のフル・コミュニオン下にある(というか今年【2018年】入った)ようですが、公式サイトの文書画像掲載ページ(ロシア語:Томос о единстве в Вере и в Таинствах — РОССИЙСКАЯ ПРАВОСЛАВНАЯ КАФОЛИЧЕСКАЯ ЦЕРКВЬ МОСКОВСКАЯ АРХИЕПИСКОПИЯ)によりますと、トモスの英語表記が「THOMOS」になっていて、う、うん……?
    話を戻すと、今回の話題の人物は、オーストラリアでは(ロシアでの)精神医学の学位を詐称して仕事についており、さらにはプロテスタントの指導者になったりした挙句、心の問題で引退したとのことです。
    (ギリシャ語:Ιδρυτής σχισματικών της Ουκρανίας καταδικάσθηκε για απάτη και πλαστογραφία、ロシア語:Интерфакс-Религия: Основатель украинского раскола получил срок в Австралии

 

「2018年11月27日現在」はここまで。

 


2018年11月26日現在/

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

その他:

 

「2018年11月26日現在」はここまで。

 


2018年11月24日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)がルーマニアを訪問、ルーマニア正教会総主教ダニエル聖下と会見。
    事前に一部で報道されていたモルドバ共和国の管轄権について決定がくだされるかどうかが注目されます。
  • 全地総主教庁による、新たな「全地総主教庁下に属する独立正教会のウクライナ正教会」設置に関する会合が、12月9日・12月10日におこなわれると一部報道が出ています(しかしウクライナ側の状況がまとまっていないのですが……)。
  • 世論調査で、来年【2019年】3月31日におこなわれるウクライナ大統領選挙で支持率20%程度ながらトップに名が出ることが多いユーリャ・ティモシェンコ元首相(Yulia Tymoshenko)が、全地総主教庁の一連の動きを支持、というか設置される予定の教会の保護のためにあらゆる手段を尽くす、と述べたようです。
    一時はヤヌコーヴィチ元大統領よりもロシアのプーチン大統領に接近していたとみられているティモシェンコ元首相ですが、さんざんな目にあったためか、あるいは現実的にほかの選択肢がないためか、ポロシェンコ政権と同じ道を選ぶようです。
    とはいうものの、同元首相に関しては、ロシア側がスキャンダルにできるような切り札を握っている可能性も高く、情報戦は激しくなるでしょう(情報戦だけで済めばめでたい限りですけど)。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下は、コンスタンティノープルの全地総主教庁とのフル・コミュニオン解除に伴い、韓国在住の信徒が領聖などを受けられなくなっていることを鑑み、同国に小教区を設置する方向であるとコメントしました。
    なお、ロシア正教会は北朝鮮に小教区を設置しています。
    朝鮮半島は両教会の争いの場の一つで、韓国についてモスクワ総主教庁側は、自分たちの本来所有している権利などが不当に奪われた場所の一つと認識しています。他の同様な場所でも小教区を設置したり、これまで遠慮(?)をしていた件について動きをみせていくかどうかが注目です。
    またこれに伴い、以前より観測のあった、東方正教会の問題が北朝鮮の核など朝鮮半島情勢の問題にわずかに影響してくる可能性がはっきりと出てきました。ロシア連邦政府と大韓民国政府の間であらためて過去の件について協議がおこなわれる可能性もあります(ロシア語:Интерфакс-Религия: РПЦ направит в Южную Корею священника из-за разрыва с Константинополем、英語:Interfax-Religion: Russian Church sends a priest to South Korea because of the break with Constantinople

 

「2018年11月24日現在」はここまで。

 


2018年11月23日現在/

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

 

「2018年11月23日現在」はここまで。

 


2018年11月21日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • ロシアのInterfax(ロシア語:Интерфакс-Религия: В Стокгольме исключили из общины прихожан, отказавшихся признавать легитимность патриарха Варфоломея)によりますと、コンスタンティノープルの全地総主教庁下にある西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区のスウェーデン/ストックホルムの小教区から、ロシア正教会モスクワ総主教庁を支持する姿勢を見せた16人の信徒が追放されたようです。なお、これは excommunication や anathema のような破門ではなく、16人は「さからいません」という文書を提出すれば戻ることが可能な模様。
    この西欧ロシア伝統正教小教区総主教代理区は、名称自体がややこしくどれが正式名かよくわからないうえに(申し訳ないことにここで使用している訳もなんだかよくわかりませんが)、名前から想像がつきますが全地総主教庁下にあるにも関わらず親ロシア派をある程度抱えている模様です。

 

「2018年11月21日現在」はここまで。

 


2018年11月20日現在/

コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • 公式サイト声明(Communiqué (19/11/2018). – Announcements – The Ecumenical Patriarchate)によりますと、2018年12月に「コンスタンティノープル全地総主教庁下の独立正教会(現在のところ報道されている限りでは『全地総主教庁下の独立正教会』と表現するのが妥当に思えます)として新設される予定のウクライナ正教会」の承認が聖シノドにおいておこなわれる予定だそうです。この件は遅れに遅れていますが、文中からは12月に承認されてもすぐにトモスが渡されるのかどうかもいまいちはっきりしません。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • ウクライナ保安庁【SBU】が、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会の主教らに会合を要請している模様。ポロシェンコ大統領が失敗した、主教らをロシア正教会から離脱させて「コンスタンティノープル全地総主教庁下の独立正教会として新設される予定のウクライナ正教会」に合流するよう求めるのではないかとみられています。
  • ロシア正教会モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会のジトーミル教区(ジトームィル教区)の大聖堂の近くで、ウクライナの独立正教会主義者(Autocephalist)が(モスクワ総主教庁系の)ウクライナ正教会はクレムリンの手先だと抗議行動をしたようです。同教区の公式サイト記事(ウクライナ語:Поблизу кафедрального собору відбулась провокація! | Житомирская Епархия)掲載の写真によれば、彼らはプラカードに独立正教会承認時に渡されるトモス(томос、英語:Tomos)と書くべき部分にトマスまたはトーマス(томас、英語:Thomas)と書いていた模様。コント2018?
    両言語の専門家ではありませんが、ロシア語では томос(トス) の「モ」の部分は IPA「mə」 であり「マ」が近いのではないかと思われる一方、ウクライナ語では томос はトモスと発音するのが近いのではないかと思います(「ー」をつけたほうがさらに近いのかもしれませんが……)。もっともウクライナ語の標準語は(というか標準的な発音は)必ずしも全土で使用されていないのと、ロシア語使用者も多いので、トモスに関する発音の全体的な実情はわかりません。
    また「トマス」というのは実にキリスト教的である(?)、ということも誤記の原因なのかもしれません。

 

「2018年11月20日現在」はここまで。

 


2018年11月16日現在/
コンスタンティノープルの全地総主教庁側:

  • 彼らが認める「ウクライナ正教会」はこれから先に新設される「ウクライナ正教会」(まだ存在しません)であり、「ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】」や「ウクライナ独立正教会【UAOC】」を「統合」するものではないという前提をあらためて表明(もちろん聖職者らの受け入れはあるでしょう)。またフランス府主教エマニュエル座下がキエフに到着しており、11月22日に会合をおこなって結成を決定するのではないかとみられています(一方日付自体は正式発表されていないため、「ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】」は日付はロシアンフェイクニュースだと批判しています)。なお会合により組織の結成が決まっても、独立正教会として認めるトモスが渡されるまでは独立正教会ではありません。
  • 新設される「ウクライナ正教会」の首座には、全地総主教庁に属する、テルメッソス大主教ヨブ座下とアメリカ合衆国ウクライナ正教会の首座/パンフィロン大主教ダニエル座下の名前が挙がっています。いずれも力不足に思えます
  • また、独立正教会として認められるはずですが、一部情報が正しいとすればロシア正教会モスクワ総主教庁系で自治的権限を持つウクライナ正教会よりも権限が狭いようです。
  • 「ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】」の“フィラレート総主教聖下”及び同教会の“主教”らはこの状況に抵抗をしているようで、フィラレート総主教に「名誉総主教」の称号を与えたうえで新設教会の聖シノド議長の職を要求しているとの情報もあります。これは全地総主教庁が送ってくる首座は名目上のトップにすぎない扱いをするぞ、ということです。
  • 「ウクライナ独立正教会【UAOC】」の“マカリー府主教座下”は、フィラレート総主教らの独断専行に不快感を示していたこともあり、全地総主教庁を全力支持する模様。
  • 全地総主教庁側がフィラレート総主教をトップに据えるのを拒否している理由の詳細は不明です。人物的に超めんどくさいからか、モスクワとの関係修復が完全に不可能になるからか、どちらかを考慮しているのだとは思います(どちらにせよモスクワとの関係修復はないと思います)。
  • ポロシェンコ大統領は、フィンランド正教会首座のレオ大主教座下訪問後に大統領公式サイトで「フィンランド正教会が新設される独立正教会のウクライナ正教会を支持」という記事を載せましたが、フィンランド正教会側が否定するという一幕がありました。もっとも発言がどうあれフィンランド正教会側の本音は全地総主教庁を支持することなのは疑いありません(ロシア系のサイトがゆさぶるような記事を出していますが、彼らにロシアにつくという選択肢はありません)。
  • ポロシェンコ大統領はほかにも、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会の首座オヌフリー府主教座下を訪問して会談するという予定をドタキャンしたりしています。予定通りのドタキャンなのか、事態が自分の予定と違ってきていろいろ慌てているのか、少し判断に悩みます。
  • なんといいますか……少し前の状況に比べると教会法がどうだとかいう理屈が薄くなってハリウッド化しやすくはなったかと思います。

ロシア正教会モスクワ総主教庁及び、モスクワ総主教庁下で自治的権限を持つウクライナ正教会側:

  • モスクワ総主教庁系ウクライナ正教会の府主教が一人、全地総主教庁を支持していましたが(訂正:三人が全地総主教庁下を支持し、うち一人が会合においてモスクワ総主教庁がコンスタンティノープル全地総主教庁とコミュニオンを解除したことへの支持文書への署名を拒否)、その教区の多数の聖職者らが府主教への不支持を表明するというややこしい事態となっています。
    この主教は、ヴィーンニツァ・バル府主教シメオン座下で、コンスタンティノープルの全地総主教庁が設置しようとしている「ウクライナ正教会」の首座への意欲を表明しています。

その他:

  • チェコ・スロバキア正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁による「ウクライナ正教会」新設案を批判。ただし、主教ら全員が賛意を示しているかは不透明。ロシア派とコンスタンティノープル派の争いが再燃する可能性も高いです。
  • セルビア正教会は、コンスタンティノープルの全地総主教庁による「ウクライナ正教会」新設案を批判。これは予想のうちです。
  • ポーランド正教会の聖シノドは、コンスタンティノープルの全地総主教庁による「ウクライナ正教会」新設案を批判。正式な声明の発表がまだですが、新設教会とフル・コミュニオンの状態に入らないとの決議がされたという情報もあります。これが本当だとすると、首座のサワ座下は、東方正教会全体の会合に出席しないことになるかもしれません(アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下は、エルサレム総主教庁との対立によりフル・コミュニオンを解除した後、全体の会合には自らは参加していません)。モスクワ総主教を含め、首座が三人も欠席となれば、全体の会合は開けないでしょうが、しかしもうそんなことはどうでもいいかもしれません。11月17日追記:公式サイトで声明が発表されました(ポーランド語:ORTHODOX | Komunikat Kancelarii Św. Soboru Biskupów)。内容の条文の中に、同教会の司祭に対してUOC-KP及びUAOCの“聖職者”らと関係を持つことを禁ずるものがあります。しかしこの条文だけでは、彼らが全地総主教庁によって新設される教会に地位を持つ聖職者となった場合にも関係を禁ずると受け取るのは厳しいとも思えます。もっともポーランド正教会自体は新設にも反対の立場なので、今からそれを想定して立場表明をするのも気が早いといえばそうです。

 

「2018年11月16日現在」はここまで。

 


 

※NHKなどによる雑な報道「ウクライナ正教会がロシア正教会から一方的に独立」などで、混乱している方も多いのですが、2018年10月12日時点で次のような状況です。
追記(2018年10月16日):
 10月15日にロシア正教会はコンスタンティノープルの全地総主教庁との関係を解除しました

  • 東方正教会の教会法上合法な教会はロシア正教会モスクワ総主教庁管轄権下で高度な自治的権限を持つウクライナ正教会で、同教会はコンスタンティノープルの全地総主教庁に独立の承認を要求していませんでしたし、今もしていません。なお同教会は、ロシア正教会系であるがゆえに、クリミア半島での活動がロシア側との衝突なしに可能です。
  • 独立正教会としての承認を要求していたのは、ウクライナ国内の教会法上合法でない教会(ウクライナの総主教と報道されているのはこっち)「ウクライナ正教会キエフ総主教庁」と「ウクライナ独立正教会」であり、コンスタンティノープルの全地総主教庁は、これらの教会に対して(今まではロシア正教会系のウクライナ正教会を認めていたのに)態度を変えて承認する方向に動いています。これに関してコンスタンティノープルの全地総主教庁は、ウクライナの管轄権を今まで手放したことはない(ので独立正教会を設置することに問題はない)、と主張しています。ロシア側は悪意のある歴史の書き換えだと主張。
  • 全地総主教庁の動きの原因にはウクライナのポロシェンコ政権や議会による訴えがありました(これについてはウクライナ憲法の政教分離原則に抵触しているという訴訟が提起されています)。またポロシェンコ大統領は「外国の宗教団体に自国の宗教団体が影響されることがあってはならない」という主旨のことを述べていますが、コンスタンティノープルの全地総主教庁はトルコ共和国の宗教団体です。いつからトルコはウクライナ領になったのですか?いやまあこれは意地悪ですので消しておきます。また、彼らのいう「ウクライナの管轄権」にはクリミア半島が含まれるため、新しく設置される教会の聖職者らが「当然の権利」としてクリミアで活動を始めようとするでしょうが、ロシア当局が認める可能性は低く(入国を認めるかどうかすらわかりません)、政治問題化するでしょう。
  • アメリカのバイデン前副大統領などがウクライナの政権と独立正教会設置を支援しており、宗教の問題を装った西側諸国の政治的・侵略的活動の一環だとロシア政府はみています。したがってロシア政府はそのような行動に対する対応をとる可能性があります。なお、バイデン前副大統領の生きているほうの子息が、ウクライナの企業の幹部(取締役?)の席についたという報道が数年前にありました。
  • 10月11日のコンスタンティノープル側の声明は、主にロシア正教会によって Anathema (簡単にいえば破門の重いほう)を受けていた教会法上合法でない人物(二つの教会の首座)への Anathema を撤回するということであり、独立承認に向けた継続する意思は示しているものの独立を承認したなどとは明言してはおらず「あなたたち要はなにをいってるの?」レベルの不鮮明さが含まれています。二人のうちキエフ総主教を称するフィラレート聖下のほうはロシア正教会に Anathema を受ける前は同教会の府主教だったので全地総主教庁による Anathema 撤回を有効とみれば府主教であり、主教以上に可能な神品機密をおこなうことは教会法上合法だと思われます。が、ウクライナ独立正教会の首座マカリー府主教座下はロシア正教会下で主教になっていないため、 Anathema を撤回してもそれだけでは主教ではなく、主教以上に可能な神品機密をおこなうことは教会法上合法ではないと思われます。二人の「キエフにおける総主教代理」がマカリー座下を主教に叙聖している可能性もありますが、そういった発表はなく、もし叙聖していないとすれば、ウクライナ独立正教会には教会法上合法な主教がいない可能性が高く、そうなれば新たに誰かを神品(=聖職者)として叙聖することはできません。となれば、ウクライナ独立正教会には教会法上合法な神品が存在しないため、通常の活動すら(教会法上合法な範囲では)できません。が、当然のことながら活動しているでしょう。もしそうなら全地総主教庁が教会法上合法ではない行為を容認しているわけで、もうムチャクチャな事態です(ウクライナ独立正教会は信徒数の割には今回の騒動では「脇役」扱いされているため(主役はキエフ総主教庁)、このあたりの正確な状況はわかりませんが、この程度のことはもはやどうでもよくなっているのかもしれません)。
  • 今後、ウクライナ政府は、ロシア正教会系のウクライナ正教会の教会財産の接収に動くことになります。すでに同教会へ攻撃を加えている、ナショナリスト、過激派らの行動がさらに過激さを増す可能性も極めて高い状況です。もはやウクライナはシリアより危険な場所になる可能性が出てきています
    • ウクライナへの渡航は自己責任で
    • ウクライナに関わらず、東方正教会関連の聖堂・修道院・歴史的な遺跡などに観光するのも自己責任で
  • なお、主にエストニアに不穏な状況が波及する可能性があります。エストニアでは1990年代に、今回のものより小規模ですが同様の争いがありました。2018年10月9日にロシア正教会系のエストニア正教会のトップがエストニア首相を訪問しています

 いくつかその後(10月12日以降)のことに追記しておきますと:

  • モルドバに問題が波及する可能性が出てきました。
    キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下のモルドバ訪問日程が4日→2日に短縮(2018年10月)ルーマニア正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁に同調しモルドバの管轄権を両者で分割するとも
    この話が本当だとすると、東方正教会信徒数第一のロシア正教会と第二のルーマニア正教会の断絶を意味します。
  • ギリシャ共和国とトルコ共和国間の、「エーゲ海の領海・領空問題」ですが、ギリシャ政府側が同国が主張する国際法に基づいた十二海里を要求するための強硬姿勢を打ち出しています(トルコ側は該当区域は国際法の例外としており、今回の動きはこれまでと同じ“ポピュリズム”であると批判……批判というか「どうせなにもできまい」とバカにしているというか)。また、トルコのエルドアン政権は以前より、ローザンヌ条約の改定を要求しており、どちらも事態が進めばコンスタンティノープルの全地総主教庁のトルコにおける立場をマイナスにするでしょう。
  • キエフ総主教フィラレート聖下は、今後の方針に関する協議を求めるウクライナ独立正教会の首座マカリー座下に対して、「協議の必要はない。こちらに合流せよ」という主旨の発言をした模様で(もともとの立場からするとフィラレート聖下からみればマカリー座下は下っ端もいいところ)、ウクライナ独立正教会側がどう対応するのかは不透明です(ウクライナ政府主導のため逆らうのは極めて難しいでしょうが、もともとなかなか合同できなかった二団体なので、短気な人たちが離脱して新教会を設立する可能性もあります)。キエフ総主教庁では、独立正教会となったときの首座の称号を使い分ける(国内では総主教、国外の独立正教会に対しては府主教または大主教)という議論を(ウクライナ独立正教会を無視して)しているようです(いきなり総主教ではどこも承認しないという判断でしょう)。他にすることはないのかと思うのですが、ないのでしょう
  • ギリシャ共和国の急進左翼連合【SYRIZA】ツィプラス政権は、教会と国家の分離を進めようとしています(憲法の改定が必要?)。いまいち内容の全貌がわかりませんが、その一部として、聖職者(ざっくりいうと司祭クラス)という名の公務員の人数が多すぎるのを減らそうとしているようです。ちなみに、この辺りに類似する話として、ローマ・カトリック教会では司祭の少数精鋭化が必要との意見が出ています。ともあれ、聖職者の数はともかくとして、ギリシャ共和国でギリシャ正教会の“特権”が失われることは、ギリシャ正教会のみならずコンスタンティノープルの全地総主教庁にとってもマイナスとなるでしょう。

 なお、そもそもの問題、「教会法上合法な教会」ですが、これは狭義では、「コンスタンティノープルの全地総主教庁及び、全地総主教庁に認められている13の独立正教会(それぞれの傘下の自治的権限を持つ教会を含む)」のことを指します。
 これだけ見ると、コンスタンティノープルの全地総主教庁がすべてを判断する場所のように思えますが、一方で、この地位は儀礼的なものであり、各独立正教会は同格、ともいわれます。
 問題が起きなければ別にどちらでもいいことなのですが、起きてみると、この二つは明らかに矛盾しています。

 また、「教会法上合法な教会」のみならず、それ以外の東方正教会系の「教会法上合法でない教会」を含めても、ロシア正教会の信徒が圧倒的に多いという現実があります(宗教人口の計測は難しいものですが、教会法上合法でない教会を含めても信徒数の半分以上がロシア国内のロシア正教会の信徒という結論が出せる調査もあります)。
 コンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会の間が完全に断絶した場合、コンスタンティノープルを正統とみると、信徒数が半分以下に減ります。それも、残りの全員がついている前提で、悪くすると、オリエント正教会系のエチオピア正教会単独より信徒数が少なくなる可能性もあります。
 そもそもトルコ当局はもとより「なにが『全地』だ! おまえは『イスタンブール総主教』だ!」と全地総主教の称号を認めていませんが、「全地」は無論のこと、コンスタンティノープルという名称自体を使用すること自体が敬意の表明でもあるので、今後のさらなる関係悪化にともない、ロシア正教会などが「イスタンブール総主教」「イスタンブール教会」などと呼称し始める可能性があります(トルコ当局の意見を尊重しただけですね)。

 

 そして、そもそもウクライナの人々は独立正教会など望んでおらず、独立正教会がどういう意味かもほとんど知らないというのが(ロシア側の調査だけでなく)オランダ外務省が出資する団体の調査でも明らかになっています。
 
 要するに今回の事態は、

・“キエフ総主教フィラレート聖下”は、教会法上合法な教会の地位を得たかった。ついでにいうと、ロシアをへこましたかった。
・ウクライナのポロシェンコ大統領が、次の選挙で負けそうなため「秘策」が欲しかった。ついでにいうと、ロシアをへこましたかった。
・そのため、(対ロシアのためと)うまくアメリカの政治家たちを丸め込んで、コンスタンティノープルの全地総主教庁に対してウクライナに独立正教会を設置するよう「説得」した。
・ただし、ウクライナの人々は独立正教会がどんなものかもわかっておらず、「政治的だ」などという批判以前に、純粋に無意味な可能性もある。
・キエフ総主教庁やその支持者は現在「ロシアざまぁ(笑)」と盛り上がっているという状況ですが、ヤヌコーヴィチ大統領が引きずりおろされた後、ロシアを中心に世界の混乱が深まったことを思い出させてくれます。世の中は優しい人が多いですが、これ以上の世界の混乱がまたもウクライナ発で起こることでウクライナ人になんの得があるのかさっぱりわかりません。
・ギリシャの正教会系メディアは、ウクライナの状況がほとんどわかっておらず、最近になってわかって慌てているようです。ウクライナの世論調査結果を見る限りバルソロメオス総主教の「ウクライナの人々が望んだ」は戯言であり、全地総主教庁下のカナダ・ウクライナ正教会の首座がポロシェンコ大統領を「聖ウラジーミル大公」「ヤロスラフ賢公」と並べて称える状況も彼らには理解不能でしょう。こんなバカバカしいことで東方正教会が分裂し、ギリシャ国内の信徒もアホらしくなって離れ、彼らが所属する組織の収入も減り、失業する可能性も上がる、ふざけるな、と肝も冷えているかもしれません。彼らが失業したら棄教するでしょう

 ……シスマではなく、質の低いコントを見せられている気もします。

 

 さて、ウクライナ・エストニアのほか、東方正教会内の「教会法上合法な教会」の間で以下のような管轄などに関する争いがあります。

 全地総主教庁とギリシャ正教会:
 ギリシャ国内にはコンスタンティノープルの全地総主教庁が管轄権を維持している地域が多数あり、それらはギリシャ正教会に「預けられている」ともいわれますが、実態としてコンスタンティノープルはギリシャ正教会側を尊重して動いておらず、ギリシャ正教会側の不満は高まっていることが報道からうかがわれます。
 しかし、おそらくギリシャ正教会は全地総主教庁に逆らえないでしょう

 エルサレム総主教庁とアンティオキア総主教庁:
 エルサレム側が一方的にカタールに大主教庁を設置したことにより、関係が断絶しています(当時、アンティオキアがエルサレムを“破門”と報道されました)。
 本来このような場合に調停をおこなうべき、コンスタンティノープルの全地総主教庁は、なにもできていません。
 そろそろ回復は無理だと判断され、シスマと呼ばれてもいいころ合いですが(もはや関係復帰がないと判断されるのがシスマ)、両教会ともロシア正教会との関係を重視しているためか、そうは呼ばれないことがほとんどです。とはいうものの、ロシア正教会にも調停は不可能でしょう。
 よって今回の分裂に伴い、完全に分断する可能性もあります。

 ロシア正教会とルーマニア正教会:
 モルドバ共和国に関する管轄権について、根本的には解決していないものの、当面のところ深刻な問題にはなっていません。
 今回の問題が飛び火する可能性も今のところないと思われます。
 キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下のモルドバ訪問日程が4日→2日に短縮(2018年10月)ルーマニア正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁に同調しモルドバの管轄権を両者で分割するとも
 情報が本当であれば一気にロシア正教会とルーマニア正教会のフル・コミュニオン解除となるでしょう。

 アメリカ正教会【OCA】:
 ロシア正教会が独立正教会として認め、他の数教会が追随していますが、コンスタンティノープルの全地総主教庁は独立正教会として承認していません。
 一方、同教会の聖職者に関しては「教会法上合法」であるという前提で対応しているため、細かく位置付けるのは難しいですが、全地総主教庁にとっては独立正教会ではないが独立して意思決定をおこなっている合法集団とでもいうべきものになっています(ロシア正教会は、自らの組織に所属したことがある聖職者についてはロシア正教会の一員とすることもありますが、最初からアメリカ正教会のみ所属している、あるいはほかの教会からアメリカ正教会に合流した聖職者については、ロシア正教会とは【同じ一つの教えを報じているものの】直接関係ないという立場にみえます。したがってアメリカ正教会をロシア正教会の一部としてみるのは現在では困難です)。
 コンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会の間が断絶になると、この教会の位置付けは微妙になりますが、一方、全地総主教庁系のフィンランド正教会とアメリカ正教会の交流は親密である、というよくわからない状況もあります。

 全地総主教庁管轄権下の自治正教会・フィンランド正教会:
 隣接しているため、問題が波及する可能性が上昇しているように思えます(コンスタンティノープルの全地総主教庁管轄権下の自治正教会フィンランド正教会が「ロシア正教会との対話の準備がある」。一方「全地総主教庁のやったことは正しく、ロシア正教会のやったことは一方的で悲しいことだ」(2018年10月)……対話する気はゼロ)。

 アトス山:
 教会とは分類しませんが、一般的に全地総主教庁下の管轄権にあるとされており、ロシア正教会が全地総主教庁とのフル・コミュニオンを解除した現在、ロシア正教会の信徒は同地で領聖を受けることができないと(ロシア正教会は)発表しています。
 一方、アトス山側では、そもそも全地総主教庁の管轄権にあるというのは儀礼的なものであるという主張や、アトス山は独立正教会というものとは違う分類に存在する場所という主張もなされています。どちらもロシア正教会の信徒が同地で領聖可能とするものです。しかし全地総主教庁の管轄権下にない、あるいは独立正教会という分類にあてはまらないというのは、要はどういうことなのか、いまいち要領を得ないところです。

 

 その他、コミュニオンの関係により、「教会法上合法な教会」になりうる団体。

 マケドニア共和国(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 : FYROM):
 「教会法上合法でない教会」である「マケドニア正教会-オフリド大主教庁」が存在し、セルビア正教会下にある(「教会法上合法な教会」である)「正教オフリド大主教庁」と対立しています。
 一方、ブルガリア正教会は、「マケドニア正教会-オフリド大主教庁」を「教会法上合法な教会」と位置付けようとしています。
 コンスタンティノープルの全地総主教庁は、「マケドニア」に関連する名称を一切認めないが、これを使わなければ受け入れる(=セルビア正教会との関係の断絶も辞さない)意思を示しているため、「名前を変える」「いや変えない」「今までの立場を捨ててセルビア正教会系に合流」とフェイクニュース(?)が相次いでいますが、最新の報道によれば名称を維持するつもりのようです。であれば、コンスタンティノープルの全地総主教庁の承認による「教会法上合法な教会」となることは難しいです(追記:2018年10月17日:全地総主教は「名前を変えてもダメ」と回答したようです)。
 ブルガリア正教会が単独で独立正教会として承認したり、自らの管轄権下の自治正教会と認めることはできますが、その場合、コンスタンティノープルの全地総主教庁だけでなくセルビア正教会やロシア正教会を敵に回すことになり、マイナスが大きすぎるため、東方正教会の完全分裂が確定的にならない限り、そうはしないでしょう。

 モンテネグロ正教会:
 セルビア正教会から「独立」しましたが、セルビア正教会が承認しないのみならず、現在のトップであるモンテネグロ府主教ミハイロ座下がコンスタンティノープルの全地総主教庁から破門されているため、動きはほぼないでしょう。
 とはいえ、今回コンスタンティノープルの全地総主教庁が Anathema を解除したフィラレート聖下率いる「教会法上合法でない(とはもはや完全にはいえませんが)教会」キエフ総主教庁とモンテネグロ正教会はフル・コミュニオンの状態にあります(これがどうなるのかまだ不明)。全地総主教庁はセルビア正教会と争うことをためらうつもりはなさそうなため、一夜で手のひら返しがあるかもしれません。
 また、モンテネグロ(国家)の西側接近により、ミハイロ座下が(教皇就任前の)ローマ教皇フランシスコ聖下と一回あったことがあるだけしか根拠はありませんが(根拠というほどでもないですが)、東方正教会を完全に見限り、ローマ教皇とフル・コミュニオンの関係に入る可能性も超ほんの少しだけあるのではないかと思います。

 アブハジア正教会:
 ジョージア【グルジア】がアブハジア自治共和国の実行統治を失ったため、“アブハジア共和国”内で独自に活動している正教会です。ジョージア正教会【グルジア正教会】はもちろん認めていません。
 ロシア正教会とジョージア正教会の関係が断絶した場合、ロシア正教会下で地位を認められる可能性があります。

 トルコ正教会:
 キリスト教/トルコ正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁を提訴。ロシアとウクライナの戦争を誘発するような行動はローザンヌ条約違反=トルコの刑法に違反とのこと(2018年10月)まだ存在していたことに驚きましたが……
 ※この教会は変なところ(ずいぶんと前から一家族を中心に運営がおこなわれている)なので、他教会とコミュニオン状態に入ることはないでしょうが、トルコ大統領エルドアン閣下の気分次第で全地総主教庁から聖堂などを奪えるかもしれません。

 ベラルーシ独立正教会:
 正直あまり情報がありません。ベラルーシ国内でどの程度認知されているかもわかりません(主にアメリカで活動??)。
 今回、教会法上合法な地位を得そうなウクライナ独立正教会とフル・コミュニオンの関係にある、場合によってはウクライナ独立正教会によって設立されたとまでいわれる教会です。
 彼ら自身は自らも教会法上合法な立場となる、あるいは独立正教会となるだろうと主張しています。(コンスタンティノープルの全地総主教庁は彼らについてなにひとつ言及していませんが)
 ベラルーシ共和国にはロシア正教会系のベラルーシ正教会(全ベラルーシ総主教代理区)が設置されておりそちらが完全に主流です。ルカシェンコ政権とも近しいため、政権転覆でもない限り、変化が起こる可能性は低いと思われます。

 

 以上、いろいろ述べましたが、コンスタンティノープルの全地総主教庁の今回のおこない自体が「教会法上合法でない」と述べる各教会関係者もおり、「教会法上合法」「教会法上合法でない」というのは、もはや実効性が伴わない限りなんの意味もない屁理屈であるのが現実です。

 


 

 コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ウクライナの管轄権を手放したことはないと発言したことにより、ロシア正教会モスクワ総主教庁との対立は引き返せないところまで来ました。

 西暦2018年、東方正教会は首位性を持っていたコンスタンティノープルの全地総主教庁と信徒数最大のロシア正教会の関係が破壊され、教会大分裂がおこりました

 いくつかの独立正教会が求めている問題解決のための汎・東方正教会の会合を、「全地総主教庁はその予定はない」と教会法上合法でない教会の主教が回答するという有様です。東方正教会とは……、「一つの教えを奉じている」とは……、教会法とは……なんだったのか
 もはや教会法上合法な教会など存在せず、政治的な派閥が存在するだけなのでしょう。

 この後、どのような経緯をたどって、「東方正教会は分裂した」という事実が認識されていくのかはわかりませんが、東西教会大分裂の経緯が参考になるでしょう。
 「自分たちが絶対なのだ」と主張し始めた勢力には、絶対的に従う離れるしかありません。

 

 

Spillover:

 

スイス大統領がキリスト教/マロン東方典礼カトリック教会総大司教庁を訪問。シリアとレバノンのキリスト教の総大司教・総主教・カトリコスやイスラム教指導者らが会見(2018年8月)

 2018年8月28日、スイス連邦大統領アラン・ベルセ博士閣下(His Excellency Federal President Dr Alain Berset)は、レバノン共和国北部にあるキリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/マロン東方典礼カトリック教会のアンティオキア総大司教庁を訪問、同教会の首座/アンティオキア・全レバント総大司教ベカラ・ブートロス・ライ枢機卿座下(His Beatitude and Eminence Moran Mor Béchara Boutros Cardinal Raï, O.M.M. , Patriarch of Antioch and the Whole Levant)と会見しました。
 大統領訪問に伴い、同庁にレバノンとシリアを拠点とする宗教指導者が集ったようです。

 キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)、

 キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/シリア東方典礼カトリック教会の首座/アンティオキア・東方全土総大司教“モラン”・“モル”・イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下(His Beatitude Patriarch Moran Mor Ignatius Youssef III Younan, the Patriarch of Antioch and All the East for Syriac Catholic Church)、

 キリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)、

 キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/メルカイト東方典礼カトリック教会首座/アンティオキア・東方全土(、アレクサンドリア、エルサレム)総大司教ユーセフ・アブシ座下(His Beatitude Patriarch Youssef Absi, S.M.S.P., Patriarch of Antioch【Antiochia】 and All the East, of Alexandria and Jerusalem of the Melkite Greek Catholic Church)、

 キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会(アルメニア正教会)のキリキア・カトリコスアラム1世聖下(His Holiness Aram I, Catholicos of Great House of Cilicia)、

 レバノン共和国駐箚ローマ教皇大使ジョゼフ・スピテリ大司教座下(セルタ名義大司教 : His Most Reverend Excellency Monsignor Archbishop Joseph Spiteri, Apostolic Nuncio to Lebanon, Titular Archbishop of Serta)、

 らの姿が見えます。

 会談では、シリアの反政府武装勢力に拉致されたまま行方のわかっていない、
 シリア正教会のアレッポ大主教“モル”・グレゴリウス・ヨウハンナ・イブラヒム座下(Mor Gregorius Youhanna Ibrahim, Archbishops of Aleppo)、
 東方正教会/アンティオキア総主教庁のアレッポ府主教ボウロス・ヤジジ座下(ポール・ヤジジ大主教Boulos Yaziji【Paul Yazigi】, Metropolitan of Aleppo)、
 らの救出も訴えらえたようです。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with His Excellency Swiss President Alain Berset | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك يلتقي فخامة الرئيس… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 (英語:アルメニア使徒教会キリキアのカトリコス庁公式サイト)HIS HOLINESS ARAM I EMPHASISED THE VITAL IMPORTANCE OF COLLABORATION BETWEEN SWITZERLAND AND LEBANON | Armenian Church Catholicosate of Cilicia

Armenian Churchさんのツイート: "Yesterday, during a meeting of the #President of Switzerland Mr. Alain Berset with the #Christian and #Muslim spiritual leaders of Lebanon, His Holiness Aram I stressed the pivotal importance of broadening the collaboration between #Switzerland and #Lebanon.… https://t.co/sf7u455kx1"

Երէկ առաւօտեան, երկօրեայ պաշտօնական… – Armenian Church, Holy See of Cilicia | Facebook

 

 (アラビア語:シリア東方典礼カトリック教会アンティオキア総大司教庁公式サイト)Syriac Catholic Patriarchate Official Website | غبطة أبينا البطريرك يلتقي فخامة رئيس الإتّحاد السويسري آلان بيرسي، الديمان، شمال لبنان

 

 (アラビア語:東方正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)استقبال الرئيس السويسري الان بيرسيت في الديمان – Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and All the East

استقبال الرئيس السويسري الان بيرسيت في… – Antioch Patriarchate | Facebook

 

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下が、ローマ教皇聖座駐箚レバノン共和国大使ファリード・エリアス・エル・ハーゼン閣下と会見(2018年8月)ハーゼン家公式サイトによると、同家はフランス王より“プリンス・オブ・ザ・マロナイツ”として言及されていたとのこと

※この記事は世界の王室ニュースと重複します。

 

 2018年8月22日、キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)は、レバノン共和国の総主教邸にて、ローマ教皇聖座駐箚レバノン共和国特命全権大使“シェイフ”・ファリード・エリアス・エル・ハーゼン閣下(His Excellency Cheikh Farid Elias el Khazen)と会見しました。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with Ambassador of Lebanon to Vatican | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

قداسة سيدنا البطريرك يستقبل سعادة سفير… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 ハーゼン家は、カトリックに属するマロン派の有力家門で(総大司教を複数排出)、同家公式サイト(About Us – Khazen.org)によりますと、

frequently refered as “Prince of the Maronites” by the Kings of France.

 と、フランス王から(元はフランス語の文章で、たぶん英訳でしょうが)プリンス・オブ・ザ・マロナイツ(Prince of the Maronites)として言及されていたとのことです。
※“当主”(いるのかどうかわかりませんけど)がそうなのか、全員がそうなのか、わかりませんが、現在は使用されていないようです。

 

キリスト教/シリア東方典礼カトリック教会首座/アンティオキア総大司教イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下が、シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下を訪問(2018年5月)

 2018年5月16日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/シリア東方典礼カトリック教会の首座/アンティオキア・東方全土総大司教“モラン”・“モル”・イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下(His Beatitude Patriarch Moran Mor Ignatius Youssef III Younan, the Patriarch of Antioch and All the East for Syriac Catholic Church)は、キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)を訪問しました。

 イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下には、
 アンティオキア教区付司教“モル”・ヨウハンナ・ジハード・ムタノス・バッター司教(ファエナ名義司教 : His Excellency Bishop Mor Youhanna Jihad Mtanos Battah, Curial Bishop of Antiochia【Patriarchal Vicar of the Syriac Catholic Patriarchal Diocese】, Titular Bishop of Phaena)、
 が同行。

 会談にはシリア正教会側から、
 “モル”・クリュソストモス・ミカエル・シェムーン座下(His Eminence Mor Chrysostomos Mikhael Shemoun, Patriarchal Vicar for the Patriarchal Benevolent Institutions in Atchaneh)、
 が同席した模様。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Visit of the Syriac Catholic Patriarch Mor Ignatius Youssef III Younan | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

 (アラビア語:シリア東方典礼カトリック教会アンティオキア総大司教庁公式サイト)Syriac Catholic Patriarchate Official Website

 

قداسة سيدنا البطريرك يستقبل غبطة بطريرك… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

16 May 2018, His Holiness Patriarch Mor… – Universal Syriac Orthodox Church | Facebook

 

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下が、オマーン駐箚のシリア大使を訪問(2018年5月)

 オマーン国滞在中のキリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)は、オマーン国駐箚シリア・アラブ共和国特命全権大使バサム・セイフェッディン・アル・ハティーブ閣下(His Excellency Mr Bassam Seifeddin Al-Khatib)を訪問しました。
 ベイルート府主教“モル”・クレーミス・ダニエル・クーリエフ座下(His Eminence Mor Clemis Daniel Kourieh, Metropolitan of Beirut)が同行した模様。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting with His Excellency Ambassador of Syria to Oman | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch