キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下が、今月【2018年8月】下旬にコンスタンティノープル全地総主教バルソロメオス聖下を訪問予定(2018年8月)東方正教会の分裂もささやかれる昨今

2018年~ ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立関連の記事一覧

 

 一部報道によりますと、今月【2018年8月】下旬に、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)は、トルコ共和国イスタンブールのキリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)を訪問するとのことです。

 ギリシャの正教会系メディアによると、これはロシア正教会側から口頭で申し込まれたとのこと。

 

 問題のもともとの発端は、ロシア正教会モスクワ総主教庁とコンスタンティノープルの全地総主教庁の主導権争いですが、特にここ数年のモスクワ側の全地総主教庁を軽視していると取られてもしょうがない数々の行動があり、全地総主教庁内で、ロシア正教会の管轄権下にあるウクライナに独立正教会を承認してもよいという動きが出てきていました。
 これはウクライナの政治家や、教会法上合法でない各教会(キエフ総主教庁やウクライナ独立正教会)からの要望もありますが、いずれにせよ当初は、本気でウクライナに独立正教会を承認するつもりなどなく、モスクワへの牽制という色合いが強かったように思えたものです(というか温厚(?)な意見をいう主教らの記事も出ていた状況)。
 しかし、いつの間にやらバルソロメオス聖下が「ウクライナは元から全地総主教庁の管轄権下にある」と発言し、モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))が「歴史的根拠はなにもない」と批判するなど、火種は燃え上がる一方、はっきりいって全地総主教庁は、現在合法でない教会からなる各教会を元にしたウクライナの独立正教会を承認するのではないかという見方が日に日に増えてきている状況です。

 正直、いまさら全地総主教庁がウクライナを見捨てることはないように思えます。それはモスクワへの完全な屈服を意味します。
 ロシア人の考えることはよくわからないので、今回の会談でなにを狙っているのかわかりませんが、完全な決裂となれば騒動になるでしょう。

 ロシア正教会の権威とバルカンでの影響力が低下すれば、ブルガリアの反ロシア派は勢力を増すでしょう。
 全地総主教庁すら否定している、ブルガリア正教会によるマケドニア正教会-オフリド大主教庁の教会法上合法な教会への組み入れ(独立正教会として承認するか、自らの管轄権下の自治的権限を持つ教会として承認)が起こる可能性も高く、その場合、「絶対に承認できない」とマケドニア側に伝えてきた全地総主教庁の権威もまた低下するでしょう。

 トルコ共和国大統領レジェップ・タイップ・エルドアン閣下(His Excellency Mr Recep Tayyip Erdoğan)の動向も問題となってきます。
 バルソロメオス聖下がウクライナに独立正教会を承認した場合、「エルドアンは全地総主教の力を見直すだろう」という楽観的すぎる見方もありますが、正直、ロシアとの関係の状況によっては、弾圧もあるのではないかと思います。

 

 (英語)Patriarch Kirill reportedly to visit Constantinople in late August / OrthoChristian.Com

 

キリスト教/ウクライナ独立正教会(UAOC)首座に“マカリー府主教”が選出される(2015年6月)

 2015年6月4日、キリスト教/東方正教会系統の教会法上合法でないウクライナ独立正教会(UAOC)は、2月24日に永眠した“メフォーディー府主教”の後継を選ぶ選挙を行い、“マカリー府主教”(リヴィウ府主教マカリー座下 : His Eminence Metropolitan Makariy of Lviv)が選出された模様です。
 1944年10月1日生まれの70歳。

 同府主教は、ロシア正教会の司祭でしたが、後にウクライナ独立正教会(UAOC)に移ります。
 メフォーディイ座下の永眠に伴い、首座代行に選出されていました。

 ウクライナ独立正教会は、ウクライナ国内に展開する東方正教会系の教会の一つで、人口の10%近い信徒が存在するとの調査もありますが、東方正教会の各教会からは合法的な教会として承認されていません。

 

 (英語)UAOC elects a new Primate – RISU
 (英語)Metropolitan Makariy of Lviv elected new Primate of the Ukrainian Autocephalous Orthodox Church | News | Orthodoxy Cognate PAGE

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)首座代行オヌフリー座下は、ウクライナ国内の正教会系集団融和の対話に懐疑的(2014年2月)

 キリスト教/東方正教会/ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系の首座代行に選出されたチェルニウツィー・ブコヴィナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan OnufryOnufriy】 of Chernovtsy and Bukovina)ですが、同じ正教会系統の教会集団でありながら分離している、ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】およびウクライナ独立正教会【UAOC】との対話について、現在のウクライナの社会情勢をふまえて懐疑的な見方を示しています。

 

記事:
 (英語)Interfax-Religion – Locum tenens of the Kievan See is skeptic about prospects of the dialogue with schismatics in the “time of trouble”