シスマ2018:キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下のモルドバ訪問日程が4日→2日に短縮(2018年10月)ルーマニア正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁に同調しモルドバの管轄権を両者で分割するとも

 【シスマ2018】2018年<東方正教会大分裂>: ウクライナへの独立正教会設置から始まったコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 ロシアの正教会系情報サイト「OrthoChristian.Com」によりますと、2018年10月25日~28日に予定されていたキリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)によるモルドバ共和国訪問が、10月27日~10月28日に短縮されたとのことです。
追記:
 10月30日現在で続報を見かけないので訪問がおこなわれたのかどうかわかりません。

 

 (英語)Provocations reportedly planned against Pat. Kirill during upcoming visit to Moldova / OrthoChristian.Com

 

 同サイトによりますと(微妙にまわりくどいのでまとめますと)、反ロシア的な不穏な政治情勢を考慮して訪問中止が検討されていたところを、モルドバ共和国大統領イーゴル・ドドン閣下(His Excellency Mr Igor Dodon)が「二日間だけでいいので来てください!」とお願いしたところ、そうなった、ということです。

 

 また、モルドバ共和国の管轄は、ロシア正教会系のモルドバ正教会と、ルーマニア正教会系のベッサラビア府主教庁が対立していますが、これに関して教会分裂的な進展があるという情報が出ています。
 キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)のルーマニア訪問が2018年11月に予定されており、その訪問中の2018年11月25日に、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会の首座/ルーマニア正教会総主教ダニエル聖下(ブカレスト大主教 : ムンテニア・ドブロジャ府主教 : カエサレア・カッパドキアエ座代行 : His Beatitude Daniel, Archbishop of Bucharest, Metropolitan of Muntenia and Dobrudgea, Locum tenens of the throne of Caesarea Cappadociae, Patriarch of the Romanian Orthodox Church)とともに、モルドバ共和国の管轄権に関する宣言をおこなうのではないかということです。
 モルドバ共和国にはガガウズ自治区というトルコ系東方正教会信徒が多数派の地域があり、ここをコンスタンティノープルが取り、残りをルーマニア正教会のものだと宣言するということでしょう。
※モルドバには、事実上独立している(というかロシア領になっているというか)沿ドニエストル共和国がありますが、ここは対ロシア戦争で勝ち取らない限りどうにもなりません

 ともあれ、この情報が本当だとすると、東方正教会の中で第二の信徒数があるルーマニア正教会が全地総主教庁に完全に同調することになり、教会間の調停は不可能だという見方がまた深くなるでしょう。

 

訃報(2018年10月22日):キリスト教/東方正教会/アトス山のドヒアリウ修道院長グリゴリウ掌院が永眠(?~2018)

 2018年10月22日、キリスト教/東方正教会/アトス山の第10席ドヒアリウ修道院の修道院長グリゴリウ掌院(Grigoriou)が永眠した模様。
 生年不明ですが、76歳とのこと。

 高位聖職者の参列のない、一介の修道士としての葬礼を希望していたということです(個人的な信念か、はたまた現在の東方正教会の混乱が原因かは不明)。

 

Romfea.gr:
Εξόδιος Ηγουμένου Δοχειαρίου Γρηγορίου – YouTube

 

 (英語)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord (+ VIDEO) / OrthoChristian.Com
 (英語:ルーマニア正教会通信)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord – Basilica.ro

 (ギリシャ語)Το ''ύστατο χαίρε'' στον Καθηγούμενο της Ι.Μ. Δοχειαρίου Γρηγόριο
 (ギリシャ語)Σε εξέλιξη η Εξόδιος Ακολουθία του γέροντα Γρηγορίου Αρχιπελαγίτη – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ
 (ギリシャ語)Ετάφη ο Αγιορείτης γέροντας Γρηγόριος – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ

 (ルーマニア語)A trecut la Domnul Arhimandritul Grigorie, Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos | Doxologia

 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos a trecut la Domnul – Basilica.ro

 

Doxologia – Marţi, 23 octombrie 2018, la câteva minute… | Facebook

 

Basilica.roさんのツイート: "Starețul Grigorie a fost unul dintre ucenicii Sfântului Amfilohie Makris. https://t.co/afmWtHnaMT"

 

Starețul Grigorie a fost unul dintre… – Agenția de știri Basilica | Facebook

 

シスマ2018 (Spillover):キリスト教/ギリシャの東方正教会メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、モスクワのムフティー(イスラム教スンナ派指導者)の発言を伝える「ムスリム(イスラム教徒)はウクライナの情勢を憂慮している」「宗教は融和のためのもの」「教会分裂は良くない」(2018年10月)

 ギリシャの東方正教会系メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、モスクワのムフティー(イスラム教スンナ派指導者)の発言を伝えています。

 

 (ギリシャ語)Μουφτής Ρωσίας: ''Ανησυχούμε για την εκκλησιαστική κατάσταση στην Ουκρανία''

 

 記事によれば、モスクワのムフティー アリビール・クルガーノフ師(Albir Kurganov)が「ムスリム(イスラム教徒)はウクライナの情勢を憂慮している」「宗教は融和のためのもの」「教会分裂は良くない」という主旨の発言をしたということです。

 

 (ロシア語)Презентация доклада "Свобода совести и религиозная нетерпимость в современном мире" прошла в стенах пресс-центра «Россия сегодня» – Официальный сайт Духовного управления мусульман Москвы и Центрального региона "Московский Муфтият"

 

 公式サイトっぽいものを見つけたので読んでみたところ、主題は「信仰の自由」「テロの脅威」「ウクライナ問題」「欧州の反イスラムと反ユダヤ」「社会の世俗化と非伝統的な価値観の広がり」ですが、記事ではウクライナについてはおまけにひとことくらいの扱いでした。

 

関連:
 2018年~ ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立関連の記事一覧

 

ロシア国営タス通信記事(英語):キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下「コンスタンティノープルの行動は東方正教会に長期に渡る亀裂を生み出す」(2018年10月)

 ロシア国営タス通信の記事ですが、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が、現在進行中の事態について「コンスタンティノープルの行動は長期に渡る亀裂を生み出す」とコメントしているようです。

 

 (英語)TASS: Society & Culture – Constantinople’s actions in Ukraine to trigger long-term rift, warns Serb patriarch

 

 もっとも、具体的な行動はというと、アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)とともに、「東方正教会の全体会合を呼びかける」声明を出すというなんの意味もないことくらいしかしていないので、これからも自分たちの教会に直接関係が出てこない限り何もしないと思われます。

 

関連:
 2018年~ ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立関連の記事一覧

 

インタビュー動画(アラビア語):キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教庁のアッカール府主教バシリオス座下及びニューヨーク・全北米大主教ジョセフ座下(2018年10月)アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下のセルビア訪問について

 キリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教庁の、
 アッカール府主教バシリオス座下(His Eminence, the Most Reverend Metropolitan Basilios of Akkar)、
 アンティオキア総主教庁下の北米アンティオキア正教キリスト者大主教庁首座/ニューヨーク・全北米大主教ジョセフ座下(His Eminence the Most Reverend Metropolitan Joseph of New York and All North America)、
 へのインタビュー動画です。

 

Greek Orthodox Patriarchate of Antioch and all the East(東方正教会アンティオキア・東方全土総主教庁公式チャンネル):
المطرانان باسيليوس وزحلاوي من صربيا – YouTube

 

 アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)の、セルビア共和国訪問についてです。