訃報(2019年3月8日):アルメニア使徒教会のコンスタンティノープル総主教メスロブ2世ムタヒャン座下が永眠(1956~2019)長期に渡る闘病もトルコ当局は「総主教は終身」と退任認めず。永眠に伴いエルドアン大統領閣下は総主教代行に弔意を伝えた模様

 2019年3月8日、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会の第84代コンスタンティノープル総主教メスロブ2世ムタヒャン大主教座下(His Beatitude Archbishop Mesrob II Mutafyan, Armenian Patriarch of Constantinople : メスロプ2世ムタフィアン総主教)が永眠した模様です。長期に渡る闘病中でしたが、3月8日に心臓発作で亡くなったということです。
 1956年6月16日生まれの62歳。1998年よりアルメニア使徒教会の第84代コンスタンティノープル総主教。

※なお、アルメニア使徒教会のコンスタンティノープル総主教は、現在では「イスタンブール総主教(Patriarch of Istanbul)」と表記されることもあります。また、同教会の二人の総主教(もう一人はエルサレム)は、個人の称号としては大主教(Archbishop)を所持し続けます。

 長期に渡る闘病(一般的にアルツハイマーと言われていますが、否定する情報も多く出ました)のため、2008年からアラム・アテシャン大主教座下(His Eminence Archbishop Aram Ateşyan)が総主教代行(あるいは代理または総代理)の職にあります。
 アルメニア使徒教会の現地(アルメニア共和国本国も)の聖職者・信徒らが総主教の退任と新たな総主教選出を求めていましたが、トルコ共和国当局は「総主教は終身」とこれを認めず。
 また、アテシャン大主教座下が長期に渡って代行職にあることへの反発なども起こります。
(追記:この間、2016年に、医者などの診断をもとに、総主教は教会の統治をおこなう能力がなくなったとして、空位扱いとなっているようです。)
 2017年には総主教選出の会議もおこなわれましたが、結局、総主教選出だったのか代行の選出だったのかもよくわからなくなり、また、結果も尊重されず、アテシャン大主教座下が代行を続けています。
 現地のアルメニア人コミュニティーに分断を残しましたが、ここまでトルコ当局が計算していたのかはなんともいえないところです。
 永眠に伴い、トルコ共和国大統領レジェップ・タイップ・エルドアン閣下(His Excellency Mr Recep Tayyip Erdoğan)は、アテシャン大主教座下に弔意を伝えた模様。
 また、新たな総主教選出がおこなわれるものと思いますが、トルコ当局が後継指名をおこなう可能性もあり、さらにもめるかもしれません。

 アルメニア使徒教会の構成ですが、本国アルメニア共和国のエチミアジンに座す「最高総主教・全アルメニア人のカトリコス」と、現在はレバノンに拠点を置いている「キリキアのカトリコス」の二人のカトリコスが存在します。これらのうち、前者がアルメニア使徒教会全体の首座とみなされますが、一方でカトリコスという称号自体が同じであるように地位も対等であるという認識、あるいは前者の優位はあくまで後者の承認の元にあると考える人々がいるなど、決してキリキアが単純に「次席」というわけではありません。また、そもそもこのカトリコスという地位は一つのものが分離したのであって、いつかは統合されるべきという考えもありますが、それぞれの先代である故ガレギン1世(キリキア・カトリコスとしてはガレギン2世)でも統合させることはできなかった(キリキアからエチミアジンに移動した)という現実があります。
 世界各国の組織もエチミアジン系列とキリキア系列で分かれており、エチミアジン系列の組織の公式サイトではキリキアに関する記述が何もなく(カトリコス同士の会見ニュースなどを除く)、キリキア系列ではその逆、ということもあります。
 同教会の、コンスタンティノープル総主教庁やエルサレム総主教庁はエチミアジンの系列にあります。

 

聖エチミアジン母座の公式アカウント:
Մահացել է Պոլսի հայոց պատրիարք… – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին/ Mother See of Holy Etchmiadzin

 

 トルコ・アルメニア総主教が死亡:エルドアン大統領が弔意 | TRT 日本語

TRT Japaneseさんのツイート: "トルコ・アルメニア総主教が死亡:エルドアン大統領が弔意 https://t.co/tozalAw8gV"

 

 (英語:アルメニア使徒教会キリキア・カトリコス庁公式サイト)THE ARMENIAN PATRIARCH OF CONSTANTINOPLE ARCHBISHOP MESROB MUTAFYAN PASSES AWAY | Armenian Church Catholicosate of Cilicia

 (英語)Turkey's Armenian Patriarch Mutafyan dies at 62 – Turkey News
 (英語)The Armenian Patriarch in Turkey passed away – Romfea News
 (英語)Armenian Orthodox Patriarch Mesrob II Mutafyan of Constantinople Enters Eternal Rest | News | Orthodoxy Cognate PAGE

 (英語:英国正教会公式サイト)Death of Patriarch Mesrob II of Constantinople – The British Orthodox Church
 (英語:英国正教会公式サイト)The funeral of His Beatitude Mesrob II, Armenian Apostolic Patriarch of Istanbul – The British Orthodox Church

 

Hürriyet Daily Newsさんのツイート: "Turkey's Armenian Patriarch Mutafyan dies at 62 https://t.co/GSCGwVEtOs… "

 

Romfea.newsさんのツイート: "The Armenian Patriarch in Turkey Mesrob Mutafyan passed away in Constantinople on March 8 #romfeanews https://t.co/20e9nkDHDT"

Romfea.news – The Armenian Patriarch in Turkey Mesrob… | Facebook

 

OCP® Tweetsさんのツイート: "+Memory Eternal+ https://t.co/wMHZMulZ6Z"

 

追記:
 聖エチミアジン母座での鎮魂の礼拝など。

Armenian Church(アルメニア使徒教会聖エチミアジン母座公式チャンネル):
Repose of Soul Service for His Beatitude Archbishop Mesrop Mutafyan – YouTube

 

追記2:
 トルコ共和国イスタンブール知事アリ・イェルリカヤ閣下(Ali Yerlikaya)が、総主教代行のアラム・アテシャン大主教座下を訪問。

Ali Yerlikayaさんのツイート: "Türkiye Ermenileri 84. Patriği II. Mesrob Mutafyan'ın vefatının ardından Kumkapı Ermeni Patrikhanesi Genel Vekili Başpiskopos Aram Ateşyan ve annesi Mari Mutafyan'a taziye ziyaretinde bulunduk.… https://t.co/qBfrUBYnvh"

 

訃報(2018年10月22日):キリスト教/東方正教会/アトス山のドヒアリウ修道院長グリゴリウ掌院が永眠(?~2018)

 2018年10月22日、キリスト教/東方正教会/アトス山の第10席ドヒアリウ修道院の修道院長グリゴリウ掌院(Grigoriou)が永眠した模様。
 生年不明ですが、76歳とのこと。

 高位聖職者の参列のない、一介の修道士としての葬礼を希望していたということです(個人的な信念か、はたまた現在の東方正教会の混乱が原因かは不明)。

 

Romfea.gr:
Εξόδιος Ηγουμένου Δοχειαρίου Γρηγορίου – YouTube

 

 (英語)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord (+ VIDEO) / OrthoChristian.Com
 (英語:ルーマニア正教会通信)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord – Basilica.ro

 (ギリシャ語)Το ''ύστατο χαίρε'' στον Καθηγούμενο της Ι.Μ. Δοχειαρίου Γρηγόριο
 (ギリシャ語)Σε εξέλιξη η Εξόδιος Ακολουθία του γέροντα Γρηγορίου Αρχιπελαγίτη – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ
 (ギリシャ語)Ετάφη ο Αγιορείτης γέροντας Γρηγόριος – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ

 (ルーマニア語)A trecut la Domnul Arhimandritul Grigorie, Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos | Doxologia

 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos a trecut la Domnul – Basilica.ro

 

Doxologia – Marţi, 23 octombrie 2018, la câteva minute… | Facebook

 

Basilica.roさんのツイート: "Starețul Grigorie a fost unul dintre ucenicii Sfântului Amfilohie Makris. https://t.co/afmWtHnaMT"

 

Starețul Grigorie a fost unul dintre… – Agenția de știri Basilica | Facebook

 

訃報(2018年5月17日? 5月18日?):キリスト教/ローマ教皇庁教理省エクレジア・デイ委員会名誉委員長ダリオ・カストリヨン・オヨス枢機卿座下、帰天(1929~2018)

 2018年5月17日のことか5月18日かはっきりしませんが(深夜帯?)、ローマ教皇庁教理省エクレジア・デイ委員会名誉委員長ダリオ・カストリヨン・オヨス枢機卿座下(His Eminence Darío Cardinal Castrillón Hoyos, President Emeritus of the Pontifical Commission “Ecclesia Dei”)が帰天しました。
 1929年7月4日生まれの88歳。

 コロンビア出身で、現役中の最も後期には、教理省のエクレジア・デイ委員会委員長を務めました(エクレジア・デイ委員会は、簡単にいえば、聖ピオ十世会などとの対話をおこなう部署)。

 帰天に伴い、枢機卿の人数は213人に減少しました。

 

 (英語)Cardinal Darío Castrillón Hoyos passes away in Rome | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Cardinal Darío Castrillón Hoyos passes away in Rome – YouTube

 

 (英語:ローマ教皇聖座公式サイト)Telegram of condolences of the Holy Father for the death of His Eminence Cardinal Darío Castrillón Hoyos, 18.05.2018

 (スペイン語)Muere Darío Castrillón Hoyos – Religión – Vida – ELTIEMPO.COM

 

訃報(2018年4月19日):キリスト教/エストニア正教会モスクワ総主教庁系首座/タリン・全エストニア府主教コルニリー【コルネリウス】座下が永眠(1924~2018)ロシア正教会の最年長の主教だった模様

 2018年4月19日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁下で自治的な権限を保有するエストニア正教会(モスクワ総主教庁系)の首座/タリン・全エストニア府主教コルニリー【コルネリウス】座下(His Eminence Cornelius【Korniliy】【Kornelius】, Metropolitan of Tallinn and All Estonia, Primate of the Estonian Orthodox Church of Moscow Patriarchate)が永眠した模様です。
 1924年6月19日生まれの93歳。

 自治的な権限を持つ管轄下の教会を含むロシア正教会の主教の中で最高齢だったようです。

 

 (ロシア語:エストニア正教会モスクワ総主教庁系公式サイト)Преставился Митрополит Таллинский и всея Эстонии Корнилий | Orthodox (Эстонская Православная Церковь Московского Патриархата)

 (英語)Head of Estonian Orthodox Church of Moscow Patriarchate reposes in the Lord / OrthoChristian.Com
 (ロシア語)Митрополит Таллиннский и всея Эстонии Корнилий ушел из жизни
 (エストニア語)Suri metropoliit Kornelius

 

Sputnik Эстонияさんのツイート: "Предстоятель православных Эстонии умер на 94-м году жизни https://t.co/eHlYozUUL8"
https://twitter.com/sputnik_estonia/status/986958411819573248

 

Neljapäeval, 19. aprillil suri Moskva… – Sputnik Eesti: Baltimaade uudised | Facebook

 

追記:
 名前表記について、「コルリー」としていましたがロシア語で「コルリー」が正しそうなので修正しました。
 また、エストニア語での「コルネリウス」を追加しました。

 

関連:
 ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下が、永眠したキリスト教/エストニア正教会モスクワ総主教庁系首座/タリン・全エストニア府主教コルニリー【コルネリウス】座下への弔意を表出(2018年4月)

続報:
 葬儀(2018年4月22日):キリスト教/エストニア正教会モスクワ総主教庁系首座/タリン・全エストニア府主教コルニリー【コルネリウス】座下の葬儀

 

訃報(2018年3月11日):キリスト教/マインツ名誉司教カール・レーマン枢機卿座下が帰天(1936~2018)

 2018年3月11日、キリスト教/ローマ・カトリック教会のマインツ名誉司教カール・レーマン枢機卿座下(His Eminence Karl Cardinal Lehmann, Bishop Emeritus of Mainz)が帰天しました。
 1936年5月16日生まれの81歳。
 枢機卿の人数は215人に減少しました。

 

 (ドイツ語:(マインツ司教区公式サイト特設ページ)Kardinal Lehmann | Bistum Mainz

 (ドイツ語:(マインツ司教区公式サイト)Karl Kardinal Lehmann – Bischof, Theologe, Brückenbauer, Zeuge des Glaubens
 (ドイツ語:(マインツ司教区公式サイト)Trauer um Karl Kardinal Lehmann

 

Bistum Mainz(マインツ司教区公式チャンネル):
Trauer um Karl Kardinal Lehmann – YouTube

 

Bistum Mainz(マインツ司教区公式チャンネル):
Karl Kardinal Lehmann – Bischof, Theologe, Brückenbauer, Zeuge des Glaubens – YouTube

 

 (英語:ローマ教皇聖座公式サイト)Telegram of condolences of the Holy Father for the death of His Eminence Cardinal Karl Lehmann
 キリスト教/ローマ・カトリック教会の首座/ローマ教皇聖座およびバチカン市国の絶対君主/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)が、マインツ司教ペーター・コールグラーフ座下(His Most Reverend Excellency Monsignor Peter Kohlgraf, Bishop of Mainz)に弔電。