キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下が入院中とのこと(2019年8月~9月)

 2019年8月29日からキリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が軍の医学アカデミーに入院中とのことです。

89歳になった翌日からです。

 医師らは早期の回復を見込んでいるようです。

 

 (セルビア語:軍の医学アカデミー公式サイト)Саопштење
 (セルビア語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)ВМА: Саопштење за јавност о здравственом стању Његове Светости Патријарха српског г. Иринеја | Српскa Православнa Црквa [Званични сајт]

 (セルビア語ラテン文字)Oglasili se lekari sa VMA-a o zdravstvenom stanju patrijarha Irineja | Telegraf – Najnovije vesti

 

 (英語)Patriarch Irinej of Serbia in stable condition after being urgently admitted to the hospital / OrthoChristian.Com

 上記の英語記事はロシアの正教会系メディア ORTHODOX CHRISTIANITY(OrthoChristian.Com) のものですが、入院の話のほか、イリネイ聖下がコンスタンティノープルのペルガモン府主教イオアニス座下(His Eminence Metropolitan John【Ioannis】【Joannis】 of Pergamon【Pergamum】 : ジョン・ジジウラス John Zizioulas)との会見を拒否したという話や(イオアニス座下は有名な神学者で、今回は当然のことながらコンスタンティノープルの立場を擁護しています)、アメリカ合衆国ロサンゼルスで催されたセルビア正教会の独立正教会承認800周年の祝賀への臨席を拒否したという話題が出ています。ロサンゼルスの方には、アメリカ大主教エルピドフォロス座下(コンスタンティノープルを並ぶもの無き第一人者とするコンスタンティノープル原理主義者の筆頭格で、次期総主教の最有力候補)を含むコンスタンティノープルの主教らが参列する予定だったということですが……コンスタンティノープルの圧力のせいで入院することになったと主張したいのか、単にこの際イリネイ聖下がコンスタンティノープル側との接触を拒否している話題を加えておきたかっただけなのかは不明です。

 

追記:

 (英語:セルビア正教会総主教庁公式サイト)Communique on health conditions of His Holiness Serbian Patriarch Irinej | Serbian Orthodox Church [Official web site]

His Holiness Serbian Patriarch Irinej has been in the Military Medical Academy since the 27th August 2019.

 セルビア正教会総主教庁公式サイトは、英語版だけ入院日付が記されており、報道されている8月29日とは異なる8月27日となっています。

 

続報:
 キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下が退院(2019年9月)

 

キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下で一方的に総主教代理区の地位を廃止(2018年11月)された西欧ロシア正教会大主教区の大主教が、コンスタンティノープルの聖シノドによって権限を奪われた模様(2019年8月)

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下にあったものの2018年11月にコンスタンティノープルから一方的に総主教代理区としては廃止され、大主教区という集団としても終わってしまいそうな西欧ロシア正教会大主教区。
 同大主教区の首座ジャン大主教(イオアン大主教)座下は、ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に皆で移りたいものの、反対するものもそれなりに、という状況。
 今月、ジャン大主教座下と、コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教の会談がおこなわれ、簡単にいえば引き留めがおこなわれましたが、事実上決裂。
 コンスタンティノープルの聖シノドは、ジャン大主教の権限をすべて剥奪し、エマニュエル府主教に権限が移動したようです。
 自分たちのところから勝手に出ていこうとしたものへの当然の処分ですが、コンスタンティノープルの今回の決定は大主教区の解体を正式に決定したようなもので、ジャン大主教座下は9月7日に予定されている大主教区の臨時総会においておそらくロシア正教会の管轄権下に移ることを諮るでしょう。

 

 (英語)The decisions of the Holy Synod of Ecumenical Patriarchate – Romfea News

※コンスタンティノープルの公式サイトに載っているギリシャ語の文章はなにがなにやらよくわからないので、 Romfea の英語記事にリンクしておきます。

 

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communique du Bureau de l’Archevêque du 31 août 2019

※こちらは2019年8月31日に声明を出して、臨時総会への準備を進めています。

 

 今回の処置で、大主教区の分裂は最終段階になりました。
 後はどれだけがモスクワの管轄権下に移るか、ということになりそうです。
 ここまでの状態になって、モスクワに移るということは、モスクワとコンスタンティノープルの縁が完全に切れてもモスクワに付く覚悟を決めねばならないことでもあり、正直どうなるかは予断を許さない状況です。
 英国のグレートブリテン・アイルランド司祭長区など、モスクワへ移ることを拒否しそうな傘下の集団は多々あり、では彼らがおとなしくコンスタンティノープルに従うかというとそれもわからないため、第三の選択肢=教会法上合法な教会からの離脱を選ぶ集団もあるかもしれません。
 シスマは新たなシスマを生む、と去年から何度も言われていますが、今のところシスマ2018以降に教会法上合法な教会から離脱した集団はいない(と思います)が、今回がファーストケースになる可能性がある程度あります。

 

追記:

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Константинополь исключил из своих рядов главу "русского экзархата" в Европе

 ロシアの Interfax は、このような権限を奪う行為は、教会法上合法な教会から別の教会法上合法な教会に移るために必要な決定であるとしています。
 つまり、ジャン大主教はすでにコンスタンティノープルではやる仕事がないのでモスクワ総主教庁に問題なく移籍できるようになった、ととれるそうです。
 どう判断すれば良いか、なかなか難しいところですが、コンスタンティノープルとしては、(少なくともまだ)モスクワと完全決裂するつもりはなさそうなため、ジャン大主教がモスクワ総主教庁に移りたければ問題なく移れるようにしたのかもしれません。
 一方、大主教区全体を手放すつもりはなさそうに思えますが……。

 

追記2:

 事態が整理(?)されてきています。
 コンスタンティノープルのフランス府主教庁公式サイトによると、要するに「モスクワの下につきたいなら一人でいけ(いきたいらしいので申請通りクビにしてあげます)」ということになるようです。

 (フランス語:フランス府主教庁公式サイト)Congé canonique pour l’Archevêque Jean de Charioupolis | Metropole Grecque Orthodoxe de France – Ιερά Μητρόπολις Γαλλίας

 一方、大主教区側公式サイトは、ジャン大主教はそんなこと(クビにしてくれ)を申請した覚えはないとしています。

 (フランス語:西欧ロシア正教会大主教区公式サイト)Archevêché des églises russes en Europe occidentale – Communiqué de l’Administration Diocésaine du 3 septembre 2019

 9月7日の臨時総会を前にしての情報戦でしょう。
 とにかくなるべく多くの人数をまとめてモスクワ総主教庁へ移りたいジャン大主教側と、なるべく多くを切り崩しておきたいコンスタンティノープル側のせめぎ合い。

 臨時総会に与える影響ですが、そもそもこの大主教区の総会自体がコンスタンティノープルや教会法とはなんの関係もない(そもそもコンスタンティノープルが教会法を守る気があるのかどうかはともかく)であることは最初から明らかで(それどころか総主教代理区としては廃止された後の大主教区の存在自体が……)、ここまで来たらなるべくしこりを残さずにそれぞれが好きなようにするのが良いと思いますが……無様なことになるかもしれません。

 

追記3:

 (英語)Constantinople releases Abp. John, leaving Russian Archdiocese in Western Europe with one option for discussion: joining the Moscow Patriarchate / OrthoChristian.Com

 

追記4:
 (英語)Interfax-Religion: “Russian exarchate” in Europe refused to subordinate to Constantinople

 

ウクライナ国会開会式で、キリスト教/東方正教会系の教会三派首座らそれぞれを接触させないように他の宗派・教派の人物が配置(2019年8月)

 2019年8月29日、ウクライナ国会で、選挙で新しく当選した議員らによる宣誓などがおこなわれたようです。
 キリスト教/東方正教会系の教会三派首座らそれぞれを接触させないように他の宗派・教派の人物が配置されているのを見て、吹き出してしまいました。

※写真を下記の記事か、フェースブックのほうでご覧ください。

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会モスクワ総主教庁系公式サイト)Предстоятель взяв участь в урочистому засіданні Верховної Ради – Українська Православна Церква
 (英語)Primate of UOC takes part in the ceremonial meeting of Verkhovna Rada – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】フェースブック:
Сьогодні народні депутати IX скликання… – Православна Церква України | Facebook

 

 写真向かって右から、

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会の、
 ボリスポリ・ブロヴァリー府主教【ボリスピリ・ブロヴァリー府主教】アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)、
 首座/キエフ・全ウクライナ府主教オヌフリー座下(His Beatitude Metropolitan Onufry of Kiev and All Ukraine)、

 間に三人挟んで、
 コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座“エピファニー府主教”、
 元ウクライナ独立正教会【UAOC】首座で、現在は OCU の“リヴィウ府主教”である“マカリー府主教”、

 間に一人挟んで、

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”(キーウ・全ルーシ=ウクライナ総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)、

 となっています。

 ぶっちゃけシスマ前から出てくるお三方(オヌフリー府主教、マカリー府主教、フィラレート総主教)はやっぱり全員来ているわけで、大山鳴動して鼠一匹というか、なんにも変わってないじゃないかと。

 ただ、今回のこの並びで、元 UAOC 首座のマカリー府主教が、 OCU において重要な位置を占めていることは確認できたかと思います。 UOC-KP がフィラレート総主教によって分裂した以上、むしろ UAOC からの基盤のほうが安定している可能性もあります。もちろん、それが OCU の安定につながるのかどうかはよくわかりませんが……。

 

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下が、「HC CSKAモスクワ」の関係者らと会見(2019年8月)

 2019年8月28日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)は、アイスホッケークラブチーム「HC CSKA【ツェスカ】モスクワ」の関係者らと会見しました。

 

russianchurch(ロシア正教会モスクワ総主教庁公式チャンネル):
Святейший Патриарх Кирилл встретился с представителями хоккейного клуба ЦСКА – YouTube

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Святейший Патриарх Кирилл встретился с представителями хоккейного клуба ЦСКА / Новости / Патриархия.ru

 

キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教ヨウハンナ10世聖下、シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下、カルデア東方典礼カトリック教会首座/ルイ・ラファエル1世サコ総大司教座下が MECC の会合へ(2019年8月)

 2019年8月29日、キリスト教/東方正教会/アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(ジョン10世 : His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)の招待により、キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)、キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/カルデア東方典礼カトリック教会の首座/バビロニア総大司教【バビロン総大司教】ルイ・ラファエル1世サコ座下(His Beatitude Patriarch Louis Raphaël I Sako, Patriarch of Babylon【Babilonia】, Archbishop of Baghdad, Chaldean Patriarch)らが、レバノン共和国にて開かれた MECC(Middle East Council of Churches : 中東教会会議)の会合に臨席しました。

 

 (英語:シリア正教会アンティオキア総主教庁公式サイト)Meeting of the Presidents of the Middle East Council of Churches | Syrian Orthodox Patriarchate of Antioch

اجتماع رؤساء مجلس كنائس الشرق الأوسط –… – His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook

 

 (アラビア語:カルデア東方典礼カトリック教会公式サイト)البطريرك ساكو يشترك في لقاء الهيئة التنفيذية لمجلس كنائس الشرق الأوسط – البطريركية الكلدانية

http://saint-adday.com/?p=34073 – البطريركية الكلدانية Chaldean Patriarchate | Facebook