キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、マランカラ・マル・トマ・シリア教会の補佐府主教と会見(2022年11月)

 2022年11月22日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、インドの、マランカラ・マル・トマ・シリア教会の補佐府主教ジョセフ・マル・バルナバス座下(His Eminence Joseph Mar Barnabas, Suffragan Metropolitan of the Mar Thoma Syrian Church)と会見しました。

 フランシスコ教皇との会見の後、補佐府主教は、ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会次官ブライアン・ファレル司教座下(アビティナエ名義司教 : Bishop Brian Farrell, L.C., Secretary of the Pontifical Council for Promoting Christian Unity, Titular Bishop of Abitinae)およびオリエント正教会担当の司祭と会談したようです。
 マランカラ・マル・トマ・シリア教会は、オリエント正教会のシリア正教会との関係が深いですが、現在はアングリカン・コミュニオンの一員です(アングリカンとは分類しないような気もしますが)。

 

 (英語:ローマ教皇聖座 公式サイト)Audiences, 23.11.2022

His Eminence Joseph Mar Barnabas, Suffragan Metropolitan of the Mar Thoma Syrian Church (Syro-Malankara Church in communion with the Anglican Communion);

 (英語:ローマ教皇庁キリスト教一致推進評議会 公式サイト)2022 11 28 Pope Francis audience Metropolita Barnabas

書籍形式PDFファイル(2022年11月 アラビア語・一部英語):キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下のスピーチを集めたもの。掲載写真のうちキリスト教指導者では、ローマ教皇フランシスコ聖下、ロシア正教会モスクワ総主教庁キリル聖下、エチオピア総主教“アブネ”・マティアス1世聖下、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下を重要視か

 キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)のスピーチ内容を集めた書籍形式の PDF ファイル「Their words to the end of the World」(アラビア語・一部英語)が公開されています。

 

 (英語版サイト)"Their words to the end of the World" .. An Online Book for H.H. Pope Tawadros II – Coptic Orthodox Church
※↑のページから PDF をダウンロードできます。

 

 掲載文章の中に写真が織り交ぜられているのですが、キリスト教指導者の他に、イスラム教指導者や世俗の要人などの写真も当然あります。
 キリスト教指導者で、コプト正教会以外、かつ集団で並んでいるわけではなく、二人で写っている写真が掲載されている方に限定すると、

  • (顔写真を並べたもの)ローマ・カトリック教会/ローマ名誉教皇ベネディクト16世聖下(His Holiness Benedict XVI, Pope Emeritus)
  • ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis
  • (故)オリエント正教会/シリア正教会首座/第122代アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・ザッカー1世イワス聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Zakka I Iwas, the Patriarch of Antioch and All the East, The Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)
  • 東方正教会/ロシア正教会首座/モスクワ・ロシア全土【ルーシ全土】総主教キリル聖下(キリール総主教キリイル総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)
  • オリエント正教会/エチオピア正教会首座/エチオピア総主教・カトリコス“アブネ”・マティアス1世聖下(His Holiness Abune Mathias I, Patriarch and Catholicos of Ethiopia)
  • クリストフ・シェーンボルン枢機卿座下(His Eminence Christoph Cardinal Schönborn, O.P., Archbishop of Vienna)>
  • 東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・ギリシャ全土大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)
  • (二人ではありませんが)オリエント正教会/シリア正教会首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)とオリエント正教会/アルメニア使徒教会(アルメニア正教会)キリキア・カトリコスアラム1世聖下(His Holiness Aram I, Catholicos of the Great House of Cilicia【Catholicos of the Holy See of Cilicia】)
  • ↑の“イグナティウス”・アフレム2世と二人の写真
  • 東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony of Volokolamsk, Chairman of the Department for External Church Relations of the Moscow Patriarchate)

※なお、周囲に人はいますが、ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/マロン東方典礼カトリック教会【マロン派】のアンティオキア・全レバント総大司教ベカラ・ブートロス・ライ枢機卿座下(His Beatitude and Eminence Moran Mor Béchara Boutros Cardinal Raï, O.M.M. , Patriarch of Antioch【Antiochia】 and the Whole Levant (Maronite))との写真もあります。

 訪問国の都合上ウィーン大司教とアテネ大主教は当然程度の扱い。
 また、シリア正教会とアルメニア使徒教会キリキア・カトリコス庁は同じオリエント正教会で近場=準・身内=重要なのは前提のようなものです。

 残りの方々のうち、フランシスコ教皇の取り扱いが一番多いです。
 続いて、エチオピア総主教、モスクワ総主教、ヴォロコラムスク府主教。
 カトリックに、ロシア正教会、エチオピア正教会、と、この辺りは当然のことでしょうか。

 エチオピア正教会は同じオリエント正教会で、コプト正教会側から20世紀に独立正教会と認められたとはいえ、信徒数はエチオピア正教会の方が多く、またエルサレムのスルタン修道院の件では争いも続いています。なかなか身内と言い切れない、そのような状況もあります。
 三者会合による声明からすると、シリア正教会およびアルメニア使徒教会キリキア・カトリコス庁はこの件においてコプト正教会側を支持しているようなので、この二教会のほうが立場が近い。
 また、オリエント正教会と東方正教会全体の会合はもう止まって終わったようなものですが、コプト正教会とシリア正教会はそれぞれロシア正教会と神学的対話を続けています。その観点からは、コプト正教会と一番近い立場にいる教会はシリア正教会となるでしょう。

 それにしても、アラビア語部分の最後が、ロシア正教会のアントニー府主教の来訪、ロシア正教会側からのメダルの授与、となっているのは示唆的ではあります。
 というか、率直に言って、驚きました。

関連:
 キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下が、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下と会見(2022年11月)
 キリスト教/東方正教会シスマ2022:アレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下が、モスクワ総主教キリル聖下の名を礼拝で挙げることを停止(2022年11月)ロシア側からは2019年に停止済み。相互に関係停止へ

 

 なお、 PDF の 89 ページは、タワドロス教皇の日本訪問時のものとなっています。

関連:
 キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下の来日、日本国外相 河野太郎 閣下と会見(2017年8月)

キリスト教/アルメニア東方典礼カトリック教会首座/キリキア総大司教カトリコスのラファエル・ベドロス21世ミナシャン座下が、レバノン駐箚のイラン大使と会見(2022年11月)

 2022年11月26日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/アルメニア東方典礼カトリック教会首座/キリキア総大司教カトリコスのラファエル・ベドロス21世ミナシャン座下(ベイルート司教 : His Beatitude Patriarch Raphaël Bedros XXI Minassian, I.C.P.B., Patriarch Catholicos of Cilicia, Bishop of Beirut)は、ラバノン共和国駐箚イラン・イスラム共和国特命全権大使モジタバ・アマニ閣下(Mojtaba Amani)と会見しました。

 アルメニア・イラン関係や、レバノン大統領選挙や不安定な政情、キリスト教とイスラム教が共通の起源を持つことの確認などを含む内容の会談がおこなわれたようです。

 アルメニア東方典礼カトリック教会側から、
 ベイルート補佐司教ケヴォルク・アサドゥリャン座下(アミダ・デッリ・アルメニ名義司教 : Bishop Kévork Assadourian, I.C.P.B., Auxiliary Bishop of Beirut, Titular Bishop of Amida degli Armeni)
 イスタンブール名誉協働大司教ケヴォルク・ハズミャン大司教座下(カエサレア・イン・カッパドキア・デッリ・アルメニ名義大司教 : Archbishop Kévork Khazoumian, I.C.P.B., Coadjutor Archbishop Emeritus of Istanbul, Titular Archbishop of Caesarea in Cappadocia degli Armeni)
 が同席。

 

 (英語)الوكالة الوطنية للإعلام – Patriarch Minassian meets with Iranian Ambassador: For electing a president of the republic to avoid multiplying crises

Ռաֆայէլ Պետրոս ԻԱ-ը ընդունեց… – armeniancatholic.org | Facebook

訃報(2022年11月27日):キリスト教/ワ司教リチャード・クウイア・バアウォブル枢機卿座下が帰天(1959~2022)

 2022年11月27日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/ガーナ共和国のワ司教リチャード・クウイア・バアウォブル枢機卿座下(Richard Kuuia Cardinal Baawobr, M. Afr., Bishop of Wa, Ghana)が帰天した模様です。
 1959年6月21日生まれの63歳。

 8月の枢機卿昇叙から短期間での帰天となりました。

 帰天に伴い、枢機卿の人数は225人に減少、うちローマ教皇選挙権保有者は126人です。

 

 (英語:ローマ教皇庁 キリスト教一致推進評議会 公式サイト)2022 11 28 In memoriam Cardinal Baawobr
 (英語:バチカンニュース)Cardinal Richard Baawobr dies unexpectedly – Vatican News
 (英語:バチカンニュース)SECAM: Cardinal Richard Baawobr infused the African Church with a new sense of optimism. – Vatican News

 

 (英語)Cardinal from Ghana who had to undergo surgery before the consistory dies | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Cardinal from Ghana who had to undergo surgery before the consistory dies – YouTube

中華人民共和国の地元当局が、ローマ教皇聖座が承認していない“江西教区”の補佐司教に、余江司教 彭卫照 座下を叙任したとの報道。聖座は「司教任命に関する暫定合意」に反するとして驚き反発し説明を求めている模様(2022年11月)

 (英語:バチカンニュース)Holy See: regret for installation ceremony of Bishop in China – Vatican News

 

 報道によりますと、中華人民共和国の地元当局が、2022年11月24日に、ローマ教皇聖座が承認していない「江西教区」の補佐司教に、余江司教彭卫照座下(His Excellency Bishop Giovanni Peng Weizhao, Bishop of Yujiang)を叙任したとの報道。聖座は「司教任命に関する暫定合意」(先月に二年延長が合意されたばかり)に反するとして驚き反発し説明を求めているようです。

 この、「江西教区」というのがどういうものなのかよくわかりませんが……。「補佐司教」に「叙任」ということは「教区長」に擬されている人物が聖座の承認を受けていないということなんでしょうか。

 

 (英語)Vatican criticizes Chinese government's decision ''as not in line with 2018 agreements" | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Vatican criticizes Chinese government's decision ''as not in line with 2018 agreements" – YouTube