キリスト教/アルメニア使徒教会タヴシュ教区長バグラト・ガルスタニャン大主教座下が首相候補への名乗りを挙げる(2024年5月)カナダとの二重国籍のため憲法上不可能か

 キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会のタヴシュ教区長バグラト・ガルスタニャン大主教座下(His Eminence Archbishop Bagrat Galstanyan, Primate of the Diocese of Tavush)がアルメニア共和国の首相候補への名乗りを挙げたようです。

 アルメニア共和国では、パシニャン首相率いる政権が、アゼルバイジャン共和国との国境画定のための政治的な協議をおこなっており、それがアルメニア側には納得できないものであるとする、反政権行動が起こっていますが、ガルスタニャン座下もその行動を率いる一人です。

 座下は、首相候補への名乗りを挙げるにあたり、アルメニア使徒教会の首座である全アルメニア人のカトリコスガレギン2世聖下へ教区長としての地位の返上を申し出たようです。
 これに対し、ガレギン2世と聖エチミアジン母座は、教区長としての地位は停止しているものの、座下は引き続き大主教の聖職階級に留まることが発表されています。

 座下が首相候補としてどれだけ支持を広げられるかという問題以前に、カナダとの二重国籍のため憲法上不可能であるようで、座下は憲法の改正から訴えているようです。

 

 (英語)Archbishop Bagrat Galstanyan Declares That He Is a Candidate for Prime Minister • MassisPost

MassisPost – Archbishop Bagrat Galstanyan Declares That He… | Facebook

 

 (英語)Archbishop Bagrat Galstanyan to retain episcopal rank – Mother See – Public Radio of Armenia
 (英語)In Armenia, Archbishop Bagrat becomes a candidate for premiership – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists

キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下が、ローマ教皇庁教理省長官ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿座下らと会見(2024年5月)

 2024年5月22日、キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)は、ローマ教皇庁教理省長官ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿座下(His Eminence Victor Manuel Cardinal Fernández, Prefect of the Dicastery for the Doctrine of the Faith)と会見しました。

 コプト正教会側の公式ウェブサイトの記載から取れるのは(英語版の記事はときどき変になるので注意ですが)、2024年3月に出された、いわゆる同性婚(so-called same-sex marriage)を拒否する同教会の聖シノドの声明に対し、今回の訪問時に枢機卿がこれに賛同した、ということです。
 2023年末に、ローマ教皇庁が、同性カップルを祝福できるという見解を示したと報道された後に、東方の教会ではこれに対して神学的対話への影響や中止に関する議題があがりました。
 枢機卿は、同性婚にカトリック教会が賛成しているわけではないことを伝えています。

 枢機卿には、エジプト駐箚ローマ教皇大使ニコラス・ヘンリー・マリー・デニス・テヴナン大司教座下(アエクラヌム名義大司教 : Archbishop Nicolas Henry Marie Denis Thevenin, Titular Archbishop of Aeclanum, Apostolic Nuncio to Egypt, Apostolic Nuncio to Oman)が同行(なぜかコプト正教会の記事では毎回 Cardinal と表記されますが……)。

 

 (英語:コプト正教会 公式ウェブサイト)H.H. Pope Tawadros II Receives Cardinal Victor Fernandez, Envoy of the Pope of the Vatican, and Head of the Vatican’s Department of Doctrine and Faith – Coptic Orthodox Church

قداس… – Coptic Orthodox Church – الكنيسة القبطية الأرثوذكسية | Facebook

 

追記:
 バチカンニュース(英語版)でも記事が出たのでリンクしておきます。

 Fiducia supplicans: Fernández Visits Tawadros – Vatican News

 

追記2:
 ROME REPORTS も映像付きで記事を出しました。
 東西教会の融和(が進まない原因となりうる)ということで注目が高かった項目ということでしょうか。

 (英語)Vatican seeks to clear up misunderstandings with Coptic Church over same-sex blessings – Rome Reports

ROME REPORTS in English:
Vatican seeks to clear up misunderstandings with Coptic Church over same sex blessings – YouTube

インタビュー:ローマ教皇庁国務省外務局局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教座下のインタビュー映像(2024年5月)

 ローマ教皇庁国務省外務局局長【外務大臣 相当】ポール・リチャード・ギャラガー大司教座下(ホデルム名義大司教 : His Most Reverend Excellency Monsignor Archbishop Paul Richard Gallagher : Titular Archbishop of Hodelm)

 ベトナム、ヨルダン・中東、ガザ地区の話題・二国家解決や、ウクライナ、中南米、移民の話題など。

 

 (英語)Vatican Foreign Minister on Israel-Gaza conflict: Two state solution is “the only option” – Rome Reports

ROME REPORTS in English:
Vatican Foreign Minister on Israel-Gaza conflict: Two state solution is “the only option” – YouTube

 

ロングバージョン/
ROME REPORTS in English:
Vatican Foreign Minister: relations with Vietnam and challenges of migration – YouTube

インタビュー動画(英語):キリスト教/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座/エルナクラム=アンガマリー首位大司教ラファエル・タッティル座下へのインタビュー映像(2024年5月)

 インドのキリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/シリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座/エルナクラム=アンガマリー首位大司教“マル”・ラファエル・タッティル座下(His Beatitude Archbishop Mar Raphael Thattil, Major Archbishop of Ernakulam-Angamaly)へのインタビュー映像です。

 

Vatican News – English:
Interview: Archbishop Raphael Thattil, head of Syro-Malabar Church – YouTube

 

 (英語:バチカンニュース)Archbishop Thattil: Union with Rome central to Syro-Malabar identity – Vatican News

The following transcript has been lightly edited for reasons of style and brevity.

※つまり、記事のテキストは、動画中の座下の発言そのままではありません。

 

関連:
 キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、インドのシリア・マラバル東方典礼カトリック教会(シロ=マラバル東方典礼カトリック教会)首座/ラファエル・タッティル首位大司教座下ら同教会の聖職者らと会見(2024年5月)

キリスト教/スペインのブルゴス大司教区にあるクララ会の修道院の修道女たちが、教皇座空位論の“司教”に従いカトリック教会を離れると宣言した模様(2024年5月)

 2024年5月13日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/スペインのブルゴス大司教区にあるクララ会の修道院(ベロラドとオルドゥーニャ?)の修道女たちが、教皇座空位主義者(Sedevacantism)の“司教”であるパブロ・デ・ロハス・サンチェス=フランコPablo de Rojas Sánchez-Franco)に従い、カトリック教会を離れる決定をしたと報じられています。

 彼女たちの「カトリック・マニフェスト」によると、正統な最後のローマ教皇をピウス12世としており、その後のローマ教皇は現在に至るまで異端の僭称者ということになります。
 従って、彼女たち自身の立場からすると、現在のカトリック教会のほうがカトリックでなくなっており、彼女たち自身が正しいカトリックの立場を取っているという理屈になります。

 ブルゴス大司教マリオ・イセタ・ガビカゴヘアスコア座下(Archbishop Mario Iceta Gavicagogeascoa, Archbishop of Burgos)は、当初そのニュースを信じなかったそうですが、事実を確認したのちに、驚きと懸念を表明しています。

 

 (英語)Spain archbishop on schismatic nuns: ‘I don’t know if they realize the profound consequences’ | Catholic News Agency
 (英語)Nuns in Burgos and Vizcaya break with the Pope and the Catholic Church: "They will call us heretics and madwomen" | Sur in English
 (英語)Schismatic Poor Clares: A major scandal surrounding a small monastery – english.katholisch.de
 (英語)Spain Archbishop on Schismatic Nuns: ‘I Don’t Know if they Realize the Profound Consequences’| National Catholic Register

 

続報:
 キリスト教/スペインのブルゴス大司教区にあるクララ会の修道院の修道女たちが、教皇座空位論の“司教”に従いカトリック教会を離れると宣言した件、処分の手続きが開始されている模様(2024年6月)