訃報(2024年3月13日):キリスト教/ブルガリア総主教ネオフィット聖下が永眠(1945~2024)

 2024年3月13日、キリスト教/東方正教会/ブルガリア正教会の首座/ブルガリア総主教・ソフィア府主教ネオフィット聖下(His Holiness Patriarch Neophyte【Neofit】 of Bulgaria, Metropolitan of Sofia)が多臓器不全のために永眠した模様です。

 1945年10月15日生まれの78歳。

 度々の健康不安が伝わっていましたが、ブルガリア総主教庁より永眠が発表されました。

 

 (ブルガリア語:ブルガリア正教会総主教庁公式ウェブサイト)СЪОБЩЕНИЕ ПО ПОВОД КОНЧИНАТА НА НЕГОВО СВЕТЕЙШЕСТВО БЪЛГАРСКИЯ ПАТРИАРХ И СОФИЙСКИ МИТРОПОЛИТ † НЕОФИТ

 

Вечна… – Българска православна църква – Българска патриаршия | Facebook

 

СЪОБЩЕНИЕ ПО ПОВОД КОНЧИНАТА НА НЕГОВО СВЕТЕЙШЕСТВО БЪЛГАРСКИЯ ПАТРИАРХ И СОФИЙСКИ МИТРОПОЛИТ † НЕОФИТ | By Българска православна църква – Българска патриаршияFacebook | Facebook

 

XユーザーのEmbassy of the Republic of Bulgaria in Japanさん: 「【訃報】ブルガリア正教会のネオフィット総主教は2024年3月13日に逝去いたしました。 生前のご厚情に感謝し、ここに謹んでお知らせいたします。3月15日、16日、ブルガリア共和国は喪に服します。 https://t.co/P2eHqZzIZ2」 / X

 

 (英語)Patriarch Neofit of Bulgaria reposes in the Lord / OrthoChristian.Com
 (英語)Patriarch Neophyte of Bulgaria Enters Eternal Rest – Orthodoxy Cognate PAGE
 (英語)Patriarch Neophytos of Bulgaria has departed to the Lord – Raskolam.net

 外務省 海外安全ホームページ|ソフィア市内におけるブルガリア総主教葬儀等に際する交通規制:3/16

○3月16日(土)午前9時30分から、ソフィア市内の聖アレクサンダル・ネフスキー大聖堂等において、ブルガリア総主教逝去に伴う葬儀等が執り行われることに際し、以下の時間・場所において交通規制が実施されます。

 

関連:
 キリスト教/ブルガリア正教会が、聖シノド副議長(首座代行職)にヴラツァ府主教グリゴリー座下を選出(2024年3月)次期総主教選挙は6月30日の予定

ベラルーシ系の小教区(?)が、アメリカ合衆国ウクライナ正教会(UOC-USA)に加入したという話(2024年3月)

 ベラルーシ系の小教区(?)が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル/アメリカ合衆国ウクライナ正教会(UOC-USA)に加入したという話が出ています。

 

 (英語:アメリカ合衆国ウクライナ正教会 公式ウェブサイト)Our Lady of Zhyrovytsk Belarusian Orthodox Cathedral of Strongsville, OH Embraced into Spiritual Union with the Ukrainian Orthodox Church of the USA | Ukrainian Orthodox Church of the USA
 (英語)Ohio: Schismatic Belarusian parish joins Ukrainian Orthodox Church of the USA (Constantinople) / OrthoChristian.Com

 

 UOC-USA公式ウェブサイトは、加入した集団がもともと所属していた教会については述べていません。

 OrthoChristian.Com は、加入した集団について、ベラルーシ独立正教会(Belarusan Autocephalous Orthodox Church)に所属していた1小教区とし、たまに言及されているベラルーシ独立正教会(Belarusian Autocephalous Orthodox Church)とは別の教会としています。
※”Belarusan”と”Belarusian”で “i” の有無の異綴字になっています。

 OrthoChristian.Com は加えて、三名の主教がシノドを構成しているとしていますが、主教を三名も擁している集団が、系譜関係もまったく知られずに存在しているものか、と困惑したので、リンクされているその公式ウェブサイトを見てみたところ。

その小教区というか、聖堂?の公式ウェブサイト:
 (英語)BELARUSAN ORTHODOX CATHEDRAL – HOME
※今後、閲覧が可能かどうか不明です。

 どうやら、 UAOC-Sobornopravna というウクライナの在外の教会の系統を組むようで、三名のうち、二名は UAOC-OU (在外ウクライナ独立正教会?)と書かれています。
 また、後者のベラルーシ独立正教会の首座および唯一の主教“スヴャタスラウ大主教”は一時期この教会とも関係があったようですが、現在は関係が無いようです。

His Beatitude, The Most Blesséd UAOC-OU Metropolit MAKARIOS, Svyachenno-Archimandrit,
His Beatitude, The Most Blesséd BAOC Metropolitan SERAFIM, Elder
His Eminence, The Most Rev. UAOC-OU Archbishop DAVID, Geron

+Metropolitan of Vilnius and New York Seraphim
+ Metropolitan Makarios of Houston and Texas
+Archbishop of Kansas and Missouri DAVID

 “ヴィリニュス・ニューヨーク府主教セラフィム座下”(BAOC)
 “ヒューストン・テキサス府主教マカリオス座下”(UAOC-OU)
 “カンザス・ミズーリ大主教デービッド座下”(UAOC-OU)

※「ヴィリニュス」はリトアニアの首都じゃないのと思った方のために説明しておきますと、(詳しく知りませんが)ベラルーシ人の中にヴィリニュスはもともとベラルーシ人のものだったというような感覚があるようです。事実はわかりません。

 この三名が今どのような活動をしているのか、唯一の情報源でもあるようなサイトを持つ聖堂を持っていかれて今後活動ができるのかはまったく不明です(特にセラフィム府主教)。
 また、今回の「加入」が、彼ら三人の同意があったのかどうかもわかりません。

キリスト教/ルーマニア正教会が、「ウクライナ・ルーマニア正教会」を“設置”(2024年2月)

 2024年2月29日、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会総主教庁の聖シノドの会合がおこなわれました。
 発表文のうち、

追記(2024年3月5日):
 英訳版の発表文が出ているのであらためてリンク。またその他の記事へのリンクを追加。

 

 (英語)Romanian Orthodox Church Holy Synod meets for first time this year: main decisions – Basilica.ro

XユーザーのBasilica.ro (EN)さん: 「Romanian Orthodox Church Holy Synod meets for first time this year: main decisions https://t.co/fEV1qeNy4Z https://t.co/XN8adTsE92」 / X

11. To bless, encourage and support the initiatives of Romanian Orthodox communities in Ukraine to re-establish communion with the Mother Church – the Romanian Patriarchate – through their legal organisation in a religious structure called the Romanian Orthodox Church in Ukraine.

 

 (ルーマニア語)Comunicat: Noi hotărâri ale Sfântului Sinod al Bisericii Ortodoxe Române – Basilica.ro

XユーザーのBasilica.roさん: 「Comunicat: Noi hotărâri ale Sfântului Sinod al Bisericii Ortodoxe Române https://t.co/0OXQIEdLTz https://t.co/ap3iSPn6DG」 / X

11. binecuvântarea, încurajarea și susținerea inițiativelor comunităților ortodoxe românești din Ucraina de a reface comuniunea cu Biserica Mamă, Patriarhia Română, prin organizarea lor juridică în structura religioasă numită Biserica Ortodoxă Română din Ucraina.

 ウクライナにいる、ルーマニア総主教庁とコミュニオンを回復したいルーマニア系住民のために「Biserica Ortodoxă Română din Ucraina」という組織を通じて支援をおこなうとしています。
 この組織がいかなるものなのかは大っぴらにはなっていませんが、英訳では「Romanian Orthodox Church in Ukraine」とされています。日本語では「ウクライナ・ルーマニア正教会」とでもなるでしょうか。

 

 (英語)Romanian Synod establishes “Romanian Orthodox Church of Ukraine,” Ukrainian hierarch responds / OrthoChristian.Com
 (英語)Romanian Patriarchate establishes the "Romanian Orthodox Church of Ukraine" – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)UOC comments on the creation of "Romanian Orthodox Church of Ukraine" – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)OCU calls creation of Romanian Church of Ukraine "brazen invasion" – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)The Synod of the Romanian Church established the “Romanian Orthodox Church of Ukraine” – Raskolam.net
 (英語)The UOC commented on the decision of the Romanian Church to create the “Romanian Church of Ukraine” – Raskolam.net
 (英語)A religious scholar said that the Romanian Church’s decision is a very bad signal for the OCU – Raskolam.net
 (英語)The OCU accused the Romanian Church of working for the FSS over the establishment of the Romanian Orthodox Church of Ukraine – Raskolam.net
 (英語)Controversial decision by Romanian Patriarchate on Ukraine | Orthodox Times (en)
 (英語)Romanian Orthodox Church Opens Door to Ukrainian Communities – Orthodoxy Cognate PAGE
 (英語)Romanian Orthodox Church seeks to establish a canonical branch in Ukraine’s territory – RISU

 

 さて、ここからは管轄権の話ですが。
 現在、東方正教会で主流とみなされる教会のうち、ウクライナの管轄権を主張しているのは、

  • ロシア正教会モスクワ総主教庁
  • ウクライナ正教会(UOC) … モスクワ総主教庁系とも呼ばれますが、現在、独立を宣言しています(教会法上の扱いは難しい状況)。
  • OCU … コンスタンティノープルが教会法をいい加減に取り扱って設置した教会。コンスタンティノープルと、ギリシャ、キプロス、アレクサンドリアが独立正教会として認めていますが、他の教会からは独立がどうとかいう以前にまともな教会組織としてすら認められていません(2019年にトモスを受取りもう五年……)。

 今回のルーマニア正教会の決定は、上記の三教会のいずれとも事前に話をしたという形跡はありません。
 つまり、ルーマニア正教会は他の教会の管轄権を侵害しています。

 これをルーマニア正教会側から見ると、ロシア正教会と話をするのは政治的にリスクが高い上にウクライナ国内においてはまったく無意味であり、モスクワの手先としてウクライナ政府に弾圧されているウクライナ正教会(UOC)と話をするのも意味がなさそうです。
 また、ルーマニア正教会は OCU を認めておらず、話をする必要がある相手ではありません(上記ニュース記事によれば、その OCU の聖職者はルーマニア正教会をモスクワの手先と罵りはじめましたが……)。

 よって、すべて無視して勝手に決めて発表するのが最善なのでそうした、というのが一つの見方でしょう。

 ただ、ウクライナ国内のルーマニア系住民のうち、今回のこの取り組みに賛同している人々がどれだけいるのかはよくわからないところです。

 また、ルーマニア正教会が、上記三教会とこれからも話をしないかはよくわからないところです。これは同教会の長期的な方針があるのかないのか、あるとしたらどういうものかなのにもよります。
 モスクワ総主教庁と一定程度の友好関係を保とうとするのか、 OCU を承認することがありうるのか、また歴史的にはルーマニアの一部でもあったブコビナ(ブコヴィナ)などのウクライナ側の地域を自教会の管轄権内に入れたいのか、など。

 ロシア正教会やウクライナ正教会(UOC)が今回のこの件(管轄権侵害)だけでルーマニア正教会とのコミュニオンを解除するとは思えませんが、ロシア正教会とはモルドバの管轄権を巡って問題が続いており、想定外の事態が発生すればそこまでいってしまうこともありえます。

 

追記:
 この事態がどのように進むかはわかりませんが、一つだけ重要なことを追記しておきます。
 ローマ教皇聖座駐箚のウクライナ特命全権大使アンドリー・ユラシュ閣下(His Excellency Mr Andrii Vasyliovych Yurash)という人物がいて、彼は 2011年(この時は大使ではない)に以下のように述べています。

 (英語)Religious Expert: Russian Orthodox Church Cannot Keep Romanian Orthodox Church From Coming to Ukraine – RISU

“From the viewpoint of the law, the position of the Romanian Patriarchate in Ukraine can be the same as those of the Kyivan Patriarchate. The Ukrainian laws do not and cannot prohibit in any way the development of communities and, later, eparchies of any patriarchate here,” explained Andrii Yurash.


The Ukrainian laws do not and cannot prohibit in any way the development of communities and, later, eparchies of any patriarchate here,
 要するにウクライナには信教の自由があるから、ロシア正教会が教会法違反だと言おうが、ルーマニア総主教庁(ルーマニア正教会)がウクライナでどう活動しても自由だ、ということです。
 これだけ聞くと「その通りだ」と思うかもしれませんが、これは、ルーマニア総主教庁がウクライナに進出すると、ルーマニア系住民が所属しているモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会(UOC)から教区を奪うので、「ざまあ」と言いたいという、ざっくり言えばそれだけのことです。
 この記事が出ているのが 2011年。
 そして13年後の2024年、まさしくルーマニア総主教庁がルーマニア系の信徒のためにウクライナで自由に活動しようという表明をしたところ、このユラシュ閣下が熱烈に支援している=反モスクワの OCU の“聖職者”は、ルーマニア総主教庁を「教会法違反」「モスクワの手先」と罵る事態になっています。

 

追記(2024年3月7日):

 (英語)Creation of the "Romanian Church of Ukraine": the first conclusions – Faith Protection – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists

 ある程度のまとめ記事のようなものです。

 最後の方にある見立てですが。

 コンスタンティノープルが沈黙しているのは、 OCU (コンスタンティノープルがウクライナについて管轄権を認めた)のトップがコメントを出すのを待っているか、あるいはすでにルーマニア正教会とコンスタンティノープルで“取引”が出来ておりルーマニア正教会が OCU を承認する前提での対価になっているという見方です。後者の場合、ルーマニア正教会を批判している OCU の聖職者らは事実を知らされていないということになるでしょうか。そしてこれも後者の場合ですが、ロシア正教会はルーマニア正教会とのコミュニオンを解除することになるでしょう。

 

追記(2024年3月8日):
 UOC と OCU のコメント。
 OCU はルーマニア正教会を批判し、コンスタンティノープル総主教とルーマニア総主教に書簡を送ることを決定したようです。

 (英語:UOC 公式ウェブサイト)Commentary by the UOC Information and Education Department in connection with the intention of the Romanian Orthodox Church to establish her entity on the territory of Ukraine – Ukrainian Orthodox Church
 (英語)The UOC commented on the intention of the Romanian Orthodox Church to open its structure on the territory of Ukraine – Raskolam.net
 (英語)UOC urges Romanian Church to reconsider its decision on Ukraine – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)Ukrainian Church Denounces Romanian Orthodox Church's Move to Establish Entity in Ukraine – Orthodoxy Cognate PAGE

 (英語)The OCU condemned the decision of the Romanian Church to establish its structure in Ukraine – Raskolam.net
 (英語)Synod of OCU condemns the establishment of 'Romanian Church in Ukraine’ – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists

キリスト教/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】の首座/東方カトリコスのバセリオス・マルトマ・マシューズ3世聖下が、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下と会見(2024年2月)

 キリスト教/オリエント正教会/マランカラ正教シリア教会【インド正教会】首座/東方カトリコス・マランカラ府主教“モラン”・“マル”・バセリオス・マルトマ・マシューズ3世聖下(シロ・マランカル典礼カトリコスバゼリオス・マルトマ・マテウス3世 : His Holiness Moran Mar Baselios Marthoma【Mar Thoma】 Mathews III)が、インドを訪問中のキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony of Volokolamsk, Chairman of the Department for External Church Relations of the Moscow Patriarchate)と会見しました。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁 渉外局 公式ウェブサイト)Metropolitan Anthony holds talks with Primate of Malankara Church

 

റഷ്യൻ പ്രതിനിധി സംഘം ദേവലോകം… – Catholicate News | Facebook

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下のインド司牧訪問関連(2024年1月~2月)

 2024年1月~2月、キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)のインド司牧訪問がおこなわれています。

 いくつか個別に記事にしますが、こちらにも直接リンクを貼っていきます。
※多忙のため断念しました。

 

XユーザーのMor Aphrem IIさん: 「Arriving in the Diocese of Malabar, Wayanad District, northern Kerala in the second part of the Apostolic Visit to India 🇮🇳 https://t.co/bh0CPiokDk」 / X

 

Arrival of His Holiness Mor Ignatius Aphrem II to Meenangadi – February 1st, 2024 وصول قداسة سيدنا البطريرك مار إغناطيوس أفرام الثاني إلى مينانغادي – ١… | By His Holiness Patriarch Mor Ignatius Aphrem II | Facebook