キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)

関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 上記ニュースに関して、キプロス正教会の、

 レメソス府主教アサナシオス座下(His Eminence Metropolitans Athanasios of Limassol)、
 キッコス・ティリリア府主教ニキフォロス座下(His Eminence Metropolitans Nikiforos of Kykkos)、
 タマソス・オレイニ府主教イサイアス座下(His Eminence Metropolitan Isaias of Tamassos and Oreini)、
 アマサス主教ニコラオス座下(His Grace Bishop Nikolaos of Amathous)、

 の四人が、クリソストモス2世およびコンスタンティノープル(とバルソロメオス総主教)を非難する声明を出しているようです。

 四人のうち、アサナシオス府主教は、クリソストモス2世が礼拝の祈祷中に“エピファニー府主教”の名を挙げたので退出したようです。

 とはいうものの、人数で言えば、四人というのはキプロス正教会の主教以上では(キプロス大主教を含めると)三分の一に満たないので、これ以上の賛同者が集まらなければ押し切られて終わり、以前は違うことを言っていた大主教も含めてこれまでの発言もすべてなかったことになるでしょう。

 

 (英語)Metropolitans’ “attack” on Ecumenical Patriarch, Archbishop of Cyprus for recognition of Ukrainian autocephaly – Orthodox Times

 (英語)Cypriot Metropolitan Athanasios of Limassol left Liturgy in protest over commemoration of Ukrainian schismatic / OrthoChristian.Com
 (英語)“Ignoring and Despising His Own Holy Synod” / OrthoChristian.Com

 (英語)Media: Cyprus bishops oppose the "papal decision" of their Primate on OCU – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

追記:
 他のギリシャ人系教会の主教らより四人の主教の反発は強いようで、「キプロス正教会の教会分裂につながる可能性」や、(はっきりいってはいませんが)キプロス大主教は教会法上合法な主教ではなくなったとまで踏み込んでいます(Romfea.grの英語版である Orthodox Times はここまでの反発を予想していなかったようです)。

 (英語)Reactions over Ukrainian autocephaly in Cyprus: Holy Synod is not to ratify primate’s arbitrariness – Orthodox Times

 そして、記事を読む限り、キプロス大統領ニコス・アナスタシアディス閣下が OCU を承認することに反対していたようにも取れ、そうだとすると、キプロス大主教は聖シノドのみならず大統領の顔にも泥を塗ったことにもなりますが……。
 しかし同大統領は、( OCU を承認した)アレクサンドリア総主教のこの前のキプロス訪問時に会談しています。正直、この動きは OCU 承認に賛同しているとも取れます。
 事情がわかりませんが、クリソストモス2世の健康状態もあり、ここからの動きは注目でしょう。

 

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がキプロス大主教の行動についてコメント(2020年10月)

関連:
 東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 上記ニュースに関して、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)がコメントを発表。

 情報の確認をする必要がある、キプロス大主教にはシノドを無視する権限はない、キプロス正教会の主教らの反応を待つ、政治と地政学の観点からの介入が東方正教会全体と各教会を蝕んでいる、といったことを述べているようです。

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Не є позицією Кіпрської Православної Церкви — Керуючий справами УПЦ прокоментував поминання Предстоятелем КПЦ глави «ПЦУ» за богослужінням – Українська Православна Церква

 (英語)UOC Chancellor urges not to rush to judgment on Church of Cyprus and OCU – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ウクライナ駐箚パレスチナ大使と会見(2020年10月)

 2020年10月24日、“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)は、ウクライナ駐箚パレスチナ国特命全権大使ハーシム・ハッサン・ダジャニ閣下(Hashem Hassan Dajani)と会見しました。

 会談では、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】のウクライナ及び世界全体でのパンデミック、またフィラレート総主教の着座25周年などが話題となったようです。

 

 (ウクライナ語:キエフ総主教庁 公式サイト)Святійший Патріарх Філарет зустрівся із Послом Палестини в Україні Гашемом Хасаном Даджані – Українська Православна Церква Київський Патріархат

24 жовтня 2020 року Святійший Патріарх… – Патріарх Філарет | Facebook

 

東方正教会大分裂:キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座の名を礼拝中に挙げる。同教会シノドの事前同意なし(2020年10月)

 2020年10月24日、キリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)は、礼拝において、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の“エピファニー府主教”の名を挙げました。これは要するに独立正教会の首座として認めたということですが、同教会のシノドの事前同意はないようです。

 

 (英語)Archbishop of Cyprus commemorates Metropolitan Epifaniy of Kyiv for first time (upd) – Orthodox Times
 (英語)Archbishop of Cyprus commemorates head of Ukrainian schismatics without Synodal consent / OrthoChristian.Com
 (英語)Media: Primate of the Church of Cyprus commemorates Epiphany – UOJ – the Union of Orthodox Journalists
 (英語)UOC Spokesman: Cypriot hierarchs are outraged by the act of their Primate – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 なお、これにいたる間の話は長いのでとても語れませんが、近いところだと、東方正教会のアレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下がキプロス共和国を訪問した際に、キプロス正教会側の府主教らが共同礼拝をおこなわないということがありました。
 これはその前の訪問時に、総主教が事前には礼拝でエピファニー府主教の名を挙げないと約束していたのに、実際には礼拝で名を挙げて(つまり大嘘をこいて)キプロス正教会側の顔に泥を塗ったことに対する措置だと見られています。

 このような経緯もあり、今回、ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)は、キプロス正教会内部でキプロス大主教に対して反発が起こっているとしています。
 これがただの希望的観測なのか、事実を確認しているのか、確認しているとして全体のどれくらいの割合なのかはわかりません。
 しかし2018年から見せられてきた、ギリシャ正教というのが「ギリシャ人はしいというえ」でしかなく、古代からの正しい教えなどどうでもよいようなルール無視ばかりという現実を考えると、キプロスの聖職者もバルバロイどものことなどどうでもよいというのが本音でしょう。

関連:
 キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下が、“北キプロス・ロシア正教会”を批判(2019年8月)在外ロシア正教会と、在外ロシア正教会から分離した(通称)“アガファンゲル・シノド”の区別がついていないのでは……

 アレクサンドリアとの問題もギリシャ人同士のメンツの問題であって、そこはそれギリシャ人同士にしかよくわからない手打ちがなされて終わりではないかと思います。

 

 また、 UOJ の記事は、 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”首座/“フィラレート総主教”(キーウ・ルーシ=ウクライナ全土総主教フィラレート聖下 : His Holiness Patriarch Filaret of Kyiv and All Rus’-Ukraine)がコンスタンティノープルと OCU を批判(というかおちょくった)ために、コンスタンティノープルが力を見せつける必要が出てきたのではないかと分析しています。

関連:
 キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、コンスタンティノープルとそのトモスを批判(2020年10月)
 インタビュー動画:キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”への、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】からの回復以降初のロング・インタビュー映像(2020年10月)

 真偽はわかりません。

 しかし、ギリシャ人が自分たち以外に興味がなく、その割に自分たちに逆らうものを許さないというのは、東方正教会において確実にいえる真実です(教会だけなら良いのですが……)ので、事態もまたそれに沿って進むだけでしょう。

 ロシア正教会モスクワ総主教庁の聖シノドがキプロス大主教とのコミュニオンを解除すると思いますが、それのみに関わらず政治・外交への影響も出るかもしれません。
 キプロス紛争への出るかもしれません。ロシアにとってキプロス共和国にもう価値は無く(もうロシアの兵器も購入しないでしょう)、ロシアが北キプロス共和国を支援し始めても不思議でもない状況となりました。……その発端がこんな出来事では……。

 

 (英語:ロシア真正教会 西欧教区 公式サイト)World "Orthodoxy's" Soap Opera of the “Orthodox Church of Ukraine" (OCU) Continues… – True Orthodox Diocese of Western Europe

 東方正教会系統の教会のうち、主流ではないロシア真正教会のサイトからおちょくられています。
 「 “OCU” のソープ・オペラは続く……」。
 おっしゃる通りとしか……。

 

続報:
 キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がキプロス大主教の行動についてコメント(2020年10月)
 キリスト教/キプロス正教会のレメソス府主教、キッコス・ティリリア府主教、タマソス府主教、アマサス主教が、キプロス大主教とコンスタンティノープルを批判する声明(2020年10月)
 東方正教会大分裂:キリスト教/ロシア正教会の聖シノドがキプロス大主教クリソストモス2世座下とのユーカリスティック・コミュニオンを解除(2020年11月)

 

キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、ロシア駐箚のレバノン大使と会見(2020年10月)

 2020年10月13日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、ロシア連邦駐箚レバノン共和国特命全権大使チャウキ・ブー・ナサール閣下(His Excellency Chawki Bou Nassar)と会見しました。

 会談では、中東の人々の現状、レバノン社会の宗教情勢に関する話題、モスクワ総主教庁と中東の諸教会とのつながりおよびアンティオキア総主教庁への支援を含む人道支援などについて話されたようです。

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 公式サイト)Chairman of Department for External Church Relations meets with Lebanese ambassador / News / Patriarchate.ru

 

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 キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下が、ロシア駐箚のイタリア大使館を訪問(2020年10月)英国、フランス、ギリシャ、ブルガリア、セルビア、レバノン、ブラジルの各大使らと会談